第88回全国高校サッカー選手権 準決勝第1試合 矢板中央高校 0 - 2 山梨学院大学附属高校

1月9日、高校サッカー準決勝。上越新幹線の始発で東京を目指す。「えきねっと」で予約すると最大25%割引になるんだよね(これはでかい)。ただし、予約をしようとしたときは、25%割引の席は始発しか空いていなかった。割引率は高いが、指定された列車にしか乗れないので必死に起きた。東京駅に着いたのは朝8時過ぎ。


ホテルに荷物をあずけ、朝の東京をうろうろして信濃町駅で下車したのは12時ちょっと前。ちょうど、絵画館の前に山梨学院応援団のバスが次々と到着している時間帯だった。水色のベースボールキャップを被った高校生たちが次々と降りてくる。男どもはやたら元気が良く、信号待ちをしていると加部コールが始まるのであった。青春だのう。


今回はSBブロックを前売りで購入。けっこう、空いてまっせ。私が座っていた位置の周りには山梨を応援する人がパラパラと座っている。ヴァンフォーレの旗振ってるよ。


両チームとも、大動員をかけていた。応援席には、控え部員に加え、父兄・生徒・地元の人・ブラバンなど、人がいっぱい。ただし、チアがいたのは山梨学院だけ。矢板中央はジャージのお姉ちゃん一団がいた。とりあえず、制服のほうがいいでね?


ブラバンのチューニングが終わり、チアたんも体が温まったところで試合開始(それにあわせたわけじゃなだろう)。



矢板中央は4-4-2。FWは身長187cmの中田の周りをコマネズミ系の堀越が動き回る関係。
山梨学院も4-4-2。FC東京U-15むさしの出身者が多い。加部未蘭は名前のインパクトが強いので覚えている。あの加部究の息子だと知ったのは最近だが。監督は横森さん。子どもの頃、TV中継で良く見た。正直、再びお姿を拝見するとは思わなかった。


開始直後、山梨学院のチャンス。1分、矢板DFのミスから山梨学院・鈴木がカットイン。ゴール正面に入ってきた伊東がパスを受けてシュートするが、DFが体でブロック。


いきなり、ミスからシュートチャンスを献上してしまったが、前半20分ぐらいまでは完全に矢板中央のペース。プレッシングが効いて、山梨学院陣内でのプレー時間が多い。
矢板中央のプレーのファーストチョイスは、長身FW中田へのロングボール。中田が落としたボールを、FW清水とMFが拾って攻め込む。3分、矢板中央ボランチ渡辺健がキーパーの位置を見て思い切ってロングシュート。シュートは天井のネットに着弾。4分、中田が落としたボールをボランチ渡辺裕がゴール前へ送り込むが、そのままラインを割る。7分、中田のフリックオンに益子直が反応、左サイドからペナルティエリアへ斜めに切り込んでそのままシュートするがゴール右にはずれる。12分、中田のポストプレーからの展開で、最後は益子直がミドルシュート。GKはキャッチしきれなかったが、こぼしたボールをなんとか自分で押さえた。


山梨学院は15分、右サイドのスペースへロングボール。平塚が対応した矢板DFとうまく体を入れ替え、ゴールラインぎりぎりまでえぐってから折り返し。FW伊東は早く走り込みすぎてタイミングが合わなかったが、2列目から出てきた鈴木がシュート。これはDFが体を張ってブロックする。


前半20分まで、山梨学院のチャンスらしいチャンスはこれぐらい。矢板中央のプレスがきつかったせいもあるが、山梨学院の動き自体が鈍かったように感じた。なんというか、心のウォーミングアップが不十分なままで、精神的なエンジンオイルの粘度が高いままプレーしていたという感じ(なんのこっちゃ)。例えば、ルーズボールに対し一歩目の反応はしているのが加速が鈍くて追いつかないとか、ドリブルでDFを抜いてもスピードアップ出来なくて追いつかれるとか、どこか動きがネットリしていて、キレというものが見られなかった。


山梨学院にようやくエンジンがかかってきたのは25分すぎ。ようやく暖まってきて、精神的オイルの潤滑が効いてきたという印象である(だからなんのこっちゃ)。本来、相手に寄せられても落ち着いてボールを繋げる選手が多いのである(だって元ウチのユースっ子だよ!@親バカ的視点)。とくに、ボランチ碓井は上手い。突っ込んでくる相手DFをぎりぎりまで引きつけてひょい、とパスを出すのである(また確実につながるんだわ)。これでもU-18に上がれないのね。
25分、サイドチェンジを受けた平塚が、寄せてくる矢板DFの間からクロスを入れる。ゴール前に山梨の選手が殺到、混戦となるが打ち切れず。
29分、鈴木?のスルーパスにFW佐野が抜け出し、ちょっと中へ動いてコースを確保してからシュート。これはDFにブロックされ、こぼれ球をめぐって混戦となるが、矢板のファウルでFKゲット。碓井のキックのクリアボールを平塚がミドルシュートするが宇宙開発。
31分、クサビを受けた佐野が伊東へパス。伊東のパスに平塚?が抜けだしシュートを放つが、矢板GK三浦が横っ飛びでかろうじてCKに逃げる。碓井のCKをニアで佐野が頭で反らし、宮本が飛び込んでシュートするが枠にいかず。


山梨学院の攻撃が実を結んだのは34分。右サイドでスローインを平塚?がワンタッチでインサイドを駆け上がる碓井へパス。矢板DFの間隙を突いてペナルティエリアへ抜けた碓井がフリーでシュートを放つが、これは矢板GKが好反応、パンチングで弾く。しかし、リフレクションが逆サイドに待ち構えていた鈴木の目の前に転がる。鈴木が思いきって放ったシュートは、GK三浦の股間を抜いてゴールイン。山梨学院が先制した。


44分、矢板中央は左サイドからFW堀越が切り込んで、ゴール正面でFW中田がヘディングシュートを放つが、バーの上。


山梨学院一点リードで前半が終了した。


矢板中央は、前半半ばから主導権を奪われて、中田に精度の高いボールをぶつけられなくなった。序盤から飛ばしたツケもあったのだろう、押し込まれてボールを蹴る地点を後方に下げられて、精度が落ちた感じ。矢板ペースの時間帯では、ハーフウェイラインあたりからの、30mくらいのクサビを入れていたからね。ロングボールが封じられたあとの、足元での繋ぎにはミスが目立った。
山梨学院は、本来持つテクニックの高さを発揮し始めた。前半は、単純にサイドからクロスを入れるのではなく、パスワークでニアゾーンまでボールを運んでから最後の仕掛けをするという意図があったような気がする。


両チームとも、メンバー交代なしで後半開始。あ、ちなみに準決勝から45分ハーフです。40分ハーフに慣れちゃうと、妙に長く感じる。


序盤の猛ラッシュのあとはおとなしかった矢板中央がハーフタイムに立て直し、攻めに出てくる。
51分、矢板中央FW堀越が右サイドでスピードに乗って突破を試みる。対応した山梨SB藤巻を振り切り、ミドルレンジからシュート(クロス)を狙うが、ネットの上。続く52分、堀越の落としを中田が左スペースへ流し、そこから益子直がフリーでシュート(山梨DFは両FWを警戒して中央に絞っていた)。このシュートは枠を捉えていたが、山梨CK松田が好反応でキャッチ。55分、左コーナーキックからCB須藤がニアへ飛び込み、頭で反らしてゴール逆サイドを狙うが、ポストわずか右へそれる。


山梨学院も58分に左CKのクリアボールを碓井ミドルシュートするが、枠に行かない。63分には、伊東のポストプレーから鈴木がミドルを放つが、GK三浦がワンハンドで弾き出す。このCKから、再び鈴木がシュートを打つが、ジャストミートせず。


矢板中央は、先立つ59分に流れから消えつつあった中田を下げて長身FWの代わりとして石井を投入。さらに65分には右MFを阿部から渡辺光にチェンジする。
山梨学院も、FW佐野から本来のエース・加部未蘭を投入。負傷を抱えているため、時間限定で起用しているとのこと。大きくなったなあ。


74分、新たなターゲットマン石井を得た矢板中央が再びハイボール攻撃を再開。74分、右SB益子直がクロスを入れ、ペナルティエリア内での近接戦闘に持ち込む。クリアボールを拾っての再攻撃で、誰かのヘッダーがクロスバーを叩く。跳ね返りを誰かがシュートするが、ゴール右に外れる(誰か、誰かで悪いんですが、矢板中央のユニホームが、赤黒にくすんだ金色の背番号表示で、非常に目に優しくない。混戦になると誰が誰だがわからんのです)。
77分、矢板中央ショートカウンターからCKゲット。渡辺裕のCKから堀越がヘッドで叩きつけるが、ポストわずかに右。
さらに83分、左クロスのクリアボールを益子直がミドルで狙うがGK正面。


そして85分、山梨学院の追加点。伊東がペナルティエリア手前でルックアップ。右サイドから入ってくるMF鈴木へパス。鈴木のシュートがゴール左隅に決まった。このとき、矢板のDFはゴール正面に張る加部に引きつけられており、鈴木への対応が遅れてしまった。


後が無くなった矢板中央は、86分に選手交代。左SB阿久津を下げて、島野を投入。3トップにして最後の賭けにでる。87分、右コーナー付近で得たFKからCB鈴木がシュートするが、山梨学院DFが体を張ってブロック。89分には益子直がクロスを入れるがGKがクリア。ロスタイムに入ったトータル91分には、ペナルティアーク付近で得たFKを益子直が狙うが、山梨学院が全員戻って構築した壁に当ててしまう。トータル94分、長めのFKを放り込むが、ラインを割る。
ここで4分のロスタイムが過ぎ、タイムアップ。


山梨学院が決勝進出を決めた。チアガールの喜ぶ姿が、かわいかったぞ。うみゅー(どうやらそれが言いたいだけらしい)。


山梨学院が、持ち前の技術を発揮して順当に勝ち進んだ、という印象。
矢板中央は健闘したが、ラッシュをかけた序盤に得点できなかったのが痛かった(結果論ですが)。


あと、このスポナビの記事
には違和感を持った。矢板中央はたしかにロングボール戦法を採っていたが、単純な放り込みではなく、中盤の選手との連携でフィニッシュまで持ち込もうという意図が感じられたよ。中田の落としは結構多彩だったし。ただ、押し込まれて蹴る位置が後方に下げられちゃうと精度が落ちる。そこが弱点だった。
山梨学院はロングボール戦法じゃないと思う。たしかに、攻守の切り替えのときに長めのボールをサイドに入れたりしてたけど、フィニッシュに持ち込むときはパスワークでニアゾーンに起点を作って、という動きが見られた。
低い位置からビルドアップしていくのは、Jユースならともかく、高校選手権レベルに全面的に適用するのは難しいと思う。
あと、この人は「バイタル使ってない」と書いていたけど、私には使っていないようには見えなかった。ま、「バイタル使う」という言葉のとらえ方の問題なんでしょうけどね。


それとな、俺は、放り込み大肉弾戦バカ試合が大好きなんだよ・・・・わっはっは。