天皇杯5回戦 大宮アルディージャ 3 - 6 FC東京(観戦105試合目)

Lasakongawa2004-12-12


サラリーマンのつよ〜い味方・ボーナス様のお力により、やっぱり来てしまった鹿児島。


といっても、JALのクラスJに矢田亜希子と乗れるほどの金持ちではないので、早朝羽田発のスカイマークで鴨池を目指す。
ロビーには青赤な人ばかり。どこかで見たことある人がいるなと思ったら、テレ東のナビスコ優勝特番で顔を晒されていたゲーフラ職人さんではないか。わーい、有名人を肉眼発見だ〜(直接の面識はありません)。
機内も青赤ばかりなり(ポツリポツリとオレンジな人)。どう見ても1/4ぐらいはサポーターである。私のようにグッズを身に付けていない忍者隊も含めれば、1/3はいるんじゃないか。
誰かが「相手が大宮でまだよかった。これが浦和だったら飛行機の中から喧嘩だぜ」とつぶやいているのが聞こえた。確かに、対テロ部隊突入後のハイジャック機みたいになるかも^^;。それよりもまず、増便が必要だ。


お仕事で前夜は徹夜に近い状態だったので、機内で爆睡。市内行きのバスでも爆睡。まわりがざわつくので目を覚ますと、もう天文館に着いていた。慌てて降りる。
みなさん、各グループに分かれて三々五々と鴨池を目指す中、一人お目当ての黒豚とんかつ屋にレッツゴー。
市電・荒田八幡で降り、店の前へ。11:00の開店までしばし待つ。やっぱり青赤な人がやってくる。開店直後は東京サポーターの貸しきり状態だった。ひれかつ定食を頼む。前菜で生ゆば、山盛りの野菜、ひれかつ4切れ、ごはん、味噌汁、漬物、デザートにマンゴープリンがついて1680円なり。ひれかつはしっかり肉の味がして美味。さすが黒豚。なにより美味しかったのがかまどで炊いたご飯。硬すぎず柔らかすぎず、甘味があって、おかずがいらないくらい。思わずおかわりしてしまった。それからバイトのお姉ちゃんの上品な鹿児島弁がなんともかわいい(←オヤジ化進行中)。


食べ過ぎたので、腹ごなしに鴨池まで20分ほど歩く。
鴨池競技場は海の近く、鴨池運動公園内にある。隣には野球場も併設されている。メインが個席、バックがベンチシート、両ゴール裏が芝生、ホーム側に3色?表示の電光掲示板という、平凡な国体仕様の陸上競技場だが、非凡なのがそこからの眺め。バックスタンドの向こうに桜島がデデーンと鎮座ましましているのだ。試合開始前は薄曇りで、噴煙は見えなかったが、雰囲気は満点。噴火してくれないかな、と考えてしまった(余談ですが、鹿児島には「ごみ捨て場」と並んで「灰捨て場」という表示があちこちにあります)。


イケイケはバックスタンド端に、私はメインSAブロックの一番中寄りに陣取る。なぜ普段のバック真中ではなくメインかというと、ここは屋根がかかっているから(^^ゞ。雨予報が出ていたのだ。
東京サポーターはメイン・バック・芝生組も含めれば400人以上。大宮はゴール裏芝生に50人、バック中央に一かたまり、メインは未確認だが、全部で100人以上はいたかもしれない。みんな、がんばって来てるなあ。
あと、バック中央前よりに藤山応援団らしき人たちがいた(桜島の少年サッカーチーム?)。
モギリと場内係員、そしてボールボーイは鹿実の部員たちが勤める。



スタジアムDJの盛り上げトークが空回りし、東京ゴール裏が「鹿児島遠い!」と一発かますなか、13:00キックオフ。
主審は「The Another World」こと穴沢主審。審判部・・・・ぐっどじょぶ(棒読み)。


大宮のスタメン。フォーメーションはいつものフラット4-4-2。

   森田 高橋

久永 金澤 斉藤 安藤正

富田 奥野 平岡 西村
     荒谷

サブは安藤智、木谷、氏家、島田、横山。
いろんな理由でブラジル人3人が帰国、レギュラーのボランチであるディビッドソン純マーカスが負傷欠場ということで台所は苦しいのだが、メンツを見る限りJ2ならそれなり実力をもつ選手たちが揃っている。やはり、昇格したチームはそれなりに層が厚い。
ボランチが金澤が攻撃時に前へ出、斉藤が守備的な役割をする。このチーム、最大の武器は安藤の正確な右足キック。したがって、要注意はセットプレーである。


東京はいつもの4-5-1。

    ルーカス
 鈴木  馬場   石川
    宮沢 今野
金沢 藤山 ジャーン 加地
     土肥

控えは、塩田、増嶋、三浦、ケリー、阿部。
茂庭、戸田が練習試合で負傷(・・・涙)。というわけで、藤山が尿道結石(なんでうちのDFは泌尿器系の疾患が多いのだ)を押して強行出場?、故郷に錦を飾った。
まあ、どうみてもイケイケサッカーで押し切るしかないメンツである。



というわけで、序盤から東京が猛ラッシュをかける。

  • 1分、石川が早速右サイドを突破、クロスを入れる。
  • 直後、鈴木が奪ったボールをインナーラップしてきたウチの金沢にパス、ウチの金沢がワンフェイント入れてあっちの金澤(ああややこしい)と安藤の間を突破、横っちょにいた馬場にパス、馬場がワントラップして放ったミドルシュートがDFの間を抜け、ゴール左に突き刺さる。びゅーてぃほー!

盛り上がる東京サポーター。お約束の「秒殺東京!」に続いて「10-0東京!」。
この時間帯、大宮はボランチ二人の動きが悪く、あっさりと中盤守備網を突破されてDFラインの前のスペースを自由に使われていた。とにかく、ウチの金沢や宮沢のフェイントであっさり抜かれているようでは話にならない。


勢いに乗った東京は調子こいて決定機の山を築く(正確にいうと、決定機の「ひとつ前」)。高い位置での猛烈なプレッシングが印象的だった。

  • 3分、宮沢があっさり囲みを突破、左オープンに流れたルーカスにフィード、ルーカスがゴールライン際でクロスをあげ、これが走りこんできた馬場(鈴木です。汗)にピタリと合うが、シュートはゴール左に外れる(決定的その1)
  • 4分、大宮のカウンターを今野が跳ね返すが、クリアボールを拾った斉藤がミドルシュート。しかし枠にいかない。
  • 5分、大宮右サイドのコンビネーション。サイドチェンジを受けた安藤正からオーバーラップした西村にボールが渡り、西村がクロス、しかし流れる。
  • 7分、左サイドを突破した鈴木が弾丸ライナークロスを入れる。ゴール前にはルーカスと馬場が詰めていたが、クロスはDFに当たってしまった(決定的?その2)。
  • 10分、宮沢が左サイド裏へフィードしたボールを受けた鈴木が今度は超高速ノリカルクロス。当然、誰も触れず(決定的??その3)。

大宮の中盤守備が甘いせいで、宮沢が大活躍し、正確な展開からサイドをえぐるシーンが続出する。とくに鈴木のガムシャラなプレー振りが際立っており、とてつもないスピードのクロスがゴール前を通過する。でも、あれじゃ誰も触れないよ。
大宮は、今野のプレスに辟易しながらも、DFラインの裏に長いボールを送ってなんとか東京を押し下げようとする。とくに2トップをおとりに使って2列目からの飛び出しを見せるあっちの金澤がターゲットになっていた。
10分すぎには、東京のラッシュが一段落したせいもあって、大宮イレブンは落ち着きを取り戻し、持ち前の組織的守備が見られるようになる。
そして、おそらくは狙っていたであろう、セットプレーからの反撃を行う。

  • 15分、鈴木がオーバーラップしてきた西村のユニホームをつかんでしまい、穴沢さんに1枚目の警告を献上する。ちょっと軽率。ここからのFKで、安藤正がファーの森田を狙うというお約束のパターンを見せる。森田にはジャーンがマークについており、力なくこぼれたボールは土肥がしっかりと収める。
  • 19分、大宮の右CK(両チームを通じてこの試合初)。ファーサイドを狙った安藤正のキックはクリアされる。クリアを拾った大宮は藤山がチェイスするのを見て裏に放り込むが、オフサイド
  • 20分、マイナスのパスを受けた大宮FW高橋がフリーでミドルシュート、しかし枠を捉えられない。

監督の指示かどうかわからないが、15分から20分ぐらいまで、石川と鈴木がポジションを変えていた。しかし、さしたる効果はみえなかった。
大宮は、東京の甘いプレスを縫ってパスをつなげるようになる。東京は前がかりになっているせいで、とくに両サイドMFの後ろにスペースがあり、そこをしばしば使われる。
この状況をしのぐべく、土肥の激が飛ぶ。観客が2615人というJFL時代を彷彿とさせる長閑な雰囲気(私はほんの数試合しかしらないけど)、加えてこの時間はちょっとまったり目の展開になってゴール裏のコールも途絶えていたので、選手の声がよく聞こえるのだ。土肥ちゃんの主たるターゲットは加地。「加地、当たりにいけ」「中へ絞れ!」「前へ出ろ!」とこき使われ、スタンドから笑いが漏れる。


このあたりから、ちょっとゲームの雲行きが変わってくる。ほんとの雲行きも変わって、16分すぎから雨が降り出し、桜島に傘雲がかかる。なんだか怪しげな雰囲気がただよいはじめたが、ここで東京が追加点を得る。

  • 21分、久永が今野に後ろからタックルをかけ、穴沢さんに警告献上。しかしこれで得たFKから、宮沢がゴール前にカーブをかけたボールを送る。ジャーンがDFのマークを外して押し込み、東京2点目。

久永のタックルをうけて頭に血が上っていたのか、今野が何回もボールをゴールに蹴りこみ、穴沢さんからやさしく?諭される(笑)。

久永は、そんなに危険な場面でもないのに警告覚悟(でしょう)のタックル。あるいはチームに活をいれる意図があったのかもしれない。こんなところは、さすがにピッコリ武闘派政権時代の福岡、その生き残りである(野田、ビスコンティ、前田、そして中払・・・なんつー連中だ)。
それはともかく、再び東京ゴール裏は沸き立つ。
「20-0東京!」「コールド東京!」
と大騒ぎ。みんな、鹿児島まで来たモトをとろうと一生懸命だ(笑)。


しかし、大宮はあわてずに反撃の機会をうかがう。4-4-2のコンパクトな布陣を保ち、中盤にスペースを与えない。ラインコントロールもしっかりとしている。このため、東京の攻撃は早さをそがれ、序盤のラッシュのツケも回ってか、しだいに運動量が落ちていき、必然的に狭い中盤でパスコースがなくなり、次第にボールの動きが停滞し始める。
そして、しだいに大宮のプレスが強まり、ボール奪取から早いパス回しでビルドアップ、というシーンが出始める。
東京はカウンター気味に攻める場面が多くなる。

  • 22分、大宮の反撃を跳ね返し、カウンター気味の局面で馬場が前線のルーカスを狙う。ところが奥野が統率する大宮4バックはいったんさがってからさっとラインを上げ、ルーカスをオフサイドにしてしまう。これに詰まった馬場がいったんこねてから右オープンへ、そこに石川が走りこむが、ディレイかけている間に大宮ディフェンスが戻り、クロスを入れられずにCKへ逃げられる。石川の右CKからジャーンがヘディングシュートを放つが、はずれ。
  • 30分、CKのクリアボールを拾った石川が大宮右SB西村を抜き去ってクロスをあげる。ファーサイドにいたジャーンが頭で触るが体勢を崩していてシュートにはならず。
  • 31分、大宮、左CKのチャンス。土肥が飛び出すがキャッチできず、一瞬危なかったが東京ディフェンスがCKに逃れる。
  • 37分、加地が右サイドを突破、クロスにルーカスが頭であわせるが、ゴール右へ外れる。
  • 39分、大宮が中盤でのパス回しからゴール前に進出するが、東京がCKに逃れる。大宮の左CKを安藤正が蹴り、ファーサイドに流れたボールに奥野と冨田が飛び込み、冨田がヘディングシュート。ゴール前にカバーに入った選手(鈴木)と土肥の反応が間に合わず、ネットが揺れる。私の位置からは奥野のダイビングヘッドのようにも見えたが、左SB富田のゴールとのアナウンス(録画で確認:やっぱり冨田)。このとき、冨田と奥野が交錯し、奥野が痛んでしばらくピッチ外へ。

東京は前の4人の戻りが遅く、引き気味に構えたボランチとの間にギャップが生じる傾向が見え始める。大宮のプレスが強まり、コンパクトな布陣にスペースを消された馬場が次第にゲームから消え始める。東京はサイドを使ったカウンター気味の攻撃に活路を見出そうとするが、決めきれないままに大宮の反撃を許す。
大宮はワンタッチ、ツータッチで手早くにパスをまわし、寄せが遅く、対応が後手後手に回った東京ディフェンスを振り回す場面が出始める。東京はエリア内を固め、シュートは打たせなかった(大宮の前半シュートは、FW高橋の1本と、ボランチ斉藤のミドルが3本、そして得点となった富田が1本で、エリアの中でのシュートはセットプレーの冨田だけ)。
しかし、再三セットプレーのチャンスを献上し、安藤正が正確なキックで襲う。ジャーンが森田の対応にかなり苦戦しており(森田が勝てているわけでもないが)、その森田をおとりにしたCKで1点を献上してしまった。大宮は明らかにセットプレーを狙っていた。後方に守りを二人しか残さないという徹底ぶりだった。
ゴールに喜ぶ大宮サポーターが大旗を振り回し、J2名物?芝生席ランニング大会を開催する。それを指をくわえて?見つめる東京サポーターたち。


リードしたまま前半が終わったが、東京サポーターの誰もがちょっといやな予感を抱えていたと思う。
そして後半、トタバタ喜劇の幕が上がる。




後半開始時に、東京ゴール裏は「とんぼ」の大合唱。いいメロディーだねえ(しみじみ)。
雰囲気が良くなったところで後半開始。


雨が降り続く中、大宮が両サイドMF、とくに左の久永を起点にしてチャンスを作り始める。トップにくさびをいれてからサイドに展開、という形ができはじめる。これに対し、東京は両サイドを使ったカウンターで追加点を狙う。

  • 48分、大宮左MF久永のクロスを入れるが、クリアボールがカウンターにつながる。鈴木がドリブルで持ち込み、中央の宮沢にパスしてミドルシュート! はGK荒谷がなんとかはじき出す。
  • 52分、森田が落としたボールを安藤がドリブルでタッチライン際まで持ち込む。これを止めようとした今野がファウルを犯し、コーナー近くで大宮のFK になる。このFKのクリアボールからカウンターになり、再び鈴木が疾走、力任せに放ったシュートはGK荒谷がキャッチする。
  • 53分、石川がスピードを生かして右サイドを突き、CKをゲット。石川自身が蹴ったCKから今野がヘッダーを放つがゴール右へはずれる。
  • 55分、加地のロングスローがラインの裏にいた鈴木のところへ飛ぶ。大宮DFは完全に虚をつかれ、鈴木はフリーでオーバーヘッド!。シュートはGK正面を突いてしまうが、その積極性はよし。
  • 56分、久永のアーリークロスに高橋が抜け出し頭で合わせるが、シュートはネットの上へ落ちる。かなり決定的だった。
  • 57分、藤山が見事なパスインターセプトを見せ、そのまま左オープンの鈴木へパス。鈴木はゴールライン際までえぐってからグラウンダーに近い、低く速いクロスを送る。ルーカスが詰めるが、これに先んじた大宮CB奥野が足をだし、見事にゴールに叩き込む。オウンゴールで東京が3点目。

この日の鈴木のクロスはまるで荒れ球のピッチャー?のようで、どこに飛んでくるのか敵も味方もわからない状態だった。奥野かわいそ。


この得点で興奮?した東京サポーターの一団が旗を振り回しながら大脱走を歌い出し、移動中にそこいらにいた子供を動員しつつ、ついにバックスタンドを横断、ホーム側の端に居ついてしまう。とうとう史上初の分裂応援に突入した(笑)。本隊からの「♪帰ってこいよ〜(金沢明子)」という呼びかけもむなしくいっこうに戻る気配を見せない。分裂組のすぐ横に、「埼スタ」と書かれた紙を椅子に貼り付けたオレンジなおじさんがポツンと一人だけいたのだが、なんだかさびしそうだった。


しかし、喜びは長くは続かないもの、数分後にはあえなく失点してしまう。

  • 大宮は失点直後の58分、大宮は右SB西村に代えMF島田を投入、左MFに据える。右MFは久永が移動してきた。安藤正はボジションを一つさげSBの位置へ付く。フォーメーションはこんな感じになる↓

   森田 高橋

島田 金澤 斉藤 久永

富田 奥野 平岡 安藤正

     荒谷

  • 59分、島田のクロスに飛び込んだ奥野がフリーでヘディングシュートを放つ。これをジャーンがクリアし東京はカウンターに入る。サイドをえぐった鈴木からクロス、そのクリアボールを再び鈴木がクロスを入れる。最後は馬場が中央でキープしシュートコースを探すが、打てないまま大宮DFに潰される。
  • 63分、大宮の左CKをウチの金沢がクリアし、またカウンターになる。今度は石川が右サイドをドリブルで持ち込み、左の鈴木へ大きなサイドチェンジを送る。ここから鈴木が強シュートで狙うがGK荒谷がなんとかはじき出す。こぼれ球にルーカスが詰めるが触れず。

プレーが切れたところで、東京は馬場→ケリーの選手交代。ケリ〜〜〜!!

  • 64分、宮沢のミスからボールを奪われ、安藤正の長く正確なアーリークロスがゴール前ファーポスト側に走り込んだ高橋にどんぴしゃりと合う。このとき、ジャーンと土肥の連携が悪く、高橋にフリーでシュートを打たせてしまう。ジャーンは土肥がキャッチすると思ったのか途中でクロスを追うのをやめ、土肥は土肥でジャーンがクリアするものと思い、突っ立ってボールを見送り、シュートコースをがら空きにしていた。高橋がフリーでシュート、土肥があわてて前へでるがボールはその脇をすり抜け、サイドネットに収まる。

大宮、1点差に追いつく。

ケリー投入は、前線でボールをキープして試合を落ち着かせるという意図があったと思うのだが、大宮の勢いは泊まらなかった。
大宮は、森田に当てたボールをセントラルMFのどちらか(あっちの金澤が多いかな?)が受けてサイドに展開、サイドからのクロスに2トップ、とくに高橋が飛び込むという形が出来始める。大宮は人もボールも早く正確に動き、次々とフリーの選手を作ってパスを回す。東京のチェックが後手後手になり、結局はフリーの選手をつくられてクロスを上げられ、ボランチ陣がひきずり出されて丸裸になったCBが大宮2トップに一対一での対応を余儀なくされた。右サイドの久永・安藤正の2段アタックが効果的で、とくにポジションを下げた安藤正がある程度フリーになる機会が多くなり、長目の正確なクロスが入り始める。


このあと、分裂応援組のみなさんがしょんぼりして本隊のところに戻ってくる。そのあとをぞろぞろついてくる小中学生たちがおかしい。
なんとなく落ち着かない雰囲気のスタンド。ピッチの中はもっと落ち着かない。あいかわらず大宮がいいようにボールを回し、東京ディフェンスは振り回される。

  • 66分、大宮は電柱FW森田にかえてスピードのある横山を投入、あきらかに混乱している東京守備陣を引っかき回しにかかる。
  • 交代直後、加地の軽率なサイドチェンジが大宮FW高橋にカットされ(なんでピッチの真ん中にサイドチェンジ送るんだよ、怒)、高橋がミドルシュートを放つ。かなりやばい弾道だったが幸運にもポスト直撃。
  • 68分、右往左往している若衆に喝をいれるべく、ベテラン三浦が投入される(宮沢out)。三浦はとにかくボールを追ってはしりまわるが・・・
  • 69分、再び安藤正のアーリークロスに飛び込んだ高橋が、ジャーンのマークを振り切ってヘディングシュートを放つ。土肥が反応しきれない。大宮、なんと同点に追いつく。

大宮サポが芝生ランをしているなか、2点目とまったく同じパターンでの失点に怒る人がちらほら。いちどドタバタしだすと、なかなか落ち着かないんだよな、もう。
この時間帯の大宮の攻撃は、まるでジュビロを見ているかのようで(ほめすぎ)、ワンタッチ・ツータッチの速いパス交換とフリーランで東京の守備網を崩していった。
実はこの失点以外にも、エリア内で大宮の選手を倒してしまったシーンがあったのだが、この日の穴沢さんは「流す穴沢」。後ろからのタックルとか、ユニホームを掴むとかの見え見えの場合以外はほとんどファールをとらず、接触プレーで選手が倒れても、立ち上がるようジェスチャーで促してプレー続行。悔い改めたのか、判断つかない場合は極力流すと決めたのか、のどかなスタンドでサポーターからのプレッシャーが少なく、選手もプレー自体に集中していたせいなのかわからないが、おかげで流れの切れない「いい試合」になった。しかし、プレーが切れないせいで両チームとも落ち着きを取り戻す暇がなく、結果的に乱戦に拍車をかけたのはやっぱりAnother World(笑)。


しかし、ドタバタしているのは大宮も同じだった。堅い試合運びで昇格を勝ち取った彼らは、まったく乱戦に慣れていない。
東京は、交代で入ってきた三浦がとにかく大宮のボールホルダーを追い掛け回して攻撃につなげようとする。大宮が同点に追いつく原動力となった攻撃的な右サイドの裏、安藤正が攻め上がったスペースを、東京が突く。

  • 71分、鈴木のスルーパスにルーカスが裏へ抜ける(というよりドリブルで前進する鈴木を止めようとした大宮DFの足にあたったボールがちょうどいいスルーパスに なったように見えたが)。完全にフリーになったルーカスが左サイド側ゴールライン際で余裕を持って中を向きルックアップ。右足で落ち着いて送ったグラウンダーは大宮 DFとGKの間を抜いて右サイドに入ってきた石川の足下へぴたりとおさまる。これを石川が流し込んで東京が勝ち越し。

この直後、あまりにあまりな試合展開に桜島も興奮したか(んなわけない!)、地震が発生。気象庁によればマグニチュード5.1、鹿児島市内は震度3なり。



東京の勝ち越し点のあと、さすがに気落ちしたのか、大宮の勢いがなくなってくる。三浦監督はセントラルMFを斉藤から木谷へ交代し中盤の運動量を維持しようとする。しかし、チーム全体が力を使い果たしてしまったようで、引いて守備体勢に入ってもボールホルダーへプレッシャーをかけることが無く、ただポジションを埋めているだけになり、自陣内でいいようにパスを廻されることが目立つようになる。

  • 73分、大宮は斉藤を下げ、木谷を投入する。木谷は斉藤の抜けたボランチに入る。
  • 76分、東京は鈴木に代え(ケガ?)、阿部を投入する。
  • 81分、東京は攻め込んで右に左にパスを回して大宮守備陣を揺さぶる。藤山のフィードを左コーナー付近で受けた阿部が起点となり(胸トラップうまい)、最後はウチの金沢からパスを受けたルーカスが中央から狙いすましたシュートで5点目。 大宮を突き放す。
  • 82分、藤山がパスインターセプト。ルーカスにボールを預けてそのままバイタルエリアへ前進する。そしてルーカスが藤山にリターンを返す(さすがいい人ルーちゃん、空気が読めるw)。 そして藤山シュート!!!!は、ジャストミートできなかったようで、打ちそこねたボールがボトリとピッチに落ちる。メインスタンドは大爆笑。バックスタンドではほんとに転がっていた人が見えた(このちょっと前にもミドルをいつものスライスでふかした場面があった)。
  • 88分、右サイドからの阿部のクロスが大宮DFの間を抜け、ファーにいたケリーへ。前へ出すぎだと思ったが、なんとこれを左足ヒールでゴールへ流し込む。

とどめをさすべく、ヒロミ監督は切り札阿部を投入。いつものように左MFに入った阿部ちゃんはいつものように勝負をかけ、サイドに起点を作り出す。守りでは藤山が再三のインターセプトを見せ、チームにリズムを作り出す。
大宮は完全に運動量が落ち、ルーカスの5点目のシーンでも寄せる選手がいなかった。藤山が攻守に見せ場を作った後、感動のケリーゴールが訪れる。
この瞬間、メインもバックも大爆発。ケリーは一目散にバックスタンドへ向かう。ゴール裏の面々はフェンス際に駆け下りる。もう、大騒ぎ。
ケリーのプレーは今シーズンの悪いときそのままで、こねて取られる、という繰り返しだったのだが、最後にケリーでしかできないプレーを見せてくれた。


エンドレスでケリーのチャントが歌われるなか、時が過ぎる。寂しさと幸せを共有する時間が、刻々と過ぎる。みんな、ケリーの動き一つ一つを目に焼き付ける。


実をいうと、私は本当に凄かった時期のケリーを、生で見ていない。パラナ州からやってきた、目の間隔が広い、謎のフットボーラーのデビュー数試合を見た後、海外赴任となったためだった。去年、帰ってきて久々の味スタへ。そして、文字通りの「将軍」として君臨するケリーを半年だけ堪能した。そして今年、開幕前のケガが長引き、復帰しても昨年のパフォーマンスを取り戻せず、馬場や梶山が台頭し、そして事実上の解雇通告。


でも、ゴールを決めてバックスタンドに駆け寄るとき、彼は胸のエンブレムを誇らしげに指していたように見えた。それほどチームに愛着を持ってくれる選手を得たこと、そのことが嬉しかった。


穴山主審が終演の笛を吹き、波乱万丈の鹿児島・鴨池劇場がハッピーエンドを迎えた。挨拶を終えた後、バックスタンドに歩み寄り、記念品?を受け取るケリー。マフラーを落として拾いに戻ったのはご愛嬌。インタビューを終えた石川のシャー。メインに戻ってくるケリーをまじまじと見つめる。メインスタンドから送られる歓声に答えたあと、彼はロッカールームに消えていった。



大宮は、外国人3人がすでに帰国、とくにスピードがありカウンター向きのFWを欠いていたため、しっかり組織的に守ってセットプレーで点を奪い、あわよくば最小得点差で勝つ、というゲームプランだったと思う。たしかに安藤正の蹴るセットプレーは脅威を与えており、実際に1点を奪った。しかし看板のフラット4-4-2が機能している時間帯が短すぎた。このシステムを機能させるためには、3ラインがコンパクトな陣形を保ち統制されたプレスをかけることが不可欠であるが、序盤に中盤の守りが甘すぎて早々と失点し、早い時間帯に追加点を奪われてゲームプランがあっさり破綻。東京の高速サイド攻撃によって裏のスペースを脅かされ、ずるずるとラインが下がって間延びした中盤を使われ、波状攻撃を許すという悪循環に陥っていた。
しかし東京がペースダウンした時間帯には本来の組織サッカーが発動し、同点に追いついたところにはこのチームの持つ力、可能性が感じられた。イーブンスコアを維持できなかったのは、同点にした時点で力を使い果たしてしまったためだろう。やはり飛び道具たる外国人FW抜きでの乱戦はきつかったというところか。
すでにベースが出来ているチームだけに、補強しだいでは来季のJ1でも粘り強く戦うのではないだろうか。


東京だが、あいかわらず相手に合わせてしまう悪癖を存分に発揮してしまった。結局は攻撃力の差に物をいわせて押し切ったが、序盤20分ぐらいまではやりたい放題だっただけに、ここでもう1点ぐらい奪っておけば楽に勝てたものを・・・まったく。メンタルな面を抜きにすれば、茂庭不在の大きさを感じた。

土肥 5.5:ジャーンとの連携ミスで喫した2失点目がマイナスポイント。本日は神降臨せず。
加地 5.5:攻撃面では石川とのコンビで見せ場をつくったが、守備では集中力を欠いたプレーが目立つ。
ジャーン 5.5:ギックリ腰からコンディションが回復しきっていないのか、動きがいまいち。いつもの読みの鋭さが見られず。
藤山 7.0:故郷に錦と笑いをもたらした、本日のMVP。混乱する他の選手を尻目に、カバーリングインターセプトに八面六臂の大活躍。あとはシュートとフィードの精度だ(それは昔からw)。
金沢 6.0:相変わらず、地味に効いていた。なんだかんだで2アシストしたことを意識している人はいるのだろうか。ただし守備面では気の抜けたプレーもあり。
今野 6.0:相変わらずの潰し屋ぶり。もっともパフォーマンスの安定している選手だろう。あとは展開力だ。
宮沢 5.5:前半はその展開力を見せつけた。大宮に追撃された時間帯に、いい働きができなかったのがマイナスポイント。だいぶ改善されてきたが、今野との役割分担がまだギクシャクしているような・・・
鈴木 6.0:最後にケリーに主役を奪われたが、本来、今日は規郎ショーとして位置付けられる試合だった。前半は誰も触れない高速クロスで、カウンターの尖兵としてこき使われ、左サイドを疾走して強シュートの雨をGK正面に降らせていた。そのキック力ゆえにクロスを味方にあわせるにはピンポイントのコントロールが必要だという宿命wを背負っているが、最近の勝負を挑む姿勢は見ていて気持ちがいい(それが奥野のOGを演出した)。かまわん、今はガンガン行け。この天皇杯は君にやる。
馬場 6.0:序盤はいいリズムでボールを散らし、攻撃をリードした。先制点はビューティフルゴール。ただし、マークが厳しくなるにつれ試合から消えた。差し引きでこの点数。
石川 6.5:気持ちよく右サイドを疾走していた。ひょっとして今季初得点?
ルーカス 6.5:カウンター気味の展開が多かったため、いつものキープは見られなかったが、決めるべきときにしっかり決めた。サイドに流れてのチャンスメークもしっかりこなした。藤山へのアシスト未遂はGJ。
ケリー 6.0:コネる悪癖が直らないが、あのシュートはケリーにしかできない。
三浦 6.0:オタオタする若衆をリードし、試合を立て直した。
阿部 6.5:阿部の勝負はトドメの予感。
原監督 6.0:選手交代は的確。悪い癖ははやめに修正を。

大宮の採点は省略。


帰りは天文館をブラブラして、鹿児島ラーメンを食べてから(ここにも青赤が・・・)、朝と同じく貸し切り状態のスカイマーク最終便で帰京した。


一人で来ているものも、グループできているものも、三々五々と家路につく。
あるグループが私の目の前で挨拶を交わし、分かれていく。
「じゃ、来週、埼スタで!」


それを聞いて、私も心のなかで言う。
「来週、埼スタで(あ、ひょっとしたら西が丘に行っちゃうかも・・・)」