関東大学リーグ1部第13節第2日 筑波大学 2 - 1 駒澤大学(観戦88試合目)

爆睡して昨日の第1日を見逃したが、注目の流経大vs国士舘大は引き分けとのこと。記録をみると、リードされていたRKUが89分に同点に追いつくという興奮する試合展開だったようだ。これでRKUが勝ち点を1上積みしトータル28で暫定首位。国士舘はトータル23で残り1試合で勝ち点差5となり、優勝の可能性が消滅した。


この結果、駒澤はもちろん筑波もこの試合に負けられなくなった。現在勝ち点22の駒澤は、勝利以外では3連覇の可能性が消滅する。しかし、勝って勝ち点を25とすると筑波と並び、得失点差で2位に浮上する。得失点差は試合開始時でRKU+11、筑波+16、駒澤+18。つまり得失点差で優位に立つ駒澤は、この試合を含めた残り2試合を連勝すると、RKUが負けるという他力条件付きだが、優勝できる可能性が高くなる。逆に、筑波はこの試合を落とすと勝ち点25で駒澤と並びかつ得失点差で4以上劣る(駒澤が+19以上、筑波は+15以下になる)ことになるため、最終節に駒澤が国士舘(モチベーションが低下している可能性あり)に勝利した場合、優勝するためには最後のRKU戦に大量点を奪って勝たなくてはならないという厳しい状況に陥る(この場合、駒澤の得失点差が+20以上になるため、最低でも6点差をつけて勝つ必要が出てくる)。


筑波はいつもの4-4-2フォーメーション。GK1来栖、DFは左から14阿部翔-22石井-2川端-6植松、ボランチが12今田と13岡田、攻撃的MFが左8藤本・右9秋田、そして7鈴木達と11平山のツートップ。レギュラーのボランチである10兵働はベンチスタート。
駒澤はGK1阿部、DFが左から13筑城-2桑原-15廣井-4小林、中盤の底に6中後、左に7鈴木亮平、右8中嶋、そして9赤嶺、11原一樹、31巻の3トップ。あえて書けば4-3-3という感じである。


試合ははじめから中盤で激しいボールの奪い合いが展開される。その中で筑波は7鈴木がスピードを生かして裏を突く。駒澤は9赤嶺&31巻をターゲットにロングボールを合わせ、いつものように高さと強さを生かした攻撃を試みる。加えて熊さん注目の二人、筑波は11平山の高さを、駒澤は11原のスピードとテクニックをプラスアルファとして加えようと試みる。
まずは、ボールを奪ったらツインタワーにロングボールを当てるというシンプルな攻撃を行う駒澤が開始1分には早くも左CKを得る。これはクリアされるが続く右CKを巻が頭で合わせるがシュートは浮いてしまう。6分には中後がミドルシュートを放つ。一見優勢に試合を進めているかのように見える駒澤だが、実際は筑波に守られてしまっている。筑波が前線からプレッシャーをかけるためDFや中後からのフィードがいまいち精度を欠き、かつ屈強な筑波DFの前にさすがの赤嶺&巻も自由にさせて貰えない。ならば、とこの日スタメンの原一樹が個人技で突破しにかかる。12分にはゴール前のこぼれ球に飛び込むが、わずかに及ばずGKにクリアされる。


一方、筑波は駒澤の早い潰しの前になかなかシュートに持ち込めない。13分にボランチ岡田の放ったミドルがファーストシュートとなった。しかし14分、ペナルティエリアの角付近でボールを受けた鈴木達が相対する小林亮をかわしてフワリとしたシュート、これが横っ飛びしたGKの手の先をかすめてファーサイド側のサイドネットに吸い込まれ、筑波が先制点を上げる。続く18分、藤本淳吾が得意の左足シュートを放つが、これはGKがはじき出す。


しかし駒澤もすかさず反撃する。22分、中後が蹴った左CKをファーサイドの巻が筑波DFに密着されながらもなんとか頭で落とし、これが誰かに当たって(2桑原らしい)7鈴木亮平の目の前へこぼれる。鈴木亮平が思い切って放ったグラウンダの右足シュートが敵味方の密集をすり抜けてネットを揺らす。おそらく人垣で見えなかったのだろう、筑波GK来栖の反応が一瞬遅れていた。
この同点弾で駒澤が一気に勢いづく。序盤はロングスロー要員でしかなかった原一樹の突破が冴えはじめる。おもに右サイドを遊弋し、ボールを受けると最初のトラップでDFをかわせる位置にボールを落とし、スピードに乗ってディフェンスラインをすり抜けにかかる。25分にはロングボールに反応し、エリア内に持ち込んでから右足でシュートするがGKにクリアされる。依然として赤嶺・巻はハードマークに苦しみシュートを打てないでいたが、ならばチャンスメイクとばかり31分に赤嶺がエリア内に持ち込んでゴール前を横切るような低いクロスを入れるが植松のカバーリングが間一髪間に合い、クリア。続く35分には中後がミドルシュートを放つがGK来栖が見事キャッチする。41分にはドリブルでエリア内に持ち込んだ原がDFをかわしてシュートを打つが、これはバー直撃。流れとしては駒澤優位のまま、前半が終了する。


後半開始。筑波は12今田を下げ、10兵働投入。
後半も依然として中盤でプレスの掛け合いが続く。が、しばらくは駒澤の攻勢が続く。
原がロングスローを放り込み、長身選手が群れをなして突進。たまりかねた藤本淳吾が原のスロ−インのときはタッチライン近くまで行って壁になっていた。原は60分、右サイドに入り込み浮き球のシュートを放つが来栖がクリア。この後、原は疲れのためか次第にキレを欠いていく。

筑波は、鈴木達が相変わらずスピードを生かしてゴールに迫る。しかし、コンビを組んでいる。平山は不調。キレ、というか体に力が入っていない感じで、それにマークに付いている廣井と桑原がポジション取りで優位に立ち、ヘディングの競り合いでも体を寄せて自由にやらせていない。前半はいい形でポストプレーをさせていなかった。しかし、駒澤の運動量が低下しはじめ、中盤にスペースが出来てきたそのときだった。65分、中盤まで引いてきた平山が来栖のゴールキックを頭で後方のスペースに流す。そのボールに鈴木達が走り込む。虚をつかれ対応が遅れる駒澤DF陣。シュートコースを塞ごうとGK牧野が前へ出たが、それをあざ笑うかのようなフワリとしたボールがネットを揺らした。鈴木達の技ありループシュートで筑波が勝ち越す。


勢いづいた筑波は一気に攻勢にでる。68分、CKのこぼれ球から植松がオーバーヘッドシュートを放ち、GKが何とかクリア。72分にはルーズボールを拾った兵働がフリーでシュートを打つがこれは浮いてしまう。


中盤戦で劣勢になった駒澤は有効な攻め手が見つからない。赤嶺は相変わらずのハードマークに苦しみ、原は次第に動きが落ちてくる。頼みのセットプレーも、要となる中後のプレースキックが精度を欠く。とくにCKでは1点目と同じくファーサイドに陣取る巻を狙っていたが、ボールが曲がりきらずに逆サイドに流れていってしまう場面が何度が見られた。中盤のてこ入れのため、71分には先制点を決めた鈴木亮平に代わって20小林竜樹がはいる。この直後、やっと赤嶺がラインの裏に抜けてプリーでシュートするが、来栖のファインセーブに阻まれる。なんとこれが赤嶺のファーストシュートだった。代わりに巻が頑張るが、やはり体勢でシュートまで持ち込めない。駒澤の攻撃は完全に手詰まりとなる。


筑波はポジションバランスに気を配り、中盤でボールホルダーをしっかりマークし、ボールを奪い、しだいに駒澤を押し込んでいく。78分には駒澤のクリアが小さくなったところを秋田が拾い、ライン際までえぐって上げたクロスを平山がどフリーでシュートするが大きく枠をはずす。結局、平山のシュートはこの1本だけだった。


完全に筑波に主導権を取られた展開の中、79分にはとうとう原がベンチに下がる(33田谷in)。続いて81分には右MF中嶋も交代(3大澤in)。この交代が功を奏したのか、追いつめられて開き直ったのか、駒澤の怒濤の攻撃が始まる。
中後のロングスロー(初めて見ました)、コーナーキック。FKを取ろうものなら距離があろうと直接ゴール前に放り込み、後ろのスペースなど考えずに人数をかけてゴール前に殺到する。筑波DF陣はいまだに集中力を保っていたものの、あわやの場面が連続。このときゴール裏で見ていたのだが(なんでゴール裏にいたかというと、あの位置でのオフサイド判定訓練のため←暇人)、座っているのに思わず足をムズムズ動かしてしまったぐらいのプレーの連続だった。飛び込むのがあとコンマ1秒早ければ、ボジションがあと十数cm右だったら、あと数cm足が伸びれば。だが、運命は微笑まなかった。


タイムアップ。
うなだれるメインスタンド。呆然とするバックスタンド。3連覇の夢が終わった。


いい試合だった。どちらにもゲームプランがあり、技術もあり、勝ちたいという意欲もあった。してやったりのプレーもあり、誤算もあった。


筑波はある意味、思い描いたとおりの試合運びではなかっただろうか。駒澤のツインタワーを屈強なDF陣の密着マーク、そして中後とDFにプレッシャーをかけ精度の高いロングボールを出させないという両面作戦で封じ、前へ出てくるであろう駒澤中盤とDFラインとの間のスペースを活用して、最後は2トップの決定力で勝負。平山の不調は大誤算だったが、鈴木達へのマークを軽減する役には立っていた(だからこそ最後までプレーさせたのだろう)。攻め込まれる時間帯があるのも計算のうちだろうし、そこは持ち前の守備力でしのぐ、ということなのだろう。最後に猛攻を受けたときでもパニックにならず、集中力を保って守りきった。


一方の駒澤は、赤嶺&巻の高さに頼るだけでは押さえられるとみて、原を併用して引っかき回す手にでた。この手はある程度当たり、原は何度も筑波守備陣を崩し、シュートも枠の中に飛んだ。セットプレーでは巻の高さが生きた。赤嶺があそこまで押さえられたのは誤算だったが、それでも決定的なシュートを1本放った。が、来栖に阻まれた。DF陣も廣井を中心によく平山を封じた。結局は鈴木達のスピードにしてやられたわけだが、下がって裏のスペースを消すという選択肢がとれなかった以上(攻めるしかないので)、仕方の無い部分はあるだろう。痛かったのは、今シーズンはとうとうサイドを有効につかう形が作れなかったこと。サイド攻撃がうまくいけば、ロングボールと個人の力だけではなく、攻撃に変化を付けられれば、ツインタワーの高さも原のスピードももっと生きたと思うのだが、結局は筑波ディフェンスラインに正面攻撃をかけ、玉砕する結果となってしまった。


さて、来週日曜はリーグ最終戦・筑波vs流通経済大の直接対決で優勝の行方が決まるというなんともドラマチックな展開(日程を組んだ人すごい)。さて、どちらが勝つことやら。


で、大熊さんですが試合中はとても静かだった(笑)。試合後に4、5人の記者に囲まれなにやら熱く語っていた。とりあえず、大学リーグの選手をもっと使ってね。