2014年J1第10節 FC東京 0-1 名古屋グランパス(観戦19試合目)

GW連戦2つめは、ホームでの名古屋グランパス戦。場所は国立。今の国立では最後の公式戦になる。上層こそ一部しか開放しなかったが、観客はかなり多い。たくさん入るとやはり通路の狭さを感じる。そして、背もたれもカップホルダーも無い座席、段差が一定ではない階段。たしかに、立て替え時かもね(ただしあのデザインは・・・)


スタメンとフォーメーションは以下。

東京のスタメンは前節と同じ。故障者続出で矢野がSBを務めるほど台所事情が苦しい名古屋だが、この試合から玉田と大武がスタメンに復帰してきた。システムは4-2-3-1に見えた。

東京はターンオーバーしてくるかと思ったが、よく考えるとそれができない状況にあった。第10節時点での東京の選手構成は以下。

梶山、マテウスの長期離脱者は置いておくとして、平岡が脚を痛め、石川が腰痛、アンカーができる野澤も鳥栖戦で膝を負傷。河野がどこかを痛めたらしく前節に引き続きベンチ入りせず。羽生さんも体調不良とかでベンチ外。
ということで、開幕時、頭数なら2セット編成できたはずの中盤が、いつの間にやらバックアップは幸野だけになってしまった。消耗の激しいインサイドハーフぐらいはフレッシュな選手を使いたかったんじゃないかと思うのだが。こっちも、台所事情は苦しい。


東京の守り方はいつもの通りだったが、案の定、立ち上がりから選手の動きが鈍い。インサイドハーフはもちろん、前の三人の動きにも鋭さがない。前節と比べると、寄せの早さ、球際の強さともに落ちていた。



この東京のコンディションの悪さに、名古屋の攻め方がはまった。
これまでの名古屋はケネディポストプレーを軸に攻撃を組み立てていたが、今年は変わった。今年の名古屋は、守備ブロックのMFとDFのラインの間のスペースを使って仕掛ける意図を強く出している。この試合でも、ボランチとDFの間に常に2,3人の選手がぶらぶらしていた。このスペースに縦パスを入れて起点をつくり、ワンタッチパスの交換で崩していく。どうやってMFとDFの間に縦パスを入れるかというと、基本的にはボランチを1枚攻め上がらせ、それに東京のMFを食いつかせて、その背後の空いたスペースを使っていた。

それが端的に表れているのが20分の場面。名古屋は左SBの本多をオーバーラップさせてサイドから仕掛けてくる。それに対応して東京の3ボランチがスライドする。サイドに追い込もうと、トップ下から東が降りてくる。
ここで名古屋は一端ボールを下げ、闘莉王経由で田口にボールが渡る。田口に対してタマが食いつくと、その背後が空く。その空いたスペースを使って枝村が縦パスを受ける。
この場面では、パスを出した田口がそのまま上がっていって枝村とのワンツーでバイタルに侵入、最終的には永井がミドルを狙っていく。
もう一つ、3ボランチを寄せておいて闘莉王のサイドチェンジで逆サイドのオープンスペースを使う、という手段も用いていた。

こういう攻撃を防ぐためには前の3人が闘莉王ボランチにプレッシャーをかける必要があるのだが、なにせ運動量が・・・・上の場面でも、闘莉王に対する平山のプレッシャーが遅れ、千真は攻め残ったまま。試合を通じてサイドチェンジを行う闘莉王にはプレッシャーがかかっていなかった。


で、この直後にもボランチのスライドの遅れを突かれてサイドから仕掛けられシュートを許す。結局、マッシモは23分過ぎに4-4-2に変えてしまった。

中2日、ターンオーバーなしのコンディションで3ボランチで守り切るのは無理と判断したのだろう。ま、4-4-2に変えてもけっこうやられていたのだが、東京も真ん中を締めて決定機を許さなかった。


それでも、前半はグダグダながら無失点でしのぐが、後半立ち上がり、コーナーキックから矢野貴章にヘディングを許し失点。ニアサイド、ストーンの位置にいたのは高秀先生だったが、後ろから勢いを付けて飛び込んできた矢野貴章にはさすがに勝てず。貴章は、十分な「運動エネルギー」を持った状態だと非常に怖い選手である。


失点の後、東京は5分ほどバタバタしたが、吉本の踏ん張りもあって立て直す。
千真のあれは・・・1点とれば変わると思うんだけど・・・・


マッシモの反撃の手段はシステム変更。57分頃に5-3-2にシステム変更。

実質は松田・太田の両WBが高い位置をとる3-4-3的な形でいたことが多かったように思う。突撃させると強い矢野貴章も、守備に回るとバタバタ。ああ、もうちょっとだったね。


この試合、負けはしたが、状況に応じたシステム変更が見ていて面白かった。守備面に着目したシステム変更はこれまでもやっていたが、攻撃的なシステム変更が見られて、それがある程度機能した、というところに、個人的には合点がいった次第。チームが、こういう「幅の広さ」を身につけつつあることは心強い。まだ、板に付いているとまでは言えないが。
一方、運動量低下による3ボランチの機能不全、という点は今後も大きな問題になる。4-4-2へのシステム変更はもちろん、中盤で使える選手の層を厚くしようとしている節もあり、マッシモはいろいろ手を打っているとは思う。


最後の国立という感傷はあまりなかった。ただ、新宿の高層ビル街が見られなくなるのは寂しいかな。

2014年J1第9節 膻浜Fマリノス 0-1 FC東京(観戦17試合目)

GW狂気の4連戦の初戦は日産スタジアムでの鞠戦。去年の鞠戦は、アウェイの日産で打ち合いの末破れ、ホーム味スタでは実力差を見せつけられて完敗した。
だが、今年はちょっと違うだろう。チームは上り調子、そしてあちらはACLでお疲れ。
ちょっと期待しつつ、あだっちぃを横目でみながら(写真とるの忘れた)日産スタジアム到着。ひなたは汗ばむ陽気だが、日陰は肌寒い。



両チームのスタメンとオリジナルフォーメーションは以下のとおり。

河野がベンチからも外れた(ちょっとしたケガらしい)。スタメン発表でFW登録になっていたタマがトップ下に入るのかと思ったが、実際は左のインサイドハーフ。東が本職のトップ下に入った。鞠さんはいつものメンバーらしいです。


東京の守り方の基本形はこう。

基本は2トップでボランチへのパスコースを遮断し、相手の中盤をしっかり捕まえてボールの出しどころを消す。タマは俊サンをタイトにマーク、かなり行動の自由を奪うことに成功していた。タマ、成長したなあ。


実際はこんなかたちが多かった。

試合冒頭から、東京はマリノスのバックラインとボランチに激しいプレスを敢行、高い位置でボールを奪ってショートカウンターを繰り出した。
2トップだけで4バックにプレッシャーをかけるのは難しいので、東がサイドに流れてSBを見るような形になっていた(スカパー!の中継みると、「ヒガシ、サイド!」という声が聞こえる)。東京の前線がワイドに開いた3トップみたいに見えたのはこのせいです。
そのプレスの激しいこと、ボールがとれそうと見るや、タマが俊サンのマークを放り出して小林に詰め、高秀先生と米本もスライド&前に出てきてプレスに加わる場面も何度かあった。


あれ、これまでの、前半堅く来て後半に仕掛けてくるパターンとは違うぞ、と思ったが、どうやらミステルは先行逃げ切りのゲームプランだったらしい。
理由として考えられるのは、マリノスはゲーム序盤に失点する傾向があること。
ゼロックスACLも含めて、この試合の前までにマリノスは公式戦15試合を戦って18失点している。時間帯別失点は、以下の通り。

前半0ー15分:5点
前半16-30分:0点
前半31-45分:2点
前半AT:0点
後半0ー15分:2点
後半16-30分:5点
後半31-45分:3点
後半AT:1点

・・・・なんと立ち上がりの時間帯に5失点を喫している。ゲームの入り方に問題を抱えているのだろう。我らがミステルはここを狙ったのか。選手コメントを読むと、マリノスの選手たちも狙ってくると思っていたようだ。
ちなみに後半16-30分の間にも5点を奪われているのは、試合展開から考えるに先行されて攻めに出てカウンター喰らった、ってパターンだろうか。


ともあれ、このゲームプランは見事にはまり、早速4分、タマのボール奪取から東がクロス、これに平山が飛び込む場面があった。続く7分、千真がボランチからボールを奪い、平山のシュートの跳ね返りを東が押し込んで先制した。
12分にはタマの右足クロスに平山が合わせてネットを揺らすが(触ってない?)、これはオフサイド判定(水沼さんはマリノスラッキーだね、って言ってるw)。さらに17分にはタマがサイドをえぐってマイナスの折り返し、これにマークを振り切った千真が合わせるがシュートはバーの上、という決定機。
立ち上がりのショートカウンターのパターンだけでこれだけありますね、俊サン。それから、全部マリノスの右サイドからのチャンスで、右SBの小林、やっぱり疲れてるなあ、と感じた。
さすがに20分過ぎる頃にはマリノスも慣れてきたが、その後も東京は出足もよく球際も激しく、マイボールになれば後ろからも上がってきて人数のそろった速攻を繰り出し、いい感じで試合を進めた。


一方、マリノスの攻め方はこんな感じ。

このチームの攻め方の特徴は、サイドに人を集め、パス交換を繰り返してチャンスをうかがうこと。ペナルティエリアの角付近に起点を作ってのゴール攻略を狙っている。上の例では、サイドバックの下平が上がってきて藤本・学とトライアングルを作りパス交換、CB(吉本)を引っ張り出したところで裏に抜けてゴールライン際をえぐるか、あるいは手薄になったゴール前目がけてシンプルにクロスを上げてFWと逆サイドのウイングを飛び込ませる、ってパターンが多い。しかし、この試合では藤田がゴール前に孤立気味で、逆サイドのウイングが中に入ってくる動きや、ボランチの攻め上がりも乏しく、攻撃に厚みを持たせることができなかった。逆にそういうプレーをしたときはシュートに結びついていた。30分、俊サンが逆サイドまで来てクロスを入れた場面とか、中町がこぼれ球を拾ってミドルを狙ったシーンとかね。


HTにマリノスは2枚を交代。中町→伊藤翔、小林→奈良輪。フォーメーションはこう。

前線を2トップにしてきた。中盤は藤本と寛平のダブルボランチだろうか(間寛平さん来たんですかね?)。


東京は前半と同じやり方で守るのだが、4-3-3の構造上の問題、中盤がスライドした逆サイドのスペースを狙われる場面が出てきた。

51分、この試合最大のピンチ。サイドでボールを回されて、それに対応して中盤3枚がスライドしたときに俊サンにサイドチェンジを出された(濃紺点線がボールの動き)。がら空きのスペースでボールを受けた下平が狙い澄ましたクロス、これに伊藤翔と藤田の2枚が潰れ、ファーにこぼれたボールにフリーで俊サンが飛び込む!・・・キャー・・・フカした(ほっ)。俊サン、やっぱり調子悪いんだなあ、と思った。


この直後、52分から東京はシステムを4バックに変更した。高秀先生がマッシモに呼ばれた直後、指を4本にして指示ました。

マリノスの前線が2枚になったことで単純に攻撃の厚みが増したこと、一方で東京の運動量がさすがに落ちはじめ、スライドの動きが次第に間に合わなくなってきたと判断したのだろうか。
4-4-2にシステム変更後、東京は前に出なくなる。前半から飛ばしてきたことに加え、日中の暑さ(♪夏だ夏だとんがろう)、さらにこの後も連戦が続くことを考慮したのかもしれない。


さらに72分頃、東京はさらに5-3-2にシステム変更。

高秀先生がディフェンスラインの中央に落ちた。5バックにすることによってサイドの深い位置のスペースを消し、ディフェンスにとって対応の難しい、真横からのクロスを抑える。中盤はタマ・米・東の3枚でバイタルのスペースを消す。2トップは相手のボランチを抑える。
中盤が3枚なので相変わらず両サイド(黄色の丸)のスペースが空くが、森重・先生・吉本+権田がいるので前を向いて対応できるクロスはかまわない、こぼれ球も3ボランチと合わせれば対応できる、ということなのかな。
マッシモを見ていて面白いのは、「ここは押さえる」だけじゃなくて。「ここは捨てる」って判断が見て取れること。
とにかく、このシステム変更で試合は完全に膠着した。マリノスは単純なクロスを放り込み、跳ね返される場面を繰り返す。


マリノスは82分から栗原を前線に上げてパワープレーに出た。

こんな形。後ろは富沢がDFラインに入る形で4-3-3だろうか。ま、状況は変わらないんだけど。
後半シュートゼロの東京がマリノスの力攻めをしのぎきり、前節に続いてクリーンシートで勝利した。


いやー、こういう勝ち方も痛快ですねえ(ニヤニヤ)。
よく見るとマリノスに決定機を与えてるんだけど(俊サンのあれとか)、こっちも前半は何度か決定機を得てるし微妙な判定もあったんで、そのへんはお互いさまかと。
先行逃げ切りのゲームプランを見事に遂行、こういうこともできるんですねえ(ニヤニヤ)。
退屈な東京、いいじゃない。


一人心配なのは千真かな。前線からの守備というタスクは完遂したし、実際に得点のきっかけとなったボール奪取は千真だし、仕事をしたことは確か。でも、本人は納得してないだろうな。端から見てると、シュートのタイミング、一瞬の判断というところに迷いがあるように見える。開幕時の3トップとは違って、今は2トップ+トップ下だし、このほうが合うと思うんで、調子を取り戻して欲しいんだが。

2014年J1第8節 FC東京 2-0 セレッソ大阪(観戦15試合目)

現在人気沸騰中のセレッソを味スタに迎えて行われた第8節。
女声がすごいw。
ポポヴィッチ様、長谷川(ア)様、いらっしゃいませ。


スタメンとオリジナルフォーメーションは以下のとおり。

前線ではエドゥーがスタメンに復帰。インサイドハーフは米本と東のセット。CBは吉本を起用。ベンチには加入したばかりのカクヒジュが入っている。


この試合の焦点の一つはセレッソの強力攻撃陣をどう抑えるか、なのだが、東京の守り方はこんな感じ。

ポポサッカーの生命線?であるCBとボランチの間のパス交換に圧力をかけるべく、平山とエドゥーがコースを遮断する。柿谷は高秀先生が、フォルランセンターバックのどちらかがマーク、彼らがポジションを変えた場合は適宜マークを受け渡す。ウイングの南野・杉本は基本的にインサイドハーフがマーク。重労働なのは河野で、ボランチにボールが渡った場合はファーストディフェンダーになり、SBにボールが渡った場合はFWと協力してプレッシャーをかけ、柿谷が引いてきた場合はマークに付く。
この試合では、中盤3人のポジショニングのバランスが良かっただけでなく、河野の動きによって空いたスペースをFWの2人が献身的に埋め続けて、後方でのパス回しを抑えていた。ポポさんチームには珍しく、セレッソが初めからロングボールを多用したのは、東京の守備によってビルドアップが阻害されたことが大きいと思う。


ただし、この守り方の問題点は、セレッソのウイングが中に入ってきた場合のサイドのスペースのカバー。

例えば、杉本が中に入ってきてそれに東が付いていくと(この二人、大バトルを繰り広げていましたなあw)、タッチライン際にスペースが生じる。図の場合、酒本が東京陣内深くまで侵入してきた場合は太田が対応するが、浅い位置では距離を詰め切れずにフリーでクロスを上げられる場面が出てくる。実際、酒本のアーリークロスからあわやの場面を作られていた。右の米本・徳永コンビに比べ、左の東(orタマ)・太田コンビはマークの受け渡しがやや不安定な印象を受ける。左インサイドハーフが固定されていないことが原因の一つだろうか。
一方、右は徳永が丸橋を封殺。さすがだ。


結局、後半になってお互いの動きが激しくなってくると、4-4-2に変えちゃいましたね。

武藤は入った直後に左MFに入り(河野→タマの交代後はタマ)、それまで左インサイドハーフを務めていた東は右に回った。相手のウイング・SBコンビに対してこちらも2枚で対応しよう、というオーソドックスな守り方に変えた。このやり方は攻撃面でもメリットあり。バイタルエリアのお守りから解放された先生が積極的に攻め上がれるようになったのだ(米本が残っていればいいから)。セレッソの運動量が落ち始めたタイミングでの先生の攻撃参加は効果的で、ダメ押し点に結びついた。4-4-2に変えた直後からガンガン攻め上がり始めたのには可笑しかったが、新妻にいいところを見せたかったためだと思われる(?)


話は前後するが、前半のセレッソの守り方はこう。

東京が前の3人に早いタイミングでボールを入れてくるのに対応して、山口蛍と長谷川(ア)が大きく下がる。DFラインとの間のスペースを詰め、CBとサンドイッチにしてエドゥー・平山へ圧力をかけ、かつセカンドボールを回収する。山下・カチャルの対人能力も高いため(カチャルは読みもいいなあ)、河野も含め前線の3人には流れの中ではほとんどチャンスが無かった。
もっとも、この守り方にもデメリットはある。蛍・長谷川(ア)がときにDFラインに吸収されてしまうほど下がるため、ペナルティボックスの手前あたりにスペースが発生する。ここを使って、東・米本が何度かシュートを放っていた。



終盤のセレッソフォルラン→扇原の交代で柿谷を前線へ、南野を中にもってきた。扇原の散らしで揺さぶってチャンスをつくろう、という意図だったのかもしれないが、このときはすでにSBが疲弊していてサイドに起点を作ることができなかった。
酒本は2失点に絡んでしまったが、正確なクロスでたびたびチャンスを作っていた。彼がもっともやっかいな選手だった。


ともあれ、実に気持ちのいい勝ち方だったな。帰りの新幹線で飲む酒がうまかった。

2014年J1第7節 広島 1-0 FC東京(観戦13試合目)

広島の変態システムに対する東京の守り方が面白かったので、備忘録的に。


まず、スタメンとオリジナルフォーメーション。

東京は河野をトップ下に置いた4-3-3、広島はいつものとおり。


巷で言われているとおり、広島は攻撃時に5トップになる。

4バックに対して5トップをぶつけ、ミスマッチを利用して崩すやり方。後方は、塩谷と水本がSBの位置に張り出し、森崎がCBに下がって4バックになる。青山がアンカーとしてバイタルを埋める。中盤には人を配置しない。相手の中盤を遊兵化させ、前線と最終ラインの数的優位を確保するシステムである。


この変態システムに対し多く採られているやり方が、こちらも5バックにしてミラーゲームにするというもの。あの頑固なランコ・ポポヴィッチでさえ、広島に対してはこの戦法を用いた。ミラー戦術の利点は、基本マンマークになるので、一対一で負けない限りミスマッチを作られないこと。ただし、いつもとは違った配置になるので、攻撃面でうまくいかない事があること。典型的な例が去年の天皇杯準決勝・広島vs東京で、シャドー役を担ったアーリアと東には、プレーに戸惑いが見られた(という印象・・・)。


この試合で、われらがミステルが採った策は・・・

基本的には、高秀先生が寿人のマークとして最終ラインの真ん中に入る。前は3トップと両インサイドハーフの5人でスクリーンを張り、中央エリアへのクサビを遮断、相手の攻め手を限定する。
石原・高萩両シャドーのマークはCBとインサイドハーフが受け渡す。青山が前進してきた場合は河野が対処、サイドバックが上がってきた場合は2トップが対応し、インサイドハーフと連携してサイドに追いやる。
この守り方で特筆すべきは、バイタルエリアがぽっかりと空いていることである!(黄色の楕円)。ここにシュート力のあるトップ下でもいれば一大事になるのだが、広島の場合は構造上ここに人がいないので、空けておいても問題は起こらない(!!)。

「むこうが中盤に人を置かないなら、こっちも置く必要ないじゃない!」

バイタルを使わない相手に対してバイタルを埋める必要がない。たしかに言われてみればそうなのだが、まさか意図的にバイタルを捨てるとは・・・(サイドを捨てるやり方はよく見るんだが)

ミラーゲーム戦法が「数合わせな」のに対し、このやり方はいわば「スペース合わせ」。実に眼から鱗であった・・・



寿人がバイタルに引いてボールを受けに来た場合は先生が付いていく。シャドーが落ちてきた場合はCBかインサイドハーフが追う。



マイボールになった場合は高秀先生がアンカーの位置に戻れば4-3-3に戻り、いつものやり方で攻めていける。


このやり方はある程度奏功した。実際、広島はパスの出しどころが無くて苦労していたし、先生の徹底マークを受けた佐藤寿人カズダンスどころではなく、途中交代に追い込まれた。


難点ももちろんあって、ぱっと見て気づいた点は、インサイドハーフの負担が非常に大きいこと。シャドーをCBと受け渡しながらマークし、ウイングにボールが渡れば味方SBと共同して囲い込み、広島のSBが前進してくればFWと共に対応する。そして攻勢に転移すれば、前の3枚のサポートをしなければならない。タマはもちろん、死ぬまで走るはずの米本も途中交代を余儀なくされた。
後半は全体に疲労してしまい、攻撃に厚みを欠いた。


新監督になってやり方が一新され、3月こそもたついたものの、この試合では組織が整ってきているのがはっきりと目に取れた。セットプレーの一発で破れはしたものの、先に希望が持てる敗戦だった(だから余計に悔しいんだけど)。




ビッグアーチの仇は紙屋町でとった(イナゴ的報復法)。


この翌週、4月20日の第8節にビッグスワンで行われた新潟ー広島戦を観戦した。

新潟がとった広島対策はこれ。ボランチの一枚がシャドーに付いて最終ラインに下がり、バイタルにレオシルバを残す。前線の4枚はビルドアップを妨害するとともに後方の攻め上がりに対応する。こういうやり方をするだろうとは思っていて、どこまで通用するかなという興味を持って見に行ったのだが、この試合の広島はミッドウィークにACLを戦った影響で疲労が濃く、運動量はビッグアーチの試合と比べて激減していた。広島は最初から自陣にこもって引き分け狙い、新潟の拙攻もあってスコアレスドロー、面白みに欠ける試合だった。
1.5人分の働きをするレオシルバが広島に対しどこまでやるだろう、と期待していたのだけれど。

FC東京 2013シーズンリーグ戦 失点状況(第11節終了時)

土曜日にこいつらがやらかして、まだ怒り心頭です。


特に秀人のあれは・・・(努)。まあ、やらかしたのが秀人だがら執念深く怒ってるんですけどね。新人DFだったら、素直に「気にするな!」と言えたと思います。
とりあえず、亀甲縛りにして放置プレイ↓罰ゲームぐらいはやってもいいんじゃないかと思います(あ、これ、平山だ)。


それはともかく、最近、どうもアレでナニな失点が多いように見えるので、今シーズンのリーグ戦での失点状況を整理してみました。
第11節までのリーグ戦での失点は計16点です。


No.1 第1節 2013/3/2(Sat.) アウェイ大分戦(大銀ドーム
 得点者:17分、チェ ジョンハン
 状況:セットプレー
 経過:ショートコーナーからゴール前にボールを入れられ、そのままゴールイン。チェにフリーでボールを入れさせてしまった。マークのミスが原因。


No.2 第3節 2013/3/16(Sat.) アウェイC大阪戦(長居)
 得点者:47分、山口蛍
 状況:速攻(ロングカウンター)からクロス
 経過:アタッキングサードでのパスミスを(東京から見て)右タッチライン際のスペースに展開される。丸橋のクロス→南野が森重の股を抜いてファーに流し、走り込んできた山口がフリーで決める。東京DFの戻りが間に合わず、ゴール前に人が足りていなかった。


No.3 第4節 2013/3/30(Sat.) アウェイ膻浜FM戦(日産スタジアム
 得点者:61分、中村俊輔
 状況:セットプレー
 経過:壁に当たったボールがゴールイン。権田は逆をつかれた。これは不運・・・


No.4 第4節 2013/3/30(Sat.) アウェイ膻浜FM戦(日産スタジアム
 得点者:68分、藤田
 状況:リスタート(クロス)
 経過:スローインから天野が持ち出しクロス、加賀に競り勝った藤田が頭で合わせる。リスタートへの対応が遅れ、天野に抜け出されてしまった。


No.5 第4節 2013/3/30(Sat.) アウェイ膻浜FM戦(日産スタジアム
 得点者:90分、藤田
 状況:遅攻(スルーパス
 経過:シュートブロックのクリアボールを拾った兵藤から藤田へスルーパス。藤田のシュートはポストに当たってゴールイン。藤田は加賀と太田の間でフリー。最終ラインに人はそろっているがマークが付いていなかった。


No.6 第5節 2013/4/6(Sat.) ホーム大宮戦(味スタ)
 得点者:78分、ズラタン
 状況:セットプレー
 経過:カウンターをかけるチョ ヨンチョルに対し徳永がファウルを犯しFK献上。下平のFKに権田が飛び出し触れず、ズラタンにヘディングシュートを許す。GKの判断ミス(飛び出さなくてもヘディングはされていたように見えるが・・・)


No.7 第6節 2013/4/13(Sat.) アウェイ仙台戦(ユアスタ
 得点者:47分、角田
 状況:ミドルシュート
 経過:パスを回され、最終的に高橋が振り切られてシュートを打たれる。


No.8 第6節 2013/4/13(Sat.) アウェイ仙台戦(ユアスタ
 得点者:60分、ウィルソン
 状況:速攻(ロングカウンター)から最後は個人技
 経過:アタッキングサードでのトラップミスをリャンに拾われ、攻め上がっていた徳永の裏へロングパス。ウィルソンがそのまま持ち込んで、加賀との一対一を制して逆サイドネットに決める。


No.9 第7節 2013/4/20(Sat.) ホーム名古屋戦(味スタ)
 得点者:30分、ケネディ
 状況:遅攻(セットプレー崩れからクロス)
 経過:CKのクリアボールを拾われ、ダニルソンのクロスから、ケネディが高さを生かしてヘディングシュート。


No.10 第9節 2013/5/3(Thu.) アウェイ鳥栖戦(ベアスタ)
 得点者:77分、豊田
 状況:PK
 経過:加賀が池田を倒しPK献上。豊田に決められ失点。


No.11 第9節 2013/5/3(Thu.) アウェイ鳥栖戦(ベアスタ)
 得点者:90+1分、水沼。
 状況:遅攻(コンビネーションプレー)
 経過:鳥栖に押し込まれた状況の中、ボックス内へのフィードを豊田が収め、マイナスの折り返しを水沼に決められる。走り込む水沼にマークが振り切られ、フリーで打たれた。


No.12 第10節 2013/5/6(Mon.) ホーム磐田(味スタ)
 得点者:29分、伊野波。
 状況:セットプレー
 経過:駒野の右CKから、イノなんとかにフリーでヘディングを許す。マークのミス。


No.13 第10節 2013/5/6(Mon.) ホーム磐田(味スタ)
 得点者:40分、小林裕
 状況:リスタート(クロス)
 経過:スローインから駒野がフリーでクロス、これを受けた小林が持ち出してシュート。高橋が付いていたがトラップで抜かれる。よりによって駒野にルックアップしてフリーでクロスを上げさせてしまった。


No.14 第11節 2013/5/11(Sat.) アウェイ湘南戦(BMWスタ)
 得点者:11分、高山
 状況:遅攻(クロス)
 経過:左サイドに流れた武富のクロスが徳永に当たり、高山の前にこぼれてシュートを打たれる。高山はボックス内でフリー。状況から見て、ルーカスがマークすべきだったと思われる。


No.15 第11節 2013/5/11(Sat.) アウェイ湘南戦(BMWスタ)
 得点者:65分、馬場
 状況:速攻(ショートカウンター
 経過:高橋が足を滑らせてボールを失い、ショートカウンター


No.16 第11節 2013/5/11(Sat.) アウェイ湘南戦(BMWスタ)
 得点者:82分、永木
 状況:速攻(ショートカウンター
 経過:アーリアがプレスをかけられて奪われ、ショートカウンター


失点した状況を整理してみると、
 PK:1
 セットプレー:4
 リスタート:2(スローイン
 速攻:4(うちロングカウンター2、ショートカウンター2)
 遅攻:4(うちセットプレー崩れ1、スルーパス1、コンビネーション1、クロス1)
 ミドルシュート:1


ということになります。
ちなみに、「守備ブロックを形成される前に攻めきってしまう」のが速攻、「守備ブロックを崩してシュートまでもっていく」のが遅攻、という定義です。


ぱっと見ですが、昨シーズンと比べるとロングカウンターによる失点が減ってる印象を受けます。これはパスワークの精度が上がって不用意にボールを奪われる機会が減ったことが効いているのではないかと考えます。


ああいうサッカーやってるとカウンターのリスクは常につきまとうので、そこが改善されたことは大きな進歩だと思います。


問題は、セットプレーとリスタートでしょうか。
セットプレーでの4失点のうち、中村俊輔のFKによるものはホントに運が悪かったんですが、残る3失点は全部ミス絡みです。権田のアレはともかく、大分戦と磐田戦のイノ何とかのやつはマークが付いてないという状況でした。
また、リスタート(膻浜FM戦、磐田戦のスローインからの2失点)による失点も、フリーでクロスを上げさせてのもの。
遅攻の状況、つまり守備ブロックが形成されている状態での失点を見ても、ケネディにやられた以外はフリーでシュートを打たれてます。


つまり、人がそろっているのにマークが付いてない、守備者がボールウォッチャーになってる状況が多発しているってことです。

カウントしてみると、
・セットプレーのうち2失点(大分戦のチェジョンハンと磐田戦のイノなんとか)
・リスタート2点(膻浜FM戦と磐田戦、いずれもスローインからフリーでクロスを上げさせてしまった)
・遅攻のうち2点(膻浜FM戦の決勝点と、湘南戦の1失点目。いずれもボックス内でシューターがフリー)。


全部で6点か。


せっかくカウンターからの失点が減ってるのに、かつ点が取れるようになっているのに、実にもったいない。私が言ったところでどうなるわけじゃないですけどねえ。
とにかく、なんとかしてくれい。


磐田戦の前日に小平グランドでグルイッチコーチが仕切る守備練習を見学しましたが、ポジショニングやマークの付き方の確認が主で、いたって常識的な内容に見えました。


何が原因で、どういうトレーニングをすれば改善できるんでしょうねえ。やはり、TD閣下の大声(ry・・・って話じゃないよな、やっぱり。

2013年J2第1節 ギラヴァンツ北九州 1 - 2 カターレ富山(観戦3試合目)



今オフのギラヴァンツ北九州の出入り。

三浦ヤスが子飼いの選手を引き連れて緑に行ってしまったので、昨季から在籍していた選手はFW池元、FW渡、MF森村、DF宮本、DF冨士、DF多田、GK武田大の7人のみ。
つまり、ほぼ「全取っ替え」状態で挑む2013シーズンの開幕である。
開幕戦のスタメンを見ると、渡以外は新加入の選手で構成されていた。
柱谷(兄)監督は3バックの導入も視野に入れているようだが、まずはオーソドックスな4-4-2フォーメーションでのスタートである。


アウェイのカターレ富山、今オフの出入り。

最も大きな動きは、3バックの中央で無類の防空能力を発揮していた福田がレンタル元の大宮へ帰ってしまったこと。
その代わりとして、この2年間、中盤の底で起用されることの多かった平出さんがCBにコンバートされている。また、新潟からレンタルしたキム・ヨングン(あのヨングンとは別の人)が先発起用されている。黒部の故障を受けて、トップは岐阜から移籍の西川がつとめる。


試合・・・の前にイナゴ。

門司港地ビールを一杯。



焼きガキ。



焼きカレー



「お肉のはしもと」のバーベキュー串。



緑戦ではこんなものが出るそうな。


こんな感じで喰って終わりました(あ、試合・・・)。