J2 第28節 川崎フロンターレ 3 - 1 アビスパ福岡(観戦60試合目)

ぶっちぎりもぶっちぎり、スピード違反でJ1に向けての大脱走を継続中のフロンターレ。DF陣に負傷者が出ているがなんとかしのいでいる。
今シーズン引き分けすらない無敗の等々力で午後6時キックオフ。危うく遅刻するところだった。


川崎はいつもの3-5-2フォーメーション。キーパー吉原、伊藤宏樹-渡辺匠-箕輪の3バック、アウグスト・長橋の左右両サイド、ボランチは中村憲・久野、トップ下マルクスジュニーニョ・我那覇の2トップ。
対する福岡は4-4-2。キーパー水谷、平島・蔵田・千代反田・アレックス、ボランチホベルト・米田、左SHが古賀、右SHが山形、増川と林の2トップという布陣である。


序盤は川崎がボールを支配する。2トップ+マルクスにクロスを供給する両サイド、そしてボランチがからんで、いつもの通りの分厚い攻撃を形成する。前の3人はマルクスが右サイドに開くので、我那覇を頂点にした3トップ気味となっていることが多い。そしてマイボールになると縦横無尽にポジションチェンジを行って相手を崩しにかかる。そして空いたスペースには久野・中村両ボランチが攻め上がってしばしば決定機を演出する(この両ボランチは守備的・攻撃的の役割分担は特に無いようである)。先制点もボランチの攻め上がりが起点となっていた。福岡DFが真ん中に引き寄せられて空いたペナルティエリア右側のスペースに後方から久野がタイミングよく飛び出し、ジュニーニョからのパスを受けクロスを上げる。これをファーサイドにいたアウグストが福岡DFラインの前のスペースにヘッドで折り返し、これをジュニーニョがDFの間をぬってシュート、ゴール左に決まって川崎が先制。左右の揺さぶりに福岡のマーキングが後手後手に回っていた印象だった。


対する福岡だが、この先制点以降はむしろ押し気味にゲームを進めた。ラインを高く押し上げ、陣形をコンパクトに保ってプレスからのボール奪取、あるいはセカンドボールを拾って攻撃に結びつける。福岡の両ボランチは、縦方向の攻め上がりには乏しいものの、うまくセカンドボールを拾ってサイドへ展開し、攻撃の起点を作っていた。
看板であるサイド攻撃だが、左は古賀とアレックスのコンビネーションで崩しにかかる。それぞれ長橋とマルクス!(FWのポジションから下がってくる)にマークに付かれているが、それでも何度となく突破しクロスを上げる。一方、右サイドは山形-平島のコンビ。山形がアウグストのマークにやや手を焼いているが、平島がフリーでオーバーラップしクロスを上げるシーンが多い(さすがにマルクスと違ってジュニーニョはマークをしに下がってこない)しかし、クロスは精度を欠くことが多い。ターゲットとなる福岡FW陣だが、DFから一時的?にコンバートされている増川は本職ではないにもかかわらず、体を張ったボールキープを見せ、彼のポストからボランチが左右に展開するのが攻撃パターンの一つとなっていた。しかしゴールに向かうという意味では、クロスが上がってきても高さのある川崎DF陣に競り勝てない。もう一人のFW林もペナルティエリアで前を向けない。唯一、古賀のミドルシュートのみが得点の匂いをただよわせているのみだった(バーを叩いたシーンがあった)。


川崎は両サイドが福岡のサイド攻撃に押し込まれ(とくにアウグストの攻め上がりが少ない。彼にしてはだがw)、中央突破も割とミスが多く、後半開始直後に選手二人(FWとボランチ)を入れ替えて攻勢を継続する福岡の前になかなか主導権を取り返すことができない。こんなときにはセットプレー、というわけで後半15分、アウグストのFKにマルクスがうまくヘッドで合わせ追加点。焦る福岡に対し、さらに20分には右サイドからのクロスにファーサイドにいたアウグストがヘッドで、今度はラインの裏に折り返し、そこへうまいタイミングで抜け出たジュニーニョが飛び出したGKの上をふわりとループで越して3点目。


福岡は必死の反撃を継続するも後半27分に左CKから千代反田がヘッドで決めて1点を返すのが精一杯。逆にカウンターからなんども決定的チャンスをつくられるがシュートミスに助けられる。川崎は後半40分に我那覇に代えDF木村を投入、アウグストを前に上げて3-4-3のようなフォーメーションになる。これで右SH宮崎(後半30分にIN)を木村が、フリーになることの多かった平島にはポジションを上げたアウグストが対することになり、たびたび問題になっていた川崎から見た左サイドのマーキングを整理し守備を固め、ゲーム終了に持ち込む。


川崎はセットプレーからの失点は余計だったが、3得点はタイミングといい、試合展開の中での得点方法といい、貫禄を感じさせる試合運び。第3クールはDFのけが人やこれまで飛ばしてきた疲れも相まって苦しむかとおもったがうまくしのいでいる。失点が多め(7試合連続失点)なのは仕方がないが、攻撃力にものをいわせれば乗り切りを図っている感じ。もっとも、もはや「失速」という言葉が関係ないほどの勝ち点差をつけているのだが。


2位グループの大混戦の中にいる福岡。サイド攻撃は相変わらず冴えているがFWが・・・。増川も林もなかなかシュートが打てなかったし、後半投入されたU19代表田中も押さえ込まれた。プレッシャーの中でもなんとかシュートまで持っていけるFWが一人いれば(川崎は3人いるけど)もう少し違うと思うのだけれど。戦術的にはボランチの縦への飛び出しが欲しいところ。


かくしてJ2は川崎が勝ち点71!の一人旅。2位甲府・3位大宮との勝ち点差は27。つまり9連勝9連敗でようやく追いつく差である。2位グループの力がドングリの背比べ(勝ち点4の中に6チーム)、今節もみな引き分けもしくは負けて抜け出すチームがないところをみると、この差はさらに開いていく可能性が大きく、このままでは9月後半、第4クールの頭には昇格が決定するのではないだろうか。営業的にはうまくないんだろうけど(笑)。