アジアカップ2010壮行試合 日本女子代表 3 - 0 メキシコ女子代表


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火曜の夜は女子サッカー女子アジアカップ2010(中国・成都)の壮行試合がメキシコ女子代表を招いてビッグスワンで開催された。本日は壮行試合第2戦。第1戦は5月8日にアルウィンで行われ、日本は4-0で快勝している。


メキシコ女子代表といえば、2003年の女子ワールドカップ予選プレーオフで対戦、敵地で辛勝、ホーム国立で快勝して見事ワールドカップ出場を決めたときの相手だった。
あのときは実力的にほぼ互角の、緊張感あふれる試合だったと記憶しているが、いまやスパーリングパートナーとして招待して、タコ殴りにしている。日本って強くなったんだ、とあらめて実感する(女子の話です)。


平日ナイトなので、さっさと仕事を終わらせ、上司の冷たい視線を華麗にスルーしていったん帰宅、着替えてから出撃した。雨が降り出す中、駅の南口付近からビッグスワンまで歩く。浦和美園と一緒で、歩けど歩けど近づいてこないorz。北側のゴール裏からメインスタンドに回ったら、チケット売り場は南側だってさ・・・結局、スタジアムを4分の3周した格好になり、キックオフギリギリにバックスタンドに滑り込む。メインは人がパラパラだったが、雨の降り込まないバック1階の上段は結構埋まっていた。


日本は4-4-2フォーメーション。
キーパー福元(湯郷)、CBは熊谷と矢野の浦和コンビ、右SB近賀(日テレ)、左SB須藤(日テレ)。ボランチに澤(ワシントンフリーダム)と上尾野辺(新潟)、右MF川澄(INAC神戸)、左MF中野(湯郷)。FWは大野(日テレ)と菅澤(新潟)。
かなり地元に配慮した先発メンバーであるw。宮間はベンチスタート。永里や安藤といった実力者はベンチ外。


メキシコは超守備的布陣。あえて数字にすれば5-2-3(5-4-1にしようかと思ったけどかわいそう?なので)。
DFは、シエリャを余らせ、ストッパーにディアスとカスティージョを配して中央を3人で固め、両サイドにも人を配した5バック。両ストッパーは、日本の2トップを受け渡しでマークする。
5バックの前にボランチ2枚を置き中盤のスクリーンを形成。
前線は3トップだが、モラレスとペレスをワイドに開かせた布陣。


余談だが、電光掲示板では、メキシコの選手名をなぜかファーストネームで表示しているため、ロペスとかペレスとかディアスではなく、セシリアちゃんやレティシアちゃんやマリリンちゃんやイブちゃんになるのであった。


試合開始から日本が圧倒的にボールを支配するが、メキシコの守りに手こずり、なかなかゴールを割れない。
左右からクロスを入れ、ゴール前の密集で大野が強引にシュートを狙い、さらにクリアを拾ってミドルを撃つが、いずれも人垣にはね返される。
大野が再三にわたって裏へのすり抜けを試みるが、いずれもオフサイド
近賀が長友ばりにペナルティエリアの中まで上がってシュートを放つが、GKサンチアゴレティシアちゃん)の好守に阻まれる。


一方、メキシコはカウンターを狙うが、3トップの両ワイドが大きく開いているためにFW間の距離が遠く、後方からのサポートもないため、前線にボールが入っても単騎突撃をかけるしかないため、日本のDFが楽々対応。
メキシコは3トップの両ワイドがオーバーラップする日本のSBにくっついて下がるため、前線にはエブリン・ロペスが一人、という場面も多く、全く怖さがなかった。ヒヤッとしたのは、福元が前へ出ているところへロペスが一か八かのロングシュートを打った場面ぐらいか。


失点しそうな予感は全くなかったが、得点を取るのも骨だなあ、と思っていたときに、澤と大野の一発芸が炸裂した。
31分、澤のスルーパスに反応した大野がペナルティエリアのちょっと外でワントラップからシュート、これがゴール左隅に決まって日本が先制した。寄せてくるメキシコの選手の間を抜いた澤のパス、ちょっと引いてマークをはずしてから鋭い動きで飛び出し、ワントラップでコースを確保して撃った大野のシュート、いずれも素晴らしかった。


先制点を奪われた後もメキシコはひたすら守ったため、スコア1-0のままで前半終了。


試合開始時には小降りだった雨が、ハーフタイムには本降りになってきた。気温も下がってきて、5月にしてはちょっと寒い。売店で暖かい食べ物を求めたが、タッチの差で豚汁が売り切れた・・・


ハーフタイム、日本は2枚替え。大野がお役ご免で、代わりのFWにマリーゼの安本。右MFは川澄から5月6日に追加招集された南山(日テレ)へ。


後半も日本が圧倒的にボールを支配して攻めるが、メキシコもどん引きだった前半とは違って前からプレッシャーをかけてくるようになる。
57分、澤のファウルでFKを得ると、35mの距離をDFディアス(マリリンちゃん)が直接狙う。キックは強烈だったが、弾道はマウスの右上にそれた。続く58分、日本のバックパスをCFのロペス(イブちゃん)が狙う。DFとの競り合いで倒れながら放ったシュートは枠に飛ぶが、GK福元が押さえた。


日本は、前半に比べて両サイドの動きが活発化、メキシコを揺さぶる。
63分、メキシコDFのミスパスを素早く右サイドに展開。高い位置を取っていた近賀がペナルティエリア真横から折り返し、これがファーサイドの菅澤に届くが、シュートはGK正面を突いてしまう。しかし、近賀のクロスに対しメキシコDFがハンドを犯したため日本はPKゲット。キッカー南山が決めて、日本2-0メキシコ。


日本は、追加点に先立つ60分から立て続けに選手交代。60分から72分までの間に4枚を替えた。須藤から豊田(日テレ)、中野に替わって井出山(マリーゼ)、矢野から金野(ジェフレディース)、そして澤から宮間。
一方、メキシコは68分にDFディアス(マリリンちゃん)が足を痛め、サンドバル(マーリーンちゃん)に交代。さらに運動量の落ちたCFロペスからウォルビスにスイッチする。


76分、日本はゴール正面約40mの位置でFKゲット。入ったばかりの宮間が右サイドでフリーの南山にパスを送ると、南山がペナルティエリアまで切り込んで、角度の無いところから逆サイドネットに決めた。これで日本3-0メキシコ。

メキシコは79分に右FWのモラレスを下げ、ヒメネス(オリビアちゃん)を投入。
5バックは右から、ビジャルバンド、シエリャ、サンドバル、カスティージョ、サウセド。ボランチにウォルビスとペレス。FWはCFにランゲルをボランチから上げ、右は変わらずモラレス、左に入ってきたヒメネスを配した。


雨足が激しくなりピッチ状態が悪化する中、経験の浅いメンバーを次々と送り込んだ日本はミスが多発。あいかわらずボールポゼッションでは圧倒しているが、パスミスから生じるピンチの芽を宮間がなんとか摘み取り試合を落ち着かせる、という場面が多くなる。
81分、CB熊谷がバックパスをトラップミス。これをFWにポジションを移していたランゲルが拾って独走、シュートを放つが、GKの守備範囲内。福元が落ち着いて押さえ、この試合最大のピンチを防いだ。


その後、日本は惜しいシュートもあり、ミスからピンチを招く場面もあったがスコアは動かず。4分のアディショナルタイムが過ぎ、試合終了。


チームの中軸たる澤-大野ラインでの先取点、南山のようなニューフェースの活躍もあった。「地元枠」の上尾野辺と菅澤もフル出場してそれなりにいいプレーを見せた。
ミスはあったが、新戦力をチームになじませるというこの試合の位置づけからしてそれは折り込み済、まずまず目論見どおりの試合だったんじゃなかろうか。


個人的には、宮間の非常に落ち着いたプレーぶりが印象に残った(尻ぬぐい役だったけどw)。


付記:
女子アジアカップは5月19〜30日の間、中国。成都で開催される。グループリーグでの日本の相手はミャンマー、タイ、北朝鮮。初戦は5月19日、ミャンマー代表。