J2 第30節 川崎フロンターレ 3 - 1 京都パープルサンガ(観戦63試合目)

↑これが正解です。そうなんですよ、私の後ろに座ってた小学生諸君。世の中はややこしいのです。


選手全員が重度の食中毒にでもならない限り昇格確実の川崎。昇格決定後の消化試合対策?のために新たに設定されたスローガンは「チャレンジ100 勝ち点100への挑戦」だそうです。すでに勝ち点74なのだから、この試合を含めてあと9勝すれば目標クリアか・・・楽に達成できそうだな。
今季全勝のホーム等々力に迎えるは、じわじわと順位を上げてきた京都。チェヨンス&黒部+松井という攻撃陣はJ2では明らかに反則(^^;)だろう(川崎のジュニーニョも反則だけど)。

追記
松井は9月1日から、フランスリーグ2部ルマンに移籍が決定。

一応、1位2位の直接対決であるため、午後半休を急遽取得し等々力に馳せ参じる不良サラリーマン約一名。平日の試合とあって、終業後に馳せ参じるまじめサラリーマンが多く見られた。


川崎は我那覇・箕輪が累積警告のため出場停止。フォーメーションはいつもの3-5-2で、GK吉原、DFは佐原-寺田-伊藤宏樹ボランチが久野と中村、WBは右が長橋、左がアウグスト、黒津・ジュニーニョマルクス(MF登録)が実質的に3トップを形成する。
対する京都は4-4-2。GK平井、DFは鈴木和裕-手島-萩村-三上(いつのまに移籍していたのだ)、ボランチが金徒均と石丸、右SHが富田、左が美尾、そして2トップはチェヨンスと黒部。

追記
那覇はケガで欠場とのこと


ゲーム冒頭、京都がDFとMFの間隔をコンパクトに保ってスペースを与えない守備を見せる。川崎の前の3人は、我那覇の代わりに入った黒津がポスト役となり、やや下がり目にブラジル人2人が位置する。今日は普段とは逆に、左にマルクス、右にジュニーニョという位置取りをすることが多い(もっとも煩雑にポジションチェンジをするが)。そしてアウグストが左ウイング的な位置に加わり川崎名物4トップ状態を形成、高い個人技を生かして攻め込む。しかし京都もボールホルダーにしっかりプレッシャーをかけ、川崎にペースを握らせない。京都の攻撃はチェと黒部のポストプレイから展開していこうというもの。2トップが縦の関係をつくってポストされたボールを前を向いて受けゴールに向かっていく。この二人に中盤から上がっていく選手がからんでチャンスをつくろうとする。3分にはチェがペナルティエリア付近でドリブル、川崎DFが次々にチェックにいき、こぼれたボールがボランチの位置から上がってきた石丸に渡りフリーでミドルシュートを打つが惜しくもポストに嫌われる。
この調子なら今日は拮抗した試合になるなと思った矢先に川崎が先制点をあげる。


11分、京都は川崎陣内に攻め込む。左SB三上がオーバーラップをかけ攻撃を厚くしようとした矢先に、美尾がボールをとられてしまう。三上の裏のスペースに走りこんでいたマルクスにすくさまフィードが送られる。マルクスペナルティエリア横までドリブルで切れ込んでいき、ファーサイドジュニーニョに向けて余裕をもってクロスを放つ。これをジュニーニョが難なくにヘッドで合わせて川崎が先制。このとき京都は右サイドも上がっており、守りが手薄になっていた。残っていたCB二人も自軍ゴール方向に戻りながらのディフェンスとなってしまい、ニアサイドに走り込んでいた黒津につられたせいもあって、ジュニーニョをフリーにしてしまった。


この一件で懲りた?のか、左右タッチライン際で高い位置どりをする長橋とアウグストを気にして富田・美尾の両SHが下がって最終ラインに吸収されてしまい、京都は事実上6バック状態となってしまう(試合後のコメントではマンマークの守備をしていたとのこと)。そしてスカスカになった中盤を川崎が好きなように蹂躙しはじめる。FW陣の縦横自由自在のポジションチェンジに加えて中村・久野の両ボランチの攻め上がりが非常に効果的だった。
これは追加点も時間の問題かと思った矢先、京都が同点に追いつく。

30分、黒部のパスをチェが落とし、走り込んだ石丸がミドルシュート、これがDFに当たってコースが変わりゴール。完全に逆を付かれた吉原はなす術がなかった。チェ・黒部はさすがにキープ力に長けているため、川崎はこの二人に対して複数の選手で囲い込んでボール奪取を図っていた。しかしそれが裏目にでて石丸にフリーでシュートを打たせてしまった。
もっとも同点になっても川崎の優勢は変わらなかったが、京都は平井の好セーブやDF陣の必死のクリアでなんとかしのぎ、このまま前半終了。


後半開始早々、試合が動く。47分、一瞬フリーになったアウグストからファーサイドにクロスが送られ、マルクスがヘディングシュート、これが決まって川崎があっさり勝ち越す。このときマルクスをマークすべき左SB三上は自分とCBとの間に入り込んできたジュニーニョに気を取られ、背後にいるマルクスをフリーにしてしまっていた。
続いて55分、ゴール近くで川崎はFKを得る。これに対しマルクス、アウグスト、中村が向かう。直接狙うかと思わせておいてアウグストがチョンと壁の外側にグラウンダーを送る。これに対し壁に入っていたジュニーニョが反応、マークについたDFを切り返しでかわしてシュート、3点目のゴールが決まる。


なんとか追いつきたい京都は、直後の56分に石丸に代え中山をいれ、3トップとも思えるような布陣をとる。続いて68分には黒部と金を下げ熱田、斉藤を投入し運動量の維持を図る。
しかし2点差をつけた川崎は手を緩めず、ゲームを支配し続ける。69分に黒津に代え町田を投入。黒津はポストプレーやヘディングなど高さを生かしたプレーで健闘していた。周囲とコンビネーションがやや合わないケースもあったが、これは仕方のないところ。我那覇の代役としては十分に合格点である。
81分には見え見えのオフサイド位置にいたマルクスが後方からのフィードになぜか反応。一見珍プレーに周囲から失笑が漏れたが、どうやら交代するためにゲームを切った模様。足がつり気味でもあったらしい。すでに準備していた渡辺匠が入った。川崎は久野-渡辺-中村の3ボランチとなり、アウグストはやや前目にポジションを移す。終了間際には京都の攻勢もあったが、得点は動かずゲーム終了。川崎がチームの熟成度の差を見せつけて勝利した。


京都はまだまだチーム整備の途中という感じ。攻守のバランスがうまく取れていない。攻撃はチェ・黒部のダブルポストに中盤がうまく絡めた場合にいい形ができていた。2人だけでフィニッシュにもっていける力をもつ強力2トップにはマークが集中するため、どうしてもまわりにフリーの選手ができてしまう。石丸の同点弾はその好例。しかし選手が攻めあがったあとのスペースをカバーすることができていない。先制点がその端的な例である。
反面、守備に回った場合は中盤が下がりすぎてしまい、2トップが孤立してしまう場面が多い。下がって守っても、川崎の縦のポジションチェンジや左右の揺さぶりに対応できず、ディフェンスがボールウォッチャーになってしまう場面がしばしばみられた(それに対応するために今日はマンマークを採用したと思うのだが)。守りの際のコンビネーションも悪く、とくにDFラインはどうにかして4バックをこなすのに精一杯といった雰囲気が見えた。今日は格上のチームが相手なのだから、徹底して泥臭く自分のマークすべき相手に食らいつくという姿勢があってもよいのではないか。川崎のパスワークに翻弄されたのかもしれないが、タックルに行くのかディレイをかけるのかの判断が中途半端で、対応が後手後手に回っていた。
残り14試合、チームの熟成は時間との競争になる。


一方の川崎は会心のサッカーを見せた。すくないタッチ数で次々とパスが回る。相手に囲まれかけても、次々に他の選手が走ってパスコースを、それも前を向いてプレーできるコースを確保している。スペースを使う意識がたかく、ディフェンスのギャップにすかさず選手が走りこみ、またそれを生かせるという連携の良さを見せ付けていた。
選手個人に関していうと、ジュニーニョの個人技はあいかわらずであり、トラップ一発で相対するDFをかわせる。ボランチ陣も攻守に渡って実にセンスのよい動きをみせ、出足がよいため、高めの位置でもボールが拾える。そこからのサイドへの展開、あるいはFWをポスト役に使っての攻め上がりも効果的。とくに中村憲剛が光っていた。それからアウグストもポイントをうまく押さえたプレーをしている。このオッサンはFWみたいなポジションにいるかと思ったら、味方のピンチになりかかるといつの間にか戻って確実に相手を潰していた。少なくとも3回はピンチを未然に防いでいた。
とにかくチームとして完成の域に達している川崎。最短では第3クール最終戦第33節(9月11日)にも昇格が決定するとのこと。そこまでいかなくても対抗できるチームが見当たらない現状では9月中の昇格決定が現実的になってきた。というか、このチーム、J1でどこまでやれるかぜひとも見てみたい。


一方、2位グループの混戦は深まる一方。2位になったチームが必ず取りこぼすという妙なジンクスができつつあり、実際チーム力もどんぐりの背比べで抜け出すチームは当分ないだろう。それでも反則2トップを擁する京都が2位の最有力と見るが。最後の最後までもつれる可能性も大きい(というかそれを望んでいるのだけれど)。