デンソーチャレンジカップ島原大会3位決定戦 関西B 3 - 2 関東B(観戦2試合目)

日時:2007年3月4日(日)10:00キックオフ
会場:島原総合運動公園陸上競技場
観衆:約200人(だそうです)
主審:武田、副審:福島、草野、第4審:斗長
得点:長友(関東B、16分)、大瀧(関東B、19分)、森(関西B、21分)、橋本(関西B、37分)、森(関西B、52分)
警告:10藤田(関東B,7分)、9島嵜(関東B、28分)、2金守(関東B、32分)、6橋本(関西B、37分)、
   17大屋(関西B、58分)、13池田(関西B、68分)、2金守(関東B、77分)
退場:2金守(関東B、77分)*警告2枚

早朝の島原鉄道諫早から島原へ。乗ったのは2両編成、なんと昭和37年製造というレトロ列車。ガタピシと揺られつつ、眺める窓外の景色はすでに春。菜の花の鮮やかさが目に染みる。干拓地を抜け、有明海を左手に、雲仙の山容を右手に見つつ小一時間揺られて、島原駅着。ここから、湧き水飲んだり、足湯を冷やかしたり、お寺を見たりと、寄り道しつつ坂道を登ること30分、島原陸上競技場は眉山の麓にあった。
ベンチシートになんちゃって屋根のメインスタンド、サイドスタンドとバックは芝生、バック中央に掲揚ポールが3本と典型的な地方陸上競技場。アマチュアの試合をやるんならそんなに悪くはない環境だけど、有料試合は開催不可だね。だって外から丸見えなんだもん。山の上だけあって景色は絶景。島原市街が一望でき、有明海の向こうには熊本の山並みが見える。Tシャツでもしのげる気温、強い陽差し(焼けました)、春だねえ。
まわりをみれば、観戦に来た高校生や地元サッカー関係者、選手の身内らしき人々、スカウトに大学サッカー関係者。加えて物好きが少々。名前は知らないが顔は見たことある、というのが片手ほど(向こうもそう思ってるんだろうなw)。さらに#あきこさんまで登場なさった。なんと福岡から大牟田経由・高速船で島原港まで来たそうな。あーたも好きねえ(オマエモナーw)。


第1試合は、3決ということで運営ものんびりしたもの。選手入場直前になって「おーい、ボールボーイ呼んでこいやー」なんていってるぐらいだからね(笑)。


関西選抜Bのスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

GK:1森田
DF:3白井、2野村、
MF:6橋本、8馬場、14朴、17大屋、21永田、7小寺
FW:9森、13池田
SUB:18原田、4船津、20福本、10安里、11染矢
選手交代:1森田→18原田(HT)、14朴→10安里(HT)6橋本→4船津(62分)、8馬場→20福本(62分)、9森→11染矢(71分)
ユニは黄色。
なんかよくわからんフォーメーションだなあ、4バックみたいだけと両サイドバックが変な位置に居るよなあ、と思ってみていた。帰って公式記録を見たらびっくり、登録上は2バックでした。真ん中をセンターバック2人とアンカーで守って、両サイドは高めの位置取りで攻撃的に振る舞うってやり方を狙っていたらしい。そのわりにはサイドアタックがあんまり機能していなかったような気がする(汗)。


関東選抜Bのスターティングラインナップおよびサブスティテューション。

GK:12碓井
DF:2金守、3上川、9島嵜、
MF:4長友、5宮崎、7大瀧、10藤田、
FW:15福士、14大河、8林田
SUB:1伊藤拓、6藤川、11伊藤大、16林、13荒田
選手交代:12碓井→1伊藤拓(25分、負傷交代)、14大河→16林(HT)、15福士→11伊藤大(HT)、8林田→13荒田(HT)、7大瀧→6藤川(84分)
ユニは青、ウィンドブレーカーは黄。ちなみに関東Aのウィンドブレーカーはなんと青赤。うちのユースがボールボーイに来たのかと思っちゃったよ。
関東Bもかなりわかりにくいフォーメーション。4バックにしちゃ長友の位置が高いし、3-5-2にしちゃあ宮崎が変なところにいるし、前線も3トップのような、一人が1.5列目あたりをうろうろするシステムのような。あれこれ考えたあげく、あえて配置にしてみるとこんな感じだったかと。オシム爺さんのせいなのか、日の丸先生の不思議硬直システムの影響なのかはわからんが、最近は凝ったシステムを採用する監督が多くなってきているような。選抜チームによる短期決戦なんて、シンプルにするに越したことはないと思うのだが。


メインから向かって右→左、つまり強い南風が吹くなかでキックオフ。風上をチョイスしたのは関西Bだったが、試合序盤は関東が圧倒的に優勢だった。その矛先となっていたのが長友だった。そう、某マネ日記ではお笑い担当みたいな扱いをされている?、長友である。立ち上がり20分間は長友のための時間だった。
まず、開始直後の1分に右サイドを駆け上がってクロス、これに林田が飛び込むがDFがクリアする。しかし、長友はそれを拾ってもう一回クロスを入れる。これがゴール前の密集を抜けてファーサイドに流れる。ちょうどその位置に大瀧が走り込んでいたが、まさか密集の中をボールが抜けてくるとは思わなかったのか、QBK気味のシュートは枠を捉えられなかった。
続いて4分、今度は宮崎?が左クロスを入れ、そのクリアボールが右サイドに飛ぶと、長友が再びこれを拾ってクロス、大瀧が今度こそジャストミートで合わせるが、シュートはDFに当たり、こぼれたボールをGKが押さえる。
5分には裏へ出されたボールに大河が素晴らしいスピードで走り込むが、DFがかろうじて追いついてシュートを阻止。続く6分には長友がカットインして少し遠目からシュートするがポスト右にそれる。
関東Bがボールを保持し、藤田・大瀧・宮崎あたりがポジションチェンジを繰り返しながらパスを交換、タメを作って長友が攻め上がる時間とスペースを作っていた(ただし、宮崎は「(元のポジションに)戻れ!」と何度も言われていたがw)。


一方、関西Bは全く中盤が作れず、とにかくFW陣にボールを預けて後はお願い!というサッカーに終始していた。ただし、完全にゲタを預けられた格好のFW陣が奮闘、ボールをもらったら後先構わず単独勝負をかけ続ける。この積極的な姿勢に、関東のDF陣はやや辟易しているように見えた。そして、数打ちゃあたるというべきか、時には上手く体を入れ替えて裏へ抜け出しかける場面も出始める。7分、FW池田がドリブル勝負をしかけ、抜かれかかった関東ボランチ藤田が足を引っかけて止めてしまい警告。これで得たFKを遠目の位置だったが永田が直接狙っていくが、GKの正面。9分にはスルーパスにFW森が反応するが関東GK碓井が飛び出してキャッチ。15分は右CKに永田がボレーで合わせるがシュートはGK正面を突いてしまう。


やや拮抗した時間帯のあと、再び関東Bのペース。16分、大河がドリブルで突っ掛け、中央に関西守備陣の注意を引きつけから右サイドを駆け上がってきた長友にパスを送る。フリーで受けた長友がそのまま持ち上がり、エリア右に入ったところで思い切ってシュートを打つと、これがGKの脇を抜いて右サイドネットに突き刺さり、関東Bが先制する。
続く17分には再び大河がスピードを生かして裏に抜け、今度はDFを振り切ってシュートまで持ち込んだ(GKがキャッチ)。
そして19分、長友の右クロスにゴール前で福士が飛ぶ。GKが飛び出して福士と競るがセーブできずにボールがこぼれ、そのボールを詰めていた大瀧がごっつあんとばかりにゴールマウスに蹴りこみ、関東Bが2点目。
この時点までの展開を見る限り、この試合は関東Bが圧勝すると思えた。


しかし、好事魔多しというべきか、アクシデントが発生する。21分、関西Bの左SB?(2バックだからねえw)大屋のクロスを中央で受けた右SB?永田がゴール正面にスルーパスを送る。これに反応したFW森がGKと交錯しながら放ったシュートがゴールイン。関西Bが一点を返す。そして関東のGK碓井がこのプレーで負傷。治療のためにしばらく試合が中断し、碓井は25分に伊藤拓と交代になってしまう。


ここから流れが変わった。適切なコーチングで関東Bの守備をコントロールしていた碓井がピッチから去る。交代した伊藤拓が悪いという訳ではないが、関東Bのリズムが明らかに変わってしまった。
ここから関西Bの反撃が始まった。


関西Bは、あいかわらずFWにボールが入らないと始まらないサッカーだったが、それまでとは明らかに勢いが違っていた。なにか、根拠のない自信みたいなものを持ってしまったらしい(笑)。FWが前を向いて勝負を仕掛ける場面が増えてくる。関東Bの守備が混乱してくる。あちこちにスペースが空いてくる。29分、左クロスをFWが競り、こぼれたボールをMF小寺がシュート(DFがかろうじてブロック)。32分、前線へのロングボール、関西FWに体を入れ替えられかけた関東DF金守が手を使って止めてしまい、警告。35分には関西MF橋本のループパスに永田が飛び出すがオフサイド判定。
そして36分、関西Bは右サイドを崩して、MF朴がクロスを入れる。このクリアボールを拾ったFW池田がゴール前へ送り、これに飛び込んだMF橋本が頭で合わせて関西Bが2点目。同点に追いつく。


38分には関東が反撃。右サイド、20m強の位置で得たFKを宮崎が直接狙うがバーの上。43分、右CKから上川がヘディングシュートを放つがGKの正面。
44分には関西が右クロスからFW森がダイレクトシュート、しかし右ポスト。


結局、前半は2-2の同点だった。


ハーフタイム、関東Bの監督は修正を試みる。スタンドから聞こえた範囲では、パス&ゴーの動きを徹底してリズムを作っていこう、という趣旨の話だったようだ。しかし、関東Bはハーフタイムにいきなり3人を交代。前半の3トップを全員引っ込め、控えFWの荒田・林、攻撃的MF伊藤大を投入する。フォーメーションはワンボランチの3-5-2。連携は大丈夫なのかと心配したら、案の定だめだったorz。


後半も、頭から関西Bが飛ばす。調子こいた関西人は強い。
開始直後に右サイドを駆け上がったFW池田が派手などっかんクロス。これにめげず、というかかえって調子こいて46分に池田がループシュート(はずれ)。47分、今度はFW森がどっかんクロス。48分にはエリア内で関東DFの処理ミスを奪ったMF小池が至近距離からシュートを放つがGKにぶち当ててしまう。50分、小池のパスを受けたCB白井!が右サイドを駆け上がりクロス、FW森がニアに飛び込んで合わせるがGKがなんとかセーブ。こんな感じで、不器用かつ強引ながら関西Bの勢いに乗った攻めが続く。


それが実を結んだのは52分。ピッチ中央でパスを受けたFW森が、対応した宮崎を鮮やかにぶっちぎって(ミヤ、間合いの取り方が拙いよ)、ドリブルでエリアに侵入、強引に打ったシュートはGKが何とかブロックするが、森は跳ね返りを拾って今度こそ押し込み、関西Bが逆転に成功した。
関西Bは55分にも決定機を得る。サイドチェンジを受けたFW池田ががら空きのスペースへ一気に切り込み、シュートを打っていくがGKがなんとかセーブした。


関東もすぐに反撃。56分、関東FW荒田が半身でクサビを受け、素早く前を向いてシュートを打っていくがゴール右に外れ。57分には宮崎の左クロスに対し、ファーに流れる荒田と交差するかたちでゴール前に入ってきた長友がシュート、しかしバーの上。さらに58分、突破を試みる長友を関西の左サイド・大屋がファウルで止めてしまい警告。ペナルティエリアすぐ外からのFK、ゴール前の混戦から放った荒田のボレーは惜しくもバーの上。反撃の関東がたたみ掛けるがシュートが枠に行かない。


関東は高めのラインを引いて調子こくw関西のFW陣をオフサイドに絡め取る。しかし反撃の切っ先だった荒田がマークされると、コンビネーション不足の関東は攻撃を組み立てることができず、状況は膠着。67分、伊藤大の浮き球パスに反応した林が裏に抜けるが、シュートまで持ち込めない。逆に、70分には関東CKのクリアから関西のカウンターになり、危ない場面になりかける。74分、関東の林がDFに囲まれつつもゴール前で粘ってシュートまで持ち込むが枠にいかず。


フィニッシュまで持ち込む回数は関東のほうが多かったが、関西のFW陣は逆転した後もあくまで個人勝負をかけ続け、関東のDF陣を辟易させていた。77分、関西FWへ入るクサビを金守が迎撃するがややタイミングが遅れ、関西FWに反転する時間を与えてしまい、体を入れ替えられかける。これを止めるのに手を使ってしまう金守。ここで笛。金守に提示される、二枚目の黄色いカード。ここで金守は退場となってしまった。主審はこの種のプレーに対して前半から一貫してカードを出してきたし、金守も当然それを認識していたと思うのだが、まあついやってもーたということなんでしょうね。


この後は、10人で捨て身の攻勢に出る関東と、がら空きのスペースを使ってカウンターを掛ける関西、という図式。関西は前半からキレていたFW池田や、交代出場の染谷が果敢に突破を試みるが決定機を得られず。10人になった関東は、宮崎と長友の左サイド二段アタックなどという世にも珍しいシーンもあったりし、そこからチャンスもつくったものの結局追いつけず。
3−2で関西Bの勝利に終わった。


両チームとも難しい、それなりにコンビネーションが必要なやり方をしようとしていて、結局どちらもうまく行かなかった中、流れを引き寄せたのはあくまで個人勝負をかけ続けた関西のFW陣だった。とくに池田という名前を覚えておく必要がありそうだ。
勢いづいた関西勢は怖い、という試合だった。