J1第12節 ジェフ千葉 2 - 1 FC東京(観戦17試合目)

Lasakongawa2005-05-14

日時:2005年5月14日 19:00キックオフ
会場:市原臨海競技場
観衆:8593人
主審:奥谷、副審:高橋、中原、第4審判:岡野
得点:ハース(17分)、巻(29分)、ルーカス(89分)


前節、やっとこさ連敗から脱出したものの、いまだ夜は明けきらず。本日は難敵ジェフユナイテッド市原・千葉のホーム、市原臨界、じゃなかった臨海競技場に乗り込む。
その前に、一つ、前からやっておきたかったことがあった。五井駅から出ている「小湊鉄道」。あれはどこまでいくのだろう、とずっと気になっていたので、乗ってみることにしたのだ(臨海は今年で最後かもしれないし)。
調べると、小湊鉄道は、途中でいすみ鉄道に接続し、なんと房総半島を横断しているらしい。それなら、同じ路線を往復するよりは外房から乗ってみるべし、ということで、千葉駅から外房線に乗り、大網だの茂原だのといったディープ千葉(失礼)を走り、太平洋を望む大原に着いた。5月なのに、折からのプチ寒波で風が冷たい。セーターを持ってきて大正解である。
大原から、ディーゼルのワンマン運行1両編成で運行しているいすみ鉄道に乗り、まず上総中野まで走る。「いすみ」は漢字で書くと「夷隅」。字づらからはとんでもない辺境のようなイメージを受けるが、実際はいい感じにのどかな田舎を走っていくのであった。デーゲームの結果を調べようとPHSを取り出したら旗が立たないのには笑った。
上総中野からは小湊鉄道。こちらは2両編成で車掌さんがいる。養老渓谷で途中下車して温泉にでもつかりたかったが(寒いし)、時間がなかったので断念。こちらものどかな風景の中を走って、五井に到着した。


そして、臨海へ。田舎から、炎と煙がたなびくコンビナート地帯の真ん中へと赴く。いつも思うのだが、このスタジアム、霧雨が降っていればデッカード刑事が出てきそうな立地条件だ。
メインのアウェイ側コーナー自由に座る(値上げしてませんかあ?)。今年からアウェイサポーターエリアを仕切って狭くしたそうだが、いやがらせという以上の意味はなく、アウェイゴール裏スタンドは全てが東京サポーター(下駄着用者多しw)で埋まっていた。
連敗脱出を受けてか、今日はゴール裏も普通のスタイルで応援している。
いつものゲーフラ群に混じって「ご主人さまとお呼び」という横断幕が出ていて笑った。個人的にツボにはまったのが「こまわりくん」がジェフタオルを振り回しているやつ(30代以上限定ネタかね)。
今月・来月で千葉と3試合もやるので、専用ゲーフラをつくっても十分にもとがとれるんだね。


ジェフとは2003、2004年シーズンを通し、4試合連続して引き分けが続いている。
それも、ドタバタした展開の試合が多い。アマラオ移籍報道が流れた直後の試合なんてのもあったし。


ちなみに同一試合連続引き分けのJリーグ記録は、覚えている限り、大宮と湘南が2002-2003にかけて達成?した7連続引き分けが最長である。トトをやっている人間の間では、別の意味での「鉄板カード」扱いをされていたような記憶がある。
今年は、ジェフとナビスコ込みで4試合あるので、全部引き分けてしまえば新記録達成じゃないか、と不埒なことを考えつつ、カップラーメンを啜って(寒いのだ)キックオフを待つ。



ジェフ千葉スタメン。

     ハース   巻
        羽生
 坂本           水野
     佐藤勇   阿部
  ストヤノフ  斉藤  水本
         櫛野

控えは、立石、藤田、ポペスク、山岸、林。
ポペスクってまさかあの・・・違うよね、きっと。


東京のスタメン。

      近藤
  戸田       石川
        栗澤
   宮沢
      浅利
 今野 茂庭 ジャーン 加地
      土肥

サブは塩田、迫井、小林、ダニーロ、ルーカス。
ルーカスはまだフル出場が難しいらしい。


15分ぐらいまでは東京が押す。高い位置でのプレスが効いており、奪ったボールを石川・戸田の両翼に預け、サイド突破を狙う。

  • 2分、早いリスタートから宮沢がクロス、クリアボールを加地シュートも宇宙開発。
  • 9分、ジェフが左スローインから中に展開、羽生のミドルシュートは土肥の正面。
  • 10分、今野が裏へボールを浮かせ、戸田が異常なスピードでマークに付いた水本を振り切ってシュートするが櫛野がはじき、DFがクリア。
  • 14分、加地→栗澤→石川と渡ってクロス、クリアボールを今野がシュートするが、グラウンダーは櫛野が押さえる。直後、今度は加地のクリアミスからジェフのチャンスになりかかるが東京DFがクリア。
  • 16分、東京は左CKからの混戦で栗澤がシュートするがブロックされる。

いつものとおり、序盤は主導権が取れるのだが、どういうわけか(決定力がないのは事実だが)得点が奪えない。これだけやっているのだから、ラッキーヒットの一発ぐらいそろそろあってもいい頃なのに(だんだん運命論者になってるぞ)。


  • 17分、左スローインからの展開で、羽生がエリア内で切り返し、浅利(と加地?→石川でした)を振り切ってクロス、これが巻に当たってこぼれ、クリアがしきれなかったところを、ハースが決めてジェフ先制。
  • 21分、栗澤が左サイドから上げたクロスがファーサイドへ。ストヤノフがヘディングをかぶってしまい、ボールは近藤に届くが、シュートをはずしてしまう。
  • 22分、今野が攻めあがってクロスを入れるが、ジェフDFがクリア。

そして、いつものパターン、攻めあぐねているうちに隙をつかれて先制点を奪われるorz。
羽生が東京の守備2枚(浅利と加地?)を切り返しでかわしてクロスを入れる(あなたは本当に羽生ですか?)。そして、炸裂する、いつもの交通事故。なんでハースの前にこぼれるんだよ?



これで勢いづく千葉県民たち。
バックスタンドの小学生集団(たぶん招待客)が「もう一点」コール。非常にむかつく(←大人気ないw)。
そしてその通りになってしまった。

  • 29分、ハースからのクロスが全速で走り込む巻にぴたりと合う。巻のジャンピングヘッドがみごとな弧を描いてゴール右隅(ジェフ側から見て)に吸い込まれる。ジェフ2点目。
  • 33分、坂本が左からカットインしてシュートを打つがゴール左に外れる。感謝。
  • 35分、近藤が左サイドに流れ、ドリブルでゴールライン近くまで切り込んでマイナスの折り返し。宮沢のシュートはDFにブロックされるがCKを得る。右ショートコーナーから加地がクロスを入れるが、ファーサイドに飛び込んだジャーンのヘディングはゴール左にそれる。

ジェフの2点目は本当に見事なゴールだった。ジャーンがハースを一瞬フリーにしてしまった時点で勝負あり。クロスの精度と巻の走り込むタイミング・スピード、そしてジャンピングヘッド。すごい。あなた、ほんとに巻ですか?(中にチェヨンスとか入ってない?)。
ハースは前線に張るタイプのFWではなく、引いた位置でボールを受け、飛び出してくるサイドや2列目の選手へ配給する役割を与えられている。前線でボールを競り合うのは巻の仕事なのだ。


東京も反撃する。しかし、失点直後の絶好機を近藤が逃す(前節は確変モードだったらしいorz)。そして、ジェフの体を張った守りの前に、なかなかシュートまで持っていけなくなる。
ジェフの守りはガチガチのマンマークなので、ちょっと攻撃が遅れるとたちまち攻撃が詰まってしまう。そこで、後ろに戻して加地が長めのクロスを入れていくが、クロスの球質・コースも受け手の動きも素直すぎてことごとく跳ね返される。
ストレスがたまる展開で前半は終わる。
もっとも、ジェフ戦はお互いにリードを奪われてからのドタバタ劇が特徴なので、これで引き分けへのレールが敷かれたな、と一人思う。

  • 45分、阿部が左サイドゴールまで30mの位置からFKを蹴るが土肥がパンチングで逃れる。
  • 50分、佐藤勇のミドルは土肥の正面。
  • 51分、栗澤のパスミスをハースがかっさらいドリブルで持ち込む。最後は佐藤勇からのパスを阿部が頭であわせるが、シュートは浮いてしまう。
  • 直後、東京は戸田からルーカスに交代。ルーカス・近藤の2トップになり、栗澤が左MFに回る。
  • 53分、ジェフが左サイドでスローインを得る。坂本が素早く入れたボールに巻が飛び込んでシュートを打つもゴール右にそれる。
  • 56分、カウンターで坂本が突進、東京のクリアボールを拾って二次攻撃、最後は佐藤勇がゴール前に飛び込むがシュート打てず。

ルーカスが入ってから、そのキープ力で東京がリズムをつかみかける。しかし、ジェフのしつこいマンマークの前になかなかシュートを打てないでいるうちに、試合は膠着状態に陥る・・・どころか、ジェフのカウンター気味の攻撃からたびたびピンチを迎える。


  • 59分、東京の選手交代、宮沢→ダニーロダニーロがトップ下、そして浅利のワンボランチという布陣になる。
  • 60分、右サイドから今野が入れたクロスがゴール前を横切る。近藤がさわったように見えたが、ミートしきれず。決定的だったのだが・・・
  • 62分、ルーカス・近藤とのパス交換からダニーロが突破を図るが止められる。
  • 63分、ジェフのカウンター。ハースがキープしてからクロスを入れるが、ゴール前に飛びこんだ選手に合わない。
  • 65分、栗澤が切り込んでシュートを打つが、ブロックされてCKになる。CKからジャーンがヘディングシュート、しかしゴール右。
  • 67分、ルーカスのスルーパスダニーロが走りこむが追いつけず。
  • 69分、坂本が倒されジェフのFK。阿部がゴール正面から放ったFKは壁に当たって東京のカウンターになりかけるが、ジェフに拾われて逆カウンター。東京が数的不利だったがハースがはずす。

ルーカス・ダニーロのコンビで、ワンツーで抜いていこうとするが、去年の「ケリーちゃんルーカスくん」状態といっしょで,お互いしか見ていないため、完全に読まれている。それに、パスのタイミングと強さが合わず、逆にカウンターの発起点にされる始末。
ジェフはある程度、東京にボールを持たせておくが、忠実なマンマークを続ける。そのため、動きだしに乏しく足元でパスをつなぐしかない東京の攻撃がノッキングしてボールが停滞する。そして強引なクロスや可能性に乏しいパス、そして破れかぶれのドリブルで仕掛けてきたところを奪い、あるいはボールを戻したたところを狙って、ジェフはカウンターにつなげていく。
特に、ワンボランチ浅利の両脇のスペースを使われて、ボールを運ばれていた。

  • 71分、選手交代。東京は近藤→小林、ジェフがハース→林。東京は石川とルーカスの2トップ、右に小林。
  • 75分、加地のクロスのクリアボールを今野がシュート、外れ。
  • 78分、ジェフ、阿部がFKからサインプレーで東京DFの裏へボールを入れる。佐藤勇が飛び込むが土肥が先んじてキャッチ。
  • 79分、石川が強引なクロスを入れるが櫛野キャッチ。
  • 84分、ダニーロのパスから石川がシュート。だめぽ。
  • 87分、ジェフのカウンター。裏に抜けた林が角度のないところからシュートを打つが枠に行かない(結局はオフサイド判定)。
  • 89分、ダニーロの横パスを受けたルーカスが思い切って振りぬいたミドルがネットを揺らす。東京1点を返す。
  • ロスタイム、ど真ん中に飛び込んだ栗澤が、石川のクロスに合わせてフリーでヘディングシュートを放つが、シュートは櫛野の正面に飛んでしまった。ぐぬおー。

終盤になると、さすがのジェフも運動量が落ち、全体に引いて守るようになる。必殺のカウンターも、中盤から選手が飛び出していく形が無くなり、前線に残った2、3人のみが参加するようになっていく。
あれだけ徹底していたマーキングが甘くなる場面が現れ始め、その隙をついてルーカスが追撃の一撃。ようやくバタバタし始めたジェフを追い詰め始めるが・・・ときすでに遅し。
連続引き分け記録への挑戦は終わった。


ジェフと比べると東京の悪いところが良くわかる。
どちらも縦に早い攻撃を指向しているチームで、東京は早いサイド攻撃を持ち味とし、ジェフは後ろの選手がどんどん前に飛び出してしていくサッカーをしている。
しかし、ここぞというときにゴール前に出て行く枚数が決定的に違う。


ジェフは、終盤、守りに入った時間帯を除いて、常に4枚、5枚がエリア内に殺到する。それも、ニア、ファー、真ん中、やや遅れて第二波から来る選手など、狙いどころもバラエティーがあるし、パスを出すタイミングと飛び出すタイミングに意思統一が図られている。これを全力疾走でやられるのだからたまらない。具体的に言えば、阿部や佐藤勇がFWを全速で追い越していくのだ。あれだけ迷い無しに全力疾走されると、同じだけの走力がなければマークにつききれない。もっとも、フルスピードで走りながらギリギリのタイミングでパスをやり取りするには高い技術が必要なわけだが、今のジェフはまだ選手の技術が追いついていない、という印象は受ける(後半のカウンター時に何度もシュートをはずしていたのは好例だろう)。
守備はいまどき珍しい、徹底したマンマークだが、持ち前の運動量でどんなときでもマーキングを続ける。攻撃時は自分のマーカーをほっぽり出して前進するわけで(思い切りがいいね)、当然リスクはあるのだが、見ていて気持ちのいい(今日は怖かった)サッカーだ。


一方の東京は、右では石川・加地コンビ、左は戸田のスピードと今野の前進力とでも言うべき力で、サイドを崩してクロスを上げることは出来ている。しかし、クロスの出し手と受け手との間で、クロスを入れるタイミングや受ける場所のコンビネーションが出来ていない。
ニアに入れるのか、ファーに入れるのか、速いボールか、フワッと浮かせるのか、それともグラウンダーなのか。そのクロスに対して、あくまで前線に張って相手DFにガチンコ勝負を挑むのか、タイミングを見計らってスピードをつけて突っ込み点であわせるのか、少し遅れたタイミングで入って行くのか。
このあたりの相互理解が確立していないから、サイドを崩しても中で合わせられなかったり、クロスを入れるタイミングをつかめないうちに相手に守備を固められ、がっちりマークに付かれた前線の選手に向けて一か八かの放り込みをするしかなくなるのだ。
いくらクロスの精度が低いからといって、目的意識さえ徹底していれば、ニアとファーに蹴り分けたり、
前線の密集の中に入れるのか、少し遅れて入ってくる選手を狙うのか、プロなのだからそのぐらいはそれなりの確率でできるだろうに。
それと、ゴール前の枚数自体が足りない。とくに2列目からの飛び込みが少ない(対ジェフ比だが)。仮にも4-3-3フォーメーションという看板を掲げているのだから、栗澤も宮沢も、こぼれ球を拾ってミドルシュートなどと上品なことを言わず、どんどんエリア内に進出していけば良いのだ。リスクは承知の上でね。


そして、運動量を出来る限り保ちつづけること。それも「心」の運動量を。
連敗しているせいなのか、流れが悪くなるととたんに動きが消極的になる。パスコースを作る動きが少なくなり、飛び出しのタイミングと勢いが遅くなる。守りでも、相手の動きを読んだ鋭いチェックが乏しくなり、ポンポンと回されるパスを追いかけ回す場面が多くなる。ディフェンスラインが不安定な状況で後ろを空けるのが怖くなるのは分かるのだが、引いて守れるチームじゃないでしょ。運動量そのものは決して落ちてはいないのだが、使いどころが悪いのだ。


運動量の使い方も、総量においても勝るジェフが勝利したのは、論理的帰結なのだ。


なんか、すっきりしないまま迎えるリーグ中断期間。怪我人もそろそろ戻ってくるし、この時間をつかってチームを立て直して欲しいものだ。え、ナビスコ? 来週もジェフとやるの?