J1 2nd 第6節 FC東京 1 - 0 浦和(観戦75試合目)

本日は、カネと数にものをいわせJ界を赤化せんとたくらむ、さいたまの秘密結社との一戦。


今日は非常に出足が速い。味スタ17時着で、バック2階中央ややホーム寄り後段の通路沿いといういつもの席をゲットしたが、すでに結構埋まっていた。(通路沿いなのはビールが買いやすいためデス)。18時過ぎにはUブロック中央が完全に埋まり、GII寄りしか空席がないという大盛況。新宿行き直行バスのチケットが売り切れという話を小耳に挟む。どうやら昼間に赤い服着た人たちが飛田給駅前で爆竹を鳴らし、発煙筒を焚いていたそうで、それを受けてか?アウェイゴール裏は警備員が群れているとの話も聞く。どうせ駅前でなにかするなら、夜が明けたら道端の青赤(と緑)の旗が全部赤くなっているとか、街灯に赤いセロファンを被せるとか、マクドナルドをジャックして食べ尽くすとか(あの数なら可能だろうw)、もっと笑えてギャフンと言わせる示威行動はいろいろあるだろうに、どうしてこうも腕力指向なのだろう。スタジアムでも、浦和サポはなにか気に入らないことでもあるのか、ずっと指笛をピーピーやってる。そんなに吹きたかったら全員でクワイ川マーチでもやればいいのに(笑)。そのぐらいの芸を身につけて欲しいものだ。


それにしてもまあ数だけは多い。味スタはきれいに青赤と赤に塗り分けられている。さすがに青赤がやや優勢か(バック2階中央からはそう見える)。チケット完売という割にはアウェイ側2階は空席が目立つが、どうやらGIアウェイに侵入している人が多いみたいだ。どうみても人口密度が高いし。


この試合を前に緊張を高めていた人が多かったかもしれないが、私は試合前から勝てる気がしていた。
根拠としては、キープレーヤーだった山瀬の負傷離脱が上げられる。彼の負傷については言うべき言葉が見つからない。なんでこんな目ばかりにあわなければいけないのか。ただ早期回復を祈るのみ。
浦和はカネにあかせて外国人と帰化プレーヤーを買い漁ってDFラインとFWとサイドを固めており、「スタメンに外人5人」なんて揶揄されているが、快進撃の鍵となったのは山瀬−鈴木啓−長谷部で構成するアンコの部分。この3人が動き回り、ボールを奪い、前線へ展開し、また自ら攻撃参加して、あの高速波状攻撃を演出していた。とくに山瀬は、攻撃時にはパスの配給・スペースへの飛び出し・ドリブル突破、守備時にもプレッシングの尖兵となり、また後方の選手が攻め上がったときには空いたスペースをカバーするなど八面六臂の働きをしていた(岡田体制下の札幌@J1が、実質的に「チーム山瀬」だったイメージにダブる)。東京、ガンバ、ジェフ、鞠、鹿と続く上位チームとの連戦を前に、キーマンの離脱はあまりにも痛い。


そのほか、根拠に乏しい希望的観測としては、
・ブップバルトが父君逝去で緊急帰国のため不在(お悔やみ申し上げます)。微妙に影響するかも。
・連勝街道もそろそろ小休止のタイミングだし、デイゲームの結果を見ても、上位チームがとりこぼしをする節になっている。
・過去の対戦成績はこちらが有利。かつ浦和は味スタが苦手。


東京はいつもの4-5-1フォーメーション。GK土肥、DFは金沢−茂庭−ジャーン−加地、ボランチが今野・三浦、左MF馬場、右が戸田、トップ下ケリー、1トップは近藤。控えが塩田、藤山、宮沢、ルーカス、阿部。一部で噂されていた石川の復帰は、病み上がりが多くなりすぎるためか(笑)見送られた。
浦和は3-4-3フォーメーション。GK山岸、DFはネネ−闘莉王−内舘、ボランチが鈴木啓と長谷部、左WB平川、右WB山田、3トップはエメルソンを頂点とし、左にアレックス、右に永井がやや下がり目に位置するという1トップ2シャドー風のポジショニング。控えは、都築、堀之内、酒井、千島、田中達也。アルパイは出場停止。


このスタメンを見たときに勝てるという思い(こみw)が大きくなった。これまでの浦和はエメルソン−田中達也−山瀬がお互いにサポートし合うことによって攻撃力を増幅させていた。運動量の多い中盤が起点となっていた。とくにトップ下に位置する山瀬の献身的なに鈴木・長谷部の両ボランチが連動することに高い位置でのボール奪取とそこからの(とっても)速い攻撃を可能としていた。
ところが、このフォーメーションではトップ下が空席。3トップで高い位置でのプレッシングを機能させるならFWの誰かが戻ってきて中盤守備に参加するしかない。しかし、この日の3人は誰がどう見ても献身的に守備に加わるメンツではない。必然的にボール奪取位置が下がり、昔の放り込みFWおまかせサッカーに逆戻りせざるを得まい。それに永井とアレックスはサイドに開いてプレーする傾向があり、両WBは前をふさがれてオーバーラップしにくくなる。そしてエメルソンは中央に孤立する。それなら東京DF陣は対応できる。実際、これまでもそれなりに止めてきたのだ。怖いのは隙を突かれての一発芸のみ。
闘莉王の攻め上がり?どうせ鈴木啓あたりが空いたスペースのケアに下がるのだ。攻撃の枚数は増えない。近くの選手が素早く対応してディレイをかけ、味方の来援を待てばよい。集中力を切らさなければそれは可能だ。そしてスタジアムの雰囲気は最高潮。いやでも集中力の高まる環境だ。


お互いに中盤での優位を確保しようと、試合の最初から潰し合いがはじまる。が、東京は全体がコンパクトな陣形を保ってボールを奪い、1.5列目を遊弋するケリーにいったん預けてからサイドに展開するいつもの形を見せ、主導権を握る。右サイドは我らが部活サッカーの申し子・戸田が持ち前のごりごりダッシュを披露し加地とのコンビで、左サイドはなんと最初から体を張ったプレーを披露している我らがもやしっ子(失礼)馬場と1トップの近藤が流れてきて、浦和3バックの両サイドを攻略しにかかる。


早くも開始1分に右CKを得、馬場のCKをジャーンがヘッドで叩くが外れる。2分、馬場の左サイドからのFKは流れる。5分には三浦→加地とつないで最後に戸田が右からクロスを入れるがミスキック。
浦和は、アレックスがトップ下みたいなポジションを取っている。意図としてエメルソンのサポート、高い位置からのプレス、左WB平川の上がるスペースをつくるためなどが考えられるが、機能していない。予想どおり高い位置でのプレスを掛けられず(アレックスが突発的に参加していたけどw)、3バックとWBが東京のサイド攻撃をケアするためずるずると下がり中盤はスカスカ、鈴木啓が孤軍奮闘してしばしばパスカットを見せるが、そこからの展開がうまくいかない。サイドに展開してもWBが下がっているため早い攻撃につながらず、3トップの個人技で突破を図るも東京の守備が常に数的優位を保ち、囲んでボールを奪う。エメルソンがサイドに流れてチャンスメイクを試みるが、これは茂庭が阻止する。11分に三浦が長谷部を倒してしまい警告、そこからアレックスのFKをエメルソンがシュートするがこれは阻止。続いて13分にカウンターからエメルソンが持ち込んでCKを得る。これをネネがヘディングシュートするが枠をはずす。


この後、一進一退の攻防が続く。18分には加地がゴール前にクロスを入れるが山岸がキャッチ。20分にはペナルティエリア左角から5mほどの位置でFKを得るが、馬場のキックは大きく枠を外れてしまう。22分、ネネが攻め上がってシュートを放つが土肥がはじき出す。あいかわらず、浦和3FWは機能しない。アレックスは単発プレーに終始し、エメルソンは茂庭を中心としたタイトなマークで封じる。面白いことに、ある程度マンマークでつくという約束事があるのか、エメルソンが中盤に下がってからサイドに流れてくるときは今野がライン際までずっと付いていき、代わりに金沢がボランチの位置を埋めるのだ。え、永井? いるの?
鈴木啓が奮闘して何とか中盤での優位を確保しようとするが、東京は速いパスワークでプレスをかいくぐり、三浦・今野もいいタイミングで攻撃参加し、浦和ゴールに迫る。29分、近藤の落としを金沢が馬場にパス、馬場がフワッとしたボールを間髪いれず裏に入れる。走り込んでいた金沢がこれをシュートするが枠をそれる。33分にはルーズボールの競り合いでエメルソンが加地を倒し警告。


浦和に前半最大のチャンスが訪れたのは33分。東京スローインを奪い、自陣左サイドハーフウェイラインをちょっと越えた位置からアレックスが長いサイドチェンジを送る。右サイドに大きく広がっていたスペースに走り込んだ山田がドリブルでエリア内に切れ込んでいき、対応した茂庭を切り返しでかわして左足でシュートを放つ。これがポスト直撃となり、東京は命拾い(リプレイで見るとジャーンが頭で触ってコースをそらしていた)。
41分、東京にも大チャンスが訪れる。ケリーがいったんキープしてから加地にパス、加地が素早くゴール前にクロスをいれる。これに走り込んだ戸田がDFの間に入って飛び出した山岸より早くヘッドするが、ゴールをそれてしまった。


結局は潰し合いの展開となり、シュート数こそ多くなかったが、見ごたえのある前半が終わった。東京は無事無失点で前半を切り抜けた。




そして後半。東京は立ち上がりからラッシュをかける。前線から猛烈なプレスをかけてボールを奪い、そこから素早く攻撃を仕掛けていく。開始直後の46分にはネネがファールを犯し、早くも警告を受ける。ゴール正面やや右からのFKを近藤が直接狙うが、これは宇宙開発。48分には飛び出した三浦文丈闘莉王が倒してしまい立て続けの警告。左サイド少々距離のあるFKを今度はジャーンが狙うがゴール右に大きくそれる。浦和は中盤でボールを奪えず、やむなくDFラインで阻止して前線へ放り込むが東京DF陣がはじきかえす。東京はさらに攻勢を継続、52分に右CKを得る。直後にハラヒロミは近藤を下げルーカスを投入。馬場のCKは速いストレートボール。ゴール前の混戦の中でルーカスが内舘に競り勝ってヘディングシュート、山岸が飛ぶが届かず、ネットが揺れる。爆発するゴール裏。バックスタンドも一部の地蔵(アウェイ側に席を確保できなかった浦和サポか)を除いて総立ちの大騒ぎとなる。高らかに歌われる東京ブギウギ。


この先制点を受けてゲルト・エンゲルスが動く。機能しない3トップに見切りをつけ、58分に内館に替えケガのため先発をはずれていた田中達也を投入。この交代によって山田と平川が下がり、エメルソンと田中達也がコンビを組み、永井とアレックスがサイドMFを務める4-4-2フォーメーションとなる。両サイドMFは高い位置でウイング風の位置取りをしており、4トップに見える。田中達也は窮屈そうにエメルソンの周りをうろついている。
もっともその田中が64分、右サイドタッチライン際までドリブルでえぐってクロスを入れるが土肥がはじく。このあたりから東京は引き気味となり、浦和の攻撃シーンが多くみられるようになる。70分に三浦文丈に替え宮沢投入、中盤での運動量維持をはかるとともにその展開力でカウンターの起点とする意図か。


浦和はようやく永井が目立ち始め、右サイドからチャンスメイクを図るが、これは金沢と今野が対応。たとえクロスを入れられても浦和の前線には高さがないため怖くない。エメルソンは茂庭が封じる。東京はカウンター攻撃主体となり、ルーカスがキープしてケリー、戸田らの攻め上がりを待つが守りに人数を掛けているせいで厚みに欠け、フィニッシュまで持ち込めない。75分には永井がドリブルで持ち上がってスルーパス、ジャーンに当たったボールがエメルソンの前へこぼれる。エメルソンが体一つ抜け出してシュートを放つが、土肥がブロックする。
東京は77分に馬場を下げ阿部を投入するが、主として永井に対応するため下がって守るシーンが多い。その阿部が78分に早くも警告をもらう。浦和は闘莉王やネネまで攻め上がってくるが、数を掛けた東京のディフェンスを崩せず、攻め疲れが見え始める。85分、動きが落ちていた長谷部が千島に交代する(長谷部は足を負傷とのこと。追記:右からセンタリングを上げたときに痛めた?)。



これ以後はむしろルーカス、ケリー、阿部らが中心となった東京のカウンターが目立つようになる。あまりスピードには乗れないが、時間は使える。そんな中、88分にボールを奪った今野を止めようとした永井のファール(永井は警告)から宮沢がFKを蹴るが山岸がクリア。浦和は完全に打つ手が無くなってくる。


この戦況を見て取り、東京ゴール裏は89分半ぐらいから店じまいの準備にかかる(笑)。「眠らない街」が歌われる中、ルーカスを中心にボールキープ。ビスマルクとまではいかないが、じつにえげつない(笑)。浦和は完全に疲れた。そしてホイッスル。1 - 0で東京の勝利。静まり返るアウェイ側。ああ、気持ちいい。


この日の東京はコンパクトな陣形を保ってプレッシングからボールを奪い素早く攻撃に転移する、という本来の形ができていた。そしてケリーはフィニッシュに絡むかたちこそ少なかったものの、浦和中盤のバランスの悪さにも助けられて中盤を自由自在に動き回り、サイドへの展開の起点となっていた。右サイドは戸田・加地コンビの崩しが有効だった。戸田のスピードは攻撃にアクセントを与えていたし、加地は代表戦の後遺症を完全に払拭、思い切りのいい攻め上がりを連発し、最近覚えた?左足クロスも交えてチームにいいリズムを与えていた。左サイドは近藤が流れては潰されるシーンもあったが、馬場・金沢のテクニシャンと連携して奮闘していた。ルーカスに関してはもうなんというか、本人の集中力とハラヒロミの勝負感の賜物でしょう。後半、攻め込まれた時間帯でも良く前線でボールをキープし、カウンターの起点となっていた。
もっともこの日の東京は全員の守備意識の高さが特徴だった。浦和の強力攻撃陣を恐れずラインを高く保ってボールホルダーに素早くアプローチを掛け(だから引きこもりなんて言ってる人は負け惜しみですよ)、FWにいい形でボールが渡ることはほとんどなかった。また、エメルソンに対しては茂庭を中心に複数で囲い込み、一人がかわされてもすぐに次がアプローチ、たとえボールが奪えなくともゴールとの間に立ちはだかり、シュートコースを与えないという集中守備をみせ、シュート3本に封じ込んだ。
今年の東京は代表招集とケガ人続出で、ほとんどベストメンバーが組めなかったが、代わりに出場機会を得た若手が育ち、いまや誰が出てもそれなりに機能するチームが出来上がってしまった(驚)。そしてここに来てメンバーがそろい始め、今季は無理っぽい浅利をのぞけば、後は石川の復帰を待つばかり(あ、梶山がケガしたり、増嶋とチャンがU19に拉致られたりしてるけど)。リーグ戦中盤で上位陣との連戦、そしてナビスコと正念場にチームが整っていくのはなんか、わくわくする。


対する浦和はやはり山瀬の穴が大きすぎた。エメルソンに代表される衝撃力で相手ディフェンス陣を畏怖させ(なんか、ラムズフェルトみたいだが)、その混乱を突いて得点を重ね、それがまた相手を恐怖させて雪だるま式に大量点を奪うのが最近のやり口だった(新潟戦や大分戦はその典型)。それを演出してたのは山瀬だった。その彼が今季絶望、おまけに代役一番手の長谷部がケガで3〜4週間の離脱と、上位陣との連戦とナビスコ準決勝を控えて苦しい状況となった。だが1stステージの鞠を見てもわかるように、苦しい状況下をいかにしのいで勝ち点を確保するかでチームの真価は決まる(その点、東京はまだまだ甘い)。最後まで運動量が落ちなかった鈴木啓や、やたら戦闘的なDFライン(まあ、前に出て潰したがること)といったようにまだまだいい選手はそろっている。ブッフバルトエンゲルスがどのような手を打ってくるか(現実的な類いの手)、それに選手が応えられるか、要注目。それからアレックス。この日は突発的だが、結構いい守備をしていた。代表でもちゃんとやらんかい!こら!


試合が終わって、両チームの選手たちが握手を交わす。宮沢と山岸はなにやら言葉を交わしている。この二人、大学選抜でチームメートだったはず(宮沢は中央、山岸は2000年インカレ優勝の中京大)。東京の選手たちがスタンドに挨拶にくる。ゴール裏の前には青赤巨大布が広げられていて、それを踏むことに躊躇していたが、土肥が決然と歩を進め、スタンドに近寄ってから挨拶。茂庭は何やらおちゃらけながらヒーローインタビュー。ゴール裏から「べるでぃーだけには負けられない〜」とダービーソングが聞こえてくる(最近そればっかw)。そしてYou'll never walk aloneのアカペラフルコーラス。いい気分で新宿行きバスの乗り場へ向かう。この日は前売り無しでは乗れず、知らずにバス停まで来た浦和サポが係員に食ってかかっている。そいつに向かって「がたがたわめくな!」と一言怒鳴ってからバスに乗り込む(この時は結構酔っぱらっていた。冷静に考えれば、前売り完売の旨、ハーフタイムにでもアナウンスすべきだろう)。高速に乗った直後に見る、照明に浮かび上がったスタジアム。眠っているうちに新宿に到着。そのまま家路につく。You'll never walk aloneを口ずさみながら地下鉄の乗り換え。すれ違ったラコルーニャ遠征Tシャツの兄ちゃんと視線を交わし、お互いににやりとする。そうだ、僕たちは一人じゃない。


追記
試合後に味スタコンコースにてカメルーンエムボマ仮面(つまりカメルーンのノースリーブユニにプロレスラーの仮面を被っている)が小学生たちとバトルを繰り広げているのを発見。なんか、おもろい。こういうのがあるからスタジアム通いはやめられない。でも、どっちの応援してたんだろう。緑?