関東大学リーグ1部 第12節 流通経済大学 2 - 1 駒澤大学(観戦85試合目)

勝戦線サバイバルマッチその1は、首位筑波に同勝ち点24で2位につけている流通経済大(以下RKU)と勝ち点22で3位の駒澤大学の対戦。
このマニアックな大一番にたまらず馳せ参じたのか、記者席にゴタケ氏発見(ジェフGMのウバガイ氏も来ていたらしい。巻弟にツバ付けにでも来たのか?)。
かくいう私も、ひいきクラブのエントリよりこっちを優先。
風が涼しくなり、かつ風邪気味で、昨日に続いてコートを着用しての観戦。秋が深まってくるなあ。


RKUのスタメンはGK21飯塚、DFが左から5阿部嵩-2鎌田-25赤井-26飯田、中盤は底に6中島、右が8船山、左が10栗澤、トップ下に13糸数、そして24難波と28武田の2トップ。4年は栗澤と中島だけ、3年なしで残りは全部1・2年生というフレッシュなメンバーで勢いのままに昇格即優勝を狙う。
一方の昨季王者、駒澤のスターティングメンバーは、GK21太、DFは13筑城-5鈴木祐-15廣井-4小林亮、中盤はダイヤモンド型で底に6中後、左が27最上、右が8中嶋、トップ下20小林竜、そして9赤嶺と31巻のツートップ。駒澤は負ければ首位に勝ち点5差となり優勝がかなり苦しくなるだけに、まずツインタワーにロングボールを入れることでゴールに直線的に迫るという身もふたもない、もとへ現実的なアプローチが見え見えである。ま、今シーズンはサイド攻撃があんまり機能していないし、リアリズムに走るのもやむを得ないといったところか。


で、のっけから予想通り駒澤のパワープレーが炸裂。RKUは試合序盤こそパスがつながり、3分には右サイドからのクロスに難波が飛び込みあわやという場面(難波が触れず)、続いて4分には赤井のアーリークロスを船山がボレーしGKが何とかクリア、7分には縦パスに抜け出した難波がシュートを放つがGK正面と得点機を掴む。しかし前半10分すぎから駒澤のプレッシングが効き始め、中盤でゲームをつくれなくなり、攻撃はカウンターのみになっていく。
駒澤はボールを奪ったら早い段階で2トップにボールを入れ、キープまたは落としたボールにトップ下や両サイドMFが絡んでいくという攻撃を繰り返す。これがもう、気持ちいいぐらい徹底していた。バックラインや中後からのフィードが正確なため、単なる放り込みにはならない。赤嶺・巻の2トップがまた強力で、高い・強い・(わりと)早いうえに(それなりに)テクニックもあるため、迫力十分。時には二人だけでヘディングワンツーで突進していくという、アンビリーバブルなプレーも見せる。そうだ、君たちを電柱組と呼んであげよう(このネタ分かる人、古いです)。


このあまりにもゴリゴリな攻撃にRKUディフェンス陣は青色吐息。混乱している様がありありと見える。12分には後方からのフィードを27最上がヘディングで前へ流し、反応した赤嶺がDFの間をすり抜けシュートを決めるが、惜しくもオフサイドの判定。こんなことにめげず18分、サイドチェンジ気味のクロスが右サイドPAのすぐ外側にいた赤嶺に渡り、これを右足シュート、これがゴールに吸い込まれて駒大が先制点を上げる。
この後も展開は変わらず、運動量に支えられた守備をベースに駒大の高さを生かした攻撃が続く。ロングボール攻撃のため、RKUはDFラインがズルズルと下がってしまい、駒澤のプレスがきついこともあって序盤以外はほとんど有効な攻撃が行えなかった(手元集計ではRKUのシュートは前半3本。10分以降はわずか1本。駒澤は6本)。が、ディフェンダー陣が最後のところで体を張って守り、なんとか前半を1失点で終えた。


後半開始から、RKUは前半ノーシュートに終わった28武田に代えて11杉本を投入する。すると杉本が持ち前のスピードで勝負を仕掛け、13糸数も積極的に前へ出て攻撃に絡むことによってリズムを掴む。49分には難波の落としを船山がシュートするがGKに弾かれる。52分には再び船山がサイドからのクロスをヘッドするがこれは浮いてしまう。
一方の駒澤も60分すぎにはペースを取り戻し、中盤でのプレスも効き始め、再び電柱組大作戦を展開する。65分には赤嶺のポストから20小林竜がシュートを放つがゴール左に逸れてしまう。
RKUも守りに回ったら不利とばかり、68分に難波を下げて9岡本を投入、あくまで勝ちを狙う。岡本は入ってくるなりボレーシュートを放つ。


この後は一進一退の攻防。70分すぎからお互いに運動量が落ちてきて中盤が空き、駒澤のロングボール攻撃とRKUのカウンター攻撃というノーガードの打ち合いになってくる。
RKUは76分に活躍した8船山を下げて23瀧原を投入し中盤の運動量を維持する。
駒澤はあくまでテクニックに裏打ちされた肉弾攻撃を継続、あいかわらず迫力は十分だがRKUのDF陣も慣れてきたのか、体を張り集中力を保ってしのぐ。追加点を奪って試合を決めたい駒澤は78分に小林竜に代わりエース原一樹を投入する。が、原は入ってくるなりロングスロー要員(笑)。あくまでパワープレーを継続ということか。82分にはゴール前の混戦から赤嶺がシュートするが枠の外。


一方、しだいにRKUのカウンターが鋭さを増してくる。運動量が落ちてきたのと、全体に前がかりになっているせいで中盤とDFラインの間にギャップが出来てくる。駒大DFは単独で相手を止めねばならない場面が増えてくる。
そして86分。やはりカウンターだった。クリアボールが栗澤にわたる。栗澤はフリーの状態でドリブルで持ち上がる。ずるずる下がる駒澤DFライン。栗澤は、ペナルティーアーク手前ぐらいで右サイドにいた23瀧原にパス。栗澤に引きつけられていた駒澤DF陣は反応が遅れ、フリーの瀧原はPA内に入ったあたりで右足を振り抜き、これが飛び込んだGKの手の先をかわしてゴール(向かって)左隅に吸い込まれた。同点。


追い込まれた駒大だが、やることは最初からパワープレーで87分には原のロングスローからごちゃごちゃがあって最後に赤嶺がヘディングシュートするがバーの上。頭を抱える赤嶺。
そしてロスタイム直前の89分、駒澤右CKをクリアからRKUのカウンター攻撃。右サイドにいた11杉本がドリブルでPA内に持ち込み、正対する駒大DFをワンフェイントを入れてゴールライン側に持ち出す。杉本の瞬発力に対し駒大DFの対応がわずかに遅れ、一瞬だけ開いたシュートコース。ゴールラインに近い角度のない所だったが杉本は迷わず右足を振り抜く。杉本から遠いほうのサイドネットが揺れる。RKU勝ち越し。
そしてロスタイムが淡々とすぎ、タイムアップ。へたり込む駒澤イレブン。


RKUが得た、優勝に向かって前進する貴重な勝利だった。苦しい展開をしのいで、カウンターで同点、そして勝ち越し。最後の勝ち越し点には勢いとしか言いようの無いものを感じた。今日の前半のように中盤を制圧されると難波を使ったカウンターしか攻め手がなくなるのは相変わらずだが、1、2年生で構成する若いDF陣が集中力を保ってしのぎ切れるようになったのは大きな収穫だろう。フィジカルに勝る相手でも、競り合いでは体を付け、こぼれ球には集中を切らさず、とにかくクリアする(危ないクリアは山ほどあったが)。そうして耐えていれば、90分間厳しいプレスを継続できるチームがない以上、いずれスペースができて栗澤を中心とするMF陣が持ち前のテクニックを発揮できる場面がくる。攻撃力で圧倒するのでも、打ち合いの展開に持ち込むのでもなく、耐えて反撃の機会をうかがう試合運びが意図してか偶然かできるようになってきている。


一方の駒澤は、あまりにも痛い敗戦。ちょっと解せなかったのが原一樹の投入時期とその相手である。前半の半ば過ぎにはRKUのディフェンダーがロングボール攻撃に慣れ始め、手詰まりの感さえあっただけに、目先を変えるためにも早い時期に原を投入しスピードでかき回す手があったのではないだろうか。交代選手もトップ下の位置で効果的な働きをしていた小林竜ではなく、この日たった1本しかシュートを打てなかった巻(ジェフの兄貴といっしょでつぶれ役をやっていたせいもあるけど)、あるいは左サイドの最上あたりでも良かったような気がする。小林竜と原を組ませてスピードで引っ掻き回せば可能性があったのでは、と妄想してみる。シーズン終盤の決戦で(いかに効果的にせよ)結局ロングボール攻撃に頼らざるを得なくなったことが今年の駒大の苦しさを象徴していた。
他にも中盤に走れる選手を入れて運動量を維持しプレッシングを活性化するとか、極論だが開き直って守備を固め1点を守りきる(駒澤がそういうサッカーを指向していないのはわかっているけど)という手もありだったと思う。
あの時間帯、中盤の運動量が落ちてきてカウンターを食らうようになったときに、原を入れてあくまで追加点を狙ったことが敗北の原因になったような気がしてならない。ゲームのアヤといえばそれまでだけれど。ただ、苦しいことに変わりはないが、まだ可能性が残っている以上、最後までベストを尽くして欲しい(なんか、月並みな言い方しかできないな)。


最後に来年わが東京入りする新人について。指定校(笑)RKUの栗澤はパスセンスとタイミングの良いドリブルは相変わらず。ただ、あのくらいのプレッシングはちゃんとかわしてね。一部で加入内定と伝えられている駒澤の小林亮は堅実な出来だったとおもう。足裏みせたレイトタックルでしっかり黄紙をゲットしてたけど。東京ダービーで兄貴を削る場面が見られるか。ポスト藤山として期待できそうである。