2006年J1第31節 ジュビロ磐田 4 - 1 FC東京(観戦100試合目)

日時:2006年11月18日(土)14:00キックオフ
会場:ヤマハスタジアム
観衆:14406人
主審:片山、副審:犬飼、佐藤秀、第4審:田尻
得点:前田(磐田、7分)、前田(磐田、16分)、太田(磐田、49分)、菊池(磐田、70分)、ルーカス(東京、87分)
警告:今野(東京、8分)、馬場(東京、44分)、藤山(東京、73分)
退場:なし

は〜い、ヌーボーで乾杯!・・・じゃなくて完敗。
ジュビロってこんなにいいサッカーするんだねえ。従来からのポゼッションサッカーに縦への速さが加わって強いチームになりつつあるなあ。太田、船谷、上田、静産大出戻りで犬塚。ユース上がりがかなり多いんですね。彼らがもう少し経験を積んで、ポイントにいい外国人を補強すれば、黄金時代の再来も夢ではない、そんな印象さえ受けた。新しいジュビロ。連中は確実に進歩しつつある。
そんなジュビロと東京がいい勝負を出来たのは、人間力様のおかげだったってことだ。フロントも考えろよ。


ジュビロ磐田のスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

GK:1川口
DF:33犬塚、2鈴木秀、20金、27上田
MF:23福西、8菊池、25ファブリシオ、28船谷
FW:17太田、18前田
SUB:21佐藤洋、3茶野、4大井、6服部、15西野、22カレン、9中山
選手交代:船谷→服部(HT)、福西→カレン(66分)、太田→大井(80分)
登録上は4-4-2。実際は、前田が1トップ気味の4-5-1かな(ボックス4-4-2でFWは前田が前・太田が後ろ目、という言い方もあるか)。ウイングを配する東京とは違って、2列目の太田・福西・船谷はかなり流動的。ポジションチェンジを繰り返しつつ、広範な動きで東京守備陣を翻弄した。


FC東京のスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

GK:1土肥
DF:25徳永、19伊野波、5増嶋、8藤山
MF:6今野、23梶山、20川口、13戸田、14馬場
FW:9ルーカス
SUB:22塩田、3ジャーン、15鈴木規、10三浦、16宮沢、27栗澤、39平山
選手交代:増嶋→鈴木規(52分)、川口→平山(56分)、馬場→宮沢(71分)
石川・阿部が足を痛めているため、右サイドの先発は川口。ジャーンがベンチ入り。


試合展開はオフィシャルを参照のこと(手抜き)。


相変わらず、だらだらとした失点が止まりませんなあ。最初の失点は7分。太田が左サイドから上げた何の変哲もないクロスを、前田が何の変哲もないヘディングシュート、土肥が横っ飛びするも及ばずゴール右に決まって磐田が先制。前田に付いていた伊野波があっさり前を取られてシュートを許してしまったもの(追記:フェイクの動きに。お次は16分、ゴール前で回されて、福西のミドルがポストに跳ね返ったところを前田に詰められた。人は揃っていたにもかかわらず、パスを回されている間にマークが甘くなって、二人付いていたにもかかわらずコースを開けてシュートを許した。かつ、詰める前田に誰も付いていかない。
きれいに崩されたわけじゃなくて、まったり守ってて、ふと空いてしまったエアポケットを「あれえ?」って感じで突かれて取られてる。
集中力が足りない、試合の入り方が悪いって言ってしまえばそれまでなんだけど、ここまで修正できないのはなぜなのだろう。


見ていると、中盤でボールを奪いに行けるようにはなってるんだよね。これは改善点。連敗中はズルズル下がってしまっていたから。連敗を止めた名古屋戦から、前でボールを取りに行くようになっている。ただ、連動性がないんだよね。一人がコースを切って、二人目が体を寄せて、三人目がボールを奪う、ってな感じじゃなくて、ただボールホルダーに殺到しているように見える。だから、パスコースをつくる動きが上手な相手だと人数をかけていても簡単にかわされ、パスをまわされる。
もう一つの問題は、気合い先行空回りのなんちゃってプレスに参加していない選手たちがポジションを修正しないこと。中盤が前に出てボールを取りに行ってるのにDFが押し上げないし、サイドに追い込んでいるときは逆サイドの選手が中に絞ってこない。だから、かわされるとバイタルがポッカリ空いちゃう。そしてバイタルで起点を作られ、慌てて中を固めればサイドに振られ、と右往左往することになる。


ジュビロはサイドも上手に使ってたね。福西・太田・船谷のうち一人がタッチライン際に開いて長いボールを引き出していた。その動きに対し東京は無策だった。
3点目はセットプレー崩れのカウンターだったかな。前田からのロングパスを受けた福西が右サイドを疾走し、中に切り込む。東京は残っていたDF2枚が2人とも福西に行っちゃって、それでもってあっさりかわされて真ん中ががら空き。どフリーで福西のパスを受けた太田が難なく決めた。土肥はノーチャンス。
4点目はゴール前で回されて例によってマーキングが崩壊し、後方から出てきた菊池に抜け出され(DFが一枚付いていたが淡泊な守備であっさり抜かれてた)、土肥もかわされて無人のゴールにきめられた。
この試合、福西が何人もいるかのように見えたよ。それと太田が切れてた。


こうやって書いているとまるで守備が崩壊してたみたいだが、実際そうだよな。後半、カウンターを喰らうのは仕方ないんだけど、もう少し粘ってくれないとため息しか出ないよ。
確かに、いろいろエクスキューズはある。あうんの呼吸が必要なDFラインが相次ぐ故障者でつぎはぎの張りぼて状態。徳永-伊野波-増嶋-藤山って去年と全取っ替えじゃないか。こりゃコンビネーションなんてあったもんじゃないよな。ただし、いくら急造とはいえCBの弱さはいかがなもんかと。CBがジャーン・茂庭なら1失点目の取られ方はなかった。本職じゃない伊野波はともかく、増嶋に一本立ちしてもらわんと困るんだけど(オフィシャルサイトなんて作ってる場合かい?)。磐田の流動的な攻撃に対応できたとはいいかねる出来だったし、交代直前にはこぼれ球を追わない場面もあった。途中交代させられてかわいそうなんだけど、あれじゃ仕方がないよ。そう、確かにかわいそう。茂庭のケガに合わせるようにケガをして、経験を積めなかった。守備組織が整っていればもっと違ったプレーができるはずの選手だが、守備崩壊のなかで個力勝負でしのぐしかない状況。やっぱり、一対一で負けることの許されない4バックの真ん中は厳しいのかな。結局、3バックの真ん中しか務まらない選手なのかな。なんだかんだ言っても期待している選手なのだが。最後は気持ちが折れていた。開き直りでもなんでもいいから上を向いてくれるといいのだが。次節はジャーンのコンディションが整ってくるよね・・・


後半のカウンターではジュビロが派手に外しまくってくれて(誰かのシュートはゴール裏二階席を飛び越えてましたなw)4失点で収まったけど、7点ぐらいとられてもおかしくない展開ではあった。反面、僅差の試合に持ち込めた可能性もあったと思う。


攻撃は良かったよ。あいかわらず連動性がいまいちで、速い攻撃から直接シュートまで持っていくことができす、必ずルーカスか馬場のところで落ち着かせて、人数が揃うのを待ってからえいやこらと仕掛けを始めるところは変わらない。
でも、そこからが良かった。ルーカスが好調で、磐田CBのタイトなマークをものともせずボールをキープできる。攻めをいったんスローダウンしてまで?人数を揃えているだけあって、ルーカスと2列目以下の距離が近く、エリア周辺でいろいろ仕掛けができる。そしてルーカス・戸田が次々と決定機を迎える。ジュビロも2点目を取った後はペースが落ちてしまって、前半20分すぎからは東京のペースだった。
しかし、ルーカスの一撃が福西の一生に一度のエビぞりクリアでフイになり、戸田が素晴らしい動きでゴール前に飛び出すがシュートは川口の正面。惜しむらくは馬場・梶山の調子がいまいちだった上、今野も代表疲れなのかいつもの迫力がなく、チームの勢いを加速しきれなかったこと。それでも、馬場はよくがんばっていたと思う。ファイトむき出しで、前半終了間際には福西を後ろからチャージして警告もらってたし。相手が相手なんで警告より命の心配をしたけれどw。


後半も立ち上がりこそ攻め込んだものの、カウンターで3点目を取られ、そのあとジュビロペースが続いて4失点目。ごり押しで点を取るしかない状況になったのでジュビロキラー栗澤の投入はなし(パサーを増やしても効果は薄い)。規郎、平山の力仕事用コンビに放り込み師宮沢投入でパワープレー。平山の落としからゴチャゴチャあってルーカスのシュートが決まって1点返すもそれまで。でも、1点でも返せて良かったよ。気分の問題だけどね。


それでねえ、やっぱりねえ、前半のリズムのいいときに1点でも返していれば、全く違った試合になったと思うよ。ルーカスのあれが決まってればねえ。そして戸田、戸田、ああ戸田・・・orz。動きは素晴らしいんだよ、動きは。ダイアゴナルな動きでゴール前に入ってくる動きなんて、タイミングといいコース取りといいスピードといい絶品。しかしフィニッシュがいつもの如し(もー酒量が増えちゃうじゃないか←口実)。能活にうまくコースを消されたのも確かだが。どうだろう、もうトラップして狙いを定めて、なんてことはやめて、全部トーキックで突っついちゃえば?どうせ枠に行くときは行くし、行かない時は行かない。トーを混ぜればGKのタイミングだけは確実に外せる。実に不思議な選手だよねえ。ゴッツアンを外してQBKを決めるなんて。まあ、戸田に決定力があったならば今頃東京は優勝争いしていただろうし、そもそもやつは確実に日本にいなかっただろうけど。


結論をいえば、この試合は3-4ぐらいの打ち合いになって勝てたかも知れないし、逆に7-0で負けてもおかしくなかった。4-1という結果は細かなディティールの積み重ねで磐田が上だったってこと。この、積み重ねの差ってのが、大きいんだよね。