高校選手権千葉県予選決勝 市立船橋 0 - 0 流経大柏(4PK2)(観戦97試合目)

市原臨海競技場で14:00キックオフの試合である。


臨海まで歩くのを覚悟してちょっと早めに五井駅につくと、なんと小湊バスの臨時バスが運行されていた。ちょっと国見の小峰校長に似ている(体系と髪型が)小湊鉄道職員のいつものオッチャンの指示に従って列に並ぼうとすると、なんと目の前にゴタケさんが・・・。スタジアムに行く前に腹ごしらえと思ったらしく、駅前のうどん屋に連れの方と入っていった。それにしても、最近、よく見るな。


高校サッカーの試合とあって、バスの中はじょしこうせいがいっぱいいっぱい。別に制服マニアではないので市船と流経柏の違いはわからなかったが、結構かわいい子もいて目の保養になったw。それにまじって妙にガタイのいいアンチャンの一団が。なんと流経柏のラグビー部の一団だった。こいつら、船橋の駅からいっしょだったのだ。むさい。


臨海に着くとメインスタンドは結構埋まっていた。
昼間の臨海は久しぶりで(去年のアウェイ試合以来じゃないなな)、あらためてこんな雰囲気だったっけ、と思う。実は隣のコンビナートで炎が輝く夜の臨海が、ちょっとブレードランナー風で好きなのだけれど。
いかにも取って付けました、という感じに新設されたバックスタンドには両校の応援団が陣取る。両校とも、控え部員、ブラスバンド、チアガールという三種の神器?+一般生徒+父兄という構成は代わらないのだが、まったくカラーが違っていて面白かった。


市船は、もう完璧な女声(笑)。ブラバンの演奏に合わせて女生徒たちが清く正しくアイドルコンサートのノリで歌いまくる。その曲が、ロッキーやYMCAといったような定番に加えて、「想い出がいっぱい(by H2O)」なんて懐かしいナンバーもある。そして脱力感とある種の萌えを感じさせたのが、「ミニモニジャンケンピョン」と「キューティーハニー」、そして「セーラームーン」・・・_| ̄|◯・・・
セラムンですよ、セラムン
サッカー場で、あの女声で、「ミラクルロマンス〜!」なんてやられた日には・・・もう、お仕置きしちゃうぞ〜(意味不明)・・・


一方、流経大柏のほうは、もう、男くさ〜という感じ。控え部員(また百人ぐらいいる。他の運動部も混じっているのかな)のコールとチャントが中心だった。このチャントがJリーグをパクりまくり。基本はやっぱり柏(「かしわレイソル〜」を「りゅうけいかしわ〜」に変えればそのまま使える)。「レッツゴー柏」「レッドリバー」「グリーングリーン」「KAWABE」「ウッハッ柏」などなど(なんでこんなに知ってるんだ)。プラス東京!で「La Edogawa」や「東京ブギウギ」(最後のPKしか歌う機会が無かったが)。それに選手コールが長谷川選手には鹿島の「ハセ」コール、コリアン系には「イギョラ×××」。極めつけが試合開始前の景気付け。柏の「Born in the USA」(オーオオオオオーってやつ)でと浦和の「ウォーリア」を合成したもの・・・・君たち、それルール違反だよ・・・_| ̄|◯
このチャントに合わせてチアガールが踊る様はなかなかシュールである。


試合中に繰り出すコールもなかなか凶悪で、市船の選手が倒れれば「早く立て!」、市船ゴールキックのときは「早く蹴れ!」、あげくに味方に有利な判定だと「一級審判!」(そのネタをどこから・・・)。
ま、所在地が柏でOBが東京に就職してるんじゃ仕方がないか・・・


市船のスタメン。

  18渡邉俊 10榎本
 9濤  11中村 19小山
     6鈴木
7薬袋 4森下 5渡邉広 3谷津
     1中林

11中村が高めの位置にいることが多いのでこんな感じに書いてみた。
キープレーヤーに負傷者が出ており、攻撃面は苦しい。


流経柏のスタメン。

   20長谷川 9池田
 10佐藤     11清水
   6三門 12吉渓
4平木 3山下 15徐 2石川
      1林

こっちはダブルボランチの4-4-2という感じ。
長谷川、吉渓、徐が長身。池田のドリブル突破、左SB平木の左足が武器。


対照的なスタイルを持つ両チーム。紋切り型だが、組織の市船と個の流経柏と言ったところか。
キャプテン渡邉広を中心とする組織的な守備が市船の生命線。流経柏は個人のテクニックやフィジカルを前面に押し出してくる。


序盤は双方ともジャブを応酬しつつも、ロングボールを主体とした慎重な展開が目立つ。
開始1分、市船左MF9濤(なんて読むんだ?)のミドルシュートがポストを直撃する。
直後の2分、こんどは流経柏がスローインからFW9池田がドリブルで持ち込むが市船守備陣ががCKに逃げる。
7分、エリアすぐ外の混戦から市船FW10榎本がドリブルで抜け出しシュート、流経GK林がキャッチ。


相変わらずロングボールが目立つ展開が続くが、2トップの突進力に勝る流経柏がしだいに押し始める。
8分、流経柏のチャンス。FKをCB15徐が頭で流したところに走り込んだ池田がヘディングシュート、これは市船GK中林がキャッチ。
14分にはFW池田が左サイドでドリブル突破を試みFKゲット。左SB4平木のファーサイドへのFKに二人が飛び込むが、市船CB4森下がなんどかCKに逃げる。
24分、市船ボランチ6鈴木が左サイドからカットインし、流経DFを引きつけたところでスルーパス、これに左MF9濤が反応するが流経DFがCKに逃げる。そのCKのクリアボールを今度は流経FW9池田がドリブルで持ち込みファウルゲット。ゴール正面やや左、距離25mのFKを4平木が左足で狙うがGK中林の正面。


攻撃的な選手の個人能力ではひけを取っている市船は、ロングボールに加えて、ワンツーやワンタッチパスでリズムの変化をつけ、ゴールを狙う。
30分、ロングボールにボランチ鈴木が抜け出し、CKを得る。このCKから右MF19小山が頭で合わせるが、GK林がはじき出す。34分には、ワンツーで流経DFを抜き去った鈴木がゴール前にクロスを入れる。直接合わせることはできなかったが、クリアボールを拾った10榎本がシュートを放つ(GK林がキャッチ)。


35分、流経柏FW池田が右サイドゴールライン際までえぐってマイナスのクロス、これにFW20長谷川がニアサイドに飛び込むが市船GK中林が飛び出してキャッチ。続く38分、スローインを受けた流経ボランチ6三門がゴール前にクロスを入れるが長谷川にわずかに合わない。


流経柏が押しつつも得点は奪えず、前半が終了。


後半開始時に流経は右MFを11清水から8千明に交代。開始直後に市船もFWを18渡邉俊から故障明けの15森野に交代。
あいかわらず前がかりで攻め続ける流経柏に対し、市船は、隙をみてカウンターを狙う。森野のスピーディなドリブルが目立つ。
46分、前半から積極的な攻撃参加がめだつ市船ボランチ6鈴木がドリブルでエリア内に侵入するが、ドリブルが長くなったところをGKが飛び出してキャッチ。
49分には、市船7薬袋の右CKをCB4森下がヘディングシュートするが、GKがはじき出す。
52分、9濤が抜け出し、GKと一対一になってシュート。しかしGK正面をつく。


後半半ばからは、流経柏が怒濤の攻撃をみせる。シンプルなパスでサイドもしくは2トップを狙い、個人能力を生かした攻撃を指向する。
市船渡邉広大を中心に体を張った守りをみせ、GK中林が好セーブを連発する。
53分に、FKのクリアボールを拾った20長谷川が右足でミドルを狙う(DFがクリア)。
続く55分、ゴール正面20m地点で得たFKを左SB平木が狙う。平木のキックは枠を捉えるが、GKがなんとかたたき出す。
さらに58分には、CKからの混戦をボランチ12吉渓がシュートするが、GKが倒れ込みながらキャッチ。
65分には、流経柏の5連続右CK。平木が得意の左足で4本連続で執拗にニアサイドに入れ、長身選手を飛び込ませようとするが、ことごとく市船DFがクリア。最後にファーに入れたボールを長谷川が折り返すがGKが飛び出してキャッチ。
73分、CKにFW長谷川が飛び込みヘッドするがゴール上のネットに落ちる。このとき長谷川は市船CB5渡邉広と交錯、負傷する。


75分、市船は右MF19小山に代わり2上福元を投入。79分、流経柏は先のプレーで負傷したFW長谷川を7特手に交代。CB15徐がトップに上がる。
直後、市船CKからのカウンターでその徐がDF二人を 抜き去りGKと一対一へ。ドリブルが長くなったところをGK中林が飛び出し、交錯しながらキャッチ。このとき、徐が危険なプレーを行ったということで警告。


ロスタイムには、ロングボールをトラップした市船FW15森野が反転シュートを放つが、ゴールやや右に外れる。


結局、守備陣が集中力を保ち続けた市船がしのぎきり、試合は10分ハーフの延長戦に突入する。


延長開始時に、流経柏はボランチ長身12吉渓を下げ、23清水を投入。市船は交代で入ってきたにもかかわらず、15森野を下げて20白山(足を故障中)を入れる。森野は故障明けということで、時間限定での起用だったのかもしれない。


延長前半は相変わらず流経が押し気味で試合を進める。
4分には、徐が右サイドを突進、ゴールライン際までドリブルし角度の無いところからシュート、GKががっちりキャッチ。
9分、今度はFW9池田がエリア内までドリブルで進むがシュート打てず。


延長後半開始時に市船はトップ下11中村に代わり14本山が入る。
この時間になると、さすがに疲れからか、中盤での組み立てにスピード感が無くなり、単発的な攻撃が目立ってくる。主なチャンスは以下の通り。

14分、流経:徐のクロスに7特手が合わせるがバー直撃。
17分、市船:左サイド深いところからマイナスのクロス。流経GKががっちりキャッチ。
20分、市船:カウンターから20番がドリブルで持ち込み10番にパス。10番のシュートはバーへ。

結局、双方無得点に終わり、PK戦までもつれこんだ。


PKの結果は以下。

市船 6鈴木○ 14本山○ 10榎本○(キーパー逆) 7薬袋○(キーパー逆)
流経 10佐藤○ 15徐×(真ん中やや左) 8千明○ 4平木×

4-2で市船が優勝、選手権への出場権を手に入れた。


市船は攻撃面のキープレーヤーである森野と白山が怪我ということで時間限定での出場となり、その他には目立ったタレントが見あたらなかった。しかし、キャプテン渡邉広大を中心とした守りはさすが伝統というべきか、最後まで集中力を切らさなかった。あれだけ流経柏の個人技に手こずりながらも、ゴール前でマークをはずさなかったのは見事。同じ青いユニホームといえば、ことしの筑波大の堅守を彷彿とさせた。しかし、高校・大学レベルではこれほどの組織力を持った4バックがあるのに、なんで代表だと(以下略)。それとキーパーが当たっていて、きわどいシュートも落ち着いてセーブしていた。
伝統的に不得手なPK戦に際しても、今年のチームは特訓!をしていたそうで、実に落ち着いて確実に決めていた。


流経柏は、スタメンの2トップと、CBの徐、それに左SB平木、ボランチ吉渓といった個性的な(わかりやすいw)選手が目立っていた。とくに2トップのうち長身のほうの長谷川は、足元のテクニックもあり、スピードもそれなりにありで、彼の突進を見ているだけでも楽しめた。ただ、なまじ力のある選手がいるせいか、攻撃がやや直線的かつ単調になってしまった感もある。決勝戦にありがちなガチガチの展開になって、長いボールにフィジカルを生かして走り込むシーンが目立ったが、本来はパスワークにも長けたチームだと聞いたし、ワンツーなど短いパスも交えて攻撃にアクセントを加えても良かったかもしれない。


帰りの電車の中で、流経柏の女子生徒(なぜかもう制服の区別がつくんだなあw)の会話を小耳に挟む。
「月曜には新チームで練習始めるんだって。」


もう、新しい季節が始まっている。