2004年J1・J2入替戦1st Leg アビスパ福岡 0 - 2 柏レイソル(観戦101試合目)

今週末、対岸の火事シリーズその1、入替戦。この一年の全てがフイになるか否かの大一番である(ほんとはフイになるなんてことはない。負けたって、その痛みは経験に変わり、次への力とする事が可能だから)。
柏はシーズン30試合の集大成、福岡にとってはなんと44試合(長いよね、ホントに)の血と汗と努力が報われるかどうかの大一番である。
思えば、去年、味スタで飯尾にやられたときは頭が空っぽになったような気がした。でも、あのとき我々東京サポーターが賭けていたのは15試合。同じく、去年、等々力で勝ちながらも昇格がかなわなかったフロンターレサポーターは44試合。そして今年、福岡サポーターは46試合の旅路の果てに在るものを見ることになる。


そんなわけで、ほとんど衝動的に雨が振りそそぐ福岡まで来てしまった。キックオフ1時間30分前にはスタジアムに到着したが、すでにメイン・バックともアウェイよりの一角を除いて9割方埋まっている。
雨がますます激しくなる中、12:10点灯。


バックスタンドにはオブリが集結。懐かしの「豚骨パワー」ゲーフラも見える。
スタジアムに、オリビア・ニュートン・ジョンの歌声が流れる。
  Have you never been mellow, have you never tried to find a comfort...
  Have you never been happy...
いや、彼らには幸せな時代があった。クラブがもっと上に行けると思えた時代があった。
そして今、それを取り戻すために、彼らはここに集まっている。


バックスタンドの下段はネイビーブルーのゴミ袋を、上段は透明な(白に見える)ゴミ袋を振り、ビッグフラッグが引き出される。
柏側も、(勇)太陽工務店レイソル研究会(なんつー名前^^;)の精鋭たちが、上半身裸で気合いを入れる。


福岡のスタメン。

   エジウソン  有光
 宮崎           山形
   ホベルト   米田
アレックス 増川 千代反田(c) 宮本
       水谷

サブは塚本、平島、松下、太田、田中。
福岡はもともとサイドMFとSBのコンビネーションでサイドを崩してクロスというアタックが持ち味だったが、足技のあるエジウソンの加入と、スピードタイプFW有光の台頭で攻撃のバリエーションが増えている。両ボランチのクレバーかつ献身的な守りも特徴。千代反田・増川の両CBはゴール前の制空権を確保する(反面、スピードは少し劣る)。
サブには長身FW太田が控え、パワープレーのオプションもある。


柏のスタメン。

   玉田  宇野沢
 大野        増田
  明神(c) リカルジーニョ
近藤  永田  中澤  波戸
      南

控えはノグチピント、パラシオス、小林、谷澤、山下。
ケガで長期離脱していたリカルジーニョがなんとか間に合った。


キックオフは13:00。
ホームの圧倒的な大声援(ほんと、すごい)を受けながら、福岡が立ち上がりから攻勢にでる。

  • 1分、福岡。右SB宮本が縦のボールを入れ、これに有光が走り込むが南が出てきてキャッチ。
  • 3分、柏。玉田がファウルで止められ、エリアの右サイドすぐ外でFKを得る。しかし、このFKのクリアボールが福岡のカウンターに繋がる。アレックスがドリブルで前進し、DFを引きつけたところでサイドに走り込んだ選手(宮崎?)にパスするが、惜しくもオフサイド
  • 6分。福岡。右MF山形が中へ切れ込んで交差するように入ってきた有光へラストパス。有光のシュートは柏DFがブロックし、CKに逃げる。
  • 8分。福岡。エジウソンが下がってキープし、そこから裏へ走る有光へスルーパスを送るが、柏DFがカット。

福岡の攻撃はエジウソンを経由するケースが多い。エジウソンが一旦下がってボールを受け、持ち前のテクニックを生かしてキープし、サイド(宮崎や山形、あるいはサイドバック)へ展開する場合、スルーパスを狙う場合(裏へ抜ける有光がターゲット)、そのままドリブル突破をはかる場合がある。
サイドを崩す時は、右なら山形・宮本、左は宮崎・アレックスのコンビに、ボランチが絡んでワンツーで抜けていくことが多い。
対する柏は、守備重視の立ち上がりで、ボールへの強い執着心を見せる。ボールホルダーに必ずチェックに行き、突破されかかっても粘り強くディレイを掛け、その間に素早く戻って守備組織を作り、福岡にいい形をつくらせない。とくにクロス攻撃への対応は徹底していて、必ずコースをブロックし、サイドをえぐってもいい形でクロスが上がる場面はほとんどなかった。展開に詰まった福岡がボールを戻せば、FW陣も参加してボールを追いかけ回す。このため、福岡は大きな展開が制限され、柏の張ったプレス網に強引に突っ込んでいく場面が目立つようになる。有光が右サイドの裏を狙うが、近藤がしっかりケアする。

エジウソンのテクニックやサイド攻撃に手こずりつつも、柏は集中力を保って守っている。しかし攻撃面では、玉田に頼る場面が目立つ。

  • 16分、柏。玉田がDFライン前でキープ、右サイドにいた宇野沢に横パスを出し、宇野沢がシュート、GK正面。
  • 17分、福岡。有光の落としをエジウソンがミドルを狙う。ゴール右にそれる。
  • 20分、福岡。宮崎がくさびを落としたところに上がってきた米田がミドル。枠を捉えていたが南ががっちりキャッチ。
  • 21分、柏、玉田がディフェンス4人に付かれながらもクロスを入れるが、福岡DFが触ってGKへ。

玉田の突破は相変わらず脅威だが、福岡は必ず複数で対応し抑える。柏はリカルジーニョが守備面でそれなりの貢献を見せるが、運動量が少なく攻撃に絡む場面が少ない。
福岡ボランチ陣はクレバーな守りを見せる。味方ディフェンスがボールホルダーに体を寄せ、ボールコントロールが乱れた瞬間を狙ってアタックし、ボールを奪う。展開力もなかなか。
攻撃面で、ゴール前にいい形でボールを送り込めない福岡は、ボランチ陣がミドルシュートを狙って打開を図る。


これ以降は、「攻めさせられている」福岡が次第に手詰まりになる。代わりに柏がいい形を作るようになる。

  • 25分、柏、左サイドを攻め上がった大野がエリア近くで、ファーサイド側に入ってきた増田にクロスを送る。増田に対する福岡DFの対応は遅れていたが、シュートはGK正面をついてしまう。
  • 32分、福岡。ロングボールに走った宮崎がファウルを受け、ゴール前30mほどのところでFKをゲット。増川が強烈なキックを放つが、壁に弾かれる。こぼれ球を拾った宮崎が二人をかわしてクロスを入れるが南がキャッチ。
  • 37分、近藤が宮崎にヒジを入れて警告。
  • 40分、柏、カウンター、右サイドから波戸が逆サイドにビッチ横断サイドチェンジを入れる。エリア内でフリーで大野が胸で受けるが、トラップミスでゴールキックへ。
  • 42分、福岡、パスインターセプトからエジウソンへ。エジウソンがキープから左の宮崎へ展開。宮崎のクロスはGKがキャッチ。

柏は、サイドチェンジで2度の決定機をつくる。福岡の守備は(プレスをかける以上当たり前だが)ボールサイドに寄る傾向があり、早いサイドチェンジが通れば、決定機に直結する。とくに40分のチャンスはかなり決定的だったが、大野痛恨のトラップミス。


前半は必死の守りを見せる柏を福岡が攻めあぐねているという印象だった。
柏は、福岡のサイド攻撃を研究していて、しっかりとクロスのコースを切り、早めに帰陣したCBとボランチがゴール前をしっかり固めていた。反面、攻撃に参加する枚数が少なく、福岡ボランチ陣にビルドアップのパスを寸断されるせいもあって、どうしても玉田頼りのカウンターになってしまう。
対する福岡は、局面を突破していく力があっても、柏が前からしつこくボールを追いかけ回すせいもあって大きな展開に欠ける。しっかりスペースが埋められているため、どうしても狭いエリアを強引に抜けていこうとする場面が多くなる。最近のラッキーボーイ有光が完全に抑えられ、エジウソンは下がってボールを受ける場合が多い。いいクロスが入らないため、エリア内でシュートを打てない。なにしろ、福岡のシュートは前半わずか2本(手元集計)、それもエジウソンと米田のミドルなのだ。後半に向けて、どう修正してくるか。




後半開始時のメンバー交代は両チームともなし。
開始早々、両者に決定的チャンスが訪れる。

  • 46分、福岡は有光とエジウソンのコンビでチャンスをつくる。有光が右サイドをドリブルしてエリア近くまで持ち込み、エジウソンへ。エジウソンは柏 DFを3、4人引きずりながらエリア境界線付近を横にドリブルし、まとわりつかれながらも左サイドへ回り込んだ有光へパス。一瞬フリーになった有光が シュートを放つがゴール右に外れる。-47分、千代反田のパスをカットした宇野沢が左コーナー付近まで持ち込み、サポートに来た大野にパス。大野が反転して放ったクロス はマークに付いたホベルトの足にあたってコースが変わり、山なりのボールが後ずさりしながらジャンプした水谷の指先をかすめ、ゴールに収まる。柏が 先制点を上げる。

有光のシュートは、彼にとってこの試合の初シュートであり、かつ福岡が初めてエリア内で放ったシュートでもあった。しかし、有光はボールをうまくコントロールできず、シュートはゴール右に大きく外れる。
一方、柏は先制点のとき、この試合で初めて全員で攻め上がっていった。そして、幸運が味方した。



先制された福岡は早速、次の手を打つ。

  • 49分、リードされた福岡はエジウソンに代えて太田を投入、パワープレーに打って出る。
  • 50分、柏は左サイドで得たFKをリカルジーニョが蹴る。たぶんクロスのつもりだったのだろうが、強いボールがゴールわずかに右にそれる。スタジアムに安堵のため息が 漏れる。
  • 54分、リカルジーニョが宮崎を倒し、警告を受ける。福岡はこれで得たFKをアレックスがゴール前に放り込む。南が飛び出すがキャッチしきれず、ボー ルは太田のもとにこぼれる。太田が柏の選手と交錯し倒れる。他の選手がこぼれ球を奪おうと殺到し押しくらまんじゅ う状態の中、太田の体の下にあったボールを柏の選手がタッチに蹴りだすがここで笛。最初、主審の吉田さんはPKを宣告した?が当然柏の選手たちは抗議。主 審が副審のところに行って協議の末、PKが取り消され、何事も無かったようにスローインで試合が再開された。

福岡・松田監督はなんとゲームメーカ役を担っていたエジウソンを下げ、「人間エベレスト(福岡サポのゲーフラ)」の異名をとる?巨漢・太田を投入する。エジウソンは結構効いていたので個人的には首を傾げる交代だが、福岡はこの手をよく使っているらしい。
太田の幻のPKは、結局ノーファウルという判定らしい。南がこぼしたボールを受けようとした太田を、柏の選手が後ろからスライディングで倒したようにも見えたのだが、ボールに行ったという判断なのか。吉田さんからはブラインドになってよく見えなかったのかもしれない。
リカルジーニョは、明神よりも上がり目の位置取りでチャンスメークを期待されていたと思うのだが、ケガ明けのせいなのか運動量が少なく、チーム全体が引き気味だったこともあり、攻撃に絡む場面はあまり見られなかった。ただし、セットプレーではいいボールを蹴っており、守備面ではやはり運動量が少ないもののポジショニングが良く、要所を押さえてそれなりに貢献していた。


  • 57分、太田がクロスを落とし宮崎がミドルシュートを狙う。こぼれ球に有光が突っ込むが触れず。
  • 61分、宮崎のスルーパスに有光が反応するが南が先んじてキャッチ。
  • 63分、福岡の選手交替。右SBを宮本から平島へチェンジ。
  • 65分、ロングフィードを追う太田が柏CB中澤とエリア内で交錯、太田が倒れるがノーファウル。
  • 72分、柏はリカルジーニョを下げ、DF登録の小林を投入、守備を強化し逃げ切り体勢に入る。
  • 74分、大野がミドルで狙うが枠を捉えられない。
  • 75分、宮崎のクサビを太田が足元で受け、上がってきた米田にパス、米田のシュートは柏DFにブロックされる。直後、米田は松下と交替。

ターゲットマンの太田を投入した福岡だが、その太田になかなかいいボールが入らない。サイドをえぐっても柏ディフェンス陣がクロスのコースをブロックし、柏FWやMF陣が前からしつこくプレッシャーをかけるためロングボールも不正確になる。とくに右サイドが押さえられていたため、右SBを宮本から平島に交代する。平島は積極的なオーバーラップを見せるが、柏左SB近藤が中心となって対応する。
フィードが不正確であっても191cmの身長は柏にとって脅威であり、マークについた中澤がかなり苦労していたため、強引にでも放り込んだら面白かったのだが、福岡のサイドプレーヤー陣がちょっと大事に行きすぎというか、ボールをこねすぎというか、ここで思い切ってクロスを上げろ、というタイミングでもパスやキープを選択することが多かった。
さらに太田と有光、あるいは宮崎や山形、交代で入り攻撃的にプレーした松下との呼吸がいまいちで、太田がフィードを頭で流しても足元でもらいたがったり、あるいは走り込むスペースが違っていたりと、ちぐはぐな場面が目立っていた。
一方の柏は運動量が落ちたリカルジーニョを下げ、完全な逃げ切り体勢に入っていく。玉田は前半に足を痛めたせいか、この時間帯にはほとんど流れから消えていた。


  • 76分、柏は山下投入(宇野沢OUT)。
  • 77分、平島が太田を狙ってアーリークロスを入れるが南が飛び出してキャッチ。
  • 80分、太田が近藤に倒され、ゴール前20m強のところでFKを得る。これを松下が直接狙うがゴール右へそれる。
  • 81分、柏は増田に代えて谷澤を投入。

そして、真打ちw山下投入。お約束とも言える大ブーイングがわき起こる。私の後ろに座っていた女性ファン二人組(どうみても20歳前後なのだがツッコミが異様に的確なのでかなり年季の入ったギャルサポなのだろう)が、試合開始前から「ヤマが出たらどうしよう???」とずううううううっと騒いでいたのだが、ついにそのときが訪れた(笑)。「ぎゃー、あいつ、でよった!」次の瞬間、大声で「ぶうううううううう!」。
山下に対してはやはり複雑な思いがあるんだろうな。しかし、彼も福岡→仙台→柏と降格したら次々とチームを移っていく。なんてドライな性格なんだ。まあ、ここまで徹底してくれればさすらいの傭兵みたいでかっこいいかも。



その後は、ボール保持率では上回りながら、なかなか決定機をつくれない福岡と、守りに守る柏という図式が続く。そしてロスタイムに入る。ロスタイムは4分(ちょっとサービスのような)。
そして・・・・

  • ロスタイム入り直後、福岡はゴール正面やや右30mほどのところでFKを得る。アレックスのフェイントのあと、増川が直接狙う。低い強烈なグラウンダーに近いボールが放たれるが壁に 当たって跳ね返る。跳ね返りは増川の前に落ちるが柏の選手が殺到しクリア。このクリアは短く、センターサークル付近に一人残っていた千代反田?が反応す るが、一瞬先んじた明神がスライディングで触り、ボールは玉田の元へ。カウンターが発動される。玉田は得意の高速ドリブルで前進、福岡の選手たちは千代反田を 含め3、4人が必死で追いすがる。しかし玉田はやや左サイド方向に流れて程度DFを引きつけたところで、がら空きの真ん中へ走り込んできた谷澤にパス。 これを受けた谷澤がゴール正面まで持ち込み、雨の日の定石どおり強いグラウンダーのシュートを放つ。GK水谷はどうにもできず、ゴール左へシュートが決まる。

福岡にとっては最悪な、柏にとってはしてやったりの追加点だった。
福岡は最後のチャンスに賭けて、後方に千代反田(たぶん^^;)一人を残して攻め上がっていた。録画をしていないので確認できないが、FKの跳ね返りの転がり方が妙だったので、ピッチコンディションが影響していたのかもしれない(雨が激しくなって、水しぶきが上がる状態だった)。ピッチに問題がなかったら、千代反田が先に触れたタイミングだと思うのだが。とにかく、すべてが裏目に出てしまった。
シュートを決めた谷澤は、ゴール裏まで走っていって仰向けにぶっ倒れる。歓声を上げる柏の裸族たちが見えた。


このあと、まだ試合続行中にもかかわらず、「一見さん」たちがぞろぞろと帰り始める(これだけはやめて欲しいんだけど・・・)。
サポーターが「ミラクル福岡」を連呼するなか、あえなく試合終了。



唇をかみしめながら、しかし顔を上げてサポーターに挨拶する福岡の選手たちをみながら、ホームアンドアウェイ一発勝負の難しさについて考え込んでしまった。
ロスタイムのFKの場面で、福岡が捨て身の攻撃に出たことははたして正しかったのだろうか。あくまで、バランスを崩さず、0-1でこの試合を終わらせることを考えなかったのだろうか。なぜなら、180分で1試合なのだから。普通は前半ロスタイムに無理攻めはしないのだから。


一気に流れに乗って勝つ事に賭けたのかも。もちろんホームなのだから攻めて攻めて1点でも返し、その勢いに乗って柏に乗り込むという考えも成り立つ。なぜなら、福岡のような若い(平均年齢23歳ぐらいだよ、たしか)チームには、それが不可欠だから。


本当のところ、どちらが正しいのかわからない。リーグ戦なら成功確率の高いプレーを積み重ねることで勝ち点を積み上げていくことができる。でも、一発勝負で正しい事なんて無いのかもしれない。その瞬間の流れや運を引き寄せた者だけが勝ちなのかもしれない。たとえそれがとんでもない偶然の産物であっても。
柏はそれを掴み、福岡はギャンブルに勝てなかった。


ただし、柏には偶然つかんだチャンスを確実に決定機に変えてしまえる選手、つまり玉田がいた。
それがもっとも大きな差だったのかもしれない。



この試合、柏は守備重視で慎重に戦ったせいもあるだろうが、前半に速いサイドチェンジからつくった2度の決定機の他は、玉田の能力に頼る以外、これといった攻め手がなかった。そして後半、足を痛めた玉田の運動量が落ちていくと、攻撃の手段そのものを失った。一方、守備は福岡のクロス攻撃と有光の裏への飛び出しに対応できていた。


一方の福岡は、サイドからチャンスをつくりかけていたし、エジウソンのテクニックは通用した。ただ有光が封じられたのと、試合を通じてクロスを入れるタイミングがワンテンポ遅れていて(大事に行きすぎ?)、せっかく投入した太田の高さを生かし切れなかった。
守備面では、最大の脅威である玉田に対しても複数で対応することによって抑えていたし、後半は増川が一対一で玉田を止めるシーンもあった。守備組織は崩されていない(1点目は交通事故だったし、2点目は ギャンブルが裏目に出た)。



第2戦に向けての対策だが、どちらも守備面は機能しており、この試合でやったことを徹底していくだろう。


攻撃面でいえば、柏はサイドチェンジによる揺さぶりに得点のチャンスがある。福岡の守備陣はボールサイドに集中する傾向があるだけに、とくに目を引きやすい玉田をおとりにつかってDFを引きつけ、速く正確なボールを逆サイドに出せれば何回か決定機を作り出せるだろう。あとは玉田の相方のFW(宇野沢か山下か)、あるいは攻撃的MFである大野・増田あるいは谷澤あたりの決定力次第になる。


福岡は、エジウソンのテクニックを生かしてゲームを組み立てるのか、あるいは太田を投入してその高さを生かすのか、というゲームプランの選択がまずポイントになる。今日のように途中交代するなら、交代時期の見極め(状況や時間帯)、そして交代後の戦術の徹底が課題となるだろう。この試合は太田がいるにもかかわらず、ボールキープに走ることが多く見られた。迷うな。電柱には放り込みだ。そして柏のDFは不安定だし、南は判断に問題を抱えている。ゴール前でプレーする機会を増やせば、なにかが起こる(実際、エジウソン・太田・有光をどう組み合わせるかは難しい問題だなあ)。一発勝負で大事なのは、徹底することなのだ。


予断を許さぬ第2戦。たしかに柏は優位に立っているが、今シーズンは一つのきっかけで動揺し始め、崩壊が止まらなくなるのをさんざん見てきた。それだけに福岡が先制するようだと、一気にゲームが動き始める可能性がある。



最後まで声援を送り続けた福岡サポーターたちを見ながら、スタジアムを後にする。
再び、オリビア・ニュートン・ジョンの歌が頭のなかでリフレインする。
   Have you never been happy, Have you never try.....
いや、彼らは幸せなんだよ。チャレンジしつづけているんだよ。だって、すごくかっこいいんだぜ(ほんと「漢」て感じなのである)。
満足したことはないかもしれないけれど。


そして、スタジアムから出ようとした瞬間、私は気づいた。

  ♪私には、傘がない〜

おあとがよろしいようで。これにて福岡編終了。


追記
防水加工のコートのおかげで、なんとか濡れ鼠にならずにバスに乗れた。福岡駅までは渋滞のせいで約1時間かかった。
地下鉄で天神に向かい、ラーメン屋を探す。
奥まった路地にある「一蘭」という店にはいる。
この店、変。まず、5席一列のカウンターがウナギの寝床よろしく並んでいる。カウンター同士は完全に仕切られているのでコンパートメントと呼んだ方がいい。そしてカウンターの中の席もそれぞれ板で仕切られ、正面にはのれんがかかっている。手元のボタンを押すと店員が来てのれんをまくって接客するが、お互いに顔が見えないよう、一部しか巻き上げないのだ。顔を見ずに店員のお姉ちゃんと話していると、なんか、新手の風俗に来たような妙な気分になる。どうやら、ラーメンをゆっくり味わってください、という配慮らしいのだが、ちょっと病的だよ、こりゃ。
お味は上々。とくにスープは豚骨にもかかわらずすっきりした感じで良かった。秋葉原のじゃ○がらラーメンのこってりさがだんだんつらくなっている身としてはありがたい。ただ、秘伝のタレなる唐辛子タレを加える(これが売りらしい)のだが、普通の量でもちょっと辛いと感じた。スープの味を楽しみたければ、少なめにしたほうがいいかもしれない。

追記の追記
帰りの福岡空港で、ぼろぼろの格好で通路にゴロゴロと横になっている人たちを発見。なにごとかと思ったら柏サポーターだった。ずぶぬれになったのだろう、どう見ても湿ったジャージを着て疲れ切って眠っている。でも、無邪気な寝顔なんだな、これが。がんばれや。