J1 2nd 第12節 FC東京 1 - 1 大分トリニータ(観戦90試合目)

まったりとした昼下がりのまったりとした試合。
宴の後とはこういうことか。お客さんも少ないし。
スタジアムに着くなり、優勝記念ポスターと写真集を購入。募金のところに大行列が出来ている。
聞けば選手が来るとのこと。
で、登場したのはなんと茂庭。おい、君は安静じゃなかったのか。
バックスタンド2階の階段のところで募金が握手会になったのをみていたら、若いねーちゃんたちが「キャー、茂庭だ〜」といって駆けていった・・・・よかったな、モニ。


試合前のセレモニーでは、U19アジア選手権優勝のチャンと、連続出場記録を更新した土肥が表彰されていた。土肥のプレゼンターはなんと堀池!。ちょっと太ったね。


東京のスタメンは、

     近藤
 戸田  馬場  鈴木規
   宮沢  今野
金沢 藤山  増嶋 加地
     土肥

控えは、塩田、松本、梶山、阿部、ルーカス。
ジャーン(出場停止)、茂庭(血尿)、ケリー(お疲れ)、三浦文丈(トシ)、石川(足つった)。半分サテライトのメンバーでどこまでできるかが個人的な見所。


対する大分は、

   マグノアウベス
 吉田       西山
 梅田      小森田
     吉村
原田 三木 サンドロ 有村
     高嵜

岡中、山崎、瀬戸、松橋、高松がサブ。


ポゼッションでは東京が優勢。今野が豊富な運動量でこぼれ球を拾い、タイミング良くパスカットも見せる。宮沢は復調してきたか、効果的な展開パスを見せていた。DFは藤山がいつもの読みの良さを発揮、増嶋も無難な出来。が、攻撃に問題あり。馬場は吉村にしつこくまとわりつかれるが、攻撃のコンダクターとしての役割を果たしていた。しかし、近藤が裏への意識が強すぎ、ポストプレイがほとんど見られない。両サイドMFもスピードタイプであるため、ボールの落ち着きどころが馬場のところしかないのだ。というわけで、攻撃は裏狙い一辺倒になる。前半、加地の攻め上がりが少なかった原因は、ナビスコの疲れもあるだろうが、前線でタメがなく、オーバーラップする時間がなかったためだろう。


大分はマグノアウベスを起点にウイング的に陣取る吉田と西山に展開し、カウンター気味の早い展開を狙う。この3人にサイドMFが絡んでいき、カウンター攻撃に変化と厚みを作り出していた。特に左サイドの梅田がFWを追い越してゴール前に入っていく動きを再三みせて、東京ゴールを脅かす。守りは吉村がアンカーとしてDFライン前のスペースを埋め、サンドロ・三木が中央を固める。すでにFW・MFがサイドに張っているせいもあり、SBは守備の比重が高い。


序盤から近藤がフィジカルを生かし、重戦車のように大分DFの裏へ突進するがサンドロが警告を一枚もらいながらも押さえ、シュートを打たせない。両サイドMFも果敢に前進するが、大分の両SBが堅実な守りを見せる。とくに左SB原田は対面のノリオを完全に止めていて、35分過ぎにはノリオは戸田とポジションを交換するはめになる。


大分のカウンターはマグノアウベスの早さとテクニックを生かしたもので、なかなか鋭い。基本的にはボールを奪ったらいったんマグノアウベスに預け、高速ドリブルで前進、DFを引きつけてからサイドに展開しクロス、というパターンをとる。サイドMFがゴール前に入っていったり、ウイングの横をオーバーラップしていったりするのが攻撃にアクセントを作り出している。14分のカウンターでは後ろから飛び出してきた梅田を捕まえきれず、フリーで打たせてしまうが運良くシュートは枠をそれた。
東京はゴール前をサンドロに制圧されていたため、宮沢や金沢がミドルシュートを狙うが枠をとらえたものはなかった。
前半終了時に盛大な「シュート打て」コールが起こる。


後半開始直後も東京は同じサッカーを継続する。48分にはノリオが得意のFKを放つが、これは高速宇宙開発。50分には近藤を見切って、ルーカスを投入した。するととたんに攻撃のリズムが出来始める。ルーカスは得意のキープで後方の選手の攻め上がりを引き出す。ノリオにもいいボールが入るようになり、左サイド深いところに侵入し始める。ルーカスがキープする事でマークが分散し、馬場も生き生きと動き出す。


61分には宮沢に代わり梶山投入(同時に大分は西山out高松in。高松がCFに入りマグノアウベスが右FWにまわる)。梶山は入ってくるなり変態キープと展開力で攻撃の起点となる。64分位はルーカスが戻したボールを梶山が左にいた馬場にパス、馬場がシュートするが大きく枠を外れる。前線と中盤にボールの落ち着きどころが出来たため、加地がオーバーラップを見せ始め、69分には加地のアーリークロスに今野がファーサイドに飛び込むが、DFと交錯しながらのダイビングヘッドはわずかにゴール左にそれる。
ゴールこそ決まらないものの、試合は完全に東京ペース。70分には満を持して阿部登場(馬場out)。阿部はルーカスの周りを衛星のように動き回り、チャンスメークを行う。


対する大分はカウンター戦術に徹する。73分にはアンカーを吉村から瀬戸に代え、中盤の運動量を維持する。カウンターは相変わらず鋭く、81分にはマグノアウベスのクロスがゴール前を横切り、誰か触ればあわやというシーンを作り出す。
しかし、先制点は東京。82分に中盤で競り合ったこぼれ球を今野が素早くサイドの阿部に展開、阿部は右サイドをドリブルで前進し、大分DFが寄せてくる前にアーリークロスを入れる。ニアサイドに入ったクロスにDFの前に入り込んだルーカスが合わせ、至近距離で対応できない高嵜を抜いてネットを揺らした。


これで決まったかな、相手はカウンターしか無いしな、と思ったらなんか中盤がバタバタしている。84分には大分は松橋を投入(小森田out)、完全なカウンター体勢に移行する。ちょっと要警戒かと思った矢先、中央での梶山とルーカスのパス交換がカットされ、素早く右サイドのマグノアウベスに展開される。金沢が対応し、藤山がカバーリングで引きずり出される。中央は増嶋と高松のマッチアップ。マグノアウベスから送られたクロスに高松は少し後ずさり(東京の右サイド方向に)する。増嶋もつられて下がる。ところが高松は2、3歩下がってからスッと前へでた。遅れる増嶋。そこへ入ってくるクロス。高松のボレーシュート。ゴール左隅へのシュートコースが空いていた。土肥が飛び込むが間に合わない。86分の同点弾だった。


その後、東京はホームの意地にかけて攻勢にでるが、シュートが打てないままタイムアップ。


大分にとってはしてやったり、東京にとっては負けたような気がする引き分けゲームになった。


この日の東京には、なんというか、経験不足のようなものを感じた。欠場者の代わりにスタメンとなった若手は、いずれも高いポテンシャルを感じさせた。だが、強引に行くべきところ、慎重に行くべきところの判断が悪く、チャンスを潰してしまう。また、ここ一番というときのパスやクロスの精度の悪さ、コンビネーションの無さが目立った。アピールのチャンスにただ無難なプレーに終始してしまった宮沢も含めて、彼らがレギュラーになれない理由をはっきり感じた。誰が出てもそれなりの試合ができるまでに底上げされ、一発勝負ならどこにもひけをとらない力を出せるが、まだコンスタントに結果を出すまでのレベルには達していない、そんな今の東京の実力を象徴した試合だった。以下、東京の採点。

  • 土肥 6.0:祝記録更新。ナビスコ決勝の余韻を感じさせる好セーブを見せた。
  • 藤山 6.5:相変わらずの絶妙なポジショニングと読みの良さ。まったく疲れを感じさせないプレーぶりだった。
  • 増島 5.0:失点時のマークミスで経験不足を露呈。それ以外は無難なプレーぶりだったが、ロングフィードがあまりみられなかったのが残念。
  • 加地 5.5:メンバー入れ替えのためコンビネーションが合わなかったことや、疲労もあってか守備に比重を置いたプレーぶり。
  • 金沢 5.5:こちらも守備に重点をおいたポジショニングを見せた。マグノアウベスの同点弾アシストを阻止できなかたのは疲労の影響もあるか。
  • 今野 6.5:いつも通り運動量と的確な状況判断を兼ね備えた守備を見せた。東京が中盤戦で優位に立った原動力。疲れることってあるのかな?
  • 宮沢 5.5:安全確実なキープと展開パスを見せたが、無難に徹しすぎたきらいがある。守りにしろ、チャンスメークにしろ、もっと積極的に動いてもよいのでは。梶山の化けものぶりを見て、危機感を感じて欲しい。
  • 馬場 5.0:マークが厳しく、持ち味を発揮しきれず。ときどき見せる軽いプレーも×。
  • 鈴木規郎 5.5:右サイドにいたときは原田の守りを抜けなかった。左サイドに移ってからは突破力を見せつけたが、クロスの精度が・・・。本日のノリカルキックは宇宙開発。
  • 戸田 5.5:前半は裏への抜け出しを再三試みたが、疲労のためか次第に攻撃に絡めなくなる。基本的にチャンスメーカーではないので、逆サイドのMFあるいはトップ下がお膳立てしてくれないと力を発揮できない。守備面での貢献あり。
  • 近藤 5.0:フィジカルを生かして裏への抜け出しをはかったが、サンドロにうまくいなされて結局ノーシュートに終わる。不器用ながらもなんとかポストプレーをこなしたこともあるのだから、チャレンジして欲しい。このままでは少なくとも1トップのFWはつとまらず、サイドMFの2番手3番手に終わってしまう。
  • ルーカス 6.5:さすがのキープ力で東京の攻撃を一気に活性化させた。先制点では技ありシュートを見せたが、一方、宇宙開発も。
  • 梶山 5.5:あのキープ力は変態としか言いようがない。展開力の片鱗も見せつけた。ただラストパスで周囲との呼吸が合わない。あとゴール前まで持ち込んだときに手数をかけすぎ。強引にシュートを打っていくことも必要では?
  • 阿部 6.0:投入されるやいなやいつものように勝負にいく姿勢を見せた。先制点のアシストとなったクロスは見事。
  • 原監督 6.0:苦しい事情の中でのやりくり算段だったが、交替投入のタイミングは的確。レギュラー5人が欠けてもこれだけのサッカーができる層の厚いチームを作り上げたのが今年の功績か。あとはいつものことですがシュートを練習させてください。

一方、大分は残留争いに片足を突っ込んでいる状況もあり、現実的なカウンター狙いのサッカーでアウェイでのノルマである勝ち点1を得た。1stステージの過激にラインを押し上げるサッカーからだいぶ変質してしまったが、今のメンバーではやむをえないところではないだろうか。サンドロを中心とした堅い守りから速攻って、あ、これ東京じゃん(もちろん醸し出すテイストは違うけど)。今やれる事をしっかりやっている、好感のもてるチーム。以下、採点。

  • 高嵜 6.0:安定感のあるセービング。果敢な飛び出しも見せた。
  • 原田 6.0:堅実な守備を見せ、鈴木規郎を逆サイドに追いやった。
  • 三木 6.0:カバーリングに奮戦した。
  • サンドロ 6.5:高さと読みの良さを生かして、ディフェンスの中核となった。近藤を完全に手玉にとった。
  • 有村 5.0:後半はノリオにやられ放題だった。
  • 吉村 5.5:DFラインの前のスペースを懸命に埋めた。馬場のプレーをかなり制限した。
  • 梅田 6.0:FWを追い越してゴール前に入っていく動きが効果的。シュートは枠へ。
  • 小森田 5.5:あまり目立たないが、中盤のバランサー役を果たしていた。
  • 吉田 5.0:ゴールへ向かっていく動き、サイドを突く動き、前線からの守備、いずれも中途半端。
  • マグノアウベス 6.5:カウンターの起点としてもうしぶんない働き。
  • 西山 5.5:サイドからのチャンスメークを試みたが、結果に結びつかず。
  • 高松 7.0:同点時のマークをはずす動き、シュートの正確さともに見事。これしか仕事をしていないがフォワードは取ってなんぼ。
  • 瀬戸 6.0:吉村に代わって中盤の底を支えた。
  • 松橋 6.0:スピードを生かしたサイドアタックを見せた。
  • ハンベルガー監督 6.0:現実的なゲームプランを完遂し、結果を出した。