NIKE PREMIRE CUP東京都予選決勝 FC東京U-15深川 2 - 2 三菱養和(PK 4-5で養和の勝利)

ナイキ・プレミアカップはU-14の日本一を競う大会で、今日はその東京地区大会の決勝戦。勝者が関東地区大会に進むことができる。
本大会は例年どおりなら来年のGWに行われる。つまり2年越しの大会なわけで、本日出場する選手はU-13ということになるのかな。
全国9地区協会それぞれに1枠(ほかに優勝枠とか普及枠とかあるみたいだけど)ということで、強豪ひしめく関東地区も1枠のみというものすごく狭き門なのである。ちなみに本大会の優勝チームは世界大会への出場券が得られ、この年代では唯一の世界への門になっているらしい。


東京大会決勝および3位決定戦は夢の島競技場で行われる。
東京の末っ子中の末っ子、U-13の選手たちの対戦相手は、名門にしてライバルの三菱養和FC(実は職場の同僚にここのOBがいる)。


スタジアムに着いたときは、3決のヴェルディユース対JACPA東京の試合が終盤を迎え、ヴェルディが4-0?でリードしているところだった(電光掲示が動いてない)。
ひょっとして関係者ばっかりで入りにくいかと心配したが、結構、観客が来ている。2割ぐらいの入りかな。


陽の当たるバックスタンドアウェイ側に席をとると、U-15の選手たちが応援に駆けつけていた。青赤たすき・弾幕・旗・太鼓・青赤パラソル+青アフロのかつらとフル装備?でみんな気合い十分。ちょっと人数が少ないかなと思ったが、キックオフが近づくと続々と集まってきた。みんな結構なサッカーエリートのはずなのだが、雰囲気はいまどきの中学生そのものである。選手が入場してくると、みなユニホームを着込んで戦闘準備完了。いいなあ、本物だよ。


日だまりの中、アナウンスもない牧歌的な雰囲気でゲームは始まる。ボールボーイもいないので、シュートが外れるとキーパーがフェンスのところまで走って取りにいく。バックスタンドの芝生まで飛んじゃったらさあ大変。選手がフェンスを乗り越えて取りに行くのである。さすがにそういう場合にはベンチから予備のボール(ただの練習用?)が投げられるけど。ロスタイムにはボール拾いの時間も入っているんだろうな。


東京のスタメン(選手名はよくわからん)。

~-----23--26-----
~-13c-------28--
~----17--22-----
~14--19--15--25-
~------16-------


養和のフォーメーション。

~----13--11-----
~-12--------20--
~-----7--16c----
~21---3---4--14-
~------18-------

ちなみに、試合は25分ハーフで行われる。延長は5分ハーフ。それでも決着が付かない場合はPK戦というレギュレーション。


我らが末っ子どもは開始から猛ラッシュを駆ける。
とにかく出足が良く、ボールもよくつながって、養和を一方的に押し込み、一時はほとんどハーフコートマッチとなっていた。
東京のサッカーは、とにかくサイドをえぐってクロス、クロスといもの。その徹底ぶりはトップチーム以上で、また両アウトサイドにいい選手がいるんだわ、これが。小学生に毛の生えた選手たちとは思えないスピード感あふれる試合運びを見せていた。


序盤は左MF13番の独壇場。スピードあり、ボールテクニックあり、ボディバランスもよく、パスセンスもある。うまー。
DFの間を素早くすり抜け、サイドをえぐって低く速いクロス!
はやくも3分、13番が裏へ抜け出てクロス。これは養和DFがクリア。
続く4分、13番が左サイドをドリブル突破。ゴールライン際からファーへ低く早いマイナス気味のクロスを送る。これに東京FW二人が飛び込むが触れず。
7分、今度は13番とのコンビネーションで左SB14番が突破しクロス。FW23番が合わせるが養和DFがブロック。
10分、また13番がハーフウェイ付近で養和守備陣に囲まれるが、その間隙を縫って裏へカーブをかけた早いボールを送る。これに反応したFW23番は追いつけなかったが、近くで観戦していたJASPA東京の選手たちから、あそこを通すか、という感嘆の声が上がっていた。
さらに13分、スルーパスに13番が抜け出るがトラップをミスしてシュート打てず、しかしCKゲット。ショートコーナーは養和がクリア。


養和は中盤を完全に制圧される。クリアボールが渡ったときは、2トップが単騎でなんとか前進をはかるが、東京DF陣に阻まれる。
しかし、守備面では、ボールの支配権こそ握れないが、あきらめずボールを追い、囲みこんでコースを制限する。DFラインは集中力を保って何とかしのぐ。
すると、先制点が意外な形でころがりこむ。


14分、養和はゴールまで30mほどのところでFKゲットすると、20番がゴール前に入れ
たふんわりしたボールを、東京GK16番が目測をあやまりキャッチできず(飛び込みすぎ)。ボールはゴールへ向かってころがり、東京DFが追いすがるがクリアできず(勢い余って胸で押しちゃった)、養和が先制する。


リードされた東京は、今度は右サイド28番が中心となって反撃を試みる。こちらは完全に高速ドリブラータイプで、相対する養和DFを振り切ってチャンスメークする。
15分、その28番が高速ドリブルで突破、ニアに送ったクロスに23番が飛び込むが養和DFが先んじてクリア。
20分、再び28番が突破して上げたクロスを養和DFがクリア。クリアボールを拾った東京左SB14番のミドルはGKの手に当たってポストにはじかれる。


養和の攻撃はあいかわらず散発的で、前半の見せ場は22分にFW11番が単独ドリブルで前進、グラウンダーのシュートを放ったシーンぐらい(ゴール左へそれる)。


追いつきたい東京はロスタイムに入っても攻撃の手をゆるめない。
またもや13番がDF3人をかわして早いグラウンダーのクロスを入れる。これに23番と26番が飛び込み、ファーにいた26番が決めて「いい時間帯」に同点に追いついた。


後半は徐々に養和が盛り返す。東京のボランチ陣が疲れからか出足が悪くなり、ボールを取れない。必然的に両サイドにいい形でボールが渡らなくなり、前半はあれだけ猛威を振るった東京のサイド攻撃が鈍る。養和は選手の動きにリズムが出てきて中盤をつくれるようになり、むしろ養和がやや優勢な展開になる。


28分、東京は左CKからの展開で23番がクロスを入れ、これに13番が頭で合わせるがシュートはバーの上へ。
30分には養和がゴール正面25mでFKを得る。20番が直接狙うが、カーブのかかったボールはゴール左へ外れる。


養和はスペースに走り込む選手に次々とパスが渡り、東京を押し込み始める。東京守備陣は後手を踏む場面が多くなる。
33分に養和攻撃陣が東京ゴール前に殺到し、東京DFのクリアを拾って波状攻撃をかける。最後は13番が入れたクロスのクリアが短くなったところを20番が豪快にけり込んで養和が2点目をゲット。勝ち越し。養和選手のお母さんたちの声がひときわ大きくなる。


東京の反撃は空回り気味になる(ちょっとあせってる?)。両サイドやFWが単独で持ち込むが、最後のパスやクロスに精度を欠く。
35分、東京18番(6分、23番に代わり投入)が単独ドリブル。中へカットインしてシュートするがキーパー正面。
36分過ぎには、養和が13番→23番に交替。直後に東京も25番に代わり21番を投入。


試合がそろそろ終盤にさしかかるが、東京はなかなか決定機をつくれない。焦りの中、強引なプレーが目立ち始める。


ところが、意外な形の同点劇が起きる。
39分、東京FW陣に詰められた養和DFがGKへなんの変哲もないグラウンダーのバックパスを送る。ダメもとで追う東京の選手達。ところが、これにあせったのか養和GKがなんとパックパスを手で扱ってしまう(少なくともスローインに逃げられるタイミングだったのだが、やっぱり焦っちゃったのね)。すかさずスタンドの青赤少年が口々に「バックパース!」と主審にアピール。主審はもちろん間接FKをとる。ほとんどグラウンダーに近いFKが養和の壁に当たってこぼれ、それを18番がけり込んで東京が同点に追いつく。


しかし、養和は浮かれる東京の隙をついて間を置かず反撃する。
40分、すばやく攻め上がった養和20番のミドルシュートクロスバーを直撃する。跳ね返りを今度は養和12番が狙う。シュートは完全に枠を捉えていたが、東京GKが右手一本ではじき出すスーパーセブ!。そのCKからのヘディングシュートも東京DFがブロック。
青赤若人のちょっと梶山似の少年が「あぶね、あぶね、あぶなかったよ〜」と叫ぶ。


終盤は気を引き締め直した東京が怒濤の攻撃を見せる。
42分、18番のクロスを23番がワントラップしてシュート、惜しくもゴール左へ外れる。
45分、ロスタイムに、東京26番がルーズボールを拾い、カウンターに移りかけたところを養和2番(44分、23番に変わって2番in)に倒されて右45度距離25mほどのところでFKを得る(倒した養和2番は警告)。17番が左足で蹴るが、ふかす。


試合は5分ハーフの延長戦に突入する。
当たり前だがあっという間に時間がなくなる。一つ一つのチャンスがとても貴重だ。


延長開始1分、養和は距離のあるFKを12番がゴール前に入れ、他の選手たちが飛び込むが、東京GKがキャッチ。
延長3分、東京17番の突進で得た左CK。これを17番がそのまま蹴ってセットプレーのため上がっていたCB15番がヘディングシュート、しかしバーの上。
(ここでやっと気づいたが、大活躍だった東京13番がサイドバックに下がり、代わりに14番が前に来ていた。こんなふうにいろいろなポジションを経験させているらしい)。

延長後半は、東京が猛攻を見せる。養和は完全に押し込まれながらも、必死で守る。
選手交替は、養和が2番→24番、東京は26番に代わり29番。


延長6分、ロングボールにオフサイドぎりぎりで東京18番が抜け出し独走する。一対一になるがGKが飛び出してセーブ。
その後はメモを取っていられないほどの猛攻(いやー、ちょっと興奮していたもので)。左右からガンガンとクロスが入り、選手が飛び込む。スタンドはヒートアップ。ピッチもヒートアップしてきて、ラフなプレーが多くなる。東京はクロスボールに誰かのヘディングがわずかに合わないなどいくつか決定的なチャンスをつくったが、シュートに結びつかず、タイムアップ。


決着はPK戦に持ち込まれた。
以下、PK戦の結果。

東京 15番○ 21番○ 17番○ 19番○ 28番×(クロスバー
養和 20番○ 21番○ 12番○ 16番○ 7番○

結局は名門・養和の粘り勝ち。


東京の最後のキッカーとなった28番だが、双眼鏡で見ているとPKスポットに行くときから背中が丸まっていたし、ボールのセットもぎこちなかった。ちょっと危ないな、と思っていたら案の定バーに当ててしまった。


選手たちが肩を落とし、戻ってくる。キーパーがべそをかいている。PKを失敗してしまった28番はユニホームで涙を拭いつつ、スタンドに挨拶。しばし呆然としていた東京側スタンドの観客も、気を取り直して惜しみない拍手を送る。この間、U-18が敗退したときの惜別の念を込めたそれではなく、次はがんばれよ、という期待と励ましを込めた拍手を。


飛田給に向かうため、足早に夢の島を後にしつつ、ほろ苦い想い出をつくった彼らに少し羨望の念を覚えた。新木場駅を出発する電車の窓から見えた夢の島のスタンドには、青赤のたすきがまだ結ばれていた。