2006年ナビスコカップ Cグループ第1日 ジェフ千葉 2 - 1 サンフレッチェ広島(観戦11試合目)

日時:2006年3月29日(水)19:00キックオフ
会場:フクダ電子アリーナ
観衆:5517人
主審:西村
得点:羽生(千葉、2分)、森崎浩(広島、46分)、佐藤勇(千葉、81分)
警告:ストヤノフ(千葉、83分)


ナビスコカップ、グループリーグ初戦。冬に逆戻りしたかのような気候、臨海に逆戻りしたかのような観客数の中、ジェフは相変わらずの高質なサッカーを展開した。


千葉のスタメン。

      要田
   羽生 クルプニコビッチ
 山岸         水野
    坂本  佐藤勇
  結城 ストヤノフ 水本
      櫛野

SUB:立石、斎藤、中島、工藤、楽山、加藤、青木
選手交代:クルプニコビッチ→中島(61分)、要田→楽山(67分)、水野→工藤(82分)
要田を1トップ、その下に羽生とクルプニコビッチ(長い名前禁止)を並べた3-6-1フォーメーション。


広島のスタメン。

   森崎浩  上野
      柏木
  ベット     李
      戸田
 服部 吉弘 ジニーニョ 高柳
      下田

SUB:木寺、小村、槙野、森崎和、青山、桑田 大木
選手交代:柏木→森崎和(42分)、森崎浩→桑田(78分)、李→青山(79分)
こっちは4-3-3。ただし去年見たときとはずいぶんメンバーが替わっている。佐藤寿人ウェズレイが居ないと、迫力がない。


序盤からジェフがいつものサッカーで主導権を握る。そして、2分に早くも水野?のクロスから羽生が決めて先制。広島は、ジェフの選手を全く捕まえきれず、後手後手に回ってシュートの雨を浴びる。得点場面以外に少なくとも3度は決定機があり、ジェフが前半のうちに試合を決めてもおかしくなかった。


ジェフの選手たちの、人とボールの動き、その連動性が絶品だった。
例えば、ボランチの坂本から左タッチライン際に開いた山岸にパスが出る。山岸が中を向いてルックアップ。すると要田がパスを受けにサイドに流れつつ引いてくる。要田が引いたスペースに羽生が上がっていく。坂本はパス&ゴーで山岸の外側をオーバーラップ。こうすると、前方へのパスコースが3つ出来て、いかに組織的守備を誇る広島でもその全ては潰しきれない。前にボールを持ち出せたら、また人の動きとパスを連動させ、気がついたらマークを振り切った選手がゴール前に二人三人と入り込み、シュートを狙う。
仮に山岸が囲まれそうになった場合でも、結城がバックパスを受けられる位置にポジションを修正している。そして、右に大きく開いた水野へサイドチェンジ、広島守備陣を振り回す。


広島の守りは、相手ボールになるとトップ下も引いて中盤とDFが二列になり、選手間の距離を一定に保って相手ボールの位置に合わせ全体がスライドするという、いわば網がピッチ内を前後左右に移動していくような感じだった。ただしこのやり方、コンパクトな陣形を保つ代償として、守備網全体がサイドに寄ってしまう場合があり、どちらかのタッチライン際にスペースが出来てしまう。ジェフはそこを突いてきて、WBの水野・山岸のところで起点を作り、広島の組織を崩していた。ジェフの両WBもポジション取りが良く、上がりすぎず下がりすぎずで余裕を持ってサイドチェンジを受け、かつ加速しながらルックアップできるだけのスペースを確保していた。
広島のシステムでは、ジェフのように速いコンビネーションでボールを動かせるチームが相手だとどうしてもポジション修正が間に合わず、マークが後手後手に回ってしまう。かといって、サイドのケアに一枚割くと、中央にスペースが出来てしまい、こんどはそこを起点に崩されるだろうし。


そう、ジェフは能動的に相手を崩せるチームになりつつあるのだ!


広島は主力が抜けているせいもあり、攻守ともにいま十歩ぐらいの出来だった。球際は弱いし、走り負けてるし、判断にも迷いがあるし。前半30分頃までは一方的なジェフのペース。その後、次第にジェフの運動量が落ち始めるとボールを前に運べるようになるが、連動性が全くなく、サイドを単騎駆け上がった森崎浩が潰される場面が目立つ。
しかし、さすがに後半から修正してきた。後半立ち上がりからジェフのお株を奪うような、とまでは行かないが、本来このチームが持っている組織性をうかがわせる攻撃を見せ、後半開始早々の46分にベットのパスから森崎浩がネットを揺らす。森崎浩を見るべき結城がマークを離してしまった、その瞬間を見逃さなかったゴールだった。その後も、しばらくは広島ペース。


しかし、ジェフもクルプニコビッチに替えて中島、要田から楽山とフレッシュな選手を投入して盛り返す。70分すぎからはジェフがボールを支配、広島陣内でゲームを展開する。能動的な崩しができるようになったジェフだが、相変わらず苦手なのはパワープレー。広島が引いてゴール前を固められると、クロスを入れども入れども跳ね返され、狭いスペースをショートパスのコンビネーションで抜こうとしても、わずかにコンビネーションが合わなかったり、広島DFの寄せが早くて有効なシュートが打てなかったりと、勝ち越せない。オシムがウチの選手が小さいと嘆くわけだ、巻がいればねえ、そうだ、弟連れてきて兄のユニを着せちゃえば、きっとわかんないよ(わかるって)、などとバカなことを考えているうちに、エリア内で誰か(山岸?)が体を張ってキープから、佐藤勇が蹴りこんでジェフ勝ち越し。


そのあとは、広島のカウンターや、ベットが蹴ったゴール正面のFKをしのいで、最後はしっかりボールをキープしてナビスコ初戦勝利。
千葉は調子が上がってきちゃったよ。一方、広島はまだまだ迷ってる感じ。特に中盤守備網が破られっぱなしだったのが痛かった。DFラインの選手も判断がいまいちだし、もうしばらく苦労しそうな感じである。


開幕直後のスランプから復調してきたジェフのサッカーは相変わらず面白かった。そして冬に戻ってしまったような天候のなか、観客数は市原臨海並みに戻ってしまった。あれだけのサッカーをしているのに、なんで客が増えないのか、謎だ。今日に限ってはみんな千葉マリンに行っちゃったのかもしれないけど。


ところで、念を送っていた我がチームですが、決定力の差を見せつけられちゃったようです。ただ、あちこちのブログを除くと内容自体は悪くなかったようです(馬場のケガが心配)。でも、増嶋がまたやっちゃったらしい。苦難の日々は続く・・・