2006年J1第12節 FC東京 1 - 3 ヴァンフォーレ甲府(観戦74試合目)

日時:2006年9月9日(土)18:30キックオフ
会場:味の素スタジアム
観衆:21382人
主審:松尾、副審:原田、小椋、第4審:宮島
得点:茂原(甲府、23分)、バレー(甲府、32分、PK)、バレー(甲府、38分)、ルーカス(東京、47分)
警告:ビジュ(甲府、18分)、藤山(東京、31分)、山本(甲府、42分)、茂原(甲府、55分)、川口(東京、61分)
退場:なし


FC東京のスターティングラインナップおよびサブスティテューション・

      ルーカス
  戸田   馬場   石川
    三浦    梶山
 伊野波 藤山 ジャーン 徳永
       土肥

SUB:塩田、中澤、浅利、宮沢、栗澤、川口、阿部
選手交代:戸田→川口(HT)、三浦→栗澤(HT)、馬場→阿部(65分)


ヴァンフォーレ甲府のスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

       茂原
  バレー       山崎
    山本    藤田
       林
 井上 ビジュ アライール 杉山
       阿部

SUB:鶴田、奈須、鶴見、宇留野、長谷川、須藤、堀井
選手交代:山崎→宇留野(61分)、林→奈須(68分)、アライール→鶴見(75分)


箇条書きで。

  • 甲府はスムーズにボールを動かしてアタッキングサードまで持ち込むと、そこで3〜4人のグループで素早いパス交換を行って東京守備陣をフリーズさせ、機を見て一人が飛び出す(特にバレー)、というやり方。洗練されてます。
  • 対して、東京は停滞気味。ルーカスのポストプレーが押さえられ、馬場のパスが味方と合わず、梶山に預けても球離れが悪くてプレスの好餌になる、という状況。それでもごり押しでボールを前に進め、流れの中では戸田に裏を狙わせ、あるいは強引に仕掛けてセットプレーを取ってくる、という感じ。
  • 試合のキモはこれまでセンターFWとして起用されていたバレーを左に持ってきたこと。攻め上がった徳永の背後で、スピードの無いジャーンが振り切られる場面が多発。スピードの差は明らかで、見ていて悲しいものがあった。要は、駆けっこ勝負になっちゃって「ジャーンの間合い」で対応出来ないんだよね。茂庭がいてくれたら、と何度も思った。バレーの左FW起用はエルゴラでも予想されていて、対抗策を準備することは可能だったと思うんだけど、そういう戦術的駆け引きを伝統的にしないのがウチのチーム。
  • 失点場面は、いずれも不運といえば不運。茂原の苦し紛れのシュートに意表をつかれたり、よくわからないPKをとられたり、攻めに出るしかなくなった場面で見事にカウンターを決められたり。ただし、それ以前に何度も崩されていたのでいつかは失点したと思う。たまたま、言い訳できなくもない状況で点を取られただけ。
  • それにしても、東京のプレスには連動性が感じられない。その辺の指示出しを期待されての三浦起用だと考えているが、機能せず。
  • ルーカスは1トップだとやっぱりだめ。彼は前を向いてなんぼの選手。赤嶺じゃだめなのか?
  • 甲府は運動量豊富かつ球際も厳しい。ただし、東京の攻めをファウルで止める場面が多発しており、よく見れば結構あっぷあっぷしながら、ぎりぎりで止めていたのが分かる。
  • しかし、東京の攻撃は単調。原点回帰っていったって、去年の悪いところまで戻すことはないじゃないか。戸田は裏への飛び出しこそ良かったが、サイドでボールを受けると技術の低さがありありと見える。それに決定機を決められないところはあいかわらず。
  • 後半頭から、三浦out栗澤、戸田out川口。プレッシングの司令塔になれなかった三浦、確変しなかった戸田を下げた。この交代は妥当。前線がルーカス・川口の2トップ、中盤はトップ下が馬場、右に石川、梶山が底、栗澤が中央〜左を動きながらその間をつなぐ形。
  • この布陣がいちおう機能する。するとルーカスが甲府の凡ミスをついて得点。
  • 以後は東京のごり押し攻撃。しかしここが勝負どころと見たか、甲府ペナルティエリアに人垣を築いて対抗。
  • 東京は攻めあぐむ。それでも阿部とか阿部とか決定機を迎えるのだがなぜかボールがゴールに行かない。セットプレーを得ても、キックの精度が低いためことごとくフイにしてしまう。
  • 何度も甲府のカウンターを喰らうが、シュートが枠に行かない。


あー、もうめんどくせ。俺よりずっとうまくまとめている人が何人もいるので、そっちを見てくれ。
俺はもう、AEDのデモのときに、危うく選手どもへの使用許可を出すところだったぞ。


結局、前半グダグダで先行され、後半はさすがに目が覚めて猛攻をかけるが及ばず、というよく見たパターンの試合だった。試合後、選手が挨拶に来たとき、バックスタンドではかなり広範なブーイングが起こっていた。一方、拍手する人もいた。割合は、私の周りでは半々ぐらいかな。私はブーイング党。拍手していた人は、負けたけどよくがんばっていたよ、ということなのだろう。だけど、もう違う。


ずっと前、原時代の半ば以降から顕在化している問題に対して、何一つ有効な手が打てていないんだよね。
おまけにこれまでチームを支えていた堅守さえ失われた。もちろん、茂庭・今野・金沢という替えの効かない選手が離脱中なのは痛いけれど、守りのコンセプトが徹底されてりゃ、ああも無様にやられるわけはない。攻撃にしてもそう。肝心なところでミスを連発するのは約束事がチーム全体に徹底してないからですよ。だから、みんなその場その場でいちいち考えて、でもうまい手なんてそう簡単に思いつくわけ無いのだから焦って、結局チャンスをフイにするわけ。意図のない気合いだけのプレー、状況判断のまずさ、戦術的駆け引きの拙さ(というよりそもそも考えてませんがな)。
石川の突破力が武器ならば、彼がスペースのある状況でボールを持てるような仕掛けを、数パターン叩き込む。サイド攻撃を売りにしたいなら、ゴール前でクロスに対する飛び込み方を工夫する。ああもう何回書いてるんだろ。こんな、バックスタンドで終始酔っぱらってる人間にさえわかることが改善できないなんて。
こりゃ、もうスタッフの問題だよな。ガーロという選択は結果として大外れに終わったわけだが、外部から人を呼びたくなったわけも分かるよ。別に倉又さんや長澤さんをクビにしろって言ってるわけじゃない。でも、少なくとも来シーズンは外部から参謀を呼んできたほうがいいぜ。具体的には・・・うーん、そうだ、学芸大の瀧井先生に「基礎から学ぶグループ戦術」というタイトルで毎週講義してもらったらどうだ。あくまで基礎から。応用編から始めると、あいつらまた知恵熱を出すから。


とまあ、色々書いてきたわけだが、京都行きます。とにかく、結果でも頑張りでもなく、内容が向上しているのかどうか、この目で確かめるつもり。できなかったら盛大なブーイング付きで。


とにかく、ただ健闘のみを称える時期は、もう過ぎたと思う。