全日本女子選手権 決勝 さいたまレイナス 1 - 3 日テレベレーザ(観戦117試合目)

今日は快晴。ひんやりした風が心地よい、残雪の残る元日。
透き通った陽光を浴びながら国立へ初詣に向かう。


大江戸線で国立の地下100m(んなわけない)に到着、5分ぐらいかけてようやく地上にでると・・・、行列だった。
千駄ヶ谷門は10時前なのに千客万来。すでに9時45分ごろだったのでキックオフに間に合うのか心配だったが、5分待ちぐらいで入れた。


みんなそんなに女子サッカーに興味あるのかな、と思ったが、よく見ると赤い人が結構多い。つまりは大挙してレイナスの試合を見に来たらしい。
まーそりゃそうだなと納得しつつ、レイナスジュビロ側自由席のメイン指定席との境界、その最上段近くに席を確保する。緑側のほうが空いていたのだが、青赤な格好してあっちに行くわけにもいくまい。
ゴール裏は真ん中をジュビロサポーターが占め、赤い人たちはその両脇に陣取る。
緑さんの方は主力が真ん中2ブロックぐらいに固まり、少し離れてポツンと太鼓隊がいる。


朝日を浴びながら10時という健康的な時間にキックオフ。


ベレーザのスタメン。

  大野   荒川
     澤
 近賀     伊藤
    酒井
豊田 須藤 四方 中地
    小野寺(c)

控えは松林、宇津木、小林、井関、永里。


レイナスのスタメン。

   北本  高橋唯
     安藤
 岩倉     木原
    高橋彩(c)
西口 笠嶋 田代 永留
     山郷

控えは山本、笠井、森本、法師人、若林。なんとGKのサブはなしだ。


レイナスはとにかく前線・中盤で猛烈なプレッシャーをかけ、ボールを奪うやいなや攻撃陣がスピードを生かして一気に前へ、というサッカーを展開する(注:レッズの話をしているんじゃありません)


一方、ベレーザは高いテクニックを生かしてボールをつなぎ、レイナスのアタックをいなしながらチャンスをうかがう。
先制点は開始わずか2分、小野寺のゴールキックからの展開で、荒川がDFとの競り合いに勝ち、一人抜け出す。そして山郷との一対一を落ち着いて決め、あっさりと先制する。
続いて16分、中盤でのせめぎ合いのなか、いつものように絶妙なポジショニングでボールを拾った酒井がそのまま前線にパスを送る。レイナスDFの間隔が空いたところに送り込まれたフィードに大野が反応し、ボールを受けるとカットインして付いてきたDFを振り切ってシュート、ベレーザが2点目を得る。
さらに23分、ベレーザのスルーパスに大野が飛び出す。しかし山郷が反応良く前へ出て、そのままなら余裕でキャッチできるタイミングだったのだが、なんとボールを追ってきたレイナスCB笠嶋と交錯、ボールがこぼれる。そして詰めていた大野が抜け目なくゴールに蹴りこんで3点目。
ベレーザが幸運にも助けられて序盤で3点のリードを得る。


序盤、レイナスは押し気味にゲームを進め、安藤の惜しいシュートや高橋彩のCKが直接バーを叩くなどのチャンスがあった。しかしネットを揺らせないでいるうちに相次いで失点し、次第に後方からの押し上げが乏しくなり、厚みのある攻撃ができなくなる。ボールを奪っても攻撃は前の3人頼み、ということになれば連携の取れているベレーザDF陣は破れない。それに、いつものように酒井が効いていた。
レイナスの攻撃が単調な縦方向のものだけになる一方(注:レッズの話をしているんじゃありません)、ベレーザはさすがの試合運び。サイドで巧みにショートパスをつないでレイナスの選手を引きつけると、囲みの間隙をついて大きなサイドチェンジで揺さぶる。まあ、足元はうまいは、人は動くは、遠くも見えているは、ほんとにうまい。


しかし後半、レイナスは見事に修正してきた。バックラインを極端なまでに押し上げ、さらにプレッシングを強化して反撃する。この時間帯はピッチを広く使えており、ベレーザを振り回していた。
そして51分、左から入ったクロスに小野寺がレイナス選手と交錯してパンチングするのが精一杯のところ、クリアボールを拾った木原が右サイド角度のないところから決めて、1点を返す。


レイナスは以後も攻め続けるが、ベレーザがうまくいなしてレイナスの勢いを削いでいく。
その後は膠着状態。ベレーザ小林弥生を投入してボールキープ力に磨きをかければ、レイナスはDFを1枚削って3トップにして攻め立てる。しかし、強引かつ単独勝負的な攻撃に傾き(注:レッズの話をしているんじゃありません)、ベレーザがうまくボールをまわして時間を稼いでいる展開のうちにタイムアップ。
ベレーザが日本一の座をつかんだ。


この試合を見て思ったのは、サッカーの遺伝子って本当にあるんだな、ということ。とにかく早いタイミングでの速い縦への攻撃にこだわるレイナス。さいたま、というより浦和の伝統なんだろうな(大宮はまた違うスタイルのサッカーなので)。
テクニックを生かしてショートパスを繋ぐベレーザ。緑の遺伝子そのものである。もっとも、ベレーザは兄貴分のヴェルディよりも多様なオプションをもっており、試合運びもうまいけど。


女子の試合は、パワーやスピードはもちろん男子より劣るが(荒川は例外かも・・・あの身体能力はちょっと反則)、その分、各選手のテクニックやプレーの意図がよくわかる。そしてみんなひたすら献身的なプレーを見せる。このあたりが女子サッカーの面白さだと思う。


先日の準決勝では、先に元日進出を決めたヴェルディの選手たちからプレッシャーをかけられていたらしいベレーザだが、今度は彼女たちが兄貴に檄を飛ばす立場になった。


というわけで、後座試合(笑)も見ることにした。