2008年J1第2節 アルビレックス新潟 2 - 3 FC東京(観戦4試合目)

日時:2008年3月15日(土)16:00キックオフ
会場:東北電力スタジアム
観衆:35083人
主審:佐藤(輶)
得点:エメルソン(東京、6分)、カボレ(東京、8分)、今野(東京、11分)、内田(新潟、57分)、矢野(新潟、58分)
警告:長友(東京、70分)、梶山(東京、75分)、松尾(新潟、84分)、赤嶺(東京、89分)、本間(新潟、89分)
退場:なし

私にとっては「アウェイだけどホーム」な試合、新潟スタジアムのアルビ戦が早くも第2節で開催。スタジアムへの交通費が三桁で収まるという、ありがたい試合でもある。
金曜は東京出張だったのだけど、比べてみると新潟はまだちょいと肌寒いですな。
青赤イナゴの襲来に合わせて?、「にいがた酒の陣」なんてイベントが開催されていたらしいですが私は行ってません。
そのかわり、午前中に用事を全部済ませてキックオフ2時間前にはスタジアムに着いたんだけど、みんな出足が早くて着いたころにはビジタースタンドが程よく埋まってた。
バス停のところで、東京サポのグループが「愛の戦士 徳永」(苦笑)なるゲーフラ持って記念撮影してましたな。家でしっかり昼食を食べてきたので、新潟名物イタリアンを食さず、もっぱら焼酎お湯割りをかっくらってました。そんなこんなで、試合開始時にはすっかりできあがって戦闘態勢は万全。


アルビレックス新潟のスターティングラインナップおよびサブスティテューション

    矢野 アレッサンドロ
  寺川      ダヴィ
    本間  千葉
 松尾 永田 千代反田 内田
      北野

SUB:野澤、中野、長谷部、松下、木暮、田中、河原
選手交代:寺川→田中(78分)
ルシオ リシャルデスがいないのはラッキー。新加入のアレッサンドロのチャントはなかなか良い。


FC東京のスターティングラインナップおよびサブスティテューション

      カボレ
   エメルソン 石川
  羽生      梶山
      今野
 長友 茂庭  吉本 徳永
      塩田

SUB:荻、藤山、浅利、大竹、川口、赤嶺、平山
選手交代:エメルソン→浅利(62分)、石川→川口(71分)、カボレ→赤嶺(83分)
カボレが初スタメン。そして矢野貴章対策として吉本が昨年開幕以来?の出場。
練習の時から大きな声援を浴びていた。


立ち上がりは新潟ペース。内田の鋭いアーリークロスを飛び出した塩田がネコパンチ気味に弾き返すが、これを寺川が強烈ミドル、ゴールマウスに舞い戻った塩田が何とかセーブするという危ない場面があった。
しかし、チャンスがあったにもかかわらずなんとなくエンジンの回転数が上がらない風の新潟に対し、東京は人もボールも(以下略)なサッカーが全開。
すると6分、センターサークル付近で新潟の中途半端なパスをカットした梶山から、ペナ右へ走り込む石川へ斜めのパスが出る。やや右サイドへ流れながらパスを受ける石川へ新潟DFが引き寄せられる。そして生じた中央の小さなスペースへエメルソンが走り込む。石川がワンタッチで折り返したボールをフリーで受けたエメルソンが落ち着いてゴールへ流し込み東京先制(おまけにファーサイドにはカボレも走り込んでいた)。まさしく人もボールも(以下略)な攻撃だった。


先制ゴールの興奮冷めやらぬ8分、右ショートコーナーから石川の強烈なミドルがゴールを襲う。北野がかろうじてブロックしたこぼれ球を抜け目なく押し込んであっというまの2点目。もう、好きになっちゃうカボレ


俄然ヒートアップするゴール裏。お祭りは終わらない。11分、東京DFラインの裏に放り込まれた長いボールを塩田が大きくクリア。なんの変哲もないボールだったが、北野と永田がお互いに譲り合ったか、ボールへ詰めるのが遅れる。なんとなく雰囲気を感じていたのか、それともいつものど根性だったのか、ボールを追って走っていた今野がこの隙をつき、北野の眼前でチョン蹴り。ふわりと舞い上がったボールがゴールに収まり、東京3点目。ゴール裏はもう、周りの見ず知らず構わずハイタッチの連続。もう、癖になっちゃうカボレ
その後はお祭り騒ぎで、開始15分ぐらいで早くも声が枯れました。


前半残りも東京ペース。追加点は奪えなかったが、エメルソンと羽生の動きを中心に、人もボールも(以下略)なサッカーを展開した。プレスをかけられても動きながらのショートパス交換であっさりかわしちゃうなんて、これホントに東京かね。


新潟のほうは、立て続けに3失点したショックでぼーっとしたまま前半が終わってしまったように見えた。マイボールになっても動き出しに乏しく、漫然とボールを回しているうちにプレスの餌食になる場面が目立った。とくにボランチの攻め上がりもなければサイドバックのオーバーラップも少ないので、守っている方とすれば的が絞りやすかったと思う。新潟は矢野へのクサビを組み立ての軸にするつもりだったのかも知れない。だとすれば、新潟の攻めを硬直させた功労者は吉本だろう。とにかく最初から気合いが入っていて、矢野への最初のクサビを体を投げ出しながら迎撃し、今日は簡単にやらせないぞ、としっかりアピール。危なっかしい場面もあったが、ハイボールに対して強さを発揮した。茂庭も冴えていた。やはり、クラッシュ役よりはカバーリング役のほうが持ち味を発揮するね。茂庭はジャーンの相方としてプレースタイルを作ってきたので、考えてみれば当たり前なのかもしれない。


とにかく、一方的な東京ペースで前半終了。ちょっと風が冷たかったので、おいらは懲りずに焼酎お湯割りを追加して後半を迎える。
怒濤の攻撃で3点を奪い、その後も優位にゲームを進めたにもかかわらずトドメの4点目が取れなかった。分かっている人はここでイヤーな予感がしたらしいのだが、おいらはヨイヨイの酔っぱらい状態であった。
よく考えてみりゃ、いや良く考えなくても、ホーム開幕戦で情けない試合をするわけにはいかないアルビが猛反撃をかけてくるのは火を見るよりも明らかだったのだが・・・


そして始まるハラハラドキドキの後半(苦笑)。
なにが変わったかっていうと、全体に運動量が増えたのはもちろん、両SBが「後ろのことなんか知らねえ!」とばかりに高い位置取りをしてきたばかりでなく、中央でもボランチ(本間)が積極的に攻め上がるようになっていた。
つまり、中央でガンガン攻め上がられてあたふたしていると、今度はサイドをえぐられ、といった具合で、決して連携が良いとはいえない守備がもうぼろぼろ。
それでも後半始めのうちはカウンター気味のチャンスを作れていたが(エメルソンのあれが決まってれば・・・)、疲れからか次第に足が止まり始め、繋ぎもブレが目立つようになってきて、50分ぐらいからは一方的なサンドバッグ状態になる。


そして立て続けの2失点。最初の失点は、「参りました」というしかない内田の素晴らしいシュートだった。2失点目は矢野の強さと速さにやられた。マークについた徳永が振り切られ、茂庭のカバーリングもおよばず、というゴール。つくづく、フリーで前向かせちゃだめだなあ。
つまりフリーにしちゃった守備に問題があるということなのだが。
立て続けに2点を取って意気あがるビッグスワン。こうなると3万人の力は凄く、スタジアムは異様な雰囲気になっていく。大声援に後押しされて攻勢を強めるアルビ。


2失点の後も相変わらずのドタバタ騒ぎが続く。62分、電池が切れたエメルソンに替えて浅利投入。フォーメーションはこうなった。

      カボレ
    羽生  石川
  今野      梶山
      浅利
 長友 茂庭  吉本 徳永
      塩田

浅利が中盤の底に入ってなんとか守備を安定させようとする。浅利はこれまでのように守備に専念するばかりではなく(サテライトではけっこう攻撃参加してますが)、繋ぎにも絡もうとしていた。ただ、すでに周りが疲れてしまっていてパスが繋がらなくなっていたのが残念だった。
誰かがボールをキープして起点になってくれれば良かったのだが、カボレは足元でもらいたがってディフェンスに囲まれ、梶山がボールを前に運ぼうしてもプレスのターゲットとなりかえって逆襲を招く始末。
71分には石川から川口にスイッチ。このあたりから新潟の攻勢もややパワーダウンしてきた。


残り時間15分を切った時に、これで逃げ切れるだろうと思い始める。というのは、鈴木淳という監督は選手交代で流れを変える、あるいは最後の一押しをする、ということが苦手だという印象を持っていたからだ。
そもそも、交代枠を使い切ることが少ない。78分に田中亜土夢が投入されるが、それでおしまい。河原や松下といった嫌な選手がまだ残っていたのに。


終盤はカボレ→赤嶺にスイッチして前線からボールを追わせ、時間を使う。梶山が足つったり、羽生もいいところまで行きながら足つったり、赤嶺と本間がやりあって両者警告、なんて場面もありましたが、終盤の新潟のパワープレーもしのいでなんとか逃げ切った。


なんというか、ペース配分の下手くそさ、駆け引きの拙さをど根性で補った、というある意味で伝統的な東京スタイルのゲームでしたな。前半はスタートから飛ばして3点取ったところまでは良かったが、その後はペースを落として新潟をいなすでもなく、トドメを刺すでもなく、華麗なパス回しを披露して終わる。後半は新潟の猛攻をかわすことが出来ず、ただ堪え忍ぶのみ。両サイドバックが押し上げてきてるんだから、サイドの裏に長いボールを入れてカボレなり石川なりを走らせればよかったのに、あいかわらず繋ごうとしてボールを奪われて、と。人もボールも(以下略)になってもこの辺は変わってないのね。


形になりつつある攻撃はともかく、守備面では連携がまだまだ、特に梶山が3ボランチの中でどう振る舞ったらよいのか迷っているようにみえた。
本日のMVPは、吉本じゃなかろうか。危なっかしい部分もあったけど、彼が曲がりなりにもハイボールをはじき返してくれたおかげで守り切れたんだと思う。去年の悪夢から覚めたって感じ。シャーまでやってましたな。
とにかく、ある程度結果を出していかないとうまくいくものもうまくいかないので、勝ち点3取れてよかったです。しっかし、心臓と喉に悪いゲームだったな。