第11節 FC東京 3 - 3 大宮アルディージャ(観戦16試合目)

日時:2005年5月8日15:00キックオフ
会場:味の素スタジアム
観衆:22175人
主審:松尾、副審:安食、井上、第四審判:相楽
得点:12分-トゥット(PK)、28分-石川、44分-近藤、76分-ルーカス(PK)、77分-トニーニョ、89分-森田


あはははははははははははははははははははははははははははははは(乾いた笑い)
気を取り直して観戦記執筆。


連休最後の日、空はどんよりと曇っている。しかし、人は多い。まったく、この物好きどもめ。
入場のとき、例の唐笠連判状・・・じゃなくて、血判状・・・じゃなくて、決意表明書を受け取る。
うーん、誰が一番字が上手かな、大志かな、土肥かな(実際は五十歩百歩のような)。


なーんつーことを考えつつ、東すかもらって、マッチデイ買って、ケンタ買ってむさぼり食って、ビール飲んで、ファンクラブテントに入ってお宝に応募したら、なんと鳥栖戦、じゃないユベントス戦のチケットを売ってるではないか(応募期間中は出張中で買えなかったのだ)。ゴール裏のみだけど早速購入。平日午後7時キックオフに千葉湾岸地区から間に合うかどうかはまったく考えなかった。


ゴール裏は今日もキックオフ30分前から歌い始める。
今日はメドレーだね、メドレー。そしてユルネバ。みんな、夜明けを信じて歌う。


東京のスタメン

      近藤
  戸田       石川
        栗澤
   宮沢
       浅利
 今野 茂庭 ジャーン 加地
      土肥

SUB:塩田、迫井、小林、ダニーロ、ルーカス。
東京は4-5-1とも4-3-3とも言えるフォーメーション。
浅利をアンカー、栗澤を2列目に配し、宮沢が適宜上がったり下がったり。プレスが効いている時間帯は宮沢が2列目まで上がっていた。
太ももを痛めているはずの戸田が強行出場。足首をケガしているルーカスもベンチ入りしている。


大宮のスタメン。

    トゥット  森田

 久永 西村 マーカス 安藤正

 三上 奥野 トニーニョ 冨田

       荒谷

SUB:安藤智、片岡、橋本、藤本、横山。
こちらはいつものとおり、中盤がフラットな4-4-2。連戦の疲れを考慮してか、藤本がベンチスタート。昨年のレギュラーであるクロサー安藤正が右MFに起用された。本来のボランチである金澤はどうしたのかな。右SBだった西村がボランチに、左SBだった冨田が右SBに、そして三上が左SB(これは本職)に入った。
このあたりの選手のやりくり、ポジション毎の役割が整理されて、選手が替わってもチーム戦術が機能するようになっているらしい。


試合前の練習をみて、あれっと思った。だって、加地が二人いるし、中学生が一人混じってる。とうとう怪我人続出に耐えかねてクローン人間をつくり、おまけに深川のカスーラに学徒動員をかけたか、と二日酔い+迎え酒ビール(←アホ)でとろけた脳みそで邪推してしまったが、実際は加地クローン=頭を丸めた今野、中学生=同じく頭を丸めた栗澤、なのだった。


キックオフ直前、選手コールに今野が答えると、スタジアムからどよめきが起きていた。今野、きみ、ソリがハイッテル・・・。
阿部ちゃんなきあとの「特攻服が一番似合うコンテスト」で宮沢(彼も不良学生風)に挑戦するつもりかね。


と、くだらないことを考えている内にキックオフ。

1分、挨拶代わりに戸田が突撃するがシュートまで持っていけず。太ももにはテーピング。ケガ、大丈夫か?
3分、左サイド、安藤正のFKに合わせて大宮の選手がなだれ込むがオフサイド
7分、今野が大宮DFラインの裏にパスを出し、戸田が走りこみクロスを上げるが、中に誰もいない。
9分、トゥットが左サイドをドリブルで突破し、グラウンダーのシュート。土肥がキャッチ。
10分、左サイド、安藤正のFK。エリア内の混戦の中、よくわからない理由でPKをとられ、おまけにジャーンが警告を受ける。松尾氏は当然、「クソレフェリー」認定を受ける。PKはトゥットが決めて大宮先制。

しっかりとスリーラインをつくって守る大宮の前に、東京は中盤でボールを繋げない。そこで、長いボールを放り込んで前線の3人を走らせる。大宮も森田にボールを集める策をとってきた。両チームとも中盤守備がしっかりしており、タメが作れないためにサイドへの有効な展開もできない。序盤はお互いロングボールの蹴り合いに終始する。その中で、東京は戸田がケガ持ちとは思えぬ異常なダッシュ力でDFラインの裏を突き、近藤も左サイドに流れて起点になろうとする。大宮も森田が落としたボールにトゥット、久永がからんで左サイドから崩そうとし、東京のファウルを誘って得たFKから、安藤正の正確なキックで得点を狙う。
そして10分、安藤正のFKに飛び込んだトゥット?がジャーンの隣で転ぶ。このとき、副審は旗を揚げていたのでオフサイドと思ったのだが、なぜか松尾主審はPKを宣告。どうやらジャーンに接触して転んだ、と判定したらしい。この過程がスタンドからは非常にわかりにくかったので「クソレフリー」コールが沸き起こる。PKはトゥットが決める。早くも暗雲が立ち込めたように感じたが、東京の選手たちは黙っていなかった。

15分、スルーパスに戸田が反応しシュート、GKがはじき出し、CKに逃れる。
18分、宮沢のFKに誰かがあわせるが、GKがキャッチ。
22分、エリア内で近藤が石川とのワンツーで抜け出しかけるが、大宮DFが阻止。ハンドに見えたけど・・・
29分、左サイド、大宮のボール回しがもたついたところを今野がすかさず奪い、そのままエリア内に持ち込む。最後は、真ん中に入ってきた石川に横パス、これを石川が右足アウトにかけた見事なシュートをゴールネットに突き刺す。東京同点。
34分、加地がクロス、左サイドにいた石川(セットプレーの流れだっけ?)が中へ折り返すが、誰もシュートを打てず。
35分、近藤が左サイドに流れて上げたクロスに石川が頭であわせるがシュートは浮いてしまう。
38分、加地→石川で右サイドを突破、クロスを入れるがシュートに結びつかず。
44分、今野のパスを受けた近藤が強引なドリブルでエリア左サイドに侵入、切り返しでトニーニョをかわして強引に放ったシュートが逆サイドのサイドネットに突き刺さる。東京逆転。

PKをきっかけに、東京の動きが良くなった(としか思えない)。前線の3人と栗澤、それに2列目の位置まで上がってきた宮沢が猛烈な勢いでボールを追いかけ回し、ロングボールのこぼれ球を拾えるようになる。東京のプレッシャーによって、大宮はボールを前に運べない。そして、今野が普段ボランチの位置でやっているプレーそのままに、ボールを強奪した勢いを保って前進、エリア内に切れ込んで大宮守備陣の注意をひきつける。その隙に真ん中に入り込んだ石川がフリーでパスを受け、すばらしいシュートを決める。
その後も東京の勢いは変わらない。前節の鹿島戦でも、強引なドリブルでチャンスの芽を作っていた近藤が、今度こそ決めた。



大宮は後半頭からプレースキック以外は目立たなかった安藤正を下げ、藤本を投入。

45分、後半開始直後に近藤が裏に抜けシュート、右CKを得る。石川のCKに今野がヘディング、しかしシュートは浮いてしまう。
56分、大宮は三上に代えて橋本を入れる(駒大出身、お久しぶりね)。

橋本 純マーカス 久永 藤本

富田 奥野 トニーニョ 西村

んでもって、大宮の中盤は↑のようになる。

ボールを持てる藤本が入ったことによって、森田のキープから攻撃をビルドアップすることが徐々にできるようになる。久永が藤本との絡みで(東京から見て)いやらしい動きをし始める。橋本は自分で突破を狙いにいくのではなく、つなぐプレーに徹していた。

67分、宮沢のサイドチェンジが左に流れた近藤に渡ってシュート、しかしゴール右にそれる。
69分、大宮は純マーカスを下げ、横山を投入、3トップにする。
70分、東京は足を痛めた戸田を小林にスイッチ。
72分、今野から小林を経由して右サイドへボールが出る。これを受けた石川が突破しかかるが久永に後ろから倒される(久永は警告)。宮沢のFKはトニーニョがクリア。
73分、近藤からルーカスへ交代。
75分、宮沢が右サイドで得たFKをゴール前に送る。このときルーカスが奥野のファウルを受け、PKゲット(奥野は警告)。ルーカスが難なくPKを決めて3点目。

藤本が入ったことによって大宮のパス回しが徐々になめらかになり、東京陣内までボールを運べるようになる。東京の攻撃はカウンター調になるが、これを久永が意図的なファウルで阻止する。さすがピッコリ体制下の福岡で鍛えられた武闘派というべきか。
3トップになってさらに攻撃的になる大宮に対し、運動量が落ちてきた東京は守りに入ってくる。それでも、石川が全力で走り、フォアチェックに、カウンターに、獅子奮迅の活躍。
大宮に同点にでもされたら命が危ないと悟った?松尾主審が、またもやよくわからない理由で今度は東京にPKをプレゼント。このタナボタをルーカスが決め、ついに2点差となる。
残り15分、これで試合は決まったかと思えたが・・・

77分、トゥットが左サイドをドリブルでえぐり、左CKゲット。キッカーは藤本。トニーニョがニアに飛び込んで頭で流したボールがそのままゴールイン。1点差。
82分、前ががりの大宮に対し、東京のカウンター。石川が右ドリブルからカットインして折り返すが飛び込んできた選手とタイミングが合わず。
86分、大宮の攻撃。右サイドから久永のクロスにファーサイドのトゥットがフリーでヘディングシュートを放つがバーの上。

大宮の2点目が余計だった。藤本からの正確なFK。ニアに飛び込んだトニーニョ。一瞬おくれた茂庭?のマーキング。土肥の反応が間に合わないコースに飛んだヘディングシュート。
この得点で大宮が勢いづく。東京の守りは後手後手にまわり、大宮が主導権をとってゲームが進む。東京は残った体力を振り絞って、ボールを追いかけ回し、なんとか耐える。運動量勝負の状況ではダニーロの出番はなく、流れを変える手段がないまま、ひたすら耐え、カウンターの一発を狙う展開になる。



89分?、石川がカウンターから放ったシュートがGKにはじかれる。
ロスタイムは3分。
東京はぎこちないながらも、パスを回して時間を稼ぐが、キープするのか勝負してとどめを刺すのか、チームとしての意志が徹底されていない。石川が意味のないクロスを上げ、ボールを奪われる。



そして、悲劇は手元時計で2分30秒過ぎに起こった。
小林が左サイド、大宮陣内にドリブルで持ち込むが囲まれて奪われる。そこから前線に一気に放り込まれる。今野が一度クリアするが、これが大宮の選手に当たってトゥットにわたってしまい、最後は森田にループシュートを決められて同点。
この瞬間、選手たちの集中が切れてしまったのか、ほとんどの選手たちがピッチの上にへたりこんでしまった。足をつった石川に代わって迫井が入ってくるが、彼にできたのは倒れた仲間を引き起こすことのみ。
そして、再開直後にタイムアップ。試合は引き分けとなった。



藤本やトゥット、トニーニョあたりを除けば、突出した部分のない、いわば平均レベルの選手たちを戦術で繋いでチームを機能させている大宮。
かたや、決して器用では無いけれどそれぞれ一芸を持っている選手の特色を生かして、チームを組み立てている東京。
この対比を見ているだけで面白い試合だった。


そして、勝てないチームの精神的な不安定さとつきまとう不運を象徴するような試合だった。
妙なPKで先制されるも、個の力を見せつけて逆転。そしてこんどは妙なPKをもらって普通ならセフティリードの2点差を奪う。
大宮に2点目を奪われたのは守備の不安定さが顕在化したもの。
そして3点目は・・・交通事故だろう。森田は、たしかにポストプレーに長足の進歩をみせていたが、あのループシュートをもう一度決めろといわれてもできないのでは?


もっとも、交通事故の伏線として、終盤にリードした状況でプレーの選択を迷ってしまうナイーブさがある。あの状況なら、勝負にこだわるなら、キープでしょう、キープ。石川は中に誰もいないのにクロスを上げるし、小林のドリブルは恐る恐る、という感じだし。タッチラインに追いつめられたなら、もうロスタイムも残りわずか、という状況なら、自分でタッチに蹴り出したっていいのだ。10秒は稼げる。守備も固められる。
あるいは、あくまでトドメを刺すべく、最後まで攻撃する姿勢を貫いたっていい。そのほうが東京らしくていいかもしれない。


それともうひとつ。最後まで立って、プレーを続けて欲しい。


左SBの人選に迷って、灯台元暗しで意外な人選をしたら守備面では大成功したり、最後の最後にナイーブさが出て手中の勝利を逃したり、なんだかドーハの日本代表を思い出した。


最後に、選手たちが、ベンチしていない者までスタンドに挨拶しに来たとき、もちろん拍手をした。心の中で、ほんとにしょーがない奴らだなあ、と思いつつ。


おそらく前田が書いたのであろう檄文に「我々は負けない、なぜならば一人ではないから」というくだりがある。そうです、そのとおりです。あなたたちは、心配で心配で、とても一人にしておけません(笑)。
これからも私は、金と本業の都合と家庭の事情が許す限り、あなたたちにつきまとい、時に拍手を送り、時に罵声を上げ、ときに涙を流すでしょう。
なぜなら、私は、おそらくは数語の言葉を交わすかどうかすら怪しいあなたたちと、常にフェンスとトラックに隔てられているあなたたちと(トラックは悔しいけど)、人生の一部をともに過ごすと決めたから。
そうする価値があると思ったから。


しかしさー、最後に一言いわせてもらっていい?
このバカけー!(←10倍角で読むのだw)