第88回全国高校サッカー選手権 藤枝明誠高校 1 - 0 岐阜工業高校

第1試合の半ばごろから日が陰り始め、14時すぎにはすっかり曇り空。風が強くなってくる。いよいよアジパンダ毛布の出番だ。



藤枝明誠高校は4-4-2でスタート。2回戦のメンバーと比べると、CBの1人が向田から増田に変わっている。エルゴラ等をみると、増田のほうが、本来のレギュラーらしい。1回戦でも見たが、きれいに繋いでくるチームという印象を受けた。


岐阜工業は、エルゴラによれば、堅守に定評ありとのこと。数字にすれば3-5-2フォーメーションだが、ボランチの栗田が藤枝明誠FW大山に「マンツー気味」(アタッキングサードに入ってくるとマンマークする)で、栗田が大山に付いていくと、トップ下の名和が下がってきてボランチの位置を埋める。このため、あえて数字で書けば、3-1-4-2に見えることが多い。もう一人のFW安東はストッパー2人が状況によってマークを受け渡しつつ対応していた。


6分、藤枝明誠はFKのクリアをひろって鈴木周がペナ左角あたりからクロスを入れるが、中の選手に合わず。
9分、岐阜工はWB藤掛がオーバーラップ、ゴール前へ走り込むFW内木めがけてクロスを上げるが、藤枝DFがカット。続く10分、センターサークル付近で得たFKを早いリスタート。内木が右サイドへ展開、攻め上がったWB堀江がフリーの状態でクロスを入れるが、藤枝DFがクリア。


11分、藤枝明誠はパスワークで岐阜工守備網を突破、オーバーラップした左SB八木がセンタリングを上げるが、岐阜工GK山田がキャッチ。12分には、クサビを受けた鈴木周がターン、個人技でDFを抜いてエリア左まで侵入しクロスを入れるが、岐阜工DFがクリア。


21分、岐阜工CB山崎のミスキックを拾った鈴木周が、フェイントを入れてDFをかわし、FW安東へクサビ。安東の落としからミドルを打とうとボランチ(誰?)が前進するが、岐阜工守備陣の寄せが早く、シュートを打てず。


23分には岐阜工に直接FKのチャンス。堀江が直接ゴールを狙うが、藤枝GKががっちりキャッチ。


28分、岐阜工CB山崎がクリアミス。GK山田が対応し、CKに逃れる。このCKはクリアするが、セカンドボールの奪い合いで岐阜工がファウルし、藤枝明誠がエリアすぐ外の位置でFKを得る。辻のFKをGKがパンチング、こぼれ球をめぐって混戦となるが、藤枝明誠側がファウルをとられる。


31分、藤枝明誠はパスワークで岐阜工の中盤守備網をかいくぐり、左サイドの高い位置で鈴木周がルックアップ。しかしゴール前が固められているため、中盤に戻してSB八木がミドルを放つが、宇宙開発。藤枝明誠は、35分にもサイドから揺さぶるが、岐阜工の守りは揺るがない。


37分、岐阜工のチャンス。カウンターで名和が左サイドを前進、DFの注意を引きつけてから逆サイド、ペナルティエリアの角付近で構える志津野にサイドチェンジ。これを志津野がトラップで浮かせてDFをかわし、ボレーシュート。決定的チャンスだったが、GK甲斐が好反応を見せてシュートをブロックした。
39分にも岐阜工はカウンターからチャンスをつくり、縦一本で名和が裏へ抜け、えぐってから折り返すが、走り込む選手に合わず。


両チーム無得点のまま、前半が終了した。


藤枝明誠は、パスワークでプレスをかいくぐり、岐阜工3バックの両脇のスペースに起点を作って、シュートに持ち込もうとしていた。しかし、岐阜工の守りが堅く、打てたシュートは2、3本(手元記録)。クロスからシュートまで持ち込めたケースはなかった。
岐阜工の守備は、とにかく戻りが早い。藤枝明誠がサイドにボールを持ち出しても、常に6、7人の守備ブロックがセットされていた。また、対人・カバーリングともに秀でており、隙を見せなかった。
岐阜工のほうは、37分の志津野のシュート以外、決定機がなかったが、もともとロースコアゲーム狙いなのだろう、とくに慌てているようすはなかった。
要するに、試合は完全な膠着状態に陥っていた。


こういうときはやっぱりセットプレー、というわけで、後半立ち上がり、藤枝明誠が立て続けにセットプレーの機会を得る。
41分、鈴木周がファウルを受け、ゴール正面で約25mのFK。これを直接狙う。辻?のキックはカーブを描いてカベを越える。目の前でワンバウンドする難しいボールだったが、キーパー山田がキャッチ。
続く43分、藤枝明誠は右CKのチャンス。辻のキックにCB増田が頭で合わせ、藤枝明誠が先制した。


このあとは立場が逆転。1-0オッケーの藤枝明誠は引き気味でバランスを保ってカウンター狙い、岐阜工は前がかりでとにかく1点を取りに行く。


53分、岐阜工はセンターサークル付近からFKを放り込み、栗田?がヘディングシュートを放つ。シュートはゴール左隅に決まるかに見えたが、GK甲斐が横っ飛びで弾き出す。
65分、岐阜工はFW長井に替えてDF赤石沢を投入する。赤石沢は3バックの左に入り、山崎がトップに上がる。パワープレーだ。


ここからは、徹底的に放り込みを続ける岐阜工、ひたすら耐える藤枝明誠、という構図で推移する。
72分、放り込みに3人が突撃。ハイボールをGKがファンブルするが、必死の守りの前に押し込めず。75分、赤石沢のクロスから山崎がヘディングシュート。クリアボールを拾った名和がクロス、ファーで福川が合わせるが枠に行かず。
岐阜工は交代で入ってきた赤石沢がフィードを入れる場面が多かったが、ミスキックが多く、チャンスの数を増やせない。
それでも77分、岐阜工は放り込みから栗田?が落とし、ゴールエリアにボールが転がる。名和が詰めるが、これも藤枝明誠が必死にクリア。
ロスタイムにはライナー性のFKに志津野が頭で合わせるが、枠を捉えられず。


藤枝明誠が1-0ゲームをものにし、準々決勝に進んだ。