2011年 J2 プレビュー 水戸ホーリーホック編


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北関東三兄弟の長兄にして手元不如意(失礼)の水戸。
3年間監督を務めた木山さんが退任し、今シーズンから新監督を迎える。
一昨年の'09シーズン、荒田・高崎というJ2屈指の2トップを擁して大暴れ。だが、荒田は磐田に移籍、高崎もレンタル終了となってしまった。昨季は、木山さんが同期のよしみで?引っ張ってきた大橋を中心に攻撃陣を構成したが、荒田・高崎の穴を埋められずに苦戦、ルーキー村田がチームの主軸に成長するなどの明るい側面もあったが、結局17位に終わり、木山さんは清水エスパルスのコーチに新たなチャレンジの場を求めた。


Jでの水戸の位置づけは大卒新人の育成チーム。前述の荒田(専大出身、磐田にドナドナ)をはじめ、小椋祥平(?出身、現横浜FM)、平松(中大出身、現東京)など、育った若手はみな他のクラブへ引き抜かれていくという宿命。昨日アップした札幌もそうだが(過去には山瀬、今野、藤ヶ谷。今オフは藤田、西嶋、レンタルで新潟に行っていた西)、育成力はあるがが資金力に乏しいチームにとって、移籍金制度がいきなり廃止されたことは本当に痛いだろう。ま、水戸の場合は育成といってもOJTなしに新卒を最前線に投入するスパルタ方式だが。


例年どおり?、今オフも主力を引き抜かれた。例年と違うのは引き抜きがDFラインに集中したこと。フィールドプレーヤーの中では最も在籍年数が長く、チームの顔だったCB大和田が栃木へ、大和田とコンビを組んでいた作田が大分へ引き抜かれた。大分へは、右SBのレギュラーだった藤川も移籍。彼らのバックアッパーだった中村も草津へ移った。
水戸は、さほどお金があるとは思えない他のJ2クラブに主力DFを引き抜かれたわけで、このあたり、J2の経済的力関係を表しているようで興味深いというか切ないというか。

他のポジションでは大橋および片山と契約を更新しなかった。木山さん人事の大橋はともかく、チーム得点王の片山も切ってしまった(得点王といっても6得点なので、見切ってしまったのだろうか?)。また、出場機会が減っていたとはいえ、森村と下田も東京に返却。

結局10人がチームを離れ、例年どおり、後釜として大卒選手が大量に加入した。


今年の新加入は10人。うち8人が関東大学リーグ出身、1人は韓国の高校生、実績のある選手は栃木にいた岡田だけである。

大卒選手の顔ぶれをみると、面白いところに目を付けたな、という印象を受ける。個人的には駒大の金久保、順大の岡本あたりがブレイクするかも、と思っている。GKで明大の笠原が加入したが、これはいよいよポスト本間をにらんだ動きが出てきたのかなと妄想。


ボランチの村田、サイドMFの大塚、FWもしくはサイドをやってる遠藤、昨季終盤に活躍した常盤など、中盤から前は面白い選手がいる。

問題は、上述のように計算できる選手がSBの保崎ぐらいになってしまったDFラインの再構築である。栃木から獲得した岡田はJ2経験が長く計算できる選手で、先発で出すなら右SBかと思うが、DFライン全般の穴埋め的な形でユーティリティーに使えると思う。CBで残っているのは190cm超の高さを持つが昨シーズンわずか2試合の出場にとどまった加藤のみ。新加入選手の中にも、CB属性の選手は塩谷しかいない。いまのメンツで4バックを組むと控えの選手なし、ということになってしまう。当然、クラブもここの手当ては考えていて、キャンプで韓国人を含む練習生を3名呼んで、パフォーマンスを見るとのこと。


そして新監督は凍将闘将・柱谷哲二である。札幌・緑さんに続いて3チーム目かな。今後もJで監督をやっていけるかどうか、正念場でしょう。

新体制発表会見の記事を読んでみると、規律の徹底、フィジカル・メンタルを強化して走り負けないチームを作る、まずは守備意識を徹底させる、などしごくまっとうな。目標についても、まずは他チームと五分の勝負ができるようになりたい、とチームの現状を踏まえて現実的な(というかイメージしやすい)ところを掲げている。熱意は感じられるけど過度の気負いはない、いい記者会見だったと思う。具体的なところはまだこれから、という感じだったけど。育成型のチームでどういう采配を振るうかは興味がある。


1月24日時点の選手総数は23名。外国籍扱いはイ カンのみ(フランクは青森山田高→流経大で、J登録上は日本人扱い)。日本人のうち、社会人出身が1名(岡田が藤枝東高から中央防犯を経て札幌でプロとしてのキャリアをスタート)。大卒が16名(高体連出身が11名、クラブユースが5名)。高体連が2名、Jユース出身が3名。


具体的なメンバーは以下。

GK:本間(サブ笠原)

DF:センターバックは加藤と塩谷(新加入)、右SBに岡田、左SBに保崎。いまのところほかにいませんorz。SBには走力のある選手をコンバートする(例えば草津時代に右SBの経験がある小池)としても、CBの専門職を追加で獲得する必要がある。

MFボランチ村田翔。相方は大塚か。サイドは右がFW登録の遠藤、左はレフティドリブラーの島田で来ると思う。ここに駒大の金久保あたりが割ってはいると面白い。

FW:ベテラン吉原とブレイクしかかっているようにも見える常盤の2人がファーストチョイスか。ただし、吉原はケガという情報もあります。新入団組では、順大の突貫型FW岡本が面白い。


戦力不足・経験不足はあきらかだし、DFの手薄さゆえに下手をすると守備が崩壊する恐れもあるのだが、厳しい環境でチャレンジしようという若者集団ゆえ、しつこく厳しく当たってくるような試合をしてくると思われる。
昇格を狙うチームは勝ち点を落とさないように注意しましょう(他人事じゃないんだが)。


(1/24追記)
キャンプでは4-3-3を試しているらしい。