関東大学リーグ1部 第13節第1日 法政大学 4 - 3 筑波大学(観戦73試合目)

日時:2006年9月9日(土)14:10キックオフ
会場:埼玉スタジアム第2グラウンド
観衆:200人強ぐらいかな
主審:佐藤
得点:17田中雅(筑波、3分)、17田中雅(筑波、21分)、17田中雅(25分)、22福田(法政、35分)、
   9小助川(法政、46分)、15稲葉(法政、50分)、9小助川(法政、78分)
警告:24山本(法政、34分)、22福田(法政、80分)
退場:なし


法政大学のスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

     10井上 24山本
  8向        9小助川
    7本田拓  6常盤
 3吉田 22福田 4雑賀 18元木
       1千葉

SUB:35番、5本田勇 27堀越、33江崎、28富井、15稲葉、16土岐田
選手交代:9小助川→16土岐田(84分)、8向→28富井(89分)


筑波大学のスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

    22佐々木 17田中雅
  32室橋       14竹下
    6岡田    4今田
 7内藤 27田中秀 3石井 2野本
       30碓井

SUB:1山田、5高山、15奈良輪、12長瀬、33大塚、11木島、29立花
選手交代:7内藤→15奈良輪(67分)、22佐々木→11木島(78分)、3石井→29立花(84分)


三連チャンの第2試合。両チームに対し、おまいらジキルとハイドかい、といいたくなるような試合だった。


前半は完全に筑波のゲーム。キックオフからラッシュをかけ、法政が試合に入りきらないうちに先制パンチを見舞う。3分、右MF竹下が「一人ワンツー」でDFを抜き去り右サイドを突進、ファーポストめがけて速いクロスを入れる。これをGK千葉がキャッチしきれず、DFがこぼれ球の処理をもたついたところをFW田中雅がかっさらってゴールに流し込んだ。
これで動揺したのか、法政にミスが目立ち始め、中盤での不用意なパスをカットされ筑波のカウンターを招く場面が多発する。
試合の主導権は完全に筑波が握る。ラインを押し上げてコンパクトなスリーラインを形成し、ハーフウェイ付近からFWがボールを追い込み、中盤以下が連動プレスをかけていく。運動量も豊富でアプローチの速さ、球際の強さで中盤を制圧した。
筑波の追加点は21分、右サイドからのクロスに対し、田中雅がニアに飛び込んで押し込んだ。続いて25分、筑波は法政のミスパスからショートカウンターをかける。FW佐々木が中央をドリブルしペナルティエリアにまで持ち込む。法政CB福田が追いすがるが佐々木はその鼻先をかすめる横パスを出す。これが田中雅に渡り、シュートがGKの手を弾いてネットを揺らす。田中雅也、開始25分にしてはやハットトリック


法政はなかなか筑波の守備網を突破できなかったが、それでもスピードのあるアタッカー陣が強引な勝負をかけ続け、ファウルを誘ってセットプレーから反撃をかける。これが実を結んだのが35分。ペナルティエリア左すぐ外で得たフリーキック、本田拓が蹴ったボールを福田が頭で押し込んで一矢報いた。この得点で、法政は少しリズムを取り戻す(筑波の運動量が落ちてきたせいもあるが)。39分には、井上のクロス→ファーで受けた山本が中央に折り返し→中に入り込んだ向がシュート→DFがブロック、というチャンスがあった。

筑波のほうも42分、CKのこぼれ球を今田がシュートしGK千葉に腕一本で弾かれるという惜しい場面あり。前半終わり頃には法政側に中途半端なクリアやバックパスからピンチを招くシーンがあったがなんとかしのいで後半に持ち込む。


後半はうってかわって法政のゲーム。前半は筑波のプレス網をドリブルとショートパスで突破しようとして潰されたが、後半は一転してサイドの裏にフィードをいれて高速アタッカー陣を走らせる戦法に出た。これがものの見事にはまった。46分、左サイドを突破した稲葉のクロスに反応し、中央に飛び込んだ小助川がヘディングシュートを決めて1点差に追いつく。続く50分、フィード一発で右サイド裏に抜けた本田拓の折り返しを、鋭い出足でDFの一歩前に出た稲葉が押し込んで法政があっという間に同点に追いつく。筑波がサイド攻撃に対応できないうちの、鮮やかな同点劇だった。


この後、勢いづいた法政が早いサイドアタックで揺さぶりをかけ続け、さすがに気を取り直した筑波の守備陣が必死でしのぐ、という展開が続く。完全に守勢に回った筑波だが、法政にやや攻め疲れが出てきた71分、今日ハットトリックの田中雅が強引な突破からシュートを放ちCKを得ると、これに田中秀が頭で合わせGKがブロック、発生したゴール前の混戦であわやの場面を作り出した。


その後はお互いに中盤が空いてきてカウンターの応酬になる。74分にはロングボールに抜け出した田中雅のシュート(DFがブロック)、76分にはサイドへの放り込みを拾った竹下がクロスを入れるが誰も触れず、筑波がチャンスを得る。カウンターなら負けていない法政も77分、ポストプレーで粘った小助川がペナルティエリア近くでファウルを貰い、これで得たFKを本田拓がサインプレーで横に転がし小助川がシュート(筑波DFがクリア)。そしてロスタイム突入寸前の89分、筑波の自陣内でのスローインをうけたCB石井が法政の選手が近くにいるにもかかわらず、なぜかすぐ蹴らずに漫然とルックアップ、すかさず井上平がタックルをかけ、こぼれたボールを小助川が拾ってそのままペナルティエリアに猛然と侵入、右サイド角度の無いところから思い切って放った強シュートがGK碓井のニアを破り、ついに法政が勝ち越した。


その後、筑波は途中出場の電柱長身FW立花にボールを集めてパワープレーに出るが、反撃は実らず。法政が見事といえば見事、でも前半はなんなのよ、という逆転劇で勝利を飾った。


前半はグダグダだったものの、後半に適切な修正を施し見事に3点差をひっくり返した法政。結果論でいえば、前半のうちに1点返しておいたのが大きかった。少しは心の余裕を持って後半に臨むことができたのだから。前半のうちにダメっぷりを修正できなかったのは反省点だと思う。なにせ、コンパクトなプレッシング網を敷いた相手に正面から突入しつづけ、あまつさえミスから筑波にカウンターの機会をプレゼントし続ける。一方、後半は打って変わって鮮やかなサイド攻撃から逆転に成功、このコントラストはいったい何なのよ(苦笑)。良いリズムの時はオートマチズムを感じさせる非常に良いサッカーをしているだけに惜しい。2部から上がってまだ2年目、「チームとしての経験」というのは一朝一夕には得られないのだな、と考えされられた次第。


筑波のほうは、非常に痛い星を落とした。前節に大活躍した麻生が累積警告で出場停止、にもかかわらず田中雅也大当たりデーで3点先行、そして敗戦orz。精神的なダメージが大きい。次の試合までにうまく切り替えられればいいのだが。とにかく、前半のうちは全てがうまく回っているように見えた。統制された激しいプレッシング、筑波本来の早いパスワークから繰り出される攻撃、そして珍しく(ごめん)FWが決定力を発揮。ただちょっと飛ばし気味のように見えたんで、運動量が落ちる後半はどこまで持ちこたえられるかな、と心配していたがここまで崩れてしまうとは。いかに法政のサイドアタックが鋭いとはいえ、前半とは違うやり方で揺さぶられただけであっさり守備組織が崩壊してしまう様は無惨だった。後期第1戦を見て復調してきたかな、と思ったが前言撤回。まだまだ苦しい戦いが続きそうである。