J1 2nd 第5節 柏 1 - 1 FC東京(観戦74試合目)

今季2度目の葉っぱ。柏駅からバスで30分以上かかり、ピッチは遠いし、スタンドは低くて試合が見にくいしとおおよそいいところがないスタジアム。あえて利点を上げるとすれば屋根が付いていることぐらいか。雨の日にここへ来たことはないのだが。14時少し前に柏駅についてみればバス待ちが延々長蛇の列。キックオフに間に合うのかとちょっと心配になったが、続々とバスがやってきて10分ほどで乗ることができた。葉っぱ着が14時40分ごろ。唯一見やすいメインスタンドへ。指定されたのは前5列目付近だったが、試合の見やすい上段で適当に空きを見つけて座る。


金町ダービーといわれるこのカード、両サポーターのアホ合戦が名物であったが、去年の東京サポ乱入事件以後、雰囲気が変化してしまった。さらに柏もチーム不調でシャレをかますどころではなくなり、この日もホーム側一杯に批判叫弾叱咤揶揄恫喝諦観な横断幕の列列列・・・・。前節の大敗が直接の引き金なのだろうが、何人かの選手は名指しで批判されており、柏サポは相当頭にきている様子。


風が強く、日陰のメインにいると感じないがピッチ上は相当暑い(選手は頻繁に給水する)様子。ピッチ状態も良くないようでかなり砂を入れた様子がありありと見える。こんな悪コンディションのなかでキックオフ。


柏は4バックできた。GK南、DFは近藤-薩川-永田-波戸、ボランチに明神・大谷、左MF増田、右MF大野、FWは玉田と羽地。サブがGK清水、渡辺、下平、加藤、山下。ケガから復活した薩川や復帰した大野、移籍の羽地をスタメンに組み入れ、ベンチにはベテラン勢がずらりと名を連ねる。谷沢や宇野沢といった若手は外れた。とにかくなりふりかまわず勝ちにきたという感じである。
東京はいつもの4-5-1フォーメーション。GK土肥、DFが金沢-茂庭-ジャーン-加地、ボランチが宮沢と今野、左は鈴木規郎、右に馬場、トップ下ケリー、ワントップは近藤。サブがGK塩田、藤山、前田、阿部、戸田。三浦の出場停止にともない宮沢がスタメン、FWは前節のよい働きをした近藤。梶山が熊さんに拉致されたのに伴い、ケガから復帰した鈴木がスタメン、戸田もサブに入っている。ルーカスは大事をとってお休みだがしだいにケガ人が戻り始めているのが心強い。


序盤から柏が激しく当たりにきて、東京は思うようにボールが回せない。柏はコンパクトな陣形を保っておまけに出足が早く、すばやくボールホルダーにアプローチし、一度マークに付いたらガチガチとしつこく食らいつく。後ろからチョコチョコ足を出してくるし、突破されそうになるとユニホームを掴む、つかむ。とにかく、ケリーが明神に徹底マークされて起点になれず、近藤祐も薩川に押さえ込まれて前線にボールが収まらない。宮沢の位置でさえプレッシャーが厳しく、パスの精度が戻りきっていないせいもあって効果的なサイドへの展開が出来ない。今野も、宮沢とは相性が悪いのか、いつものボール奪取即前進という形が見られない。サイドから崩そうにも効果的なボールが入ること自体が少ない。一方の柏も前線に入れるボールがジャーンを中心とした東京DF陣に跳ね返され、試合は中盤での潰し合いとなってくる。主審の砂川さんはもともと寛大なのか、あるいは今日はそういう試合だとあきらめたのか(笑)、激しい接触プレーに対してもファールですませる傾向だったのでよかったけれど(警告は柏4枚、東京1枚)、4悪人(高山、穴沢、奥谷、柏原)だったどうなっていたことやら。


そんな中で、運動量に勝りセカンドボールを支配した柏がやや押し気味に試合を進める。とくに序盤は右SB波戸が積極的にオーバーラップし、チャンスをつくる。羽地もジャーンに勝てているわけではないが、潰れ役としての役目は果たしており、積極的なフォアチェックで守備面での貢献は大きかった。玉田はやはり前を向かせると怖い存在である(また、前を向くのが実にうまい)。こういうときはフクロにするのがベスト、というわけで常に2〜3人、時に4人で取り囲んで潰す。それでも19分、右サイドで茂庭と金沢のマークを受けながら、俊敏な身のこなしでこの二人の間を突破、ペナルティエリアに切り込む。戻ってきた茂庭のチャージを受けつぶれながらエリア内で待ち受ける大野にパス、これを大野が後ろに戻したところに走り込んできた明神がシュート。しかしこれは土肥がキャッチ。25分には柏が3連続で左CKを得、大野がニアサイドにいいボールを送るが土肥がクリアする。


東京も21分にチャンスを得る。左ショートコーナーからの混戦の中、今野がシュートを放つがこれは柏DFに当たってエンドを割る。続くCKを近藤がシュートするがGKがはじく。
26分には宮沢が右サイドの加地にパス、これを加地がいれたクロスはDFにクリアされるが、これを鈴木がヘッドでファーに流し、近藤祐が倒れ込みながらシュートするが南がキャッチ。30分すぎには馬場と鈴木がポジションを入れ替える。といってサイド攻撃が活性化されるわけではなく、あいかわらずケリーは明神に徹底マークされ、かといってボランチやDFからのフィードも柏の厳しいチェックに精度を欠く。
一方の柏も、ボールポゼッションではやや優位に立っているもののフィニッシュに持ち込めない。とくに最大の武器である玉田が前線でボールをもらえず、しかたなく下がってボールを受けてドリブル、というパターンになり東京に対応する時間を与えてしまっていた。


前半終了間際には立て続けに東京にチャンスが訪れる。43分には右CK崩れのボールをペナルティエリア左サイドで受けた今野が、うまい反転でDFをかわしシュートするがサイドネットに吸い込まれる。続いて44分、ゴールから遠い位置のFKを宮沢が右サイドの加地へ、加地が入れたクロスはDFにクリアされるが、これを宮沢が右足ダイレクトで浮き球を送る。これに反応した近藤祐とケリーが完全に柏DFの裏をとったが、近藤祐の右足シュートはポストに嫌われ、こぼれ球にケリーが詰め切れず羽地にクリアされる。


後半立ち上がりから、鈴木が強引な縦への突破を見せ、チャンスが生まれそうな雰囲気が出来始める。が、ここで阿部と交代となってしまった(53分)。あいかわらずサイドにいいボールが入らず、阿部投入も流れを変えるに至らない。一方の柏は、玉田が下がってチャンスメークをする形が目立ち始めるが、代わりに前線に飛び込む動きが乏しく、なかなかフィニッシュまで持ち込めない。


東京は68分に徹底マークされ力を発揮できなかったケリーを下げ、戸田を右サイドに投入、馬場が中央に移る。この辺から、柏守備陣が息切れし始める。これを見てとったか、72分には増田を下げて加藤望を投入、運動量の維持をはかる。柏は、75分までにゴール正面位置でのFKを3回得るが、得点に至らず。76分に近藤祐が単独でDFを振り切ってシュートを放つが先週と同様、腰が回りきらず枠をとらえられない。
東京に待望の先制点が生まれたのは79分だった。次第に集中力が切れ始めた柏DFの不注意なクリアがタッチを割ってしまい、自陣内でスローインを与えてしまう。早野の檄が飛んだのもつかの間、金沢のスローインを受けた近藤祐がライン際でつぶれながら同じくライン際にいた阿部にパス、これを阿部がヒョイと中へ送る。そこには宮沢がいた。柏DF陣はボールサイド(ライン際)とゴール前に集中しており、その中間にいた宮沢はまったくのフリーだった。余裕をもってルックアップした宮沢はファーサイドへクロスを上げる。そこに一枚だけ残っていた柏DFの背後を強襲したのは戸田!ゴール右上にヘディングシュートが決まる。ファーサイドに大外から斜めに突っ込んでくるという必殺戸田パターンによって東京が先制する。
直後に柏は大野と大谷を下げ、山下と下平を投入し、3トップで反撃を試みるが、東京のボール回しが格段に良くなり、攻勢を継続。宮沢に代えて藤山をボランチに入れ、守備固めして逃げ切りを図るが甘かった。87分、下がってボールを受けた玉田が一瞬で反転し今野と加地を置き去りにしてドリブルで突進する。この動きにジャーンと茂庭が一瞬フリーズ、玉田から二人の間を抜いてスルーパスが送られる。これに反応したのは羽地。マークにつくべき茂庭が玉田を止めようと前に出かかった瞬間の出来事だった。飛び出した土肥よりも一瞬早くボールに触り、無人となったゴールにボールを流し込む。同点。


この後、柏は玉田がFKを直接狙うが土肥がキャッチ。東京もCKを得るがジャーンのヘッドはゴールを逸れ、試合終了。ドローとなった。


柏は4バックにしてサイド攻撃をケアし、ボールホルダーに対して全員が素早く粘り強くアプローチをかけることによって東京のパス回しを制限し、セカンドボールを拾って攻撃を開始するところまではできていた。しかし、そこからフィニッシュに結びつける形ができておらず、必然的に玉田の個人突破頼りになってしまった感がある。大野、増田の攻撃的MFはサイドを使う意識に乏しく、波戸のオーバーラップ以外は攻撃が中央に偏りがちになっていた。玉田は前線ではいい形でボールをもらうことが出来ず、下がってボールを受けてからチャンスメークする場面が多かった。これはこれでよいのだが(結果的に1点とったし)、代わりに攻撃的MFが前線に出て行くようなパターンがなければ、なかなか得点に結びつけることができないのではないだろうか。それからゴール裏の非難中傷ともとれる横断幕群に腹をたてたのか、身の危険を感じたのか、柏の選手たちはゴール裏に挨拶せずに引き上げてしまった。これに怒ったゴール裏サポたちが選手バスを取り囲んだそうである。まだまだ前途多難だな。


一方の東京であるが、攻撃の核となるケリーが明神の徹底マークを受けておもうようなプレーをさせてもらえなかった。いつものケリーなら左右に流れてマークをかわすのだが、この日は体調が悪かったのか運動量が少なく、柏がうまくマークを受け渡したせいもあって最後まで押さえ込まれていた。このあたり、同じ仕事をこなせる馬場とポジションチェンジして目先をかえるといったことをしてみれば面白いんじゃないかと思ったのだが。今野・宮沢のボランチコンビは相変わらずの相性の悪さを露呈。双方ともタイプは異なる者の攻撃に絡むところに持ち味があるだけに(ボールを奪って即前進する今野、攻撃の組み立てに参加し、とくにサイドへの展開で重要な役割をになう宮沢)、どっちが上がってどっちが下がるのか、迷ってしまってプレーが消極的になってしまったように見える。シーズン当初から問題になっていただけに、監督がうまく役割を整理できないものだろうか。
加地の調子は前節よりも確実に良くなっている。とにかく、中盤右サイドである程度ボールキープできるとみるや、すかさずオーバーラップを行うべく走り込むのだ。DFを引きつけたサイドMFが裏へ出したボールに走りこんでえぐってからクロスを上げたり、サイドMFが戻したボールを中へ入れたりと、加地はこう使えば生きるんだ、というのを見せつけていた。で、観戦していたジーコさん、いかがだったでしょうか。
同点に追いつかれたことについては、藤山を入れた時になにか悪い予感がした(笑)。なんか、守備固めという指示がでるととたんにバタバタし始めるチームだし。あの場面で藤山投入ならスイーパーに入れて5バックにするか、それでだめなら藤山を右SB、加地を一つ前に出してサイド攻撃の強化を図り、戸田・近藤祐の大馬力2トップ&今野1ボランチで捨て身で2点目を取りにいくぐらいの方がチームカラーに合っているかも(笑)。というのは冗談だけれど、逃げ切りの形はつくっておく必要があるだろうな(でも中盤守備を強化するなら浅利ぐらいしかふさわしい選手がいないけど)。
ところで長く続いたケガ人ループもようやく終わりが見えてきた。この日は戸田と鈴木が復帰。ルーカスのケガも9割方よし、石川も次節ぐらいから行けるかもということで、三浦も出場停止明けで、次の浦和戦には久々のフルメンバーが見られるかもしれない。ところで、今のフルメンバーっていったいどんな感じ?