関東大学リーグ1部 第11節 筑波大学 0 - 1 流通経済大学(観戦30試合目)

日時:2005年6月5日14:40キックオフ
会場:古河市立古河サッカー場
観衆:第1試合より増えた。
主審:東城
得点:難波(流経大:86分)
警告:保崎(流経大:80分)、飯塚(流経大:86分)

本日のメーンイベント、地元茨城の両雄対決である。地元のサッカー部や少年団がさらに増えて、おまけに両チームとも控え部員の人数が多いため(流経なんぞ、バス4台で乗り込んできた)、バックスタンドはかなり人口密度が高くなった。
この試合を見ることが、古河まで来た目的だった。


筑波のスタメン。

   22田中雅  33出口
  15麻生      18竹下
     6岡田  8今田
 7阿部翔 2石井 5秋葉 31野本
       1来栖

選手交代:15麻生→19内藤(26分)、19内藤→9中野(61分)、22田中雅→14三澤(71分)
平山がワールドユース、藤本がツーロン国際に参加のため不在。


流経大のスタメン。

     24難波
        8西森
  26宮崎 7糸数  12瀧原
        2鎌田
 28平木 3伊藤 35染谷 5赤井
      21飯塚

選手交代:12瀧原→11横山(60分)、2鎌田→41保崎(70分)、8西森→42田村
ちょっと自信ないのだが、難波が前線に張り、その下を西森がうろちょろ、宮崎・瀧原の両サイドMFの間に上がり目ボランチとして糸数が位置し、鎌田がアンカーとしてDFラインの前に構えているのが基本布陣のように見えた。まあ、機能していれば(居るべきところに人がいれば)、フォーメーションの数字表記なんてどうでもいいのだけれど、一度、型に落とし込んで整理したほうが選手それぞれの役割が理解しやすいし、書きやすい。


で、この日の流経のスタメン、東京U18出身者が鎌田・染谷・宮崎と3人いる。染谷・宮崎は、去年の秋の江戸川でJユースカップのグループリーグ敗退が決定し、大泣きに泣いていた連中である。この他にも、CBやってた林や右サイドの福田(涙の退場をした選手じゃないかな?)、やたら声のでかいGK赤堀が入部している(鎌田は1年先輩、流経のNo.1阿部伸行や筑波のGK来栖も深川産です)。駒沢でやってるカスーラの試合にも激しく心惹かれたのだが(見事に緑を粉砕したそうですね。オメ)、あの連中が元気でやっているかどうか気になったので、初夏の北関東まで来たわけなのよ。


試合は、筑波が最初から主導権を握る。ピッチがボコボコ(競馬場みたい)なのに、ワンタッチでパスを交換し、一方的にボールを支配する。そのうまいこと、うまいこと。流経の選手がプレスに行っても、あざ笑うかのようにひょいと近くの味方にパスが出る。次々と選手が動いてコースを確保し、パスが回る(ジュビロみたい)。
そしてゴール前に迫ろうというところに立ちふさがったのが、東京ガス深川工廠製・全自動ハイボール迎撃マシーン・染谷(カバーリング機能付)だった。


染谷がクサビのボールに対するファーストディフェンダーになり、相方のCB伊藤がカバーリングに回る、という役割分担だったようで、2トップに入るボールにまず染谷が対応する。その強いこと、ヘディングの競り合いでは全く負けなかった(平山がいないせいもあるんだが)。サイドからの攻めに対しては赤井・平木両SBが対応。特に赤井はサイドをえぐってくる選手にしっかり対応していた。左の平木は、守備がやや甘かったがフィードがすごい。うちの規郎かと思うような弾丸長距離フィードを最前線の難波にぴたりと合わせた場面があって、びっくりした。この4DFと中盤の底に入った鎌田が守備ブロックを形成し、ある程度引いて(つーか、引かざるを得ないんですが)しっかりと守っていた。


そして奪ったボールを攻撃につなげ・・・られなかった。流経は、中盤・前線の選手同士の連携が悪いのだった。ボールを奪っても、パスレシーバーの動き出しも遅ければボールホルダーの判断も遅い。そして足元でのパス交換を許すほど筑波は甘くなく、前線からDFラインまで連動してプレスをかけて、逆にボールを奪い返して再び攻撃をかけ、チャンスの山を築く。流経は守備陣の踏ん張りとキーパー飯塚のファインセーブで何とか前半をしのいだ。攻撃面では、ロングボールを難波に競らせるか、右サイドの瀧原のドリブル突破以外にこれといった攻め手がない。難波や鎌田がミドルシュートを打っていった他は、前半終了間際に瀧原がドリブルで筑波DFを抜き去りながら左サイドに流れ、折り返しに西森がマークに付かれながらも放ったシュートがポストをかすめたシーンが記憶に残るのみだった。


後半も似たような展開が続く。
筑波は50分に右MF竹下の右クロスから左MF内藤(26分投入)がうまく染谷の前に体を入れてヘディングシュートを放ったのを皮切りに(シュート自体は外れた)、

と、立て続けに決定機をつくる。


ここで思ったのだ。これって、筑波の典型的な負けパターンじゃない?相手を押し込んで攻めに攻めるも決めきれず、一発に沈むパターンじゃないか?
タレント集団の筑波といえども、絶対的なストライカーはいない。というか、中盤・DFの質の高さに比べてFWが埋没気味、戸田(シュート外しますが)・曽田(DFに転向しましたが)の系譜を受け継ぐ選手は、私の見る限り、まだいない。そもそも、ゴラッソなんてサッカー界の希少種だし、そうなり得る資質を持った平山はお国のためにご奉公中なのだった。


一方の流経だが、あいかわらず中盤でパスがつながらず、難波大作戦以外の攻め手がない状態だったが、どこかでラッキーヒットが出そうな雰囲気がただよい始めていた。というのは、難波も、交代で入ってきた横山も、保崎も、FWがコースさえ空けば無理な体勢でも(基本的にフリーにしてくれないんですが)とにかくシュートを打っていくのだった。MF陣も、とにかく前線に出されたボールを最後まで追っていく。後半半ば以降は、決定機には結びつかないながらロングボールに追いついて、筑波陣内である程度ボールを保持することができていた。


焦れた筑波は71分にドリブラー三澤(青森山田産でしたっけ?)を投入。その切れ味鋭いドリブルで疲れの出始めた流経DF陣に脅威を与える。しかし、三澤のドリブルが単独突破になりがちなので、流経守備陣は二人三人で三澤に群がり、人海戦術で阻止する。


70分過ぎから、それまでのカンカン照りはどこへやら、突如黒雲が沸き、冷たい風が吹き始め、空が暗くなる。いかにも風雲急、という雰囲気で(いや、単に冷たい空気が入って来ただけだと思うんですが)、試合の雰囲気もますます怪しくなる。


80分、アーリークロスに流経MF保崎が合わせ、強引にボレーシュートを打っていく(来栖がキャッチ)。
84分、今度は筑波ボランチ今田がミドルシュート、飯塚が横っ飛びで弾き、こぼれ球も何とかクリア。


そして86分、とうとう大事件が発生した。ボランチ田村から右サイド保崎に展開、これを保崎が迷わず裏を狙う難波に向けてアーリークロスを放つ。これは筑波DF(石井?)に引っ掛かるが、処理をミスってボールがころころとDFの間に転がる。試合を通じて、飢えた狼みたいにこぼれ球を狙っていた難波がこれを見逃すはずがなく、落ち着いてゴール左に流し込んだ。このとき、流経DFラインの動きを見たかったんで(染谷ストーカーw)筑波側のコーナー近くにいたのだが、こっち側では「あちゃー」というため息のような悲鳴、向こう側では大歓声が上がっていた。


残り時間は、流経が困ったらクリア戦法でしのぎ(なんであんなに真上にクリアを打ち上げるんかな?)、見え見えの時間稼ぎでGK飯塚が警告をもらったり、とにかく勝負に徹して守りきった。


筑波は、典型的な負けパターンに沈んでしまった。引いた(というか押し込んだ)相手に対する切り札であった、藤本のプレースキックと平山の高さを2つとも、お国のために供出してしまった影響がもろに出た。過去の戦績を調べてみると、筑波って古河サッカー場ととても相性が悪いんですね。


流経は現時点で出来ることをやりきって、望みうる最高の結果を上げた。とにかく、中盤がメタメタで攻撃は突破力のある選手の個人技(ワザというよりパワーですな)に頼るしかない状態だったが、それをやりきった。難波の得点は幸運に助けられたものだが、幸運を呼び込んだのは最後までアグレッシブな姿勢を保ち続けたから。そして、守備陣が幸運に助けられながらも最後まで守りきったから。ほんと、最後の1cmというか、残った力を振り絞って足を伸ばしきると、上がるはずのクロスに触ることができたり、シューターの余裕を奪い取って結果的にシュートを外させたりと、やっぱり違うんですよ。まあ、こけの一念ここに在りというか、意地の勝利ですな。


ただ後期に向けては、中盤の連携を高めていかないときつい。杉本-栗澤-中島-冨山とセンターラインがごっそり抜けてしまった影響はたしかに大きい。去年、いい働きをしていた糸数が今日の試合では全く目立たず、つまりは栗澤や中島に生かされていたんだな、と思ったんだが、一本立ちしないとね。もっとも、去年は若い選手ばかりでかなり不安定だった(冨山はケガしてたし)DFラインが筑波の猛攻を最後までしのぎきったのは大収穫だろう。左SBですごいフィードを飛ばしていた平木はプロフィールを見ると流経柏の出身。あ、去年の高校選手権千葉決勝に出ていた選手じゃないか(流経柏ってこういう身体能力系だの選手が多いな)。冒頭で書いたとおり、流経には東京U-18のOBが多数入学しているので、将来は深川+流経柏の連合軍になってしまいそうな気もするのだが。嬉しいような、怖いような。だって、このメンバーでやるサッカーって、もろに部活テイストが漂うイケイケサカーになりそうな気がするので。


最後に、本日の青赤卒業生たちのプレーをまとめる。
鎌田:中盤の底で奮闘、よくDFラインを助けた。ポジショニングのセンスも良いし、一対一も強い。ただしフィードの精度は悪かった。
宮崎:流経の中盤がメタメタだったせいで、あまり目立たなかった。後半は、左サイドで起点をつくろうと悪戦苦闘していた。去年、ユースの試合を見ていたときは、結構ドリブル突破も見せていたので、もっと積極的に勝負していってもいいと思う。
染谷:本日の個人的MVP。ヘディング合戦では全勝していたし、カバーリング・こぼれ球への反応も的確だった。クロスにもしっかり対応していて、ミスらしいミスは書いたとおり50分にマークに付いた選手にうまく体を入れ替えられ、シュートを許した場面くらいだった。ただフィードがカオスだったのと、2年前の茂庭みたいに真上にクリアを蹴ってしまうことが玉にキズ。この辺は練習次第だと思うので、後期は期待大です。


試合が終わって、応援団に挨拶に来る。中野監督まで出てきてみんな笑顔。もちろん、ウチの卒業生たちも笑顔。
去年の秋、江戸川で泣きじゃくってたあいつらがここで元気にサッカーをやってる、それが見られただけでオニーサンは嬉しいですよ。
次は西が丘で会おう(古河はもう勘弁してくれw)。


You'll never walk alone!