2006年J1第33節 FC東京 0 - 0 浦和レッズ(観戦107試合目)

日時:2006年11月26日(日)14:00キックオフ
会場:味の素スタジアム
観衆:41528人
主審:扇谷、副審:上荒、金田
得点:なし
警告:馬場(東京、14分)、今野(東京、80分)、ポンテ(浦和、89分)
退場:なし

飛田給と西が丘、どちらに行くかギリギリまで迷った。文丈の引退を知って取り乱し(選手の出入りなんて気にしないなんて言ってるくせして)一度は絶対に飛田給と思い詰めたた。昨夜はといえば、深川出身者の多い流経の優勝を見届けようと思い、西が丘に行くことについてのお詫びエントリー(誰に対してだよ)を書きかけた。今朝も七転八倒、ギリギリまで迷って決めた。飛田給に行こうと。どういう結果になろうと、とにかく見届けようと。


すまぬ、西が丘に行った姉さんたち。大分に遠征するなら関サバ&関アジおごるよ(来ないか)。


京王線の車中から赤軍派だらけ。飛田給に着けばそこは警官だらけの厳戒態勢。駅から味スタに行く人並みを見ると、青赤より赤い人が多い。こりゃ、ホーム側まで赤い人が来てうざいなあと覚悟していたら、そこはフロントの深謀遠慮?が発動。SB席から向こうをアウェイエリアと設定しスタジアムを半分くれてやるかわりに、赤いのを全部向こうのエリアに押し込む算段。いつもと違って、バック側コンコース中央、タコデリオの手前にがっちりした境界柵が設定され(村林の壁?)、蛮族を「向こう側」へ隔離。かくしてホーム側の治安は保たれたが、安全上の理由で都会人はタコデリオに行けないのでタコスが買えない・・・じゃなくてゴール裏両端や上層席には空席が目立つ。一方、「向こう側」は通路まで人がぎっしり(空いてたのは上層席のごく一部)。あれですね、チケット争奪戦で蛮族がホーム自由まで買い占めたからですね。悔しいが、これが現在の我が軍の実力。認めたくないものだな、若さ故の出遅れを。


選手カードをもらうためにファンクラブテントの列に並んでいたら(今日はどこも行列)、「先発塩田」という驚愕情報が駆けめぐる。テントで選手カードを配っていたのは池上。「去年のインカレ見てたよ。リハビリ頑張って!」と声を掛けるとびっくりしたように「はい・・・!」とうなずいてくれた。ここで「インカレ」なんて言われるとは思っていなかったんだろうなwww。ユニホームプレゼント応募箱のそばには信男さん。あれ、ベンチ入りじゃないの?


試合開始が迫ると、向こう側は「レッズレッズレッズ・・・」とエンドレスで呪文を唱え始める。東京ゴル裏は「T・O・K・Y・O!」で応戦。おまけに「スタジアムへ行こう」まで歌っちゃってもうノリノリw。いいですね。これが東京。


FC東京のスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

GK:22塩田
DF:25徳永、3ジャーン、19伊野波、8藤山
MF:23梶山、6今野、18石川、13戸田、14馬場
FW:9ルーカス(cap.)
SUB:1土肥、5増嶋、15鈴木規郎、10三浦、16宮沢、11阿部、39平山
選手交代:戸田→鈴木規郎(65分)
とうとう来ましたGK塩田。お前の後輩も同時刻に西が丘で戦っているぞ(向こうは優勝争いだけどな)。土肥の連続出場記録が途絶えてしまったが、最近の大量失点を考えればやむをえないか。CBはジャーンと伊野波。


浦和レッズのスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

GK:1山岸
DF:19内舘、4田中闘、5ネネ
MF:13鈴木啓、17長谷部、14平川、8アレックス、6山田(cap.)
FW:10ポンテ、21ワシントン
SUB:23都築、3細貝、16相馬、18小野、9永井、11田中達、30岡野
選手交代:山田→小野(70分)、アレックス→相馬(84分)
登録上はワシントンとポンテがFW。実際はワシントン1トップの3-6-1フォーメーション。
さて本日のゲームプランは?


普段おとなしいU席も今日はヒートアップ。おいらも萌えた燃えた。つーわけでメモしてないので箇条書き。

  • 立ち上がりから、東京は早いチェック、連携したプレッシング、時宜を心得たラインの押し上げ、そして闘志を前面に押し出し、中盤で奪い合う展開ながらボール支配で優位に立つ。木曜と比べると全く別のチームになっていた。つまりあれだ、やる気の問題だったのかorz。
  • 馬場・梶山・今野の中盤コアユニットが秀逸。とくに馬場は運動量を惜しまず攻守に貢献。ただし、頑張り過ぎてクロスを競る場面で山岸と交錯し警告(山岸は頭に包帯)。梶山も浦和の激しいチェックをクネクネとかわしながらサイドへ展開。
  • サイドを警戒されれば、中央でいつもどおりのルーカスキープでタメをつくり、馬場を中心にボールを動かす。
  • 東京のアタックは基本的にサイドを使って浦和3バックの左右スペース狙い。
  • 右の石川・徳永のコンビネーションが素晴らしい。完全にアレックスの裏を取っていた。久々に効果的な右サイド2段アタックを見た。
  • しかし、サイドを崩しても中の枚数が足りない。ゴール前にいるのは中央にルーカス、ファーに戸田、彼らに届く前にクロスがカットされる、という場面が続く。馬場がニアに詰めて欲しいのだが、組み立ての過程でサイドの支援に回ったり、後方に位置していることが多かったような。代わりに今野or梶山が突撃、つーのは過激過ぎますね、やっぱり。効率的な組み立てからフィニッシュ、っていうのが今後の課題。
  • 決定機はやはりニアに詰めた場面から。20分すぎ、石川の外を回って徳永がオーバーラップからクロス、ニアに飛び込んだ馬場が合わせるがシュートは惜しくもサイドネット(ぐぬお〜)。
  • その後もクロスのクリアを拾ってミドルを狙う。30分には今野のミドルが枠を捉えるが山岸が弾き出す(あぎゃー)。ドリームクラッシャー未遂。
  • 浦和はいつも通りと言うべきか、堅い試合運び。つまり、最初はがっちり守って前の3人、とくにワシントンの決定力頼みの攻めを行い、リードを奪ったら守りを固めてカウンターを狙うというイケズなサッカー。本日も3バックと2ボランチはほぼ守備専任。サイドの攻防で東京が優位に立ったため、WBの攻撃参加も回数が限られ、結局のところ攻撃は前の3人頼み。それにプレッシャーなのか、ガチガチになってるように見えた。
  • だけどね、ワシントンって緑色だったときから東京にとっては怖くないんだよねえ。ジャーンなら押さえられる。ジャーンがワシントン、伊野波がカバリング、ポンテと山田さんをボランチが見る、っていうマーキングだったかな。
  • マークの掴みが早いんで、浦和の攻めは、流れの中では怖くなかった。ただし、セットプレーで田中闘とネネが上がってくるとさすがにおっかないw。塩田の好守でセットプレーも大丈夫。
  • 結局、平川を使ったカウンター以外、どうってことなかった。アレックスはなんでクロスを塩田の正面に蹴るのかね。
  • 東京は攻め続ける。しかしさすがに浦和の中央は堅い。徳永クロスから浦和DFのギャップに入り込んだ戸田がドフリーヘッドもバーの上(んみゅ〜、つーかお約束www)。CKからジャーンヘッドも枠に行かず(んぴゅ〜〜〜)。
  • 結局、前半は両チーム無得点。


ハーフタイム中も浦和な皆さんはコールを続ける。君たちは膀胱が二つあるのかね?

  • 後半立ち上がりも東京ペース。ただし、馬場が疲れから精度を欠き始めた。
  • しかし、代わりに梶山が全開状態。例のクネクネプレーで時空を歪め始める。とくにすんげえのが50分頃のドリブル前進(あれをドリブルというならば)。ハーフウェイ付近から、アレックス?の股を抜き、切り返し(あれを切り返しというならば)で田中闘(だったっけ)をあっさりはずし、エリア手前まで持ち上がる。そして必殺のスルーパス。これを受けるのがいつの間にかゴール前に出現した戸田だったが・・・あれはスルーですか、それともトラップミスですか。
  • この後はしだいに東京の運動量が落ち、浦和に主導権が移る。東京のプレスが弱まって中盤でボールを持てるようになると、長谷部や田中闘が上がってくる。
  • 60分すぎ、浦和の大チャンス。アレックスが徳永の裏スペースへパスを出し、山田が中央から斜めに走ってエリア左に侵入する。山田は飛び出した塩田をかわしてゴールに流し込もうとするが、ボールはわずかにポスト右。
  • 70分、浦和の選手交代、山田→小野。浦和はボールを支配し、枚数をかけた分厚い攻めを展開。しかし攻撃にスピードがないため東京もしっかり対応、下がってスペースを消し浦和にパスを回させる。
  • 東京は石川を使ってカウンター。藤山のインターセプトから石川が右サイドを突破、ゴールラインまでえぐって折り返すがラインを割ったという判定。
  • 小野を中心にボールを回す浦和。80分チョイ前、小野のスルーパスにワシントンが抜け出し、エリア右からシュートを放つが塩田が右足一本で弾き出す。
  • さらに80分過ぎ、山なりフィードにワシントンが反応。エリア右、塩田が飛び出したもののクリアしきれず、ワシントンが浮き球を収めようとするがジャーンがクリア。
  • 東京も反撃。85分頃、ゴール前に走り込む梶山へ馬場がフィードを送る。そして再び時空が歪む。梶山がDF二人に挟まれながらヒールで落とし、そこにいたのは鈴木規郎! 時空を切り裂くノリオ砲が炸裂するが、キーパー山岸の手が届く位置に蹴ってしまい、腕一本で弾き出される(あぎょー)。続いてルーカスがコントロールド・ショットで隅を狙うがこれも山岸が右手一本(んがあ〜)。
  • このあと浦和のベンチがバタバタし始め、やがて指示がでて赤軍が守備固めに入る。東京も息切れの感があり、ロスタイムには引き分けOK的な雰囲気も見て取れた。
  • 結局、熱戦はスコアレスドローに終わった。


激しいけどフェアないい試合だったと思う。両チームの特徴が良く出ていた。あえて例えりゃ浦和が「重戦車」、東京は高速機動兵器(「ビット」ですかね)。「重戦車」より「やわらか戦車」のほうが好きなんですけど。
東京にとって、勝てた試合とも言えるし、浦和の安全第一なゲームプランに助けられたとも言えるゲームだった。
東京から見ると、浦和の攻めは怖くなかった。後半途中までは前の三人に頼った攻撃orカウンター。ワシントンは中央にデンと構えるタイプ、ポンテもいったん足元に収める傾向が強く、中央でドリブルで仕掛けてくるのは山田さんだけなんでマークしやすかったと思う。今の東京守備陣にとって対処しやすいタイプだったから、無失点で終わらせることが出来た。長谷部がもっと攻撃参加してくれば、あるいは田中達や永井を投入してスピードでかき回してきたら、あうんの呼吸があるとは言い難い東京の守備が崩壊した可能性が高かったと思う。浦和が素のままで来てくれて、そして堅い試合をしてくれて助かった。それに、赤軍はガチガチだったよね。
ギドさんは、とにかく勝ち点1を積み上げるという大人の判断を下した。さて、吉とでるか凶とでるか。


東京は良かったよ。繰り返しになるけど、木曜とは全く別のチーム。狙いのはっきりした攻撃的な姿勢で主導権を握り続けた。後半、足が止まった時間もあったけど、最後まで崩れなかった。だから、ああ、少なくとも3回あった決定機をものにしていればねえ(浦和にも同じことが言えるけど)。包帯巻いて気合いが入った?山岸にやられたな。みんな、シュート練習してね。


以下、選手の講評(東京のみ)。
塩田:驚愕の抜擢でリーグ戦初出場。安定した、というより果敢なプレーぶりだった。飛び出しをかわされた場面が2回あったが、あそこで飛び出したからこそ山田さんは体勢を崩してシュートをはずした、という解釈もできる。一方、ワシントンのシュートを右足一本で防いだ場面では最後まで動かず。冷静さもあった。飛び出しに関してはディフェンスラインとの連携が取れてくれば、安心して見られるようになると思うよ。これからは土肥とイーブンな争い。
徳永:いつもは1試合に3回は気が抜けたプレーをするのだが、今日は皆無。守備はそつなく、攻撃では石川との連携が素晴らしかった。いつものようにサイドで持ちすぎ君になる場面はなし。狙いが徹底されていれば迷いもなくなるってことか。
ジャーン:東京タワー復活。ワシントンを封殺した。守備組織が機能すれば、スピードの無さはカバーされ、高さ強さを前面に出せる。
伊野波:カバーリングの鬼だったね。地味ながら貢献度大。
藤山:ベテランの味発揮。いつものようにテレポーテーションなインターセプトを見せた。いつものようにびっくりどっきりパスもあったけど。
梶山:いやなんつーか、こいつの周りでは時空が歪んでた。おいらの双眼鏡で重力レンズ現象を確認したよ(嘘)。浦和の守備陣を相手に易々とボールをキープするとは、やっぱり変態。
今野:守備に比重を置いていたため攻め上がる機会は少なく、ドリームクラッシャー未遂。守備はいつものように破綻なし。山田さんのドリブルを止めた功績大。
石川:右サイドを引き裂き、東京に主導権を引き寄せた立役者。アレックスを完全に翻弄していた。あとはクロスの精度か。
戸田:左サイドの消耗兵器としての役割を全う。あとはシュートを決めるだけなんだが。
馬場:好守に渡って貢献大。トップ下で絶妙のボール捌きを見せ、サイド攻撃の威力を最大限に引き出した。守備にも走り回ったため、後半には疲れが出てプレーの精度が落ちたが、運動量は最後まで落ちることはなかった。
ルーカス:調子いいねえ。浦和のDF陣相手にボールをキープ、味方の攻め上がりを引き出すと共に、テクニックを生かして勝負にも出ていた。やっぱり、ヘディングの強いFWと組ませたい。
鈴木規郎:やっぱり、やっぱり、あのシュートを決めてくれれば・・・・左ウィングで食っていきたいなら「左45°」を練習してください。
倉又監督:この大舞台に塩田抜擢という大英断。ゲームプランも的確だった。終盤のところで平山を投入すればとも思ったけど、拮抗した試合で選手交代の余地は少なく、仕方なかったかな。


試合後、ガンバが勝ったというアナウンス。とにかく、胴上げを阻止。飛田給における器物損壊も阻止された。ありがとマグノ様(天敵だけど)。ガンバが勝って喜ぶ人もいたけど、俺はそんなでもなかったね。たしかに、目の前で胴上げは見たくなかったのでホッとしたけど、でも勝ちたかった。勝ってさまーみろと言いたかった。


恒例の感謝の日セレモニー。倉又さんが挨拶で燃料投下(爆)。盛大なブーイングを浴びるw(状況判断はしっかりねwww)。とにかくご苦労様。J1残留というミッションを達成してくれた。来シーズンどうなるかわからんけど、これからも、ファミリーとして東京を支えてください。


そして、三浦文丈の引退セレモニー。赤い人も拍手してくれて、奥さん泣いてたのかな、辛い時期も支え続けていたんだよねなんて思ったらこっちもウルウルくるじゃないですか。試合前練習で10番ユニ着ておまじない?の塩田に肩車されたりして。もう数少ない、俺と同世代の選手。ホントにいい男だった。俺も、あなたほど輝けないと思うけど、やっぱり自分のまわりぐらい、存在感を示してきっちり仕事したい。ほんとにそう思った。
俺は海外で出稼ぎしてて、青赤をまとった文丈を見たのは膝の靱帯断裂から復帰した後、2003年の途中からだった。往年のロケットのような飛び出しはもはや見られなくなっていたけど、ゲームの流れを読める渋いボランチとして、そして頼れるチームリーダーとして彼はピッチに君臨していた。
銀河鉄道物語」のエンドテーマ「銀河の煌(ひかり)」(歌はささきいさお!)って歌は、旅する男の心情を歌っていて心に沁みるんだけど、その一節が今の自分の心情にぴったりなんで、以下引用。


「決して忘れたりしない、約束を未来を。今、同じ時を刻めなくとも、さよならは言わない。」
「出来るなら、いつものように、何もなかったように・・・」いつか東京に戻ってきて欲しいな、指導者として。


この日、三浦文丈が味スタのピッチを去り、土肥はもはや神聖不可侵な存在ではなくなり、右サイドで新しいコンビが躍動し、馬場と梶山が最後までチームの中心として奮闘を続けた。ひょっとしたら、僕らは東京の歴史の転回点を見たのかもしれない。