ナビスコカップ準々決勝 FC東京 4 - 1 G大阪(観戦67試合目)

国立の試合、またも雨。それも雷雨。国立雨伝説が過去最大規模で発動した。西葛西で地下に潜る前に西の空に真っ黒な雲が見えたので、大江戸線を選択して歩く距離最小化作戦をとった。が、国立に着くと雷雨・・・。チケット引き換え・手荷物検査・モギリの3段階でそれぞれ傘を閉じてテントを出たり入ったりするうちに結構濡れた。3段折自動傘なんでこんなとき最低である。当然、すぐ席には付かず、青山門売店前のコンコースで天候待機。スタンドに出たのはスターティングラインナップ紹介の時になった。試合開始延期のアナウンスに両サポーターともブーイング。みるとメインスタンド側のピッチにかなり大きな水たまりができているのが分かる。雨が小康状態になってきて、15分遅れのキックオフ。驚いたことに水たまりがほとんど無くなっている。うーん、すごいピッチだ。


東京はルーカス・石川がケガ、土肥と加持がインド修行。というわけでGK塩田、DFは前田-ジャーン-茂庭-金沢、ボランチが三浦と今野、右MFがお久しぶり小林、左MF馬場、トップ下が梶山で、ワントップをケリーが務める。
対するガンバも宮本と遠藤が拉致されている。東京のサイド攻撃を警戒してか、4-4-2フォーメーションをとり(どうでもいいが最近こういうパターンが多いな)、GK松代、DFが渡辺光輝-シジクレイ-實好-山口、ボランチが二川・橋本、右MFがフェルナンジーニョ、左が家永、2トップが大黒と吉原。


前半はG大阪のペース。豊富な運動量で高い位置からプレスをかけ、マイボールになると素早いパスワークでフリーの選手に展開し、攻撃に転移する。ボールをもらった選手は前を向きどんどんドリブル勝負を仕掛けてくる。前の4人は、吉原が右に開き3トップ気味(家永がやや下がる)、そしてフェルナンジーニョがその後方に位置し、ポジションチェンジを行いながらスピード豊かな攻撃を行い、東京DF陣を振り回す。とくにフェルナンジーニョが2列目から仕掛けてくるドリブルが効果的で、数人がかりでなければ止められない場面がしばしば。タックルが成功しても、セカンドボールは運動量豊富なG大阪のものとなることが多く、二川あたりが起点になって2次・3次攻撃を繰り返す。


こんなG大阪の攻撃の前に東京の対応が後手後手のバタバタになり、これはまずいぞと思っていると16分、ペナルティアーク付近にこぼれたボールをフェルナンジージョが短いドリブル、チェックにきたジャーンの横を抜いて大黒にパスを送る。このパスをカットしようと三浦がボールに触れるが、大黒と競り合っていたせいでボールは自軍ゴールに向かってしまい、塩田はタイミングをあわせることができず、飛び込んだ体の下をすり抜けネットが揺れる。オウンゴール・・・。


先制点を取られて以後も東京はグダグダのサッカーを展開する。とくに前線の馬場・梶山の運動量が少なく、こぼれ球を追わないは、動かず足元でボールを捌こうとするは(緑じゃないんだから)、前を向いてボールを持ってもパスの判断が遅く漫然とドリブルしているうちに囲まれてとられるは(んでもってとられたボールを追わない)と、スタンドの怒りを買いまくりだった。期待の?小林も見せ場をつくれなかった。右サイドでコンビを組むべき前田も、ルーキー家永にあっさりぶっちぎられるていたらくで押し込まれてしまっている。セットプレーも、頼りのジャーンがシジクレイの徹底マークにあい、今野のヘッドはブロックされる。


そんなこんなでいつ追加点がとられてもおかしくなかったのだが、塩田とDF陣のがんばりによってなんとか前半終了間際までしのぐ。そして44分、右サイドのスローイン(?記憶が不鮮明)のボールをケリーが素早くヒールで流し、そこに飛び込んだ金沢(修正:三浦です。金沢は普通あの位置にはいないよな・・・)がペナルティエリアに抜け出す。これに対するシジクレイの対応が一瞬遅れ、後方からのチャージで金沢を倒してしまいPKとなる。雷鳴ともに(笑)ケリーの蹴ったボールはゴールにフワッと吸い込まれて同点。なんとか振り出しにもどして前半を終えた。


後半は東京が盛り返す。とくに50分に怖い存在だった吉原が下がり(足のケガが原因とのこと。代わりに中山IN)、G大阪の攻撃からスピードが徐々に失われてくる。逆に東京は53分、小林に代えて阿部を投入しリズムを変えにかかる(阿部は左サイドへ、馬場が右サイドに移動)。ここからしばらくは一進一退の攻防が続く。G大阪はカウンターから大黒が強シュートを放つが塩田がファインセーブ。東京はゴール前35m付近で得たFKでジャーン砲が火を噴くが松代がなんとかはじき出す。


そして66分、こぼれ球をひろった馬場が右サイドからクロスを上げるとシジクレイの頭をかすめて(滑った?)落ちたボールが阿部の前にこぼれる。これをすかさず押し込みついに逆転に成功。
しかしG大阪も橋本のミドルシュートやCKからシジクレイのヘッドなどで惜しいシーンをつくる。この時間帯をしのいだ東京は、71分にケリーが左サイドタッチライン際で粘って上げたクロスを、松代の前に入り込んだ梶山が足を高く上げ、ヒールなのか右足のアウトサイドなのか足裏なのかわからないがチョンとあわせて方向を変え、これがゴールイン。貴重な3点目をゲットする。この怪プレーに松代は全く反応できなかった。
これでG大阪の集中力が切れ、79分には右ショートコーナーから入ったグラウンダーのクロスをDF陣が棒立ちで見送り、ファーサイドから詰めたジャーンが難なく押し込んで決定的な4点目が入る。以後はG大阪の運動量が落ち、前半見せたような切れ味鋭いドリブル突破も陰をひそめ、単純なロングボール攻撃が多くなる。が、これはジャーンを中心に難なくクリアし、パワープレー要員で入ってきた松波に仕事をさせない。余裕のゴール裏は「ヴェルディだけには負けられな〜い」と早くも準決勝モードに入り、松代の攻め上がりを促したりして悪ノリ開始w。東京は三浦に代え藤山を投入し右サイドの守備を強化(右SB前田はボランチの位置へ)、結局このまま試合終了となった。


この日の勝因は前半の猛攻を耐えたCB二人とGKの守りにあると思う。右サイドは前田が家永を止められず、左サイドは馬場の甘い守備に乗じて渡辺光輝が上げるクロスに対してはジャーンを中心として的確なポジショニングと高さで対応し、クリアしきれない場合でも飛び込んでくる選手にしっかり付いて正確なシュートを放たれるのを防いでいた。速いドリブルによる中央突破に対しても再三タイミングの良いタックルをかけていた。塩田もキックはかなり怪しかったがポジショニングの良さ、正確なキャッチング、そして反応の早さでピンチを救った。ケガ人続出で阿部以外は攻撃に変化を付けられる選手が見当たらないだけに、後半に彼が投入されるまで最小失点で守れるかどうかが2nd ステージからのゲーム運びのポイントになっている。攻撃のほうはやはり今日のメンツでは限界がある。もちろん出場した選手に実力が無い訳ではないが、スピードの変化をつけられるタイプが少なく、どうしても単調になってしまう(テクニック自体は高いのだが・・・)。期待の小林もドリブルでDFを一人はかわせるのだが、その後の判断が遅く、結局は効果的な攻撃を演出することができなかった。やはり戸田や石川の復帰が待たれるところ。


G大阪マグロンが離脱しているせいで、様変わりしたサッカーを見せ、とくに前半は東京を翻弄した。しかし、吉原や家永といった効いていた選手を負傷のため下げざるを得なくなったのが痛かった。得点差は3点だが、チームの実力差がここまで大きいとは思えない。決めるべき時に決めていれば逆の点差になっていてもおかしくなかったと思う。あと守りの面では肝心なところでの集中力を欠くシーンが見られた。梶山の3点目は、GK松代の前にフリーで入り込まれてしまったのが痛かった。あんな変態シュートを放つとは誰も思わなかったかもしれないが。4点目については弁解の余地なしである。G大阪が上位に定着するためにはこのメンタルの弱さを克服する必要があるのかもしれない。選手の質は素晴らしいのだから。