業務連絡、監督問題、その他諸々

いやー、今朝、ようやくのことで熱帯のジャングルから這い出て、ローカル線のプロペラ機を乗り継ぎ、東南アジア某国首都の国際空港まで戻ってきましたわ。あー、あちー。んでもって、空港のラウンジでビールなんぞ飲みながら留守の間の出来事をチェックしてます(最近はどこも無線LAN完備で助かる)。


東京関係では、なんか監督問題で盛り上がっているようで。
私は解任派(そんなもんがあればだがw)です。
理由? それは、色々なところで行き詰まりが見えてしまっているからだ。巷ではやりの言い方でいうならば、「旬」をすぎてしまったからだ。
そして、東京にリーグ優勝して欲しいと思っているからだ。


今シーズンの不振の原因は、個別に上げればきりがないが、煎じ詰めれば戦力不足、つまりチーム編成の失敗が最初に上げられると思う。
今年の補強ポイントは、契約を更新しなかったケリーとレンタル移籍してしまった阿部の穴埋め、および加地をはじめとする代表選手、特にDF陣のバックアップを用意すること、その二つだった。そしてフロントの打った手は、ケリー・阿部に関しては若手の伸びしろに期待して積極的な(即戦力の)補強を行わなかった。あの今となっては懐かしきダニーロはこの二人とタイプが異なる。おそらくチームに変化をもたらすことを期待されての加入だろう。加地のバックアップについては藤田泰成といういかにも東京らしい渋い手を使って終わりとした。
そして、思惑どおりにならなかった。ケリーの後継者と期待された馬場はケガで出遅れ、異能者梶山はシーズン終盤まで覚醒せず、藤田は加地の不在におつきあいするようなタイミングでケガを繰り返した。ダニーロに至っては完全にネタと化してしまった。
そして、DF陣に入れ替わり立ち替わり怪我人が発生することによって守備が崩れ、チームはリズムを失って低迷、立て直すことができたのはようやく秋になってからのことだった。成功した補強は、ユーティリティな攻撃的MF(変な言い方だが)である栗澤のみ。その栗澤にしても、一発芸を有する選手のサポート役として使ったときに最大限に能力を発揮するタイプで、単独で局面を打開する力はそれほどでもない。
要は低下した攻撃力とDF陣の層の薄さがそのまま顕在化してしまったのだ。
これは、フロントの責任だ。


だが、低迷の原因はそれだけじゃない。
残った手駒のやりくりや、相手との駆け引きがうまくいかなかったことも、不調が長く続いた原因だと思う。
東京のサッカーの魅力は、各選手の長所を4-5-1フォーメーションという枠に上手くはめ込んで最大限に生かしているところにあると思う。ルーカスのキープ力、馬場のパスセンス、今野のボール奪取力、石川のスピード、宮沢の展開力、梶山の・・・?なんだろうねw。つまりは一発芸を組み合わせたサッカーでひとたび嵌ればもうエンターテイメント。イケイケどんどんのサッカーが展開される。
しかし、一発芸に依存する部分が多いだけに、ピースが欠けたり、相手がしっかりと対策をしてきた場合にはその威力を大きく削がれる場合がある。そして、原さんは、駒不足になったときに柔軟にやり方を変えることや、戦術的な駆け引きで相手の東京対策の裏をかくことを不得手にしている。というより、そういう発想があまりなく、あくまで自分のやり方を貫き、力で(というより勢いでw)押し切ろうとする傾向がある。別に、このやり方が悪いわけではない。でも、あちこちで行き詰まりが見えてきている。


典型的な例が、石川の空回りだ。もはや、どのチームも、東京と対戦するときはサイドのスペースを消してくる。石川が縦横無尽に駆けまわることはどんどん難しくなってきている。そして、仮に力でサイドを突破し、クロスを上げても、中央をしっかり固めてクロスを弾き返されるようになってしまった。それなのに、なんの対策もなく(そのように観客席からは見える)、こだわり続けた。石川はクロスの精度がいい選手じゃない。東京にストロングヘッダーはいない。つまりただ放り込んでもだめだ。あくまでサイド攻撃にこだわるなら、なぜ、中へ走り込む選手がクロスのタイミングに合わせてマークをはずす動作を叩き込まなかったのか?それでも石川はがむしゃらに突進し、玉砕を続け、最後には重傷を負ってしまった。


やりくりという面からいえば、攻撃がサイド一本槍の単調なものになっていたにもかかわらず、練習で好調が伝えられた馬場をなかなか先発起用しなかったり、いかにももったいない今野のSB起用など、やはり上手くいっていなかった。原さんは、若手の育成にたけ、そしてなによりうまくいったときには素晴らしく魅力的なサッカーを展開するチームを作り上げた。でも、柔軟性に欠けるのだ。


今年の混戦をみてわかるように、今のJリーグには本当に強いチームがいない。資金力に裏付けられた分厚い選手層で横綱相撲を展開するチームはいない(横浜や浦和が金満の香りをただよわせつつあるが、欧州のビッグクラブに比べればかわいいものである)。つまり、どこからみても中堅チーム以外のなにものでもない僕らにも、リーグ優勝のチャンスはあるのだ。だが、そのためには、原さんの一本気なやり方では限界がある。今の東京は、好調なときには勢いで敵を圧倒することができる。不調の時にも根性で守り抜き引き分けに持ち込むことができる。しかし、優勝するためには、それだけでは足りないのだ。手練手管、駆け引き、やりくりで勝ち点3を獲得しなければならない時があるのだ。努力と根性とノリだけじゃ、足りないんだ。
そして、原さんの得意とするところの選手育成でも、いくつか限界が見えてきている。石川の空回りはその典型例だし、DFのバックアップは育たない。これは原さんの責任ではないにしろ、新しい指導者との出会いによって、伸び悩んでいる選手たちに道が開ける、という可能性は有ると思う。


もちろん、サッカーの楽しみ方は人それぞれだ。来シーズンに期待するものも人それぞれだ。あくまで、原さんとともにエンターテイメント性にあふれるサッカーを楽しみたい、というのもひとつの選択だ(このあたりは、一監督の個性「原東京」がクラブやサポーターのアイデンティティになりかかっているという、歴史の浅い新興勢力ならではの現象もあるだろうが)。あるいは、優勝を狙うのはもう少し先と思って、来年も原さんの選手育成能力に期待する、という向きもあると思う。もちろん、監督人事なんて水物だ。新監督になったから、強くなるなんて限らないしね。


今の東京は、むずかしい時期に来ている。クラブに関わる人が増え続けている割には、フロントの運営能力がついて行っていない部分が感じられるし、サポーターの側も以前の牧歌的な環境下での意識を引きずっているところがあると思う。現状のどこから見ても中堅クラブというところから、今後はビッグクラブを目指すのか、あるいは個性あるローカルクラブ・大都市圏の魅力あるセカンドクラブとしてやっていくのか、クラブの立ち位置も微妙なところにさしかかっている。


でも、私はチャレンジしてほしい。優勝争いのできるクラブになることを。
そして味わってみたい。鹿島や磐田のサポーターが毎年のように感じている緊張感を。昨年の、浦和の絶望を。今のガンバの焦燥感を。
そして知りたい。一年間戦った後の歓喜を。チャンピオンというタイトルの重さを。5年前、森島が流した涙の意味を。
そして見てみたい。青赤のユニホームに輝く星を。
だが、そのためには新しいチャレンジが必要だ。僕らに楽しいサッカーを見せてくれ、そして初めてのタイトルをもたらしてくれた原さんに、最大限の感謝を捧げつつも、別れを告げるべき時だと、私は思う。


だから、2006年は新監督で。


以上、私見ですだ。


つーところで、飛行機が遅れたのでずいぶん書いてしまったが、そろそろボーディングタイムなので、今日はここまで。
それでは、明日(もう今日かw)、長居で会いましょう。そして、世紀の悪役を演じるのです!
We'll never walk alone!