2008年J1第6節 FC東京 4 - 2 川崎フロンターレ(観戦10試合目)

日時:2008年4月19日(土)16:00キックオフ
会場:味の素スタジアム
観衆:22283人
主審:岡田、副審:中井、金田、第4審:小倉
得点:チョンテセ(川崎、19分)、カボレ(東京、25分)、谷口(川崎、26分)、赤嶺(東京、43分)、
   大竹(東京、63分)、今野(東京、70分)
警告:佐原(東京、19分)、谷口(川崎、31分)、寺田(川崎、46分)、森(川崎、48分)
退場:なし

土曜日フィーバーしすぎたツケで、日曜が休日出勤深夜労働となり、いまごろエントリ書いてます。
クラシコと駒沢陸上の駒大vs専大、2試合見ました。その後は新潟にトンボ帰りorz。


まずはクラシコですよ、奥さん。毎度毎度打ち合いになる、というか某チームが一方的に打たれる(汗)、クラシコですよ。


FC東京のスターティングラインナップおよびサブスティチューション

   カボレ  赤嶺
  栗澤
   今野    梶山
      浅利
 長友 藤山  佐原 徳永
      塩田

SUB:荻、茂庭、池上、金沢、大竹、川口、平山
選手交代:栗澤→大竹(63分)、カボレ→川口(84分)
石川、エメルソン、羽生がケガで欠場(加えて近藤も)。攻撃の主力を欠くも2トップと3ボランチが好調のため何とかなりそうな予感もする。トップ下の栗澤が左寄りのポジションを取る変則フォーメーションなのがミソ(後述)。


川崎フロンターレのスターティングラインナップおよびサブスティチューション

 ジュニーニョ チョンテセ
      大橋
 山岸         森
    中村  谷口
   伊藤 寺田 井川
      川島

SUB:植草、菊池、村上、原田、養父、久木野、黒津
選手交代:大橋→養父(63分)、山岸→黒津(74分)、森→久木野(84分)
川崎は普通の3-5-2。


ここ数試合と同様、前半の東京は守備から入る。強力FWが注目される(されていた?)川崎だが、そのFWを生かしているのは中盤のトライアングル。加えてサイドにも突破力のある選手を擁し、こいつらが中村のタクトに合わせてスピード有りパワー有りテクニック有りと多彩な攻撃を繰り出すのが特徴。得点力がある訳よね。
東京はまず川崎の中盤を押さえにきた。浅利が大橋を、今野が谷口を、梶山が中村をマークしてボールの出所を制限する。もう一つの武器たるサイドアタックだが、栗澤が左サイド寄りのポジションを取ることによって長友と2人で森を封じにかかる。単に厳しくマークするばかりではなく、栗澤が中継点になって長友のオーバーラップを引き出し、森が積極的に上がれないようにしていた。その分、山岸が浮いてしまうのだが、おそらく事前のスカウティングで今の山岸は大きな脅威ではない(まだチームにフィットしていない)と評価し、あえて捨てたのだろう。
川崎2トップに対しては、佐原がチョンテセ、藤山がジュニーニョ番。


この策が当たって、川崎の攻撃はFWの突破力を頼むパターンに偏りがち。これなら的が絞りやすくなって何とかなるかな、と思ったが佐原の気合いが空回り。
19分、佐原のファウルからFK献上。佐原はちょっと動揺したのか、ゴール前へ放り込まれたボールに対し、腰の引けた対応。チョンテセが落とし、ジュニーニョが戻し、チョンテセが振り向きざまボレー。これが決まって川崎があっけなく先制する。


去年の7点大虐殺を目の当たりにした身としては、ここでとてもいやーな予感がしたのだが、今年のチームは折れなかった。
25分、再三、森をぶっちぎらんばかりのオーバーラップを見せていた長友がサイドを駆け上がる。長友の勢いに辟易した感じの森がたまりかねてファウル。位置はエリア左横。キッカーの栗澤はインスイングのカーブがかかったボールを送る。ニアサイドで赤嶺と徳永が競って、そこをすり抜けたボールがカボレの足元へ。うまく寺田の前へ入ったカボレがスネ?でコースを変えて流し込む。カボレの技ありゴールで東京同点。


ところが、さすが打ち合いのクラシコ。同点弾の直後、東京がファウルでFK献上。ここで再び東京が心の隙を作ってしまい、ファーへ放り込まれたFKを飛び出した塩田が押さえられず(そもそもファー側のマークがずれてるって)、チョンテセが折り返したボールをジュニーニョがシュート、これは誰かが(赤嶺らしい)なんとかカットするが、こぼれ球を谷口に押し込まれる。


おんなじパターンで2度もやられてちょっと怒なオイラ。
このあと、東京は2トップと2列目以下の間隔がちょっと開いてしまい、2トップにクサビを入れど繋がらず、という手詰まり状態。その中で数少ない可能性を感じさせた長友の上がりから同点弾が生まれる。大きなサイドチェンジを受けた長友が左サイドを駆け上がり、向き直って右足でインスイングのふわっとしたクロスを入れるニアでカボレが、やや中央寄りで赤嶺が競る。川崎DFと二対二の勝負。緩くカーブの掛かったクロスに誰も触れず、ボールはファー側にこぼれる。素早く反転した赤嶺がシュート体勢。カボレが両手を広げて川崎DF2人をブロックする。赤嶺のボレーシュートはコースこそ良かったが全然ミートしていない。ところがそれが幸いしてキーパー川島が何もできない変なバウンドになり、ゴール左隅に決まる。赤嶺らしい泥臭いゴールで、東京は前半のうちに同点に追いついた。


後半立ち上がりはポゼッションで東京やや有利。しかし、2トップにクサビが入っても2列目との距離が遠く、中盤で繋ごうとしても手数が多く、サイドを突いてもクロスを入れるタイミングが遅く、といった感じで実効性のある攻撃を繰り出せない。川崎も強力FWが東京ゴールを脅かす場面もあったが、次第にプレーが雑になり、シュートも精度を欠いていく。62分、チョンテセが藤山をかわして放ったシュートも塩田ががっちり止めた。膠着状態に陥った63分、両ベンチが動いた。


川崎は大橋→養父。東京は栗澤→大竹。
大竹はセンターサークル付近でカボレの落としをもらい、ちょっとタメてから前線に走り込むカボレへリターンパス。カボレが中央で川崎DFを引きつけてから右サイドへ展開。そこにいたのは梶山と大竹。大竹はカボレにパスを出すと右サイドへ30mほどフリーランしていた。ボールを拾ったのは梶山だったが、トラップがやや大きい。その隙に大竹がボールをかっさらい(笑)、細かいタッチのドリブルでペナルティエリアに侵入する。オイラの座ってたU席中央付近からは、角度の関係で一瞬だがシュートコースが空くのが分かった。まあ、上からみてりゃこういうことは時々あるし、でもジャストのタイミングでシュートを打てる選手なんてほとんどいないし、このときも大竹はどうやってDFを振り切ってクロスを入れるのかなあと次のプレーに期待しながら見ていた。その期待は裏切られた。DFの間隙と逆サイドネットを結ぶルートが一瞬だけ開かれた瞬間、放たれたループシュート。これも座っていた位置の関係で、ボールが完全にサイドネットに収まる軌道に乗っているのが分かった。これを呆然として眺めていた。川島の手は届かない。揺れる青赤のネット。俺って「世界のスーパーシュート集」を見てるんだっけ?。やっとこさ立ち上がる。大声出してごめんなさい、と周りを気にしたがみんな同じ状態だった。


4点目も痺れた。センターサークル付近での、カボレの粘りのボールキープから始まったワンタッチパスの連鎖(エルゴラによれば12本繋がったそうな)。最後のところは、今野が前線へクサビ(今野が前へ走り出す)→カボレの落とし→横から出てきた赤嶺が横パス(今野スピードアップ)→大竹のスルーパス→裏に抜け出した今野がグラウンダーのシュート→ゴール! という美しい展開。城福さん、きっと「ラブリー!」って言ってるんだろうな、と思ったらやっぱりそうだったらしい。東京でこれだけパスが繋がってのゴールは、ガーロ政権下の磐田戦で、梶山→宮沢→今野と繋がって最後は栗澤が決めたあのゴール以来じゃなかろうか。


ということで、それなりの進歩を見せつけた我がチーム。追い込まれた川崎は黒津、続いて久木野を投入。この2人をサイドの高い位置に張らせ、4トップ状態で反撃に出た。東京ベンチは川口を投入。これは、裏に長いボールを蹴って川口にキープしてもらいなさい、というメッセージだと思うのだが、それを感じた選手はあまりいなかったらしい(苦笑)。それでも、頑張って守ろうという意思統一は出来ていたようで、集中力は切れなかった。ジュニーニョのヘッダーを塩田が何とか止め、こぼれ球に突っ込んできた伊藤と交錯して脳しんとう、なんて危ないところもあったが、なんとかロスタイムまで堪え忍んだ。最後は時間稼ぎなんか考えていない大竹が突破&クロス、これに川口がわずかに合わず、なんて惜しい場面もあった。最後は久しぶりに安心して「眠らない街」を歌い本日の営業を終了した。


以下、講評。

塩田:気合いが入りすぎと思えるところもあったが、好セーブも見せた。終盤、脳しんとうで記憶を飛ばしながら確実なセーブを続けたのはすごい。
徳永:今日は不出来。守備ではあわや失点の大ミスがあった以外は無難。しかし、オーバーラップ時のプレー選択が悪すぎ。アーリークロスを入れるべき場面で持ちすぎである。せっかくカボレがいるのに。
佐原:今日は気合いが入っていたというか、入りすぎというか、結果的にはそれがプラスになったのだけれど、主審が家○とか、ビッグスワン赤紙大虐殺を実行したあの方だったら、前半のうちにピッチを去っていたかもしれなかった。ここはジャスティスに感謝しなければ。
藤山:あいかわらずの安定ぶり。フィードもまずまず。
長友:90分通してのMVP。栗澤の(有形無形の)支援を受けてとはいえ、森勇介を圧倒していた。90分間、運動量もスピードも落ちないのは凄い。ただし、体脂肪率3%は低すぎます(ちなみに俺は・・・)。
梶山:無難な出来だったし、徐々に調子を上げてきているのもわかる。でも、もっとやってほしい。スカパー!の倉敷さんや解説の遠藤さんの指摘は正しいと思う。
浅利:特命係長が陰のMVP。従来からの潰し役のみならず、攻守の繋ぎ役としても機能した。スカパー!解説の遠藤さん、「浅利から攻撃が始まるとは思えない」ってのは間違いですよ。
今野:アンカー役を浅利(時に梶山)に任せ、後顧の憂い無く前へ出て行けるようになって持ち味発揮。あの決定力はなんなのでしょう。巷では闘莉王を代表のFWに、なんて声があるようだが、それなら相方は今野だろう。史上最凶のDFWコンビになることは間違いない。ちょっと、見てみたい・・・かな(怖いもの見たさで)。
栗澤:与えられた役目は全うした。アシストもあったしね。しかし、出場機会を増やすためには前線へ飛び出し相手ゴールを脅かすプレーを増やし、その実効性を高めていくことが不可欠だろう。なにしろ、ライバルはエメルソンと羽生である。
赤嶺:どうやったら、当たりそこねのシュートでゴールできるんですか?!
カボレ:もはや大先生である。祈ゴール量産。
大竹:最初に見たときは高2のとき、テクニックはあるけど、線が細くてちょっとわがままなプレーヤーという印象だった。高3で見たときは、高いテクニックはそのままで、守備にも奔走するようになって驚いた記憶がある。そして今年。もとからの長所をさらに伸ばしているのはもちろんのこと、質の高いフリーランニング(ダービーでは「巧」いただきましたな)を見せていることが最大の驚き。あのループシュートも、フリーランなしでは生まれなかった。彼はどこまで伸びるんだろう。何か、素晴らしいことが始まる瞬間を、見ているような気がする。とりあえず、あのシュートは永久保存版としました。
川口:あれが決まっていれば、父としての株が上がったのに。でも、あなたがいてくれることに感謝してます。