関東大学リーグ1部第10節 法政大学 1 - 3 流通経済大学(観戦34試合目)

日時:2006年5月20日(土)12:00キックオフ
会場:駒沢陸上競技場
観衆:250人程度
主審:不明
得点:船山(流経、27分、56分、63分)、オウンゴール(法政、64分)←法政の得点だよ
警告:雑賀(法政、44分)、江崎(法政、61分)
退場:なし

法政大学のスターティングラインナップおよびサブスティチューション

    13小助川 9稲葉
  17菊岡       8向
     7本田  24江崎
 3吉田 5本田 4雑賀 27新井
       1千葉

SUB:不明
選手交代:9稲葉→10井上(HT)、24江崎→26本吉(63分)、8向→19土岐田(82分)
9節終了時で勝ち点18。この試合に勝って勝ち点を21に伸ばし、首位争いに割って入りたい法政。勝てば流経と勝ち点で並び、前半戦首位ターンの可能性も出てくる。エース井上がケガから復帰したが、まだ90分出場は無理なのかベンチスタート。


流通経済大学のスターティングラインナップおよびサブスティチューション

    10船山  24難波
       7糸数
  19平木      41西
       23武井
 16宮崎 2鎌田 4飯田 6阿部嵩
       31林

SUB:1阿部伸、5赤井、8西森、11鶴岡、15高林、27武田、30徐
選手交代:41西→5赤井(79分)、24難波→11鶴岡(89分)
前節、幸運なオウンゴールで勝ち点3を上げ、首位をキープ。しかし、圧倒的にゲームを支配しながら決めるべきところを決められず、苦戦してしまった。今節はFWに船山を入れ、決定力のてこ入れを図る。中野監督の賭け、当たるかどうか?


流経が風上から攻める形で試合開始。
いつもは大勢の部員が応援に駆けつける流経だが、本日は他のカテゴリの試合と重なったのか、声出し隊は十数名。いまいち意気があがらない。

4分、流経:パスカットから右サイドへ展開、阿部からの縦パスを受けた船山がタッチライン際をドリブル、ゴール前へクロスと見せかけて中央やや下がり目の武井へパス、武井がミドルシュートと思いきやグラウンダーのパスをエリア内にいた船山へ。船山が反転してシュートを放つがDFがブロック。
5分、法政:速攻。小助川がドリブルで突っかけ、すぐ後方の菊岡に戻す。菊岡がシュートを試みるがDFがコースを切り打たせない。
6分、法政:左CK。カーブのかかったボールがDFの間を抜け、ワンバウンドしてゴール前へ。誰かがヘディングシュートで押し込もうとするが、流経DFが体を張ってブロック。
9分、法政:稲葉が快速を生かしてDFを振り切り、左サイドからクロス。これに小助川が合わせるが、シュートはDFがブロック。
15分、流経:難波がラインの裏へ山なりのボールを入れる。これに糸数が走りこむが、法政DFがCKに逃れる。
18分、法政:前線へのロングボールを小助川と流経DF(鎌田?)が争う。高くバウンドしたボールを競り合い、小助川がうまく体を入れ替えて足元に収め、一気に裏へ抜ける。GKとの1対1、ゴール左隅を狙ったシュートはわずかにポストの外。決定的。
27分、流経:難波が右サイドからのパスを受けドリブル、エリアへ走りこむ船山へ山なりのボールを送る。船山がDFと交錯しながらループシュート、これが前に出ていたGKの頭を越え、無人のゴールへ。法政DFが追うが及ばず、ゴールイン。流経先制。

立ち上がりから法政の攻勢が続く。寄せの早さと球際の強さで中盤を制圧、そこから速攻を繰り出す。シンプルかつ速いパスワークで流経のプレスをフリーズさせ、スペースへ走り込む快速アタッカー陣へパスを供給する。クサビ→戻し→サポート→スペースへ走る選手へパス、という一連の流れが素晴らしく、何度も流経DFとの一対一勝負に持ち込んでいた。
流経は中盤のスクリーンが全く効いていなかった。左右MFの裏をうまく使われ、SBがカバーに出てくればまたその裏を使われ、といった具合で後手に回り、ペナルティエリアへの侵入を許していた。攻撃面でも、自慢の中盤が法政の速いチェックに遭ってなかなかパスを繋げず、そのうちリズムを崩して押し込まれてしまった。なんとか劣勢を挽回しようと風上の利をいかして前線に長いボールを入れていくが、雑賀を中心とする法政DFによって阻まれる。そもそも押し込まれているためFWへのサポートがほとんどなく、FWがボールをキープしてもむなしく潰される場面が目立っていた。
流れから見て法政の先取点も時間の問題かと思われたが、流経は両CBの頑張りとGK林の好守でなんとか持ちこたえる。そして20分過ぎから法政の勢いが徐々に衰え始め、流経が一息つく、というところで意外な形で流経が先制点。船山のあれ、意図してのシュートだったのかな。だとしたらすごいのだが。野次馬的には苦し紛れに浮かせたボールが偶然(風にあおられたせいもあって)に入ってしまったようにみえたのだが。


以後は流れが拮抗。

34分、法政:右CKのクリアボールを拾った向がミドルを放つが枠に行かず。
36分、法政→流経:中盤でのパスカットからハーフカウンター、シュートまで持ち込めなかったがCKを得る。右CKを本田がゴール前へ入れていく。クリアが右サイドへ戻り、それを拾った本田が今度はクロス。ファーにいた江崎?がゴール前密集より後方へ折り返し。上がってきた菊岡が遠めからシュートを打っていくがDFがカット、流経のカウンターに移行。糸数が中央をドリブルで前進、その左側をフリーでかけ上がってきた船山へパス。エリアに入るか入らないかの位置でパスを受けた船山がダイレクトボレーで打つがコントロールしきれず、大きく左に外れる。
44分、流経:法政CB雑賀を難波がフェイントでかわし、エリアに侵入しようとしたが足をかけられて倒される。雑賀は警告。この位置で得たFKを平木が直接狙っていくが、壁に当たって左CK。これをファーサイドにいた鎌田が右足で合わせ、強烈なシュートがゴール右を襲うが、法政GK千葉がセーブ。

膠着状態のなか、お互いに隙をうかがうというスリリングといえばスリリング、もったいぶってないで早くビール注がんかい、といえばそうもいえるかな(意味不明)、という展開。両チームともチャンスをつかんだが、堅守に阻まれ決めきれず。


3点差をつけられた法政は、捨て身というか、やけくそというか、前線に長いボールを入れ始める。

63分、法政:江崎から本吉に交代。
64分、法政:前線に長いボールを放り込む。風に乗って伸びたボールを、エリア右で向が落とし、これに菊岡が走り込んで折り返し。中央に法政FWが1枚走り込んでいたが、クロスには追いつかないタイミングだった。しかし、裏を突かれたため急いでゴール前に戻ってきた流経CB(飯田?)にクロスがジャストミート(クリアしようとしたんでしょうが)。さすがのGK林もこれは止められず、オウンゴールで法政が1点を返す。「ぼくは、とりかえしのつかないことをしてしまった・・・」(アムロ風)。
65分、法政:エリア左角外5mほどの位置でFKゲット。本田がFKをファーサイドに入れ、CB本田が飛び込むが流経DFにぴったりマークされ、触れず。
70分、法政:新井のクロスを井上がシュート。しかし勢いが弱くGK林が難なくキャッチ。
72分、法政:小助川が右サイドを突破、中へ折り返し。クロスはゴール正面でなぜかフリーの菊岡へ。GK林が飛び出してキャッチしようとするが間に合わず、菊岡がクロスをトラップ、シュート体勢へ。林が伸ばす手をかわして、菊岡がちょいとボールの位置をずらして無人のゴールに流しこもうとする。ところが必死の林が二度三度と追いすがって手をのばし、それをかわしている間に流経DF陣が戻って来てなんとかゴールライン外に蹴り出し、右CK。そのCK、ファーサイドの選手が頭でゴール前に折り返し、それに井上が合わせる。ゴールエリア、しかも真っ正面という絶好機だったが、井上のシュートは宇宙開発!!! どちらも決定的。
73分、法政:左スローイン、左SB吉田がロングスローを放り込む。ゴール前の混戦でこぼれたボールを向がシュートするが流経DFがブロック。

船山のハットトリック直後、法政が一瞬のエアポケットをついて流経のオウンゴールを誘発する。これをきっかけに流経がおかしくなる。ちょっとしたパニックになったのか、マークは後手後手、寄せは甘くなり、ボールがとれない。勢いというのは恐ろしいもので、球際の競り合いで判断と寄せの速さも球際の激しさもことごとく法政が勝り、セカンドボールを完全に支配して波状攻撃をかけた。ここまで流経CB飯田に押さえ込まれていた法政のエース井上にも、シュートチャンスがめぐってくる。
完全に混乱した流経は、中盤でのスクリーンが効かないは、ラインの裏ががら空きでカバーリングも遅いは、セットプレー時にもマークがメタメタ、と全くいいところなし。オウンゴールから10分間、試合は完全に法政の支配下にあった。流れからみて、ここで一点入っていれば法政は同点・逆転を狙えただろうし、実際、何度も決定機があった。しかし、菊岡は一対一を決められず、井上はゴールエリアでのシュートをふかしてしまう。


75分頃からかな、流経がなんとか気を取り戻し、組織を再建、法政の勢いを削ぎつつ時間を使う作戦に出る。

76分、法政:左CKのクリアボールを蹴った菊岡が拾って再びクロス。しかしGK林が体を大きく伸ばしてジャンプ、難なくキャッチ。
78分、流経:平木と西がワンツーを繰り返しながら前進、最後は平木がシュートを打っていくがGKが弾き出す。
79分、流経:船山のパスを受けた平木がキープして味方の攻め上がりを待つ。そして大きく左に振るとそこにはオーバーラップしてきた宮崎。宮崎は攻め上がってきた勢いのままシュートを放つが、わずかにポスト左。直後、西から赤井にスイッチし、逃げ切り体勢。
82分、法政:向に代えて土岐田投入。

最後の15分はお定まりの展開だった。流経が中盤のポゼッションで時間を使い、法政を焦らす。法政が強引な攻撃にでてくればカウンターを狙う。オウンゴールの後、猛攻をかけた法政だったが、決定機をものにできず、この時間帯にはすでに勢いを失っていた。選手交代を行っても、それを取り戻すことはできなかった。
流経は西から赤井にスイッチして中盤をバランス重視型へ、そして難波にかえて鶴岡を投入し前からボールを追わせ、という具合にゲームをまとめ、勝ち点3を手にした。


この試合、決定力の差が全てだった。お互いにDFとGKが頑張り、アタッキングサードでの攻防が多かった割にはシュート数がさほど伸びない状況だった。それでも、法政は前半の小助川、後半オウンゴール後の菊岡・井上と枠に蹴りさえすればGKにとってノーチャンスという場面があった。つまり、完全に流経を崩した場面があったのだ。一方、流経は自慢の中盤がなかなか機能せず、奪った3点はいずれもカウンターもしくはロングボールから生まれたチャンスを船山の個人技によって決めたもの。
つまり、組織的に相手を崩してく力では、法政>流経だったわけだ(もちろん、この試合に限定した話)。ただし最後が決まらないとどうにもならないのがサッカー。法政が3回の絶好機のうち一つでも決めていればねえ、というところかな。


これで前期首位ターンが見えてきた流経ですが、今日の試合ではシュート数こそ少なかったが難波の動きが光っていた。とくにカウンター時、ドリブルでのボールの持ち出し方とその後の展開が絶品。ルックアップしながらスペースをドリブルであがっていくとき、どうやったらシュートまで持ち込めるか、イメージが出来てると思われる。つーわけで、この試合は、難ちゃんの判断力に「巧」なのだった。