第86回天皇杯 1回戦 カマタマーレ讃岐 0 - 5 ロッソ熊本(観戦78試合目)

日時:2006年9月17日(日)13:00キックオフ
会場:丸亀総合競技場
観衆:519人
主審:渡邊、副審:古田、岩河、第4審:佐伯
得点(すべて熊本):福嶋(10分)、森川(25分)、高橋(57分)、福嶋(65分)、宮崎(84分)
警告:なし
退場:なし

高松の宿は琴電瓦町駅近くの一泊4980円という安いホテル。といっても、部屋はきれいだしベッドは広いしネットも出来るし浴室は狭いけど大浴場が使えるし、と悪くない。ただし、フロントにいるのは一人だけで対応は夜12時まで、12時過ぎると玄関がしまるし、アメニティも最小限、部屋のドアはカギじゃなくて暗証番号方式、部屋に電話なし。こういうところでコストを落としているんだな、と納得した次第。
早めに起きてあっちこっち見て歩く予定だったが、疲れていたのか目が覚めたのは9時近く。あわててチェックアウトして琴電に乗り、こんぴらさんこと金刀比羅宮へ向かう。いやー、階段だよねー。でも老若男女それぞれのペースで元気に登ってた。最初の百段ぐらいで「まだ着かないの?」なんて言ってる人もいましたが。本宮まで登ったけど、聞いてたほどきつくはなかったな。ひざ裏をちょっと痛めてるんでむしろ下りのほうが負担が掛かってつらかった。本宮で某青赤チームをなんとかしてくれやゴルラァと祈願。ここの神様は船関係が得意らしいんでサッカーチームに効くかどうか定かでないが。その後、麓のお店でうどんをたべてからJR琴平駅へ。二駅乗って金蔵寺で降り、徒歩で競技場へ向かう。距離は2km程度。すぐに競技場の屋根と照明灯が見えてくるので迷わない。ただし、埼スタといっしょで歩いても歩いても近づいてこない感じがするけど。12時すぎに競技場着。客はちょぼちょぼ。両チームのダンマクやバンデーラばかりが目立つ。本日はメインスタンドのみ開放。カマタマーレの声出し隊は二階席、ロッソのほうは一階席に陣取る。期待していたカマタマーレグッズの販売はなし。「カマタマーレうどん」なんてものがあると買ってしまいそうなんですが。


カマタマーレ讃岐のスターティングラインナップおよびサブスティチューション。

GK:1蛯沢
DF:29土岐、2萬代、30今井、14竹内
MF:34長谷部、10徐、18三木、7小出(cap.)
FW:9加藤浩、27夏田
SUB:GK31寺尾、MF16竹谷、MF33三ヶ崎、DF20小野、FW36森田
選手交代:34長谷部→16竹谷(HT)、18三木→33三ヶ崎(63分)、14竹内→36森田(72分)
現在、四国リーグ首位。香川教員クラブ、前身の高松FC、そのほか前所属チーム名から判断するに地元出身の選手が主力で、大学および各地の社会人クラブ出身者がこれに加わるかたち。プロ経験者はGK蛯沢とMF徐のみ(元コンサ)。こういっては失礼かもしれないが、全国レベルで名の通った選手はいない。Jを目指すことを宣言し、食べ物にちなんだチーム名が一時話題となったが、まだまだ強化のスタートラインについたばかり、というのが実態らしい。


ロッソ熊本のスターティングラインナップおよびサブスティチューション。

GK:1太
DF:6福王、15市村、26森川、30矢野
MF:5山口、17熊谷(cap.)、20関、31斎藤紀
FW:11高橋、27福嶋
SUB:GK21飯倉、DF29佐藤祐、MF22大瀬良、MF28宮崎、FW13町田
選手交代:20関→29佐藤佑(HT)、5山口→28宮崎(67分)、27福嶋→22大瀬良(76分)
現在、JFL3位。J2加盟が現実的になっているチーム。チームの中身もそれにふさわしく、メンバーには元J・JFL勢がずらりと並ぶ。それに駒澤大学出の太・関・宮崎などが加わっている。


台風の影響で強い風が吹く中、キックオフ。直後から雨が降ったりやんだりを繰り返すようになり、観客の大半が上層スタンド下に避難。
お互いに4-4-2フォーメーション。コンパクトな3ラインを形成し、押し上げを効かせて高い位置でのボール奪取から速攻を狙う、という似たようなコンセプト。選手個々の力の差が明らかになりやすい、ミラー・ゲーム。


前半、風上に立ったカマタマーレは長めのボールを多用。早いタイミングでラインの裏を狙っていくが、風の強さを読み切れないのかフィードが長すぎてそのままラインを割ってしまう場面が多発する。


対照的に、ロッソのほうは逆風下の定石どおり、グラウンダーを確実に繋いでビルドアップ。サイド、特に右からの崩しで攻める。4分にはFW福嶋がこの試合のファーストシュートをやや遠目から放ち、7分には立て続けにシュート2本を打つなど(いずれもDFがブロック)、試合の主導権をにぎる。ロッソの先制点は10分。カマタマーレ陣内で斉藤紀が長谷部からボールを奪い、間をおかずにスルーパス。素早い反応でオフサイドをかいくぐった福嶋がGKとの一対一を制した。


15分すぎかな、ロングボールがうまく通らないためか、カマタマーレはまずFWにクサビを入れる戦術に変更。これが身を結んで18分、FW加藤浩?の落としを受けたFW夏田がドリブルで突っかけ、ファウルを誘って左サイド・ペナルティエリアすぐ外でFKゲット。セットプレーのキッカーはMF小出。低く早いボールを密集からやや引いた位置で徐がダイビングヘッドで合わせるが、シュートはDFに引っかかってクリアされてしまう。
この後も、しばらくカマタマーレの流れが続く。FWにクサビが収まり、2列目が素早くサポート。3、4人のグループでパスを交換、ピッチ中央で勝負する(タッチライン際に振ることは少ない)。しかし、ここでテクニックの不足が顔を出す。中央突破を狙うと言っても、ペナルティエリアの幅ぐらいで揺さぶりはかけている。かけているんだけど・・・サイドを変えるパスが通らない。エリアの左寄りで仕掛けてロッソのDFを引きつけ、右サイドのオープンスペースへ開く選手に20mぐらいのパスを出す、これが繋がらない。天皇杯地域リーグのチームを見ていて感じるのは、ミドルレンジ以上のパスの精度が落ちること。カマタマーレの場合、揺さぶってスペースを作り出す、という意図が見えるだけに惜しい。
それでもFW夏目がいい動きを見せ、22分にはDF間のギャップに入り込んでシュートを放つが枠に行かない。


先制点のあと、なんとなくまったりしていたロッソだったが、25分に追加点をあげる。試合序盤から再三クロスを上げていた右MF斉藤紀のアシストからだった。セカンドボールを拾っての波状攻撃、右MF斎藤紀のクロスに対しカマタマーレDFのクリアが短く、これを拾った森川(柏やフロンターレにいた人です)がDFの間を抜いて流し込んだ。ロッソは32分にも福嶋のヒールパスを相方FW高橋がシュートするがポスト右。
ロッソ2点リードで前半終了。


後半。カマタマーレは前半終了直前に痛んでいた長谷部に代えて竹内投入。ロッソのほうも動きがいまいちだった関から佐藤祐に交代。
開始直後の46分にカマタマーレは右スローインからFW加藤がシュートするが弱く太が難なくキャッチ。53分には夏田の落としを加藤浩がフリーで打つがゴール左。


カマタマーレがチャンスを決めきれないでいるうちに、ロッソが次々とゴールを決める。57分、斉藤紀のスルーパス、福嶋がラインの裏をとりエリア右に侵入、ゴールエリア横まで持ち込んで折り返し、DFが戻ってカットしようとしたが及ばず中央に詰めていた高橋が流し込んで3点目。続いて65分、右SB市村が右サイド裏に抜け出しクロス、DFがカットできず、抜けてきたボールを福嶋が叩いて今日2点目のゴール。
この時間帯、カマタマーレは反撃のために前掛かり、疲れも出てきてプレスもかからなくなっていた。ルックアップする時間とスペースを与えられたロッソの中盤から決定的なスルーパスが出され、そこから何度もチャンスが生まれていた。ただし、大量リードで余裕が出過ぎたのか?ロッソはゴール前での余計なパスが目立ち始め、何度も決定機をフイにする。シンプルに打っていたらあと2点はとれたのに。


72分、カマタマーレはDFを削ってFW森田を投入、3トップ気味の布陣にして意地でも一点を返そうする。徐が力を振り絞って右サイドをえぐり、交代出場の森田も果敢に勝負を挑むがロッソの守りを抜けず、GK太に脅威を与えるシュートを打てない。


ロッソの5点目は84分。高橋が右サイドを突破、ファーへ大きなクロス。カマタマーレのDFはボールサイドにスライドしていたため(そもそも前がかりになっていて枚数が足りない)ファー側はがら空き。そこへ大外から斜めに入り込んできた交代出場の宮崎大志郎(お久しぶり)が素晴らしいダイレクトボレーで決めた。88分にはこれも交代出場の大瀬良がスピードを生かしてDFを振り切りGKと一対一、シュート→GKブロック→跳ね返りをまたシュート→GKがまたブロック、というチャンスがあった。


ロスタイムは3分。実際は4分以上あったと思うが、カマタマーレは有効な反撃が出来ないまま試合終了。ロッソが個人能力差にものを言わせて寄り切った。


試合を通じて選手の個人能力差は明らかだった。フィジカルでもテクニックでも、ロッソがその差を見せつけた。両チームの選手の間には明らかな体格差があって(ほんとに一回り違うんだよ)、セットプレーのときなんかカマタマーレの選手がちょっとかわいそうだった。
ただ、勝ったロッソも内容はそれほど良くなかったように見えた。5点をとった攻撃はともかく、とくに守備が甘いという印象をうけた。スリーラインでコンパクトな陣形を作っているのだが、作っているだけでボールホルダーへの寄せが遅い。クサビのパスへのチェックも甘いし、こぼれ球への反応も悪い。このため、カマタマーレに中盤での組み立てを許してしまっていた。一対一の強さが反応の悪さを補ってはいたが。それにDF同士の連携も余り良くない。揺さぶられるとDF間にギャップができるし、カバーリングも遅い。とくに右SBとCBとの間にできるスペースを何度も突かれていた。試合の主導権を握れていたのでやや流した部分があったのかもしれないが、選手層で対抗できるチームと対戦した場合、どうなるのか心配。


カマタマーレのほうは、格上の相手に自分のサッカーで挑んだ。今の自分たちの力がどれほどか、それを測る意図があったのかな。ただ結果だけを追求するなら、ガチガチに守りを固めてひたすらカウンター(あるいはPK勝負)に持ち込む、という手もあったのにね。ラインを上げてプレスをかけて、パスを繋いで攻めてと忠実にチーム戦術を遂行したが力が及ばなかった。
課題としては、個の力に秀でた選手がいない、という現段階ではどうしようもないことを除くと、すでに書いたようにミドルレンジ以上のパスの精度。あと強い相手との対戦経験。ロッソの選手に対し果敢にタックルをかけるんだけど、ちょっと足が届かずに抜かれる、という場面が何度もあった。いつも対戦している地域リーグの選手相手の感覚で飛び込んでるんだよね。ところが相手は元Jがずらりと揃っているわけで、球際でのスピードや強さが一枚上手。このあたりは格上との対戦経験を積んでいけば感覚が掴めるかもしれない。まだまだ、熟成中のチーム。印象に残った選手は、GK蛯沢とCBの萬代、それにCMFの小出。徐はミスが多かったね。
後半は声だし隊のいる2階席(傾斜があってピッチを見下ろす感じがグッド)で見たんだけど、小さい子も交えて声援を送っている家族がいたりして雰囲気は良かったです。「カマタマーレ」コールもけっこうさまになってたし。


実は帰りの足を調べてなかったのだが(汗)、道を歩いていたらバスが来たのでそれに乗って丸亀駅へ。そこから岡山へ出て新幹線で帰途につく。実は台風で順延になったVファーレンの試合を見に行こうかと思ったのだが(近藤健一が出てるみたいだし)、台風の影響で西行きは広島までしか動いていたかったので断念。東京行きはダイヤの乱れもなく、無事に帰京。そう、無事だったよ。おみやげのうどんを新幹線の中に置き忘れた事以外はorz。