関東大学リーグ1部 第12節第2日 東京学芸大学 3 - 0 中央大学(観戦70試合目)

日時:2006年9月3日(日)12:00キックオフ
会場:西が丘サッカー場
観衆:数えなかったがいつもの入り。
主審:不明
得点:山田(学芸、19分)、黒田(学芸、41分)、志連(学芸、60分)
警告:なし
退場:なし


東京学芸大学のスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

      9志連 10山田

  6林 20瀬田 24渡邊 21酒井

16高野 5黒田  3鈴木博 44高橋
      39山下

SUB:不明
選手交代:9志連→26塩崎(71分)、6林→32桂木(78分)、10山田→43鈴木(88分)


中央大学のスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

        22小池
  11辻尾        9小倉
     7大瀧    6渡邊康
        10田村
 23齋藤広 31新井 4園田 5大根
        21小野

SUB:不明
選手交代:22小池→19石川(HT)、9小倉→8南木(58分)


間もたっているので簡便に。
組織サッカーが機能した学芸に対し、中大のほうは攻撃が手詰まり守備がザルと、明暗がはっきり分かれた試合だった。


前期はたった5失点とリーグ1の堅守を誇りながら得点力不足で中位に甘んじた学芸大
守りはフラット4-4-2、ラインを押し上げたコンパクトな布陣で前線から連動したプレスを仕掛け、パスコースとスペースの両方を制限しながらできるだけ高い位置でボールを奪う。そして素早く攻守を切り替え、速くかつ分厚い攻撃でゴールを陥れる、というのがコンセプト。
攻撃時は6人(2トップ、サイドMF2人、セントラルMFが一枚、どちらかのサイドバック)が攻めあがり、4人(残るセントラルMF1人とDF3人)が残る、というのが約束事。このあたりはほぼオートマチックなので、学芸の試合を見る人は是非この機能美をご覧あれ(ぐだぐだなときもあるんですが)。
前期は、このうち守備の部分、つまり高い位置でのプレッシングが非常にうまくいっているように見えた。それに、押し込まれても鈴木博・黒田のCBコンビを中心にペナルティエリアをしっかり固め、パワープレーに対しても守りきる局面の強さを持っていた。
ただし、攻撃は単調だった。そのオートマチック性ゆえにアタッキングサードまでボールを運ぶことはできるが、最終局面でのアイデアが不足しているために相手を崩しきれず、ただクロスを入れては跳ね返される、という光景が繰り返された。


しかし、この日は違っていた。ひとことで言えば選手の動きに流動性が出てきていた。2トップが開いてその間にセントラルMFが飛び込んできたり、セントラルMFがサイドに流れるとサイドバックが中に入り込みながら高い位置まであがってくる、サイドMFが中に入るとセントラルMFが外を回っていったり、という動きを、正確にパスを繋ぎながらできるようになっていた。FW陣もクロスが来るときの動き方を工夫していて、どちらかがDFを引きつけ、もう一人はその視界から消える、という動きを見せていた。書けば当たり前のこのなのだけれど、90分間、忠実に実行できるチームは実際のところ少ない。


学芸の1点目はまさにその視界から消える動きでもたらされたもの。右サイドにボールが出ると、志連がニアでクロスを待ち、山田がいったんニア側に寄り、DFの視線がボールに注がれたタイミングでバックステップ、ファーポスト側に消える。そして山田は酒井のフワッとした折り返しをほぼフリーでトラップしゴールに蹴りこんだ(あっさり引っかかる中大のCBも問題だが)。
学芸の2点目は前半終了間際、高野の左CKを黒田が頭であわせたもの。3点目は60分にバックパスを志連がかっさらって決めたものだった。


一方の中大。学芸の得点経過をみれば明らかなように、守りに問題を抱えていた。前半の失点はゴール前で人を捕まえ切れなかったために生じたものだし、後半のものは単なる凡ミス。システムうんぬんより、ゴール前での集中力の無さや人に対する意識の欠如といった個人レベルの問題である。もっとも、中大の守備組織自体が機能していなかったが。
中大は攻撃でも精彩を欠いていた。中大の生命線はサイド攻撃。良いときは中盤下がり目、とくに田村の正確な展開からスピード豊かなサイドアタックを繰り出す。しかし、この試合では学芸大がしっかりサイドのスペースをケアしていた。このため辻尾・南木の両ウィングがいい形でボールを受けられず、強引な突破を仕掛けてはプレス網にはまって潰されるという場面が繰り返された。
時間がたつにつれ中大のプレーから積極性が失われる。キャプテン田村が必死にチームメイトを叱咤激励するが、笛ふけど踊らず、というより踊り方がわからないようで、結局、見せ場を作れないまま試合終了。がっくりと膝をつく田村が痛々しかった。


攻守にわたって組織サッカーが機能した学芸大。守りは相変わらず堅いし、課題の攻撃にいい形が見え始めている。このままいけば、後期も上位チームにとっていやな相手になりそうだ。ただし、あれだけ試合の主導権を握りながら、流れの中での得点は1点だけ。上にいくためにはフィニッシュの精度を上げていくことが課題だろう(ここが一番難しいんですがね)。
中大は、とにかく守り。決して個人能力が低いわけではないのに、この内容はいただけない。集中力不足が目立っていただけに、まずは各個人の守備意識を上げていきたいところ。攻撃のほうは、ウィングがフリーでボールを受けられるような形を一つ作る必要あり。中でパスを回してDFを引きつけてからサイドへ展開、とか。この試合に関しては、FWを裏に走らせるような長いボールをもっと使って良かったんじゃないだろうか。学芸が高い位置でプレス網を敷いているのに、FWにボールを持たせてそのままつっこませても効果は薄い。そのあたりのかけひきも意識したほうがいいんじゃないか、と思った。