電子書籍の自炊〜我が家の場合 その2(裁断編)

ScanSnapは優れものだが、効率よくスキャンできるかどうかは、裁断の出来に左右される。


世の中では裁断機が結構売れているようだが、私は購入を見送った。
そもそも、部屋に本が堆積し、夜中に蹴つまづいて負傷したから、蔵書の電子書籍化を決意したのだ。あんなデカブツを置く場所は我が家にはない。足の小指にも悪そうだし。


というわけで、テレビを見ながら(ながら族・・・)、カッターとカッターマットを使ってちゃぶ台の上で地道に本を裁断している。


カッターマットは、サッカーの公式プログラムなど大判の冊子にも対応できるよう、大きなもの(44cm×29cm)を購入。カッターはオルファの大型NTカッターとメーカーはよく分からんが新潟のLoftで売ってたロータリーカッターを併用している。


裁断の手順は以下のとおり。


まず、表紙を切り離す。表紙と扉との間にNTカッターで切れ目を入れて表紙を外す。裏表紙も同様。ハードカバーの本だと、切れ目を入れる深さをうまく加減してやれば、背表紙まできれいに外すことができる。表紙を外したあと、喉布、栞のひもなども一緒に取り除いておく。
ソフトカバーの本だと、折り目に沿って手で剥がすだけで表紙を外せる。


カッターで切るか、手で剥がすかは、表紙の紙質や糊付けの強度、装丁の丁寧さ(頑丈さ)によって変わってくる。この辺の使い分けには、ちょっと慣れが必要かもしれない。


表紙をスキャンしたい場合は、糊付けされた端をカッターで切り落としておく。本文とほぼ同じ大きさに切っておくとスキャンするとき好都合である。ハードカバーの表紙は、ScanSnapに通らないので、フラットヘッドスキャナで取り込む。


表紙を取り去ったあと、本文の部分を処理する。裁断機を持っている人は、一度に裁断機できる程度の厚さに二〜三分割するだけだが、カッターだけで本を解体する場合は、もっと小分けにする必要がある。本を分割した後に糊が付いた端をカッターで切り落とすため、一度にカッターで切れる程度の枚数に分けておく必要があるのだ。


私の場合は、紙の厚さによって変わるが、枚数にして10〜15枚ぐらいずつ分割する。だいたい10枚(20ページ)ぐらいのことが多い。文庫本のように薄い紙を使っている場合は、12〜13枚(25ページ見当)。逆に、紙が厚ければ10枚以下にする場合もある。


本を分割するときは、付け根に沿ってカッターを入れて切り取る場合、カッターで軽く切れ目を入れてから手ではがす場合、あるいは手でむしるだけの場合がある。
どの方法で分割するかは本の状態しだい。文庫・新書は手でむしるだけのほうがおおいかな。上手にやると、本の糊の部分だけがきれいに残る。なんの役にも立たないけどね。
勢いよくやりすぎると、文字が印刷されている部分まで破れてしまうことがあるので注意。


ハードカバーは、糊付けがきつかったり、背表紙に補強用のネットみたいなものが入っていたりで、手だけできれいに分割するのはむずかしい。面倒でも全てカッターで切り離すか、少なくとも切れ込みを入れてから外すのが無難だろう。


次に、分割された本の、糊が付着した端を裁断する。最初は、NTカッターで力任せに切り落としていたが、そのうちカッターを押さえる人差し指が痛くなってきた。そこで、ロータリーカッターを購入した(写真)。ロータリーカッターだと、刃の構造上、一度に裁断できる枚数は10枚程度に制限されるが、指の負担は確実に小さくなる(10〜15枚に小分けするのは、ロータリーカッターの制限もある)。
枚数が多いと、一度で切れずに二度三度刃を通す必要が出てくるし、はたまたNTカッターのお世話になるなど手数が増える。おまけに切断面がギザギザになってしまう場合が多々ある。分割する枚数は少なめにしておいたほうが結果的に早く、きれいに仕上がる。


切り落とす幅は、通常、端から5〜10mmの間。文字・図版が印刷された部分を切り落としてしまうと元も子もないので、ここはケースバイケースで対応。見開きページがある場合は、図版ぎりぎりに裁断する。


このようにして分割・裁断すると、どうしても約10枚毎に横幅が微妙に異なるものが出来上がることになるが、大きな支障はないので気にしない。


裁断が終わったら、本がちゃんとバラバラになっているかどうかを、パラパラとページをめくって確認する。糊がページの間に浸み込んでいる部分があるので、きれいに裁断したつもりでも、たいてい何箇所かくっついたままの場所が見つかる。そういうところを見つけたら手ではがしてやる。


ただし、一枚一枚念入りにチェックしない限り、どうしても見落としが出てくるのはやむをえない。気づかないままスキャンしても、ScanSnapの重送検知機能でチェックできる。ただし、紙送りのときに引っかかってページにしわが寄ってしまう場合がある。しわを伸ばせばスキャンは可能だし、たとえ破けてしまっても、セロハンテープで補修してフラットヘッドスキャナで読み取るという手段もある。ただし、文字だけのページならともかく、カラー図版はどうしても紙のしわまで読み取られてしまう。バラバラになっているかどうかをどこまで丁寧にチェックするかは、本の内容とか図版の重要性次第である。


私の場合、文字主体、あっても白黒図版の場合は、ざっとチェックしたらそのままスキャンしてしまう(スキャン時にエラーが出ても気にしない)。カラー図版が数ページはさみこまれている場合は、その部分だけは一枚一枚チェックする。カラー図版が主体となっている本は、全ページを一枚一枚確認することになるが、果たしてそういう本を電子化するかどうかというのは微妙なところである。


カバー・帯は、本文と同じ幅に裁断して一緒にスキャンしてしまう場合と、別途、フラットヘッドスキャナで取り込んで、Acrobatでマージする場合がある。


折込図面は、別途スキャンした後でマージするので、きれいに外してなくさないように(間違って捨てないように!)しておく。


なお、雑誌などホチキス綴じの本は、ホチキスの針を外して適当な枚数に分けて真ん中で切断すればOK。


慣れると一冊15分ぐらいで処理できる。


さらに続く。