ナビスコカップCグループ第4節 大分トリニータ 0 - 2 FC東京(観戦24試合目)

Lasakongawa2005-05-28

日時:2005年5月28日15:00キックオフ
会場:大分スポーツ公園総合競技場「ビッグアイ」
観衆:16188人
主審:穴沢、副審:相葉、唐紙、第4審:柴田
得点:近藤(45分)、栗澤(55分)
観戦場所:ビジターシート


今月2度目の大分遠征は、羽田発6:30の福岡行きに乗ることから始まった。前夜の飲み会のダメージが残る中、這いつくばるようにして空港へ向かう。機内で爆睡し着陸のショックで目覚める。
大分へは湯布院経由で移動する。「ゆふいんの森」なる少女趣味な名前の特急で湯布院まで行き、そこから鈍行に乗り換えて大分に着いた。ビッグアイ直行バスは、住宅街を抜ける曲がりくねったルートをたどり、山の中のスタジアムに到着した。暑い。今日は、眼(屋根)が開かれている。


今年のナビスコグループリーグ、東京は未だ未勝利で勝ち点1、この試合を落とせば二次トーナメント進出が非常に難しくなる(数字上の可能性は残るハズ ^^;だが・・・)。
大分は前節の柏戦に勝利し、勝ち点4。連勝してグループリーグ突破に向けて前進したいところだが・・・。


大分のスタメン。

    ドド   木島

  根本        松橋

    川田    小森田

 有村  三木(c)  深谷  倉本

        江角

SUB:高嵜、柴小屋、梅崎、梅田、阿部。
東京の天敵・マグノアウベスがケガで欠場(ラッキー)。代わりに、監督と対立していたらしい(情報源は後述)木島が先発した。川田や倉本は私にとって初見の選手。ちなみに中盤は根本以外国見出身らしい。ところで、阿部ちゃんを先発で使わないなら返してください(お願い)。


東京のスタメン。

    近藤   戸田

  栗澤        石川

    今野    宮沢

 金沢  茂庭 ジャーン(c)  藤田

       塩田

SUB:遠藤、迫井、三浦、小林、ダニーロ
今回は趣向を変えて、戸田・近藤の突撃系2トップを先頭に押し立てた4-4-2フォーメーション。代表招集の加地に代わり右SBは藤田。


序盤、大分はいつものようにしっかり守ってくる。中盤でのせめぎ合いが続くが、先にペースを掴んだのは大分だった。

  • 2分、大分:右サイド裏へのサイドチェンジを走り込んだ松橋が受け、エリアへ切れ込もうとしたのを金沢が倒しFK。根本のFKに大分の選手は誰も合わせられず。
  • 5分、大分:再びサイドチェンジから松橋が突破。ゴールライン近くまでえぐってゴール前にマイナスのグラウンダーを送る。これに木島が走り込んでくるが、わずかに届かず。
  • 7分、東京:30mのFKを宮沢が直接狙うが、ゴール左にそれる。
  • 9分、東京:左サイドで今野→宮沢→近藤とつないで裏へ走り込む戸田へパスを送るが、江角が先んじてキャッチ。直後、三木のファウルで得たFKを近藤が蹴るが、強いボールはわずかにバーを越える。
  • 12分、東京:今野が左サイドへ大きくサイドチェンジ。栗澤を経由して金沢がオーバーラップしてクロス、これに戸田が合わせるが、ヘディングは枠を捉えられない。
  • 14分、東京:右サイド、戸田のスルーパスで石川が裏へ抜けクロス。ファーサイドに飛び込んだ近藤のシュートはブロックされ、右CK。宮沢CK→ジャーンのヘッダー→CK→宮沢2度目CK→今度はファーから近藤がボレーシュートするがサイドネット。
  • 19分、大分:左スローインからエリア内の混戦になり、最後はこぼれ球を根本がフリーで打つがゴール左に外れる。危なかった。

大分はドドを中心に少ないタッチ数でテンポ良くパスを回す。2トップとボランチ1枚、加えて根本が入って短い距離でパス交換を繰り返す。東京の中盤は守りのリズムが悪く、ボールホルダーへアタックするタイミングを掴みかねていて、ポンポンと回されるボールを追いかけるかたちになる。大分の攻撃はもう一ひねりあって、このパス交換はむしろ囮、DFライン前でボールを動かし、東京のSBを中に引きつけたところで、大きくサイドに展開しSBの居なくなったスペースを使って一気に前進、勝負に出る。このときに武器となったのは右MF松橋のスピードだった。ショートパス交換で東京守備陣を十分に引きつけたと見るや、少し引いた位置にいる小森田にボールを戻し、そして小森田が右サイド奥のスペースにフィードを送る。これにやや引いた位置で待っていた松橋が猛然と走り込み、右サイドをえぐる。松橋のスピードに金沢はかなり手を焼いていて、何回か危ない場面を作られた。


東京は、大分のしつこい守備に苦しむが、2トップの精力的な走りによって、徐々にリズムが良くなってくる。FWが走ると言っても、単に放り込みに走り込ませるのではない(それが大分に通用しないことは前回で証明済み)。FWのうち1枚が引いてきて、サイドMF・ボランチとトライアングルをつくりパスを交換する。その間にFWの片割れがタイミングをみて裏へ走る。戸田が引いたスペースへ近藤が、近藤が引いたスペースに戸田が、持ち前の前進力を生かして突っ込んでいき、少々無理な体勢でもシュートを狙っていく。しかし、そこへ立ちふさがったのが大分CB深谷ハイボールを迎撃し、スルーパスをカットし、セットプレーでは体を張り、と八面六臂の大活躍。ピッチの向こう側でハゲ頭、もとえスキンヘッドが躍動していた。


前半半ば以降も、両チームのサッカーは変わらない。
大分には決定機が訪れ、東京も2トップが積極的にシュートを狙う。

  • 23分、大分:サイドチェンジで左SB有村がオーバーラップからクロス、ドドが落としたボールを木島が強シュートするが、塩田が腕一本ではじき出し、CKに逃れる。
  • 24分、東京:この大分CKのクリアボールからカウンター。石川キープ→栗澤→戸田→近藤の落としを栗澤がミドルシュート。外れ。
  • 25分、東京:ロングパスに抜け出した戸田がアクロバティックなダイレクトボレーシュートを放つが、ゴール右に外れ。
  • 29分、大分:MF川田が今野を倒し、警告。
  • 31分、東京:カウンターから石川が単騎ドリブル、中へ切れ込んで行って倒され、FKゲット。ジャーンのフェイントから宮沢のキックはカベに弾かれるが、セカンドボールを拾った宮沢が裏へ浮き球を送る。しかし、江角がキャッチ。
  • 31分、東京:今野ボール奪取→戸田が大きく右サイドに振る→石川が右サイド突破でクロス、クリアされてCK。この右CKから誰かがシュートするがはずれ。

23分の決定機以降、大分の攻撃がペースダウン。東京は縦への突破を狙い続けるが、大分のねばり強い守備に阻まれ、シュートが枠へ飛ばない(前半は枠内シュートなし)。目についたのは大分のボランチ川田。初スタメンだそうだが、体が強いわ、テクニックもあるわ、それにポジショニングのセンスもいい(小森田のサポートによるところも大きいが)。
前半は、守り合いの展開ながら、やや大分ペースで終わった。


ハーフタイム、イケイケの面々(含む社長)が練習中のダニーロをいじり、じゃない声援を送る。大分のジェット風船。アレトリニータの音波攻撃(個人的に、あの曲調は苦手なのだ)。


後半開始時のメンバーチェンジはなし。

  • 45分、東京:近藤が左サイドからドリブルでエリア内に切れ込み、マイナスのグラウンダーを入れるが、走り込んできた戸田に合わず、カットされる。
  • 46分、東京:ロングフィード(from宮沢?)に戸田がダッシュ、やや右サイドに流れながらDFを振り切って裏に抜ける。近藤がゴール前に走り込む。大分DFは、三木が戸田に引きつけられ、ゴール前には深谷(ニアサイド側)と倉本(近藤のマーク)が戻ってくる。戸田が近藤めがけてクロスを送り、これを倉本に競り勝ってボールサイド側に体を入れた近藤が走り込みながらヘッド、ネットを揺らす。東京先制(いつ以来だっけ?)。
  • 47分、大分:ドドが、自分が倒されて得たFKを直接狙うがバーを越える。
  • 48分、大分:不調の三木から柴小屋にチェンジ。
  • 49分、東京:藤田のパスから今野が前進、前線に張る近藤にパス。近藤の反転シュートは江角がキャッチ。
  • 52分、東京:ロングボールに走り込んだ戸田が倒され、FKゲット。ゴール正面20mから宮沢が直接狙う。低く速いボールがカベの横を抜けていくが、江角が横っ飛びではじき出す。
  • 55分、東京:藤田のクロスを深谷が頭でクリアするが、これが短くなり栗澤が拾う。大分DF陣が一瞬ボールウォッチャーになった隙を突き、栗澤がシュート。江角が横っ飛びで触るがボールは左ポストに当たってゴールイン。東京2点目。

東京がいつものとおり、キックオフから猛攻に出る。いつもと違ったのは点が取れたこと(^^;)。いつもの戸田らしい異常なダッシュ力でDFを振り切り、戸田らしくない(ごめんよw)見事なクロスが近藤にピタリ、これを近藤らしくない(ごめんねw)ドンピシャヘッドでネットを揺らした。戸田のクロスはちょっと山なりの球質でニアに入ったDFの頭を越え、その背後の味方に合わせることを狙った頭脳的プレー。戸田はこの種のクロスに時々トライしているので、たぶん偶然ではないだろう(いつもはそのままゴールラインを割ったりしていた)。これには、さすがの深谷も裏をかかれた。近藤も、苦手なヘディングをよくぞ決めてくれました。倉本との競り合いでは気迫を感じたぞ。決めた瞬間、みんな狂喜乱舞。たまったストレスを一気に吐きだした。
大分は、まったく目立たなかった三木から柴小屋へ交代(三木はコンディション不良だった模様)。
大分がペースを取り戻さないうちに、東京が2点目を奪った。藤田のクロスを、この日は大活躍だった深谷がはじき返すがこれが短く、エリア内左側でゴール前の密集から引いた位置にいた栗澤に直接渡ってしまう。今日の出来から考えれば、深谷にとっては痛恨ミス、逆に東京にとっては幸運だろう。大分DF陣も深谷を信頼していて意表を付かれたのか、一瞬固まってしまった。これを栗澤が心憎いばかりの落ち着きでしっかりコースを見切ってシュートを決めた。クールでクレバー、イケイケな選手ばかりの中で本当に貴重な人材だ。
それにしても、クリアボールが目の前に落ちてきり、シュートがポストに当たって入ったり、なんだか運が戻ってきている気がする。もちろん、チームの調子も上がってきている。


以後、攻めるしか無くなった大分と、時間を稼ぎつつカウンター調の攻撃でトドメを狙う東京、という図式で推移する。

  • 58分、大分:セカンドボールを拾った木島がゴールライン際までえぐってクロスを入れるが、誰も触れず逆サイドに抜けてしまう。
  • 59分、大分:ドドが単独ドリブルからシュート、しかし枠を捉えられず。
  • 60分、大分:根本out阿部in。トップ下に入る。
  • 63分、東京:戸田がスピードを生かしてスルーパスを受け、ゴールエリアに侵入するが、深谷と競り合い、こぼれたボールを見失ってシュート打てず。
  • 71分、東京:近藤がカットインしシュート、しかし江角がキャッチ。
  • 73分、大分:川田のクロスのセカンドボールを拾ったドドがドリブルで3人をかわすが結局クリアされる。クリアボールを拾った川田がミドルを狙うが、宇宙開発。
  • 76分、東京:石川ウラへ→走り込んでパスを受けた戸田が戻す→栗澤がキープから横パス→宮沢がシュートするが、わずかにゴール左。
  • 77分、東京:自陣でボールを奪った金沢がそのままドリブルで前進、左サイドを駆け上がった戸田がパスを受け、ドリブルからクロス、中に走り込んだ石川が触ったボールが右サイドの近藤に届き、近藤がアクロバティックなボレーシュートで狙うが枠に行かず。
  • 78分、東京:戸田→ダニーロに交代。大分:木島out梅崎in。
  • 81分、東京:石川がスピードドリブルでDF二人を振り切ってクロスを入れる。これを受けたダニーロがエリア内で切り返しながらシュートコースを探すが打てず。実際は近藤がオフサイドを犯していた。
  • 84分、大分:ドドのパスを受けた阿部がシュートを打つが、ジャストミートせず。
  • 85分、東京:近藤から三浦に交代。三浦がボランチへ、ダニーロ1トップ、宮沢がトップ下。

大分の攻撃は、前半のように真ん中でのパス交換を囮に使ってサイドを突くという攻めから、前線の選手の突破力を生かし少ない手数でゴールに迫るかたちに変わる。中心となるドドの突破はやはり脅威だった。ドドのドリブルはどうもアタックのタイミングを掴みにくいらしく、東京守備陣は2人3人がかりでなんとか止めていた。しかし、いかんせん単騎での突破であるため、シュートまで持って行けない。これでマグノアウベスが居たら、とちらっと思ってぞっとした。東京サポ期待の阿部が投入されたが、なにを考えているのかトップ下みたいな位置に付かされてしまい、持ち味を発揮できなかった。
東京は石川を中心としたカウンターをかける。これは大分CB深谷と柴小屋が体を張って守り、クリーンなかたちでシュートを打たせない。70分すぎからは、あきらかに東京2トップが疲れて切れ味が落ち、チーム全体に守備意識が高くなって攻撃の枚数が減る。こんな状況で投入されたダニーロはちょっとかわいそうだった。ボールを味方にはたいてリターンをもらって走るタイプの選手なのに、隣にいるのがヘロヘロの近藤だけじゃねえ。ただ、かといって走り回って守備に貢献してくれるわけじゃなし、やはり使いどころが難しいんだよな。


何度かドキッとするシーンがあったがしのいでいるうちに時間が過ぎる。最後は三浦が出てきてチームを引き締め、ロスタイム3分は事もなく過ぎ去り、東京が苦手大分相手に勝利を上げた。え、何試合ぶりだっけ?(忘れました)。
選手もファンも、嬉しいというよりホッとしたような表情を浮かべていた。私も、なんだか気が抜けてしまった。こんなにすんなり勝っていいのかしらん。


選手が挨拶に来る。みんな、けっこう淡々としているように見えた。ダニーロがユニホームをスタンドに投げ入れる。結果を出せないのに声援を送ってくれるファンに対して、せめてもの感謝のしるしを、ということなのだろう。いい人だ。この次はもっと走ろう。
ここでお知らせ。ワールドユース代表に大分からGK西川、東京から増嶋と梶山が選ばれたとのこと。アウェイチームまで気遣ってくれるとは、感謝。
ハラトーキョー、ユルネバに続いて、阿部コール@帰って来いよバージョン(もちろんニュアンスだけですが)が歌われる。阿部ちゃん、なんとこっちまでやってきてシャーしてくれた。いい人だ。ゲーフラ職人さんの「チームキトク アベカエレ」(だったっけ?)にはハラワタよじれそうになった。1トップのチームじゃ先発できないと悩んで移籍して、そしたら本来のポジションでは使われず、元のチームは絶不調に陥って怪我人続出でFW不足になったり2トップを採用し、と皮肉な成り行きになっている。もし阿部が東京に残っていたら、いまの危機をチャンスに変えて、レギュラーの座を掴んだだろうか。でも、阿部の決定力が有ったなら、ここまでの連敗地獄には落ち込まなかったかも知れず、そうするとやっぱりルーカス1トップ体制でのスーパーサブ起用がメインになったかもしれない。つくづく、巡り合わせというのは、難しいものだ。


試合終了後、しばらく宴を楽しんだあと(やっぱり勝ち組だよね)、大分駅行き直行バスで帰途につく。バスの中吊り広告にはなんと長澤コーチのご親戚様であらせられる長澤まさみ嬢が微笑んでいた(大分県年金課の広告なのれす)。そうか、ここにも東京工作員がいたのか・・・。まさみ嬢をじーと見つつ大分駅に到着。
駅構内の鳥天屋さんで1カップ(150gで250円です。つまみに最適!)をオーダー。店のおばちゃんと試合結果など話していると、ちょうど鳥天を買いに来た大分サポの若い人も加わって、天ぷらを揚げている間にサッカー談義。
その彼は別府在住、私も別府泊なので、電車の中で揚げたてのとり天を食べつつ話しの続きをした。
曰く、

  • 大分は予算が9億(強化費だと思われます)しかない。J1最低でしょ。
  • 胸スポンサーはいない。社長が金策に走り回っている。
  • 木島は監督とケンカしていた。今季初スタメン。
  • 大分の堅い4バックは現セレッソ監督の小林さんが作り上げたもの。深谷と柴小屋はひそかに自慢。
  • 我が家は鉄輪温泉。内風呂はあるけど、あまり使わない。風呂がない家も多い。
  • 温泉のおかげで、別府にトンネルを造るのは一苦労。

などなど。


別府駅で大分サポ氏と別れ、駅前のホテルに投宿、温泉をはしごして食事に行こう、と思ったら寝てしまったのだった・・・
翌日はサテライト観戦のため、朝一の便で帰京すべく空港行きバス乗り場に並ぶ。暇つぶしに読もうと文庫本を取り出すと、昨日の鳥天屋のおばちゃんがくれた栞が挟まっているのに気付いた。押し花をあしらった栞の裏には、「目標に向かって頑張っている姿ってとっても素敵」とおばちゃんの自筆でかかれていた。
大分っていいところだな。来年も来よう。
(鳥天編・完)