関東大学リーグ1部 第12節 亜細亜大学 2 - 1 筑波大学(観戦62試合目)
日時:2005年9月4日14:10キックオフ 会場:西が丘サッカー場 観客数:筑波の試合にしてはいつもより少なめ(^^; 主審:? 得点:田之上(亜細亜、13分)、田之上(亜細亜、59分)、阿部翔(筑波、84分)
亜細亜大の練習着の背中には、「PENALTY ASIA」と書いてある。PENALTYというのはおそらくサッカー用品のブランド名なのだろう(プレイヤーじゃないのでこういうのにはうとい)。別に他意はないのだが、私には「亜細亜にペナルティ」と読めてしまう。そして、彼らがいつも悪戦苦闘しているイメージがオーバーラップする。
亜細亜大は、前期リーグ11位。1リーグ8チームであろうと、12チームであろうと、いつも尻から3番目ぐらいに位置しているという現実に変化はない。
かたや、筑波は前期を得失点1差の2位で終え、今年も優勝を虎視眈々と狙っている。
そんな2チームの対戦となったこの試合、筑波は勝ち点3ゲットは当然で出来ることなら大量得点を狙っていただろうし、逆に亜細亜は本音として徹底抗戦以上の事を考えていたかどうかはなはだ疑問である。
しかしこの日、懲罰が下ったのは筑波だった。
亜細亜のスタメン。
22岩田 29鈴木俊 8田之上 34今井 16船津 3山本 13蔦野 27西片c 24谷ヶ崎 12清水 1斎藤
選手交代:29鈴木俊→9奥山(HT)、22岩田→7平田(87分)
筑波のスタメン。
15田中 22出口 10藤本 18竹下 8今田 14三澤 7阿部翔 3長瀬 5秋葉c 20野本 1来栖
選手交代:8今田→31渋谷(HT)、14三澤→13麻生(HT)、22出口→33内田(82分)
誰もが予想したように、筑波が圧倒的にボールを試合して亜細亜陣内に攻め込み、亜細亜は2トップを残して引きしっかり守る、という展開になった。
雨がぱらつく中、筑波が攻める。しかし、ドン引きでエリアをがっちり固める亜細亜の守りに手を焼く。パスを出そうにもスペースが無いため、最後は強引なドリブル勝負を仕掛け、3人・4人掛かりで止められる。
そこから、カウンターを狙う亜細亜・・・というか、まずはどこでもいいからクリアーしてボールを自軍ゴールから遠ざけることを優先し、どっかんクリアが運良く2トップに収まったらしめたとばかりにカウンターに移る、というやり方をしていた。
しかしサッカーとは恐ろしいもので、CKからの混戦、つまりコントロールの効かない状況の中で亜細亜が幸運をものにし、先制する。
野次馬的には、これで面白くなった、しめしめ、といったところだった。
- 14分、筑波:藤本が左サイドをドリブルで突破、エリアに切り込んで角度の無いところからシュートを放つがサイドネット。
- 17分、筑波:藤本の左クロスを亜細亜DFがクリア。このボールがFW田中の前に落ちるが、亜細亜守備陣が殺到したためシュートを打てず。
- 23分、筑波:ゴール前に放り込まれたボールにキーパーが飛び出してしまい、FW田中がキーパーをかわしてがら空きのゴールを狙うが間一髪DFが体でクリア。
- 24分、筑波:CK2連発も亜細亜DF陣がなんとかクリア。
- 26分、亜細亜:田之上→鈴木俊→岩田とつないで、エリアに侵入するがDFに阻まれシュート打てず。
- 27分、筑波:GKが前に出たのをみた阿部翔がループシュート。しかしバーを越えてゴール上のネットに着弾。
- 29分、筑波:右CKをニアにいた田中がバックヘッドでそらすがGKがはじき出し、DFがクリア。
- 35分、筑波:右MF竹下が右からカットインしてシュートを打つがGK正面。
- 38分、筑波:右サイドから仕掛け、DFがクリアしたところを秋葉がループで狙うがゴール左に外れ。
変な言い方だが、典型的な悪いときの筑波ペース。
淳吾タンがサカダイのインタビューでいみじくも語っていたように、筑波は判断が悪いのだ。今日の試合でいうなら強引にすぎた。いくら個人技に優れていても、8人でエリアを固める相手に対し、むやみにドリブルで突っ込んでいっても結果は知れている。例えばパスを回して振り回し、コースが空いたらミドルシュートを打っていってエリアを固める亜細亜守備陣を引きずり出す、というようにじっくりと揺さぶるべきだったのだ。
亜細亜は守備の面では出来ることをやりきった。個人能力の不足を集中力と数で乗り切り、いくらかの幸運も味方して前半をリードして終えた。先制点のあとはシュート0だったが、前半を無失点のまま乗り切ることが目的だったのだろう、とにかく守備を優先して攻めは2トップ任せだった。
笑った、というか脱力したのが亜細亜の控え選手たちによる応援。プレスをさぼった味方に対して「仕事しろ、仕事しろ」はないでしょう(笑)。しかも他人事みたいな棒読みコールでwww。勝負を躊躇することの多かったFW鈴木俊は味方にいじられていたorz。まあ、体育会ノリのいいかげんなほうというべきか、嫌いなノリじゃないけどね。リードしていたので精神的な余裕もあったのでしょうが。
ハーフタイムに筑波は一挙に二枚を代えてきた。三澤に代わって入った麻生が左MFにまわり、藤本が渋谷(今田と交代でin)とダブルボランチを組む形となった。
亜細亜も消極的なプレーに終始した鈴木俊にかわってスピードのある奥山がFWに入った。
- 48分、亜細亜:こぼれ球を奥山がダイレクトボレーシュート。これはGK正面を突いた。
- 49分、亜細亜:ボランチ山本が力任せのロングシュート。宇宙開発。
- 50分、筑波:竹下の右クロスから真ん中で出口がシュート。DFがブロック。
- 51分、亜細亜:田之上が左サイドのオープンスペースに入り込んでクロスを入れる。これを奥山が胸トラップで落としてシュートを打つがDFに当たってCK。このCKは決定機に結びつかず。
- 59分、亜細亜:右サイド、クリアボールを拾った右SB清水が押さえた弾道の素晴らしいロングシュート。これは左ポストを直撃するが(惜しい!)、跳ね返りをGK来栖が押さえきれないでいるうちに(2トップのどちらかがおじゃま虫していた)、ゴール前に詰めていた田之上が押し込んで亜細亜2点目。
- 62分、亜細亜:山本→右の清水(オーバーラップしてました)と繋いでクロス(鋭い!)。これはDFがタッチに蹴り出すが、続くスローインからの展開で山本のダイレクトボレーがゴールを強襲する。しかし、今度は来栖が落ち着いてキャッチ。
亜細亜は奥山投入が当たった。筑波はますます前がかりになって、裏には大きなスペースが広がる。亜細亜のクリアはあいかわらず精度に乏しいが、裏のスペースに放り込みさえすれば快足の奥山がなんとか追いついてキープしてくれる。リズムの出てきた亜細亜は押し上げが効いてきて、プレーの選択も積極的になる。それにしても、あそこまで正確なミドル・ロングシュートが筑波ゴールを襲うとは!
そして、追加点。これは偶然ではなく、間違いなく実力だった。いっときにせよ、亜細亜が筑波を押し込んだのだ。
それにしても、筑波はどうしたのだろう。前半の攻め疲れが今頃出てきたのか、後半70分ぐらいまで漫然とサッカーをしているように見えた。
ようやくエンジンの掛かってきた筑波が怒濤の攻撃を開始する。亜細亜は再び2トップを残して防戦一方となる。
72分、亜細亜DFがエリア内でハンドを犯したように見えたが、見えなかったのか、故意ではないと判断したのか、主審はそのままプレーを続行させた(主審とハンドした手とDFの体が一直線上に並んでいたように見えたので、私は「ハンドに見えなかった」説です)。
この不運のあとも筑波は次々と決定機をつくり出すが、亜細亜守備陣の奮闘に阻まれ、また肝心なシュートをはずして無得点。
80分すぎ、ゲームキャプテン西片が「あと10分だぞ!」と手を叩きながら檄を飛ばす。それを見た亜細亜応援団から「いいぞ〜闘将!」と歓声が上がる。いいなあ・・・他人事・・・
そして、タイムアップ。大アップセットの幕は下りた。
ホイッスルとともにガッツポーズの亜細亜イレブン。うなだれる筑波の選手たち。
優勝を狙う筑波にとっては痛い敗戦だったが、いつもの取りこぼしパターンに嵌ってしまった故の結果だった。とにかく攻撃が強引すぎた。それに、2失点目に関しては、亜細亜をなめていた部分もあったと思う。まあ、観客の大半も予想はしていなかっただろう。まさか、あんな鋭いロングシュートが飛んでくるとはねえ。
ただ、単調な攻撃は修正可能だし、メンタルな面もこの敗戦がいい刺激となって立て直せるだろうけど、平山がオランダに行ってしまった後の得点力低下は頭の痛い問題だろう。とくに、今日のようにゴール前を固められた場合にどうやってこじ開けるかが大きな課題になってしまった。
亜細亜は今できることをやりきって、幸運を手に入れた。
試合後、キャプテン西片が「どお、俺たち強くなったっしょ」とおどけて言いながらスタンドの応援団に駆け寄って行ったが、たしかに強くなったと思う。90分、集中力を切らすことがなかった(ミスは多かった)。
そろそろ残留争いを考えなければならないチームとしては、おおきな自信になったのではないだろうか。
そして、私は大いにサッカーを楽しませてもらいました。
前夜の大敗北のショックが尾を引いている身としては(怒りにまかせて夜の葉っぱを1時間以上も歩き回ったのは内緒だ←迷子ともいう)、大いに癒しとなった。亜細亜のみんな、ありがとね。
でもさ、君たち、必死のクリアをした味方選手に対して「蹴りすぎだ〜」と茶々をいれ(たしかにどっかんクリアだったが)、「やりすぎだ」コールはないだろうwww。
(結局、書き終えるまで紹興酒3杯)