2004Jリーグチャンピオンシップ第1戦 横浜Fマリノス 1 - 0 浦和レッズ(観戦104試合目)

まあ、よそ様の試合なのだが、チケットが値崩れしていたし、最後のCSだし、岡田さんがどんな策略を繰り出すかが楽しみだったので、見に行く事にした。
試合の経過そのものはあっちこっちで書かれているので、簡略版で印象のみ記す。


まず、試合内容について書く前に一言。
坂田!髪型を変えるな!清水と間違えたじゃないか。
こういう無駄に大きいスタジアムでは(おかげでチケット買えたから大きな事は言えないんだが)、選手のヘアースタイルというのは試合展開を掴むうえで非常に重要なのである。それなのに、清水がロン毛で坂田が金髪短めだと!。お願いだからやめて(懇願モード)。せめてイメチェンするなら大規模にアナウンスしてからにしてくれ。DF陣の分かりやすさ(松田=らっきょ、中澤=ボンバー、河合=まあ普通)を見習ってくれよ。


ホーム側2階メイン寄りコーナー上空に席をとる。やはりホーム側にも赤軍派が潜入していて、大体6:4ぐらいで赤が多いかな。赤軍主力はバック寄り1階コーナー付近に集結。すぐ下の出入り口に張られている「シューマイなんたら」という宣伝バナーがとってもシュール。
試合開始直前からホーム側では一斉に「鰯」(紙吹雪の隠語^^;)を投入し始める(勘違いして本物の鰯を持ってきた人がいるとかいないとかw)。うーん、きれいきれい。通路に落ちた鰯の再利用を手伝ったりして(リユースリユース・・・)ちょっと悪乗り。それから2階で歌詞カードを配っていたギャルサポはちょっと今井絵里子似でかわいかった。さすが横浜、ちょっとうらやましいぞ。


試合前の演出が個人的にはちょっとくどいかな、って感じたが、それなりに盛り上がったところでキックオフ。


横浜のスタメン

     清水 坂田
 ドゥトラ  奥  田中隼
    中西  上野
   河合 松田 中澤
      榎本達

控えは榎本哲、那須、佐藤さん、山崎、安永。


浦和のスタメン。あえていうなら3-4-3。ただし、前半は7-0-3に近い状態にさせられていた。

    エメルソン                  エメルソン
 田中達     永井     実際は    田中達      永井
アレックス      山田    →  〜〜〜〜〜〜〜〜断層〜〜〜〜〜〜〜
  長谷部  鈴木           アレックス 長谷部  鈴木  山田
 内舘 田中闘 アルパイ            内館  田中闘 アルパイ
     山岸                      山岸

サブは、都築、堀之内、酒井、平川、岡野。


マリノスは浦和の両サイドにロングボールを送り、そこに坂田・清水を走らせる。この二人はくさびを受けて起点になるタイプではないため、とにかくスピードを生かしてロングボールを追う。たとえフィードを跳ね返されても、そのセカンドボールを拾って二次攻撃を試みる。とくに浦和左サイドのアレックスの裏・内舘の横のスペースが狙われており、奥も流れてきてしつこく起点をつくろうとする。このため、浦和はアレックスが下がり、内舘が引きずり出され、ボランチもフォローに回らざるを得ず、ズルズルと下がり始める。おまけに、マリノスがラインを押し上げ、浦和陣内でボールを追いかけ回すため、浦和は完全に押し込まれてしまう。とくにスローインのときのチェイシングが徹底していて、中澤が浦和陣内まで侵入して投げ込まれたボールを競りにいく徹底ぶりを見せていた。


マリノスの決定機は、開始直後、清水がその右サイドから上げたクロスに対し、田中闘がクリアミスしたのを拾った坂田(餓えた狼みたいにこぼれ球狙ってやがる)のシュートがポストに嫌われたシーンと、左サイドからドゥトラが入れたFKがファーに抜け、そこに中澤が飛び込んだシーン(惜しくもさわれず)。
浦和が失点しなかったのは、田中闘とアルパイがクロスの迎撃に成功したことと、山田がドゥトラの左からの攻撃を何とか抑えていたからにすぎない。さすがに清水と坂田、それに奥では高さ勝負はつらいが、久保やアンがいたらどうなっていたことやら。



浦和は激しいプレッシングによって高い位置でボールを奪い、そこから速いショートカウンターを繰り出すといういつものサッカーがまるでできず、3トップの個人能力のみに頼った単発ドリブル攻撃に終始する。しかし、個人能力ではJ屈指のマリノス3バックを抜いていくことはできない。マリノスは単に対人能力のみで止めるのではなく、見事なラインコントロールを見せる。ハーフウェイ近くまでラインを上げてエメルソンを再三(エメだけでこの試合4、5回あったかな)オフサイドにしとめるシーンにはしびれた。
前半30分過ぎからはさすがにマリノスのプレスが弱まって、浦和がボールを持てる時間帯になる。エメルソンが中西にしつこくマークされ、田中達が完全に押さえられる中、永井がエメ・田中達の後方でシャドー的な位置取りをして、そこから左右に優雅な(スピード出ているように見えないよ)ドリブルで進出するが、マリノスは複数で対応する。全体には、マリノスがうまく浦和の勢いを削いでスコアレスのまま前半が終了する。



後半頭から、再三スピードで自陣左サイド奥をかき回されたためか、内館をスピードのある平川に代える。
このため、坂田も前半ほどは活躍できなくなり、中盤で浦和のプレスが効きだす。しかし、マリノスは冷静にボールを繋いで鈴木啓太を中心とする浦和のプレッシングをいなし、機会をうかがう。


そして65分、奥の右CKをニアに飛び込んだ河合が頭で押し込む。このとき、松田と中澤は後方でおとりになり、田中闘とアルパイを引きつけていた。そして河合のマーカーは前半の内館から、選手交替によって長谷部に替わっていた。そんでもってまたもアレックスが邪魔になって長谷部がマークに付ききれなかったときに河合が突っ込んでいったのだ。まさか、河合のマーカーが変更になることまで読んでロングボール戦法を取っていた訳じゃないだろうが、勝負のあやというか、してやったりというか、マリノスのゲームプランがばっちりとハマった一瞬だった。


その後は、マリノスが焦る浦和の力任せの攻撃をしのいで試合終了。
73分にエリア内でエメルソンが中澤(松田だったらしい。汗汗汗)に倒され、PKかと思える場面があったが主審岡田さんはシミュレーションを取り、エメルソンに警告。一言いっておくと、もともと岡田さんは足がかかっただけで転倒し、リカバリーの意思を見せないFWに厳しい判定を下す傾向がある。要は、踏ん張って前に進みなさい、ということらしい。記憶にあるところでは、鹿島の本山がけっこう「被害」に会っている(2000年、2ndステージ最終戦の鹿島vs柏とか)。まあ、浦和にとっては相性が悪い主審なのだろう。でもね、あなたたちまだ恵まれてるよ。東京なんか、高山に穴沢に奥谷に柏原なんだから。




全般の印象を言えば、知的に興奮させられる試合だった。あちこちのサイトをのぞくと「つまらん」という意見が結構あったが(そりゃ浦和のサポーターは面白くなかっただろうが)、ま、サッカー観の違いだな。すくなくともタイトルマッチという「勝負」の場で「ショー」を期待しちゃいけないよ。


この日のマリノスが「勝負」にこだわる様は本当に見事だった。サイドの深いところへロングボールを送り込み、浦和のDFラインを下げさせる。加えて中盤プレスとラインの押し上げによって相手を押し込み、浦和得意の高速アタックの開始点を下げさせ、その威力を発揮させない。ラインコントロールが本当に見事でしびれた。東京は中盤とDFラインがバランス良く布陣しドリブル突破に対して常に複数で当たることによって浦和3トップを押さえていたが(まあ、封じられたほうからみれば引きこもりに見えるのだろう)、今日のマリノスを見てこういう浦和封じのやり方もあるんだな、と気づかされた。また、選手コメントを読むと、監督が明確な指示を出したわけではなく(ラインコントロールに重点をおいた練習をしていたそうなので誘導していた面はあるだろうが)、選手間の話合いでゲームプランをつくっていったことが読みとれる。うーん、マリノス、やはり強敵だぞい。


対する浦和は、速い攻撃が封じられた場合の対処という課題がクリアできずにいる。課題というのは、3トップが押さえられた場合にどうやって攻撃に変化をつけるか、ということなのだが、今の浦和は「力攻めをさらに徹底すること」以外の回答を持っていないのだ。確かにあくまで自分たちのストロングポイントを前面に押し出す、というのもありだろう。
山瀬不在とあっては変化を付けられる人材は長谷部しかいないが、長谷部をトップ下にだすと中盤にボールの落ち着きどころが無くなる(酒井はタイプが違うし)。
話は先のことになるが、今オフの浦和の補強ポイントは「攻撃に変化を付けられる人材」だと思う(でも外人枠は埋まってるし、A契約枠も空いていないのかな)。つまりはパスセンスがあって攻撃を組み立てられる選手ということなのだが、あの3トップに追随できる人材ってそうはいないよなあ。こねるタイプは相性がわるいだろうし。あと高さで勝負できるFWも必要・・・あ、このチーム、電柱にはトラウマがあるんだっけ。あくまで山瀬の復帰を待つということか。
結局、ブッフバルトは今シーズン続けてきたサッカースタイルに殉ずるつもりなのだろう。マリノスがどういう戦い方をしてくるかはある程度予想できたはずなのに、特別な対応をなんらしなかったのは、勝てればよし、結果が出なくても自分たちのスタイルを貫ければよし、ということなのだろう。



さて、来季は東京と優勝を争う(ちょっと汗^^;)この2チームだが、はっきり言ってしまえば浦和には対抗策があるけれど、マリノスは相当に高いハードルだな。浦和は結局のところ正直に力攻めをしてくるチームだが、マリノスには相手に応じて戦い方を変えてくる柔軟性(いやらしさとも言う)を持っている。今の東京には、この日の浦和のように、あくまで自分たちの持ち味=速いサイド攻撃を前面に押し出し、ナビスコ決勝並の集中守備を見せることしか対応するやり方が無いと思う。


第2戦はチケットが無いので、チャンピオンシップを生で見るのもこれが最後になるだろうが、十分に楽しめた。ただ、入れ替え戦もそうだけれど(あ、観戦記仕上げなきゃ)、こういうH&Aの一発勝負は2試合でワンセット。2ndレグに向けて両チームがどういう手を打ってくるか(とくにマリノス)注目注目(ああ、なんて気楽なんだ)。なんとなく、2試合合計1−0でマリノスの勝ち、っていう渋い決着になりそうな気がしている。