J1第22節 柏レイソル 4 - 2 FC東京(観戦60試合目)

日時:2005年9月3日(土)19:00キックオフ
会場:柏の葉競技場
観衆:13085人
主審:太田、副審:安元、山岡、第4審;野田
得点:ササ(1分)、レイナウド(14分)、レイナウド(26分)、玉田(45分)、玉田(55分)、阿部吉(74分)


酷暑の夢の島(屋根付き部の人口密度が高かったので、スタンドの端でこんがり焼かれてました)から秋葉原へ、ここから祝開通!、カラーが青赤、車体製造は日立という微妙な構成のつくばエキスプレスに乗って葉っぱを目指す。乗った感想は、というと駅も車体もきれいだが、沿線は荒野・・・(^^;
あっちこっち、まだ造成中でちょっと痛々しい。その中でも一番の荒野が「柏の葉キャンパス」駅だった_| ̄|○


駅の周りはなんですか〜というくらい何もない。「キャンパス」の語源はなんなのであろうか?正しくは「柏の原っ葉」、百歩譲って「機動隊前」だろ、こりゃ。こんなところでも来年には駅に隣接して大規模商業施設ができるらしいが、客の90%は車で来るに違いない。ちなみに祐介の母校・流経柏はここから自転車で10分だそうです(たぶんサッカー部員がベンチマークだと思うwww)。


その荒野の中を、30分近く歩いて葉っぱ着。


柏のスタメン

   玉田  レイナウド
  矢野     クレーベル
   明神   大谷
 薩川 波戸 土屋 小林亮
      南

SUB:加藤慎、中澤、増田、谷澤、李
選手交代:レイナウド→増田(ポニーテール)(79分)、玉田→李(88分)、クレーベル→中澤(89分)
柏はここのとこ3バックだったはずだが、石川対策のために薩川を左に入れてサイドに蓋をしてきた。2トップは玉田とちょっと痩せたゼ・ホベルト、じゃないレイナウド


東京のスタメン

    ササ  ルーカス
  栗澤       石川
   今野    梶山
 規郎 茂庭  ジャーン 加地
      土肥

SUB:遠藤、藤山、三浦、馬場、阿部吉
選手交代:栗澤→阿部吉(53分)、石川→馬場(67分)、梶山→三浦(75分)


試合は最初から激しいプレスの掛け合いになり、非常に忙しい、せわしない展開が続いた。さっきまで見ていた関東大学リーグとは寄せの早さも激しさも、パススピードも全く違っていた。


で、まあ、あんな結果になった。眼下の敵を叩くつもりが、逆に魚雷を喰らって撃沈されてしまった。


その原因だが、残留争い慣れ?した柏が完全にソレ用の戦い方を貫いたことに対して、未だササを生かす形を模索中(のんびりしてるっつーか、なんつーか)の東京との差が出たと思う。


柏のやり方は、とにかくボールホルダーに対して一番近い選手が当たりにいき、ルーズボールにはとにかく全力で詰め、ボールを奪ったらとにかく前に持ち出してフィニッシュにつなげる、という典型的なハードプレス&ハーフカウンター型(こんな分類あるのかな?)で、芸もへったくれもないが、それゆえに有効だった。


なにしろ、最終ラインには一対一に強いDFが揃っており、中盤の選手は運動量を有し、前線の選手にはスピードがある。そして、どういうわけか東京戦に限って最後まで集中力が持続するのだ。


対する東京は、4-4-2に慣れていないことや、左SBが急造だったこともあり、微妙なリズムのズレがあったように思う。そして、そのズレが最後まで修正できなかった。


まず、左SB規郎の守備範囲が狭く、そのカバーのために今野が走り回らねばならなかった。もちろんこれはある程度仕方のないことで、規郎自身は本職ではないのによくやっていたと思う。
しかし、今野が左に釣り出されたため中央が手薄になり、梶山の守備負担が増大した(今野自身も不調だったように見えた)。そして中盤のバランスに歪みが出たことにより、DFライン、ことに両CBとの連携に狂いが生じた。そして狂いを修正仕切れなかった。その結果が、あの4失点だったように思う。

  • 1失点目は、(東京から見て)左サイドを突破してくるクレーベルに規郎が対応し、今野もサポートに行ったところでボールがタッチを割り、柏ボールの判定。これにクレームをつけている隙に素早いリスタート、ニアの明神が頭で流してDFのギャップにフリーで入り込んだレイナウドにヘッドで押し込まれた。
  • 2失点目は大谷のパスを受けたレイナウドミドルシュート、土肥が反応するがはじき切れずにボールがゴールイン。このとき、パスを出した大谷、シュートしたレイナウドともにフリーだった。
  • 3失点目。後半開始直後にまた大谷から前線のレイナウドへ、またもフリーだったレイナウドは茂庭をかわして裏へ抜ける玉田へスルーパス、玉田が土肥との一対一を制してゴールネットを揺らす。
  • 4失点目は、中盤でジャーンのタックルをかわしたクレーベルが一気に突進してシュート、これは土肥がはじいたものの最後はゴール前に詰めてきた玉田が決めた。


試合の流れとしては、一瞬の隙を突かれた同点弾が全てだったように思う。あの時間帯をしのぎ切れれば、落ち着いて守備を固めつつ追加点を狙う、という展開に持ち込めたのだが。同じ選手を2度も3度もフリーにしたり、玉際の争いに負けていたりと、原さんの言うように気持ちの問題もあるけれど、本当の原因は別だと思う。


というのは、中盤のバランスの悪さが全てに影響していたように思えるからだ。今野が規郎のカバーに回ったことで梶山の守備負担が重くなっていたことはすでに述べた。もうひとつ、梶山が守りに回る場面が多くなったため、当然ポジションは下がり目になった。石川はもともと右サイドに張るのが仕事。そして、本来は非常にうまく攻守のつなぎを果たす栗澤が、前半の負傷の影響か、連戦の疲れか、あるいは試合開始から続くテンポの速い肉弾戦で消耗したのか、いつものクレバーなポジショニングが陰を潜めていた。その結果、中盤の真ん中のスペースが空いてしまい、2トップへの有効なサポートができなくなっていた。


後半は梶山のポジションが上がり目になっていて、ハーフタイムに指示があったことを伺わせたが、他の中盤選手からのサポートが得られずに孤立し(栗澤の不調、石川は右サイドで孤軍奮闘)、明神と大谷にマークされ攻撃の起点になれなかった。


結局、中盤が機能不全のままズルズルと失点を重ね、大量リードを得た柏が守りに入るまで主導権を奪えなかった。
まあ、新聞紙上で手の内を全てさらす訳はないだろうが、敗戦の原因を精神面のみに求めるのは問題のすりかえでしかないだろう。


せっかく、突破力自体は金沢を凌駕する規郎をサイドバックに起用しているのだから(実際、試合終盤は対面する小林亮を圧倒していた)、左MFを内側に寄せてトップ下気味にプレーさせ、規郎がオーバーラップするスペースを開けておくと同時に中盤を強化、2トップを支援させると面白かったのだが、なぜか栗澤も後半入ってきた馬場もサイドに張りがちだった。


もちろん、良い面が全く無かった訳ではなく、ササの隠し芸(あんなFKもってたのか?!)、阿部の復活(復帰)弾はもちろん、マッチアップした小林亮を完全に圧倒した規郎の突破力とか、薩川・大谷(明神)・矢野からなる鉄の大三角に囲まれつつもクロスまで持っていく石川のスピードとか、最近アマラオが乗り移ったのかと思うほど頑張るルーカスとか、慰められる部分もあった。


でもねえ、根本的な部分は何も改善されてない。攻撃サッカー=サイド攻撃ではないはずなのだが。サイド攻撃へのこだわりがかえってサイドを使えなくしているというのは去年の後半ぐらいから明白なのだが。その対策をなにもしないままここまでやってきた、そのツケをもろに被っている。
まあ個人能力に頼っているとはいえササの加入と阿部の復帰で得点力は上向きなのだし、あとは粘り強く守って、最小失点で切り抜け、勝ち点を一つずつ積み上げていくしかない。


で、次は眼下の敵ではなく目の上のタンコブになってしまった清水ですか。
要警戒はマルキーニョス
マークはずずなよ、茂庭!