関東大学リーグ1部 第12節第2日 早稲田大学 2 - 2 筑波大学(観戦71試合目)

日時:2006年9月3日(日)14:10キックオフ
会場:西が丘サッカー場
観衆:数えなかったがいつもどおり。
主審:鶴岡
得点:兵藤(早大、31分)、兵藤(早大、42分)*PK、麻生(筑波、51分)、麻生(筑波、84分)
警告:山口(早大、71分)、兵藤(83分)
退場:なし


早稲田大学のスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

    9渡邊千  11松橋
       10兵藤
 15中島       17松本怜
    7鈴木修  2塗師
   12横山 4金守 3山口
       16伊藤

SUB:1時久、5堀江、13中川、14首藤、20松本征、18島村、19前田
選手交代:17松本怜→13中川(58分)、11松橋→19前田(75分)、9渡邊千→18島村(89分)



筑波大学のスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

   22佐々木  17田中雅
  8麻生       14竹下
    6岡田   4今田
 7内藤 3石井 27田中秀 2野本
      30碓井

SUB:1山田慎、5高山、15奈良輪、12長瀬、9富岡、11木島、29立花
選手交代:17田中雅→11木島(65分)、7内藤→15奈良輪(75分)、22佐々木→29立花(79分)


続いて第2試合。
前半は早稲田のゲームだった。とくに立ち上がりの15分ほどは筑波に激しくプレッシャーをかけ、圧倒した。統制がとれたプレッシング、というふうではなかったが、運動量と各人の対人能力の高さは圧巻。特に塗師は格の違いを感じさせる守りを見せていた。そして、ボールを奪い取るとサイドに展開してクロス、あるいは早めにFWに預けてその突破力を使う、というのが攻撃パターン。もちろん2列目以下が押し上げてこぼれ球を狙う。セットプレーも迫力満点。兵藤の正確なキックに渡邊千を始めフィジカルの強い選手が次々と飛び込む様は迫力満点。しかし、筑波も押し込まれているなりにペナルティエリアをがっちり固めているため、シュートの数は多くない。


筑波は早稲田の圧力にあっぷあっぷしていたが、早くボールを動かすことによってその圧力を突破しようという意図が見えた。15分過ぎから早稲田の運動量が落ちてくると、持ち前の早いパスワークが機能し始める。右SB野本が高めの位置取りで起点になっていた。しかし、スペースのある中盤ではパスを回せても、早稲田の屈強な3バックが待ちかまえるゴール前では局面が打開できない。


両チームともやや手詰まり感が出ていた31分、早稲田に先制点が生まれる。ボールを持った筑波CB田中秀を早稲田FW渡邊千が強烈なショルダーチャージで吹っ飛ばし、ボールを奪う。渡邊千はそのままゴール前まで持ち込み、最後は素早く詰めてきた兵藤にパスが渡ってゴール。いやー、強引(笑)。
筑波も左MF麻生が積極的な動きを見せ、36分には佐々木のポストプレーからシュートを放つがGK正面。
早稲田の追加点は42分。右クロス(松本怜かな?)からゴール前の混戦になり、松橋が足を引っかけられて倒れ、PK。これを兵藤がしっかり決めた。


前半で2点のリードを得た早稲田が後半も筑波を圧倒するかに思えた。しかし、後半は筑波のものだった。
後半立ち上がりから、運動量が落ちた早稲田を筑波がパスワークで切り裂いた。とくに左MF麻生の動きが冴えており、チャンスは左サイドから生まれた。47分には麻生の左CKをファーポストで野本が頭一つ抜け出てヘディングシュート、決まったかと思えたが早稲田GK伊藤がファインセーブ。この後も筑波の流れは続き、51分に麻生が35mはあろうかと思える位置から思い切って左足を振り抜き、GK伊藤の反応も及ばず、低伸弾道シュートがゴール右隅に決まった。これは、はっきりいってスーパーシュート。久々に見る「ごらっそ〜」なシュートだった。
この後も筑波の流れは続く。61分には麻生の突破から得たCKのクリアを野本がダイレクトボレー(DFがクリア)。77分には同じく左CKのクリアを竹下がミドルシュート、これがゴールライン上で早稲田DFにクリアされるが、跳ね返りを田中秀がシュート(またブロックされる)。

対する早稲田は青色吐息。暑さにやられたか、がっくりと足が止まり筑波の動きについて行けず。前半立ち上がりはあれほど圧倒した対人プレーでもあっさり抜かれる場面が目立つ。カウンター主体で反撃を試みる。56分に松橋がスピードを生かした突破から宇宙開発した場面とか、80分に兵藤が個人技から見せたシュートとか、惜しいチャンスがあったものの、全体には単調かつ単発な攻撃に終始した。ゲーム終盤は完全にグダグダ。挙げ句の果てに兵藤がスローインをなかなか投げず、遅延行為を取られて警告を受ける始末(次節出場停止)。


筑波は木島、奈良輪、79分には長身FW立花を投入し、パワープレーをかける。その猛攻が実を結んだのは84分。左スローインから麻生がペナルティエリア左に侵入、角度の無いところから強引に放ったシュートが逆サイドネットに突き刺さり、筑波が同点に追いついた。


ロスタイム、筑波・木島がゴール前で一瞬フリーになり、シュートするもDFが必死で足を伸ばしてブロック。早稲田も交代出場の前田がカウンターから抜け出してシュートし筑波GK碓井がセーブ、とそれぞれ惜しいチャンスをモノにできず、試合は引き分けで終わった。


この試合、早稲田が単調な、個人能力に頼ったサッカーをしていたのがすごく気になった。守りでは局面で数的優位を作るような動きに乏しく、ボールホルダーに寄せていった選手の一対一にお任せ。攻撃でも前の3人に頼る傾向が非常に強い。アーリー気味のクロスで渡邊千の頭を狙う、あるいは早めにボールを預けて渡邊千のフィジカル、松橋のスピード、兵藤の個人技にお任せ、という感じ。この3人(全員国見だな)の間ではときおりコンビネーションらしきものも見えるが、全体としては個の力に頼った、力任せのサッカーをしていると強く感じた。このやり方、個力の総和で勝るチームに対してはそれなりの結果を出せるけど、早稲田と同等の選手をそろえているチーム、あるいは劣勢を補えるだけの組織力を持つチームに対しては苦しいんじゃないだろうか。前期、早稲田に対して個の力で拮抗しチームとしての洗練度に勝る流経に子供扱いされて敗れた試合がその典型だろう。とにかく、あれだけの選手をそろえていてこのサッカーをやっていていいのかと少々疑問に思った。
追記)前期は流経、法政に負け、筑波には引き分け。つまり早いパス回しで流動的なアタックを仕掛けてくるチームを苦手にしてるのね。


筑波のほうはやや自信を取り戻してきたように見えた。前期は守備の破綻がチーム全体に波及して総崩れ、という感があったけど、この試合で披露したパスワークは本来の筑波のものだったと思う。FWが相変わらず迫力不足なんだが、それをいまさら言っても仕方ないし。もともと、筑波のFWは「前のほうにいるMF」という色が濃く、FWに頼るより攻撃陣のコンビネーションから得点を奪うという傾向が強いからね。ただし、独力で局面を打開できる選手が必要なことは確かで、やはり三澤の早期復帰が待たれるところ。この試合はキレキレの麻生に救われた。
あと守備は、やはりDFラインの不安定さ、とくにCBの弱さが目に付いた。ここは、MFと連携して局面で数的優位を作るような守り方を徹底してしのぐしかないんだろうと思う。


以上、遅れたけど酷暑の中で行われた第12節第2日のレポート。