関東大学リーグ第3節 筑波大学 2 - 2 国士舘大学(観戦17試合目)

日時:2006年4月9日(日)12:00キックオフ
会場:夢の島競技場
観衆:けっこういたよね
主審:わかりません。
得点:木島(筑波、16分)、柏(国士、54分)、佐々木(筑波、80分)、深澤(国士、85分、PK)
警告:大島(国士、82分)、石井(筑波、88分)
退場:なし

ちょっと風が強いけど良く晴れた日曜日、普通のみなさんは最後の花見に、学生さんと関係者と物好きは夢の島へ集う。
新木場の駅を降りるともう学生さんの群れ、群れ、群れ。なにしろ、今日は筑波、国士、駒澤と部員数の多い大学の対戦である。駅前のロッテリアで腹ごしらえをしてから競技場に行くと、玄関前で伊藤龍君が数人の仲間とだべっていた(第2試合にベンチ入り)。スタンドに行くとこれまた人、人、人。国士舘の応援団は何を考えたのか全員スーツ、「お前ら、スーツのほうがいいじゃないか」という声の主は大澤先生。そのとなりにはなんと鈴木政一氏がいるではないか。昨日の人間力をどう思いますか、じゃなくて誰にツバ付けにきたんだろね(この方、たしかジュビロの「きょーかぶちょー」だよね?)。ちなみにウチの眉毛のあの人は見かけませんでした。


部員の群れを縫うように歩いて席に付くと、そこは国士応援団の隣の島。うるさい(笑)。
バックスタンドの後ろには散り際の桜が数本。吹きだまりには桜の花びらが積もる。


筑波大学のスターティングラインナップおよび選手交代

    11木島 17田中雅
  8麻生      10三澤
    4今田  6岡田
 7内藤 5高山 3石井 2野本
      36碓井

SUB:わからん
選手交代:11木島→22佐々木(61分)、4今田→35奈良輪(78分)
第1節と同じ(第2節は寒くて帰ったのでわかりません)。これが現時点のベストメンバーなのだろう。


国士舘大学のスターティングラインナップおよび選手交代

       35中村  
  32高橋        36柏
    34伊藤  29斎藤雄 
       37濱屋
 30斎藤貴 3杉森 5佐藤直 2大島
       1鈴木智

SUB:わからん
選手交代:35中村→19菅原(51分)、3杉森→4山崎(61分)、34伊東→11深澤(85分)
こんな風に見えました。両サイドがウイング風に開いた4-3-3つーか、4-1-4-1つーか。とにかく、中村がワントップ。高橋と柏がウイング調に開いてサイドの崩しあるいは大外からの飛び込みを狙う。MFは伊藤と斎藤雄が前目、濱屋がアンカー。そして4バック。あいかわらず背番号のでかさが目立つ(今日も一年生5人)。強豪筑波にどこまで通用するかな?


序盤は筑波が主導権を握った。キックオフ直後から麻生が左サイドを突破してクロスを上げていく。FW木島も左サイドに流れ、ドリブルで仕掛けていく。麻生と思えば木島、木島と思えば麻生といった感じで、国士舘の右SB大島が振り回される。
守りでも筑波が冴えを見せる。今田・岡田を中心とした統制されたプレッシングで中盤を制圧、ボールホルダーを2人3人で囲んで潰す。DF陣も国士FWをしっかりマークしており、なかなか隙を与えない。
このため、国士はなかなかボールを前に運べず、中盤で奪われては高い位置からの速攻を受け続ける。それでも、筑波のプレスが緩んだときにはパスを繋いで攻撃を組み立てることができた。9分には、中央やや左寄りで伊藤がフリーになり、そこから4人ぐらいが絡んでショートパスのワンツーで抜けていき最後に斎藤雅がカーブをかけたミドルでゴール隅を狙う(外れ)、という場面があった。要するに、パスを受けてターン、ルックアップ、周りとイメージを共有してから動き出す、という時間があれば仕事ができる。わずか数秒なんだろうけど、その時間(スペース)を与えるか与えないかで試合の展開がまるで違ってきてしまう。


前半20分頃までの筑波は、その時間を与えなかった。そして16分、立ち上がりから続けていた左からの崩しで先取点をあげる。左サイドを突破した麻生が折り返し、中央で一瞬フリーになった田中雅がシュート。しかしジャストミートせずゴール右隅に向かってころころとボールが転がる。かえってタイミングを外されたかっこうになったGK鈴木智が追いすがるが、木島がすかさず詰めてゴール。ここまで、国士守備陣、とくに相対した大島が麻生を全く止めきれず、この場面では中央のマークも甘くなっていた。


この後はしばらく膠着状態。その後、25分すぎから徐々に国士のペースになっていく。
ここまではピッチ中央で細かい繋ぎを試みて筑波プレッシングの好餌となっていたが、失点がショック療法になったのかサイドから強引に縦へ仕掛ける場面が増え始める。また、前線に張る中村への長いボールも見られるようになる。そして、筑波のファウルを誘ってFKを得、ゴール前の攻防に持ち込み、しだいに流れを引き寄せる。30分すぎからは筑波の運動量も落ち始め、国士が攻撃を組み立てられるようになった。
最前線では1トップの中村がターゲットとして奮闘、積極的にシュートを試みる。また、ボランチ濱屋がよくこぼれ球を拾ってミドルシュートを狙っていた。44分にはドライブの掛かったミドルシュートを放ってあわやの場面があった。
スコアは筑波がリード、流れ的には国士がやや優位といった状況で前半終了。


そして後半、国士が良い流れのままゲームに入っていく。
キックオフ直後に高橋がいきなりドリブルで抜け出してシュート。勢いが弱くGKがブロックするがこぼれ球を中村が角度の無いところから強引にシュート、GKが右ポスト脇で押さえる。続いて46分にはスルーパスに斎藤雅が抜け出してキーパーと一対一、しかしシュートは正面を突く。立て続けにチャンスをつくりリズムに乗って迎えた54分、交代出場してきたばかりの菅原が左サイドからエリアに切り込み、折り返し。これを中央の高橋?がスルー、ファーに入り込んだ柏がフリーでボレーシュート、これがゴール右に決まって国士が同点に追いついた。この場面、筑波DF陣は菅原に気を取られてマークが甘くなっており、かつ高橋がスルーしたところで一瞬フリーズしてしまったところを決められた。


この後も国士舘が押し気味に試合を進める。筑波は前半のような、2人3人でパスコースもスペースも消していくようなプレッシングが出来なくなる。国士ボールホルダーに対して人はしっかり付いているが、統制プレスが出来ないとどうしても局面での一対一勝負に持ち込まれてしまい、テクニックがあり俊敏な国士FW・MF陣を止めきれない。怖いもの知らずの若い衆がどんどん縦に仕掛けていく。


61分には左足首を痛めた国士DF杉森が山崎と交代。同時に、筑波もFW木島に代えて佐々木を入れてくる。


FWを代えても主導権を取り戻せない筑波。その原因の一つは国士同点の後、三澤が全く姿を消していたことがあげられる。この時間帯、どういうわけか、筑波から見た左サイドで攻防が行われており、右に開いた三澤が孤立していた。激しい局地戦が続く中で選手たちが視野狭窄に陥っていたのか、サイドを変えるようなプレーも見られなかった。


75分すぎ、業を煮やした筑波ベンチが手を打ってくる。三澤をトップ下へ移し、ボランチ今田を右MFへスライドさせ、中盤をダイヤモンド型にしてきた(今田は78分に奈良輪と交代)。これが効いた。
フラストレーションをためこんでいた(らしい)三澤が鋭いドリブルで仕掛けていき、筑波が一気にリズムを取り戻す。結果はすぐに出た。80分に右サイドから電光石火の勢いで三澤(だと思うんだよなあ)がカットイン、エリアに切り込んでシュートを放つ。GKが弾いたところに詰めたのは佐々木。筑波がこの時間帯に勝ち越した。


国士も必死の反撃を試みるが、どうも決め手がなく、次第に敗色が濃厚となっていく。最後の望みをかけた選手交代、85分、伊藤→深澤。ところがこの深澤がファーストプレーでいきなり一か八かのドリブルでつっかけ、エリアに入り込む。このプレーになぜか慌てた筑波DFが足を引っかけてPK献上。このPKを深澤が自分で決めて国士同点。


勝ち点3を掴もうと必死の筑波はロスタイム、右CKから麻生が低く速いボールをゴール前へ入れる。これが密集を抜けてファーサイドへ、そこへ詰めていたのは野本、ドフリー!で放ったシュートはなんと宇宙開発!!いや、ボールが速くて合わせきれなかったんだろうけど、ゴールエリア内での至近距離シュートをはずすとは・・・


そして試合終了。


筑波は初対戦となる国士攻撃陣にとまどってたかな(こないだ入学式をすませたばっかの連中ですぜ!)、特徴を掴みきれないのか、一対一では岡田も今田も後手を踏んでた。あと、まだ守備陣の練度がまだ高まっていない印象。最初の失点時、DFが一瞬フリーズしてしまった件にせよ、PK献上時のなんとなく引っかけてしまったようなプレーにせよ、集中力の切れる瞬間がある。上位にはいってくるであろうチームとの対戦では一瞬の隙が命取りになるだけに、この辺をなんとかしないとね。攻撃面で言えば、三澤が消えている時間が多かったのが痛かった。三澤をトップ下に入れるポジション変更がもっと早ければと思うが、1ボランチになって守りにリスクを負うことも確かだし、これは勝負の綾かな。それより、右サイドにいいボールを出せなかったほうが問題だと思う。


もう一つ勝負の綾をいうなら、国士舘が主導権をとれた時間帯、どんどん個人勝負を挑んでいって見てるほうは面白かったんだけど、他の選手との連携プレーも交えた方が効果的だったかな。序盤、潰されても潰されても細かいパスを繋ごうとしたようなプレーが混じれば、筑波ディフェンスを振り回せたと思う。もっとも、国士舘が流れを引き寄せたのは強引な縦への仕掛けを繰り返したからなので、つくづくバランスというのは難しい。


それにしても、ひさしぶりに面白い筑波vs国士だった。それもこれも国士の一年坊主どもの活躍のおかげ。この2チームの対戦、私が大学サッカーを見始めた頃は看板カードだった。2000年頃、筑波には石川竜也、千代反田、鶴見、鈴木孝明、羽生、平川、曽田とか、そうそうたる面々がそろっていた。国士も白尾や相馬祟、山崎はまだ1年だっけ。その後、筑波が力を維持する一方、国士のほうはいまいちのシーズンが続き、フォーメーションも固まらず、養父なんか年々持ち味が出せなくなってたりと迷走が続いたが、どうやら復活の糸口が見えてきたようだ。攻撃陣が若手ばっかりで調子の波があるだろうけど、先が楽しみなチームになった。それに一年どもが調子を落としたらその時こそ上級生の出番ですよ。ところで養父はどこ行った?