2009年JFL入替戦 FC刈谷 1 - 1 ツエーゲン金沢

名古屋は雪の朝を迎えた。早めに出て乗り鉄してから刈谷へ行こうと思っていたが、気温は低いし雪でダイヤが乱れているしで、結局10時過ぎまでホテルでゴロゴロし、雪が融けてからチェックアウトした。
名鉄名古屋駅から、名鉄名古屋本線の各駅停車で刈谷へ向かう。


まだダイヤの乱れが残っており、人身事故も重なって列車が遅れ、スタジアム最寄り?の富士松駅へ着いたのは11時半ごろだった。
岡崎方面の踏切を渡り、住宅街の中を歩いて児童公園のところで左に折れ、田んぼの中を通る道をしばらく歩くと、照明灯が見えてくる。すでに天候は回復していて、日向なら暖かい。川を渡ってすぐ右に曲がり、土手道を進むとスタジアム横の駐車場に出る。石川ナンバーの車が多い。


飲み物を買おうとスタジアムの隣の体育館に入ると、運良く弁当を売っていたので購入。陽の当たるベンチで昼食を済ませ、メインスタンドの刈谷側に陣取った。


既に練習が始まっていた。ピッチ脇には池上がいて、練習を手伝っていた。さすがにまだ出場できないが、歩行に支障がない程度には回復したらしい。

両サポーターは芝生席バック側のコーナー付近に陣取る。金沢からも結構な人数が来ていた。
メインの刈谷側には、青赤な人もちらほら(つーか多すぎw)。
選手入場時に赤白の紙を掲げて選手を迎える。風が強い。



刈谷は4-3-3でスタート。CFで最初からアマラオを起用した。3トップの左・中山はウイング調のプレーをするが、右の大石は中に入ってアマラオの脇に入ることが多い。右サイドの攻撃を担うのは主として右MFの石川高大。日下が攻撃のタクトを振るい、西原がアンカーとして構える。
刈谷の赤襷のユニホーム、似合う選手もいるが、アマラオは微妙。駅伝チームに紛れ込んだ変なオッサンのように見える。


一方、金沢は4-4-2。ただし2トップの位置取りが変則的で、クリゾンが中央に張り、古部は左サイドに流れている場面が多い。左MF広庭が中央寄りでプレーする。


刈谷アマラオポストプレーを軸に攻撃を組み立て、試合の主導権を握る。爺さん、まだ通用してるじゃないか。


7分、刈谷の左CK。日下がライナー性のボールを入れるが、金沢DFがニアでクリア。刈谷はセカンドボールを拾って放り込むが金沢GK木寺がキャッチ。
9分、刈谷右MF・石川が右サイドを持ち上がって金沢DFを引きつけてからサイドチェンジ。これを受けた大石が中へカットインしシュートを放つがGKがキャッチ。


金沢はカウンター狙い。FWは二人ともスピードがあり、刈谷の高いDFラインの裏を狙う。刈谷DFは自軍ゴールへ向かって金沢FWと競争する場面が多い。
10分、金沢FW古部がカウンターからミドルシュートを放つがゴール左へ外れる。


14分、石川のロングスローから刈谷の波状攻撃。最後は西原がゴール前のアマラオへクロスを入れるが、木寺が飛び出してセーブ。続く15分、ペナルティエリア手前でパスを受けたFW中山がターンしてシュートを打つがこれも木寺がキャッチ。



17分、金沢はパスカットからショートカウンター、古部がフリーで左サイドを駆け上がりクロスを入れる。刈谷DFのクリアボールがボランチ広庭の目の前へ落ちる。広庭がミドルを狙っていくが、DFが体でブロック。


アマラオポストプレーのおかげで刈谷は高い位置でボールを持てる。浮気監督の指示もあり、ますますラインを上げる。刈谷は押し上げが効いてセカンドボールを支配するが、反面、DF後方には危険なまでに広いスペースが広がる。GK山本が自陣中央付近まで出てきて放り込まれたボールをクリアする場面が2度ほど見られた。


押し込まれた金沢は、ゴール前に人垣を築いて対抗。刈谷ペナルティエリアまでボールを持ち込めるものの、ディフェンスに囲まれてフィニッシュに持ち込めず、攻めあぐむ。クロスは金沢CB諸江に跳ね返され、パスミスからカウンターを招く場面も出てくる。


27分、刈谷FW中山がスピードに乗ったドリブルで攻め上がる。金沢のDF園田が足を引っかけて止めてしまい、警告。日下のライナー性のFKに次々と選手が飛び込むが、弾道がやや高く誰も合わせることができない。30分には左クロスからゴール前の混戦に持ち込む。その中で木寺がファンブル。こぼれ球に刈谷FW陣が詰めるが、金沢DFがなんとかクリア。


金沢ゴール前の人口密集地帯を突破できないでいるうちに、金沢のカウンターが炸裂する。
31分、金沢がカウンターからチャンス。古部が再びフリーで左サイドを攻め上がり、ライナー性のクロスを入れる。刈谷DFが頭でクリアするが、ボールは中央やや右へ攻め上がってきた根本の目の前へ落ちる。根本のミドルシュートが決まって金沢が先制する。
上述のように、金沢のFW古部の位置取りは変則的で、左サイドに流れてウイング調にプレーすることが多い。代わりに左MFの広庭が中へ入って、中央に構えるクリゾンの後方でプレーする。問題は、試合開始からずっと左サイドに流れる古部のマークがぼけていたこと。古部が左からフリーでクロスを入れる場面が得点シーン以外で少なくとも2回あった。そして、古部がフリーでボールを持ったとき、後方を固めていたMF陣が一気に前へ出てくるのだ(クリゾンがカウンターをかけるときは、一人ぐらいしか出てこないのに)。もしかしたら、金沢はこの形をずっと狙っていたのかも知れない。


当然、後がない刈谷はいっそう前がかりで反撃にでる。41分には混戦の中から西原がグラウンダーで狙うが枠を捉えられず。43分には左クロスからアマラオがシュートを放つが、金沢DFにブロックされる。
金沢リードのままで前半終了。


ハーフタイムに隣の体育館でホットドリンクを購入。暖まってからスタンドに戻ろうとすると、杖をついたシャア大佐が支えられながら階段を上っている。よく見ると、杖には赤白のテープが巻いてある。前半、この杖を持ってメインを煽っていたやたらテンションの高いオジサンがいたが、あれが(一部で)有名なホンダロックのシャア総統だったのか!
ヒトフリといい、みゃ長といい、スタジアムに来ると色んな人に遭遇するなあ・・・と感慨にふけっているうちに後半開始。


後がない刈谷は攻勢を継続。
50分、左クロスをアマラオが落とし、右SB高橋がミドルを狙うがゴール右に外れる。続く6分、サイドチェンジを受けたFW大石がエリア左へ切り込み、マイナスの折り返し。これにFW中山が合わせるが、シュートは人垣に阻まれる。


54分、刈谷はFW大石を下げ、篠川を投入。フォーメーションは4-4-2にチェンジ。篠川は左SBの位置にはいり、庄司が一つポジションを上げ、左MFに入る。中盤は日下をトップ下とするダイヤモンド、前線がアマラオと中山の2トップとなる。


しかし、このてこ入れは不発。前半から飛ばしてきた刈谷は、全体に出足が鈍り、セカンドボールが拾えなくなる。
金沢は次第に陣形を押し上げ、2点目を狙いに行く。
57分、左CKのクリアを拾って二次攻撃。クロスにCB諸江が頭で合わせるがシュートはGK山本の正面。
58分、金沢は広庭に替えて秋田を投入、攻勢を継続。刈谷を押し込む。


前半とは逆に、刈谷がカウンターを狙う。15分、FW中山がスピードドリブルから左クロスを入れるが、木寺が好捕。


61分、金沢の決定機。ワンツーで右タッチライン際を抜けた根本がクロスを入れ、中央で古部がフリーで合わせるが、GK山本がキャッチ。18分、右SB斉藤がオーバーラップしクロス、ゴール前で2トップが待っていたが刈谷DFに阻まれ、打ち切れず。


以後は、刈谷がやや勢いを取り戻し、攻守が入れ替わる展開になる。
64分、刈谷の反撃。エリア内でフィードを受けたアマラオが胸トラップから反転シュートを放つが木寺の正面。
65分、金沢FW古部がゴール前でパスを受け、シュートを放つがGKがキャッチ。
67分、刈谷石川高大がアマラオとの縦のワンツーで抜け出てシュートを打つが、ゴール左に外れ。


67分、金沢はクリゾン→デニスへ交代。前線にフレッシュな選手を投入する。
68分、刈谷は2枚替え。中山→森山、西原→カン。フォーメーションは再び3トップにチェンジ。アマラオをCFに、カンと森山をその左右に配し、中盤は左から日下-庄司-石川。
これでアマラオのフル出場が決定。延長戦にもつれ込む可能性も十分あったが、浮気監督は賭けに出た。


この後は刈谷が一方的に攻勢をとる。第1戦に勝っている金沢は、前半と同様にゴール前を固め、最低でも引き分けに持ち込む構え。


71分、刈谷は左CKのチャンス。日下のキックを、ニアで高橋が頭で流す。これに刈谷の選手がなだれ込み、混戦の中でボールがゴールに流し込まれたが、高橋がフリックオンしたときにオフサイドがあったらしく、ノーゴール。
76分、アマラオが右サイドにパス。これを受けたカンがドリブルでゴールライン際までえぐり、ワンフェイント入れて速いグラウンダーをゴール前へ入れる。木寺は反応できずボールがゴールエリアを横切りファーサイドへ。これに森山が飛び込む。触れば一点だったが、森山の動き出しはやや遅れ気味で届かず逸機。
79分、ペナルティアーク付近でDFを背負ってフィードを受けようとしたアマラオがファウルをとられ、警告。肘でも当たったかな。
86分、刈谷は後方でのボール回しから前線へロングフィードアマラオが落としてカンがドリブルで突っ掛け、金沢DFがたまらずファウル。ゴール正面25mのFKを日下が直接狙う。ボールは壁を越え、カーブを描いてゴール左上隅に突き刺さる。刈谷が同点に追いついた。


俄然、盛り上がるスタジアム。刈谷はCB斉藤を前線に上げてパワープレー。金沢FWの必死のフォアチェックをかわして放り込みを始める。
ロスタイムは4分。CKのチャンスにはGKまで攻め上がる。スタンドから「浮気さんも上がれ!」と声がかかる。いや、出来るもんなら出て欲しいよ、ホント。
声援の後押しを受け、パワープレーを続ける刈谷。CB斉藤のボレー、アマラオのロングシュートが金沢ゴールを襲うが、いずれも木寺に阻まれる。
そしてタイムアップ。1勝1分で金沢のJFL昇格、刈谷の東海リーグへの降格が決定した。


悄然とする浮気とアマラオ。涙を流す若手選手。金沢サイドの歓喜の大騒ぎ。いつも見る光景だが、何度見ても慣れない。
アマラオはまだ十分通用してた。さすがに裏へ抜けるスピードはもはや無く、中盤からドリブルを始めると途中でスローダウンしちまう爺さんだけど、ポストプレーや足元のテクニックはこのレベルならまだ一段上。パスミスが多いのは元々の仕様です。43歳、もしかしたらプレーする姿を見る機会は最後かもしれないな。


この試合、刈谷は前半から攻勢に出た。だがそれがかえって金沢のやるべきことをはっきりさせてしまった様に思う。ゴール前に築かれた人垣を崩せないうちに、カウンターにやられて失点。もう少し慎重に入って、互角に打ち合っていれば、もっとスペースのある状態でフィニッシュに持ち込めたかも知れない。もちろん、最初からフル攻撃をかけるというプランは間違いじゃないと思うけれど、なんていうか、勝負の綾みたいなもんで、サッカーってホント難しいね。


なんていったらいいかよくわからんが、「今、そこにあるサッカーを愛せ」という刈谷のダンマクが妙に心に残った。



富士松駅への帰り道、河原でちょっと吠えてみる。


富士松から名鉄で名古屋、そこから近鉄特急で大阪難波へ移動。難波のホテルに投宿。


明日は長居第2。引き続き、厳寒の模様。