関東大学リーグ1部 第12節第1日 流通経済大学 1 - 2 専修大学(観戦66試合目)

日時:2006年9月2日(土)14:10キックオフ
会場:西が丘サッカー場
観衆:数えなかったが第1試合より少ない(明治関係者が帰っちゃったのかな?)
主審:桜井
得点:三門(流経、32分)、池田(専修、41分)、吉田(専修、59分)
警告:山田直(専修、60分)、前田?(専修、88分)
退場:なし

残暑のなか、試合は続く。あまりにも暑かったのでお姉様に失礼してビール注入(売店のおばちゃん、もっと冷やしといてくれい)。第二試合はいまだ未勝利の最下位・専修が首位・RKUに挑戦する。やや曇ってきたので、第一試合よりは涼しく感じる。


流通経済大学のスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

    10船山  24難波
       7糸数
   20三門     14西
       23武田
 16宮崎 4飯田 2鎌田 6阿部嵩
       21飯塚

SUB:22林、5赤井、11鶴岡、19平木、8西森、17池田、30徐
選手交代:7糸数→19平木(57分)、6阿部嵩→30徐(73分)
前期を8勝0敗3分、勝ち点27、得点24失点9差+15という成績で終え、首位ターンした流経。おまいらテレパシーで繋がってるんかい、といいたくなるぐらいの流麗なパスサッカーで前期リーグを席巻した。夏合宿をしっかりやってさらにコンビネーションの熟成を、といいたいところだが、センターバック二人がJでアルバイトしていたり、ユニバーでオランダ旅行に行ったり、天皇杯予選で内ゲバやったり、JFLで社会人のお相手をしたりと多忙な夏休み。試合自体は多いのでゲーム勘は鈍っていないとしても、チーム練習や調整にあてる時間が少なかったんじゃないかとちょっと心配。


専修大学のスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

     11荒田 13吉田
  18石井       6栗原
    10池田   8野村
 16中野 4山田 5鈴木嵩 15槻木
       21半田

SUB:28高橋、?萩原、23前田、3吉田紘、25小西、?佐藤?、20青崎
選手交代:13吉田→20青崎(後半、時間不明)、10池田→23前田(86分)
前年度上位チームから順繰りに当たっていくという、昇格チームには酷な対戦システムのおかげで序盤は叩かれまくり、前期中盤以降はやや持ち直したものの結局未勝利で、7敗4分勝ち点4、得点11失点28差-17の最下位という非常に苦しい立場に追い込まれた専修。ただし、私が見た試合では明るい開き直りともいうべき雰囲気で、闘志の感じられるプレーを見せていた。残留のためには相手が誰であろうと勝ち点3を取りに行くことが必要だが、そのために取り得る戦法は現有戦力を考えれば「しっかり守ってカウンター」しかない。そのために必要な練習をやってきたかどうか、それを試合で出せるかどうかがポイント。


予想通り、細かくパスをつないで攻め込むRKU vs 逆襲速攻を狙う専修、という構図の試合になった。

キックオフから流経が攻める。ファーストシュートは2分。西が高速ドリブルで前進、前を塞がれるといったん中盤にもどしてパス交換で専修守備陣を揺さぶり、最後は船山の左足で(ゴール左に大きく外れる)。続く3分には三門のロングシュートがバーを越える。
専修も4分、右スローインをFW吉田がキープ、戻したパスをボランチ池田がシュート、これはDFにブロックされ、跳ね返りを右MF栗原が打っていくが宇宙開発、と攻める姿勢を見せる。


しかし、ボールポゼッションは予想どおり圧倒的に流経。難波の引き出しでポイントを作り、糸数が素早くサポート、西が右から突破を狙い、宮崎が高い位置取りで組み立てに加わりながら攻め上がり、三門が方々に顔を出してバランスを取り、武井が長距離射撃を狙う、といういつものサッカーを見せる。
しかし、その中に船山だけが入れない。それでも、上述のファーストシュートの場面や、14分に糸数の折り返しをシュートし枠を捉える(キーパーが阻止)など、序盤にはフィニッシュに顔を出していたが、以後はまったく流れから消える。船山はポジショニングの感覚が狂っているのか、ボールが来ないところへ動いていく、という場面が多発。例えば、右サイドからビルドアップしていく場面で、左サイドへ、ボールから離れるような動きを見せるのだ。。プレッシャーの少ないサイドのオープンスペースへ動くという意図なのかもしれないが、サイドチェンジが通る状況でもないし、ボールに触ってナンボの選手がボールから遠ざかっていくのは極めて不可解だった。そして、船山は15分過ぎから、左タッチライン際を中心に幽霊のように漂うだけになってしまう。

船山の絶不調のおかげで、流経の攻撃にアクセントが付かない。速く正確なパスはつながるのだが、相手の意表をつくような動きは乏しいのだ。それに船山が消えてしまっているため、流経は事実上10人でサッカーをしているようなもの。これでは体を張った専修の守りを崩しきるに至らない。それに、テクニックのあるチームに付きものの悪癖なのだが、シュートレンジで手数(足数?)が多いような印象を受けた。そして、ボールをこねている間に専修の守備陣がコースを塞いでしまう。どこまで守りを崩してからシュートするかは非常に難しい問題だが、ワンテンポ早く打てよ、という場面がしばしば見られた。


どこか本来の持ち味がでない流経を、専修は効果的なカウンターで脅かす。夏の間にしっかりパターン練習を積み、試合前のミーティングでもしっかり意思統一をしてきたのだろう、鋭い動きでボールを持ちだし、サポートも分厚い。例えば、ボールをドリブルで持ち出す選手に対し、一人が近寄ってサポートに入り、もう一人は逆サイドに流れてマークを分散させ(マークがボールサイドに集中するならパスを受けてフリーでシュートまで持っていけるような位置取りをする)、さらに後方からこぼれ球狙いの第2陣が上がってくる、という形が何度も見られた。そして、ちょっとでもコースが空けば、迷わずシュートを打とうとする。とくに、ボランチの位置からカウンターに参加する池田の動きが鋭く、流経守備陣に脅威を与えていた。


しかし、好事魔多し。先制点を上げたのは流経だった。それも、専修のセットプレーからのカウンターで。31分、専修はカウンターから右MF栗原がゴール前で一瞬フリーになり、シュートを打つが武井が寄せてブロック。その跳ね返りをCB鈴木嵩が拾って放り込もうとするが、守りに戻ってきた難波が足を出してCKに逃れる。専修の右CKからゴール前の混戦、ファーにこぼれたボールをFW吉田?が頭で押し込もうとする。シュートは山なりで飛び出したGK飯田の頭上を越えてしまうが、ゴールマウス内でカバーに入っていた宮崎が頭でクリア。このクリアボールから流経が専修のお株を奪う高速カウンターを繰り出す。流れの中では戻りの早い専修守備陣だが、セットプレーからではさすがに戻りきれない。最後は、三門がやや遠目から思い切ってシュートを放ち、これが決まって流経が先制する。


しかし、専修もくじけなかった。人数をかけた守りで流経の攻撃をしのぎながら、逆襲を狙う。そして41分、中央でFW吉田がマークに付かれながらもキープし、スペースに走る中野にパス、中野は右サイドを全速力で持ち上がり、FW荒田に繋ぐ。荒田は流経DF鎌田のプレッシャーを受けながらもエリア右でキープ、上がってきた池田に戻す。そしてボールを受けた池田は、一瞬コースが空いた隙に思いきってシュート。ゴールまでの間には流経のDFが三人、加えてGK飯田も体勢を整えていたが、強シュートはDFの間を抜けてゴールに突き刺さる。GK飯塚も手を伸ばしたが反応が間に合わず。専修が同点に追いついた。


両チームとも、後半開始時の選手交代はなし。船山の出来があまりにも悪かったので、お姉様と「後半は交代だよねー」なんて話をハーフタイムにしていたのだが、そのままだった。中野監督は、もうしばらく我慢するおつもりか?

後半もボールを支配して攻める流経、カウンターを狙う専修という構図は変わらず。
ただし、勝たなくてはならない流経に焦りが見え始める。相変わらず細かく繋いで攻めるのだが、どこか思い切りの良さとは違う、強引なプレイが目立ってくる。48分、難波のクロスを西がシュート、これが専修DFにブロックされてCKとなり、この展開から再三ゴール前に放り込むが全てクリアされる。焦りは守りにも伝染し、50分には自陣ゴール前でCBとGKの連携ミスからあわやOGという場面があった。

専修は人数をかけてペナルティエリアを固め、とにかくシュートコースを消していく守り方。やり方は前半から同じだが、後半はエリアの人口密度がさらに高まったような気がする。このため、流経がパスを繋いで崩そうにもスペースがない。流経はミドルレンジからのシュートを狙っていくが、ここに来て専修GK半田が当たり始める。53分には、流経・三門がマーカーをかわしてミドルシュートを放ち枠を捉えるが、GKがパンチングで弾き出す。

それでも攻め続けるしかない流経だが、このあたりになると、暑さのせいで消耗してきたのか運動量が落ち始め、足元パスが目立ち始める。ミスも多い。それに、あいかわらず船山が消えている(コーナーキックしか仕事しとらん)。誰か動ける奴を入れないと、と思ったところで流経の選手交代。57分、糸数から平木へ。平木が左MF、三門がトップ下に入る。骨折でしばらく離脱していた平木が、試運転というには少しプレッシャーのかかる場面で登場した。


しかし、さあ反撃と思った矢先に専修のカウンターが炸裂する。59分、中央の池田から左サイドを駆け上る吉田へパス、これを受けた吉田がエリアやや左からシュート、これは流経DFが何とかブロックするが、その跳ね返りを自分で拾った吉田がゴールへ肉薄、今度はやや角度の無いところから強引にシュートを放つ。GK飯塚は反応しきれず、ネットが揺れる。専修、勝ち越し。


流経は交代出場の平木が積極的なプレーを見せ、チームを牽引するが専修の集中守備に阻まれる。60分、平木がドリブルで突っかけてファウルを誘い、ゴール正面30mほどの地点で得たFKを自分で狙っていくが、ボールが落ちきらずバーを越える。続いて67分、CKのクリアボールを拾った平木がドリブルで前進、マーカーをかわしてシュートするがGKが弾き出す。

業を煮やした中野監督は、74分に長身の徐を投入(阿部嵩out)、パワープレーに打って出る。徐の頭めがけて放り込み、セットプレーを得ればCB飯田が上がってくる。しかし、ゴール前はすでに人口密集地帯となっており、なかなかチャンスが得られない。それでも混戦から何度かシュートを打っていくが、GK半田の好守もあってどうしてもゴールを割れない。しかし85分、徐が頭で流したボールを難波が拾ってエリアに侵入、やや不意を突かれた感のある専修DFが慌てて寄せるが接触、難波が倒れ、主審はPKの判定を下す。キッカーは船山。普段なら別に心配することはないのだが、この日は絶不調。案の定というべきか、船山はゴール左に蹴るもコースがやや甘く、読みを当てたGK半田がストップ。

この後、流経はFKを平木が直接狙ったり、ロスタイムには徐がクロスに合わせてヘディングシュートを放ったりと最後まで奮闘したが、結局、ネットは揺らせず。表示は4分、実際は5分近くあったロスタイムも終了。なんとなんと専修が首位の流経相手に1部リーグ初勝利を上げた。


専修の勝因は、今やれることをやりきったということに尽きると思う。上位を喰うにはこれしかない、というやりかたを迷わず徹底した。例えそれがベタ引きカウンターであってもね。夏の間にしっかり練習したのだろう、好守の切り替えの速さ、カウンター時のポジショニングやサポートの動きが見事だった。それにシュート時の思い切りも良かった。もともと、いい意味での開き直りができるチームなんでしょう。さすがにゲーム終盤は逆襲をかける余裕も無くなっていたが、守備の集中も途切れなかったし、GKのスーパーセーブもあって何とかしのいだ。ただし、残留に向けて展望が開いたかというと、まだまだ非常に苦しい状態にある。農大の上に行くことは十分可能だろうが、もう一つ順位を上げられるかというと、中央や順天あたりを上回らなければならないのだから。とにかく、目の前の試合に全力を尽くして、あとは中位グループで大崩れするチームが出るのを期待するしかないだろう。ところで、あの「勝利ダンス」はなんなのでしょう(笑)。


流経のほうは強豪が負けるときの典型的パターンにものの見事に嵌っただけで、やけ食いするほどw鬱になる必要はないと思う。

この試合でも持ち味である細かい繋ぎを随所に披露したし、それなりにフィニッシュまで持ち込めていた。つまりチーム全体としてのパフォーマンスはそんなに悪くなかった。この試合でも専修のGK半田が神と化さなければ、ぐだぐだには違いないが勝てたと思う。今回の不調は、夏休みをバイトや海外旅行、地方巡業、内ゲバに費やしてしまったツケが出たように見えるけれどね。コンビネーションが微妙に合わなかったり、シュートにやや精度を欠いたりしたのはそのせいじゃないかな。今日は専修のカウンターにやられて
しまったが、もともとある程度のリスクは覚悟の上で攻撃的なサッカーをやってるわけで。カウンターなんざ、いつもは鎌田・飯田のCBコンビとGK林が止めてくれるのだが、CB二人はバイト疲れ、林がケガ?でベンチスタートと肝心かなめの防波堤が不調だったのが響いた。

駒澤が勝ったので首位を奪われた形になったが、どうせ直接対決があるのだし、駒澤だっていくつかは勝ち点を落とすだろう。全体としてみれば、十分に修正可能な不調であって、今後の展望も含めて鬱になる必要はないと思う。平木も戻ってきたんだし。

ひとつ気になるのは船山御大の不調っぷりですな。ボールに触ってなんぼの選手がボールから離れていっちゃうんだから、相当深刻と見た。この試合、流経は10人でサッカーやってるようなものだったね。中野さんは船山と心中するつもりだったらしいが、いつまで我慢するだろうか。どこかで西森、前期は出ていた武田(最近見ないな)、バックスタンドで檄を飛ばしていた高林(同室の人は部屋に入れたのだろうかw)、金久保あたりと交代、あるいは調子を見て併用するのか、それとも船山の復調に賭けるか。林のユース代表召集なんかもあって、中野監督にとってしばらくチーム構成に頭を使う日々が続くと思う。