ゼロックススーパーカップ 横浜Fマリノス 2 - 2 東京ヴェルディ(PK 4-5で緑の勝ち)(観戦2試合目)
いつのまにか長い伝統を誇るようになったプレシーズンマッチ、今年は横浜国際で開催(というのは国立のスタンドが改修中なためなのだ・・・)。このただっ広いスタジアムも来月から日産スタジアムになるとかで、横酷という通称が使えるのも最後になるかもしれない。
田園都市線沿線に用事があったため、本日はいつもの渋谷→菊名→小机というルートではなく、長津田から横浜線を使ってスタジアム入り。キックオフ1時間前に小机に着くと結構客が多い。しかし巨大スタジアムの宿命で2万強の観客を集めながら寂しい雰囲気が漂っていた。コンコースをぐるっと回ってアウェイ側2階バックスタンドの自由席エリア前列に席を占めた。この辺は、鞠サポ、緑の人、それに私のような物見高い他チームファンや一般サッカーファンなどの混在エリアとなっていた。
鞠のゴール裏は、1階席は一応埋まっている。緑の方はいつものように少数精鋭で1階の中央に集結していた。
まず、マリノスのスタメン。
清水 大島 奥 ドゥトラ 田中隼 上野 那須 中澤c 中西 栗原 榎本
控えは榎本2号、河合、大橋、遠藤、山崎。
恒例?のケガ人続出に加え、風邪が流行したりキムチ中毒?で腹をこわしたりと踏んだり蹴ったりで済州島合宿から帰ってきたマリノス。ケガ人はジョンファン、久保、坂田、松田、山瀬、アデマールと豪華メンバー(ホントにすごい)。それでも大島と清水が残っているところはさすがの選手層。
緑はというと、
ワシントン 平本 平野 小林大 相馬 山田 小林慶 戸田 林 李 高木
サブは、水原、柳沢、塗師、町田、森本。
注目はやっぱりワシントン。なんでもブラジル選手権得点王だそうだ。米山や戸川、上村がケガらしく、DFの本職は李だけ。ウベダを放出して良かったのか?
主審は上川さん。寒い中、13:30キックオフ。
キックオフ直後、マリノスのチャンス。
しかし、ポゼッションに勝る緑が流れをつかむ。
ショートパス交換でプレスをかわし前進していくという緑らしいサッカーを見せる。3DFの真ん中に入っている林だが、フォアリベロ的なプレーをしており、DFラインから前へでてボールを奪い、そのまま中盤の底に位置して組み立てに参加する。もちろんマリノスはFWから忠実にチェックをかけるが、ひらりひらり、という感じでこれをかわし、網を抜けたところで左の相馬に展開する。相馬は15分までに3本ほどいいクロスを入れていた。ターゲットとなるのはワシントン。でかいだけあって、ターゲットとしては機能している。
20分すぎからマリノスも反撃を始める。マリノスらしい、縦に速いカウンター気味の攻撃をみせる。緑の繋ぎのコンビネーションがしっくり来ないせいもあってか、次第に流れは拮抗し始める。
- 20分:奥のフィードに大島がオーバーヘッドシュート(一応、足には当てたぞ)。
- 21分:緑の逆カウンター。山田が右サイドをドリブルで前進。真ん中のワシントンを経由して平野から相馬へ。しかし田中隼が今度は止める。
- 22分:緑のビッグチャンス。ワシントンがロングフィードをうける。後ろに中西を背負っていたが、するりと反転してかわすとゴールに向けてドリブルする。榎本と完全に一対一だったが、大事に行き過ぎたのかなかなか打たず、結局追いすがる中澤にシュートコースを制限され、ゴールエリア内の角度の無い位置から打たざるを得なくなる。シュートは榎本がブロック、こぼれ球を小林慶がシュートするがなんとかクリア。
- 25分:田中隼が中へ、受けた奥がスルーパス。大島が反応するがオフサイド。
決定的チャンスを得たワシントンだったが、なんとも日本人的なハズシ方を見せる。
この後はむしろマリノスのペースになる。
この時間帯はマリノスのプレスが機能しており、緑はボールを前に運べなくなる。それでも緑は緑というべきか、DF陣は林を筆頭にあくまで繋ぎにこだわる。マリノスのFW陣がチェックを掛けてきているにもかかわらず、DF同士でショートパスを交換し、かわそうとする。このこだわり、ほとんどビョーキ(笑)。
マリノスは清水がいつも通りの勤勉な動きで左右に動き回ってかきまわす。大島もまあまあ機能している。
あくまでパスサッカーにこだわる緑と、忠実で組織的な守りをベースに手数の少ない攻撃でゴールを狙うというマリノス、お互いにらしいサッカーを見せた前半だったが、パスを回す割にシュートが打てない(決まらない)緑、ゴール前に迫っても決める人がいないマリノスという、これもよく見るパターンを見せ、なんとなくまったりした感じの前半が終わった。
後半は一転して点の取り合いとなる。
緑の運動量が落ち始め、マリノスが中盤でボールを回せるようになる。そして前半は陰を潜めていたサイドアタックが機能し始める。
このへん、今季初公式戦の緑と、済州島合宿で3試合ガチンコな試合をしてきたマリノスとのコンディションの差があったのかもしれない。
中盤の力関係が変化し始める。前半は動きながらショートパスを交換していた(だからこそマリノスを翻弄できた)緑だが、運動量が少なくなり立ち止まった選手同士での足元パスが目立ち始める。これを見逃すマリノスではない。緑は両サイドのチェックも緩くなり、右の田中隼、左のドゥトラから雨あられとクロスが入り始める。これでマリノス有利かと思ったが・・・
ワシントンの一発芸で先制した緑。しかしマリノスがこのまま黙っているはずもない。
戸田がやってしまった(笑)。林と李は完全に不意をつかれ、大橋を止められなかった。その後、戸田へのパスが明らかに減ったのは笑ってしまった。外様いじめの伝統、ここにありw。
マリノスのほうは、那須が3バックの中央に入り、遠藤がボランチの位置へ。
同点に追いついたマリノスが攻勢に出る。緑もカウンターを試みる。
- 76分:田中隼がゴールラインまでえぐって入れたマイナスクロスに奥が合わせるが、シュートはゴール左にはずれる。はっきりいって、決定的です。
- 78分:緑のカウンター。スルーパスに反応したワシントンが上手く裏に抜けかけるが、自分でボールを踏んづけてしまい、チャンスを潰す。
- 80分:再び田中隼のクロスから大島のヘディングシュート。
- 80分:その直後、ピッチ内で行われている陰湿な戸田いじめ(笑)を見かねたのか、アルディレス先生は塗師と交代させる。この人、サカマガの選手名鑑に載っていないぞ。
- 82分:病み上がりの奥が山崎と交代。
- 86分:マリノスがFKを得る。大橋の蹴ったボールは枠を捉えた。高木が横っ飛びではじくが、ボールは右サイドへ。これを誰か(大島?)が拾ってゴール前に入れたボールに詰めた田中隼が体で押し込んでマリノスが勝ち越し。
当然、大喜びのマリノスサポーター。ゴール裏でパラソルがくるくる回る。どうでもいいが、数が非常に増えている。鳥よけのつもりかい?
これで勝負ありと誰もが思ったのだが・・・
ロスタイム2分:おそらくラストプレーになる(実際そうなった)。緑がマリノス陣内にボールを持ち込む。平野がダメ元でゴール前にシュート性のボールを入れると、これをカット?したワシントンが那須を背負いながらするりとターン、ドリブルで前進する。カバーに入った中澤が追いすがるが、ワシントンは手を掛けられつつもこれを引きずって前進、榎本の横を抜く緩いグラウンダーでゴール左隅に流し込む。緑同点。
決まった瞬間、なんとマリノスの選手数名がおねんねしてしまった。飛び上がる緑サポ。頭を抱える鞠サポ。そして爆笑する私のような「一般」な面々。
そしてPK戦。
鞠 栗原○ 大橋○ 上野× ドゥトラ○ 田中隼○
緑 林○ ワシントン○ 小林慶○ 平本○ 李○
というわけで、PK4-5で緑が優勝した。天皇杯に続き、お久しぶりのコピー機杯獲得らしい。ま、興味ないけど。とりあえずオメ。
マリノスはアンも久保も松田もいない飛車角落ちのようなメンバーだったが、組織がしっかり機能しているのはさすがだった。前半こそ緑のパスワークに翻弄されたものの、FWからDFラインまで統制された守備網がしっかり機能していた。代役FWである大島と清水だが、大島はターゲットマンとしての役割を、清水は前線を動き回ってスペースに入り込む/スペースをつくる役割をしっかりこなしていた。開幕に向けてのコンディショニングも順調に進んでいるようで、選手たちがよく動けていた。特に田中隼とドゥトラはこの時期にこんなに動いて大丈夫なのか?というほど働いていた(ということはそのうち・・・)。心配なのはがんばりすぎて何度も痛んでいた中西と、精彩を欠いていた奥ぐらいか。
過密日程ゆえ、いま好調な選手はそのうちコンディションを崩すだろうが、そのころにはケガ人が戻ってくるだろうし、バックアップもそれなりに計算のできるメンバーが揃っている。今年も岡田監督がうまくやりくりし、しっかり勝ち点を稼ぎ、優勝戦線に残っていきそうな感じがした。ただしベストメンバーが揃う機会は少なそうだけど(笑)。
今日の緑はワシントン様々だった。大型選手(189cmだそうです)にありがちな見た目もっさりした動きだが、足は決して遅くはない。しかしスピードタイプではなく、ポジショニングが良いのと、DFを背負ってボールを受けてからターンして前を向くのが速い。玉田のようなキュッキュッという感じではないが、動きが(もっさりした感じながら)スムーズなのである。DFの前にするりと入り込む→ボールをトラップしてターンしやすい場所に置く→反転する→ドリブル→シュート、という一連の動作がしっかりイメージできている(計算されている)と感じた。シュートもGKとDFの位置をしっかり確認してシュートコースを定め、ゴールに落ち着いて流し込んでいる。ドリブルは鋭さは感じないが懐が深くてボールを奪いにくい感じ。フィジカルはもちろん強い。まとめれば、局地戦に強い、つまり狭いスペースでもしっかり仕事ができる(そして頭のいい)FWという印象だった。
次にワシントンを止められるか、という点について考える。この日ワシントンにしてやられた(決定機をつくられた)DFは中西、栗原、那須。栗原はセットプレー時のポジション争いでしてやられ、中西と那須はワシントンの背後に付いていたにもかかわらず、うまく反転されてしまったもの(中西の場合はGKがシュートをブロック)。中澤は、というと自分が責任をもってマークしているとき(一対一のとき)はワシントンを制圧していた。とくに後半はほとんどまともなプレーをさせなかった。決定機が訪れたのは流れの中で他の選手がワシントンに付かざるを得なかったときなのだ(逆に言えば、ワシントンが中澤を避けるようなポジション取りをした、ということなのかな。そこまで考えてやったならすごい)。この点はマリノスにとって不運だったと思うし(松田がいればね)、中澤にとっては痛恨だろう(俺がマークに付いていれば・・・)。前を向いた時のワシントンの強さ・うまさは見てのとおりなので、中澤級のDFが密着マークするか、人数をかけて封じ込めるかしない限り試合のなかで何回かはシュートチャンスをつくられてしまいそうで、かなり活躍するんじゃないかと思う。
上記の中澤・松田マリノス組や東京のジャンモニコンビみたいな、高さと(人に対する)強さとうまさ(茂庭がうまいか、というつっこみは勘弁を)を兼ね備えたセンターバックじゃないと、ワシントンを止めるのは難しいと思う。
そのほか、緑の攻撃陣では相馬がいいプレーを見せていたし、平野が調子良さそうだった。山田の上がりが少なかったが、これは相馬のオーバーラップが多い分、バランスをとるために下がり目のポジションを取る必要があったのと、コンディションの問題だと思う。懸念は平本の動きとディフェンダー陣である。
今日の平本は、攻撃に絡む場面が少なかった。ワシントンとのコンビネーションや小林大・平野の攻撃的MFとの役割分担がうまくいっていないようである。クサビのターゲットがワシントンで攻撃的MFが2枚いるので、ワシントンの落とし→平野か小林大が受ける→サイドの相馬あたりに展開→平本「僕の居場所どこー?」、という感じなのだった。ワシントンが直接頭で流して裏に早いタイミングで突っ込むとか、攻撃的MFからのスルーパスをもらうとか、スピードを生かしたオプションを考える必要があるのでは?
DF陣に関しては能力がどうこういうより層が薄いという感じ。この日の3DFで本職は李だけだし、けが人が回復したとしても、「米山・戸川・李、以上終わり」という陣容でどうしてもボランチの選手を使わざるを得なくなる。アルディレスは戸田(元DFだし)を計算に入れていたのかもしれないが、本日のミスで信用を失ったようである。外から見ているとダメダメな選手、しかも外様は徹底的にいびり抜く、という印象があるチームなので、戸田が登校拒否にならないかどうか心配だ。それにしても、なんでウベダをクビにしちゃったんだろう。
緑は登録選手総数が少ないので、試合数が増えて総合力勝負になった今年、上位に行けるかどうかはレギュラー格がコンディションを保てるか、ということにかかってくると思う。
そんなこんなで、横浜観戦記はおしまい。それにしても、寒い日だった。