第88回全国高校サッカー選手権 決勝 山梨学院大学附属高校 1 - 0 青森山田高校


1月11日、決勝の朝である(笑)。といっても、ただの野次馬には、荷造り以外の用事はない。東京駅のコインロッカーに着替えとPCの入ったバッグを預け、観戦装備だけになって国立へ向かう。天候は曇り。お日様の恩恵を受けられない日は、ヒートテック装備である。


信濃町駅に着いたのは11時50分頃。妙に人が多い。途中で山梨学院の応援バスが次々と絵画館前の駐車場に入っていくのが見えた。22号車まで数えてやめました。青山門前へ着くと、待機列が延々千駄ヶ谷門方面に延びている。シミスポのにーちゃんが「比較的空いている代々木門方面へお回りください」と叫んでいる。どーせ、列の長さはたいして変わらないでしょ、と思いつつ、時間に余裕があるので代々木門方面へ回ってみると、こっちはもっと長蛇の列orz。橋を渡って東京体育館のそばまで列が延びていたorz。しかも、全く動いてない。
大嘘じゃねえか、シミスポ。
一周して青山門に戻ると、さきほどの待機列をすでにさばききっており、ほとんと待たずに入れた。結局、一番長い待機列が出来ていたのが代々木門だった。
客を分散させる必要はあるけど、明らかに間違っている情報を流すのはどうかと思う。


12時20分頃、Sブロック席、19番ゲートの数列後方に席を確保。まだガラガラだったが、客足から考えて満員になりそうな感じだった(。ワンコ会長が、「冬開催はできる」と力説しそうで心配だw。アジパンダ毛布を広げ、ホットワインを飲んで、トウチュウとエルゴラをチェックし、リラックスしているうちにファンキーモンキーなんちゃらのライブ。よくあるタイプの曲である。山梨学院の控え部員が海荷コールをしているのでメイン側を見ると、向こうでは海荷ちゃんがレポート中。SSを買えば良かったかな。


国立はほぼ満員。大迫祭りだった去年を上回る人出だったと思う。試合前にウェーブが場内を2周した。
勝戦ということで、両校校歌が流れた後、試合開始。曇り空のため、照明が灯されていた。



両チームとも、準決勝とスタメンは変わらず。負傷報道が流れていた青森山田のFW成田も名を連ねていた。
主審は村上さん。J1主審のお出ましである。


ベルデー青森だ〜けに〜は〜、負けられな〜い♪」と歌う応援団の後押しを受け、立ち上がりから山梨学院が飛ばす。
1分、碓井のフィードを受けて伊東が左サイドを前進し、青森山田SB横濱との攻防。左スローイン→左CK。ショートコーナーから碓井がクロスを入れるが、クリア。4分、自陣でボールを奪ったFW佐野がドリブルで持ち出す。同じく自陣から長い距離を走ってサポートした伊東が左コーナー付近まで持ち込み、後方へ戻す。走り込んできたボランチ宮本がミドルを狙っていくが、ゴール右へ外れる。


青森山田ボランチ柴崎が高い位置を取り、攻撃を組み立てようとする。
7分、FW野間が左サイドで勝負を挑み、DFを抜いてクロス。ゴール前に青森山田の選手が2人走り込むが、山梨学院DFが寸前でクロスをカット。9分、左サイドでの組み立てから三田へ縦パス。三田の落としたボールを野間が打つが、宇宙開発。


この時間帯、山梨学院の運動量が多く、相手ボールへの寄せ・こぼれ球への反応ともに早かった。マイボールになると、碓井の配球からスピードのある前線の選手が裏を狙う。動き出しは早い。ペナルティエリアの幅で勝負し、直接シュートに結びつけられるプレーを狙っているようだった。パターンは、碓井の長いボールで直接裏を狙うか、いったんバイタルまで持ち込んで他の選手を使うか、のいずれか。後者では、伊東が主としてパス出し役を担った。
青森山田は、バイタルエリアでボールを持ってチョロチョロする伊東を捕まえきれない。柴崎が高いポジションを取ったまま戻らず、椎名もそれにひきずられて中途半端な位置取りのままで、DFとMFの間にスペースが空いていた。


10分、山梨学院は、伊東がドリブルでDFライン前までボールを持ち込み、スルーパス。相方FWの佐野が完全に裏を取ってGKと一対一。GK櫛引政が好判断で前へ飛び出し、佐野が打ったその瞬間にタックルをかけ、シュートをブロックした。
11分、山梨学院が攻め込んで青森山田DFとの攻防。左サイドでこぼれ球を拾うと、裏へ附悪としたフィード。鈴木が飛び出してキープして戻しパス。後方からスルスルと出てきた碓井が、ペナルティエリア左角付近からフリーでシュートを放った。これがゴール対角のサイドネットに吸い込まれ、山梨学院が先制した。


14分、山梨学院が自陣深いところでスローイン青森山田がこれを奪う。柴崎からのパスがエリアへ入りこんだ野間に通るが、山梨学院DFが群がってクリア。


18分、山梨学院・左MF鈴木が、伊東とのワンツーで裏へ抜けるが、必死に追走した青森山田DFが体を入れてシュートを阻止。19分、伊東がロングシュートを狙うが宇宙開発。20分、伊東のスルーパスから佐野?が裏へ抜ける。青森山田DFが必死に戻ってラインをセット。佐野は後方への戻しパス。ボランチ宮本がシュートを打つが、バーの上。


20分すぎで山梨学院がややペースダウン。青森山田がやや盛り返してくる。ゲームは攻守がめまぐるしく入れ替わる、気の抜けない展開になる(メモするのが大変)。


21分、青森山田。ゴール前、DFとのかけひきでマークをはずした野間にパスが出るが、トラップに手間取り、囲まれてシュートまで持ち込めず。


22分、山梨学院。GKのパントキックが右サイド高い位置にいる平塚へ。平塚は逆サイドを猛スピードで駆け上がる鈴木へ大きなサイドチェンジを通す。鈴木が一気にゴール前へ入っていくが、ドリブルが長くなったところをGK櫛引政が飛び出してギリギリでセーブ。


24分、青森山田。山梨DF井上のパスミスを奪い、左SB中島がクロスを入れる。ニアサイドでFW野間がDFを背負いながら右足アウトで方向を変えるが、ポスト左へ外れる。


25分、山梨学院は左SB藤巻が強烈なミドルを放つが、ゴール左へ外れ。


28分、青森山田。高い位置でのボール奪取からショートカウンター。左クロスから中央で柴崎がミドルを打つが、GKがキャッチ。ボールの奪い合いのとき、山梨右SB井上が痛んで担架でピッチ外へ。


30分、山梨学院。右サイドをFW佐野がドリブルで前進、伊東を経由して左サイドへボールが周り、鈴木がシュート。DFに当たってこぼれたボールに佐野が詰め、シュートを打つがGKが横っ飛びでキャッチ。


32分、山梨学院は負傷した井上をあきらめ、渡辺と交代させる。35分、山梨学院FW伊東がDFライン前でキープしてスルーパス。佐野が飛び出すがオフサイド判定。


36分、青森山田ペナルティエリア右角で縦パスを受けた野間が、DFをかわしてシュートを打つがボールは弱く、GK松田が難なく収める。


37分、山梨学院。伊東のサイドチェンジから平塚がアーリークロス青森山田DFがなんとか体に当てて最後はGKが押さえる。


38分、青森山田。ペナルティアーク付近でボールをもらった野間が素早いターンから左足を振り抜くが、シュートはバーの上。


39分、山梨学院は鈴木がロングシュートを狙うが、GKががっちりキャッチ。


42分、青森山田。ロングボールを追ったFW成田が、クリアしにエリア外まで出てきたGK松田と交錯。松田がファウルを取られ、警告。この場面、山梨DFとGKが譲り合ったように見えた。約25mのFKを椎名が蹴る。ボールはDFの間を通り抜け、ファーサイドに飛び込むCB赤坂に合ったが、シュートはポストわずかに左。
44分、山梨DFのクリアが短くなったところを成田が打つが、GK正面。


1分のロスタイムが過ぎ、山梨学院がリードを保ったまま前半終了。
20分過ぎまでは山梨学院が激しいプレスから裏狙いの速攻を繰り出し、碓井のシュートから先制。その後は、おそらくゲームコントロールなのだろう、ややペースダウンしつつ速攻狙い。序盤押し込まれた青森山田も前半半ば以降は盛り返すが、椎名・柴崎の動きはいまいちで、代わりにFW野間に早い段階でボールを付けていく攻めで対抗していた。


後半は青森山田がペースアップ。
45分、椎名の縦パスがエリア内にいる野間に通り、シュート。これはDFがブロック。49分、椎名が右CKを蹴っていくが、GKがパンチングでクリア。続く50分、細かい繋ぎから最後は柴崎がシュートを打つが、ゴール左へ外れ。


山梨学院は押し込まれたときは長いクリアでしのぎ、機を見て反撃を挑む。
53分、ボランチ宮本がエリア左に持ち込み、味方の攻め上がりを待って後ろへ戻す。これを駆け上がってきた左SB藤巻がフリーで強烈なミドルシュート。入ったかと思ったが、惜しくもバーを叩く。続く54分、佐野がドリブルで仕掛け、ファウルを誘ってFKゲット。距離25m、壁は6人。山梨の選手が2人、壁の前でしゃがみGKの視線からボールを隠す。碓井のキックは壁を越え、直接ゴールへ。GKがはたき落とす。こぼれ球に山梨の選手が詰めるが、GKが押さえる。


55分、青森山田の左MF三田が左サイドで仕掛けてCKゲット。ここで青森山田はトリックプレーというか、珍戦術。ゴールエリアの中に7人が入り込み、GKを取り囲む。山梨のDFも当然ゴールエリアに密集、あの狭い範囲に15人ぐらいが固まる。かつて見たことのないコンパクトフィールドであるw。その密集めがけて柴崎がボールを入れるが、山梨DFがクリア。
56分、青森山田は右サイド30mの位置でFKゲット。数人の選手が集まり、しばらく打ち合わせをしてからボールをセット。椎名と柴崎が位置に付く。蹴ったのは椎名。キックは壁に当たって山梨学院のカウンターになる。平塚がピッチ中央を前進、右サイドを駆け上がってきた伊東に叩く。平塚はそのままの勢いでゴール正面へ走り込み、伊東からのクロスに合わせようとするが、戻ってきた青森山田DFがカット。
58分、青森山田はさきほどとほぼ同じ位置でFKゲット。再び椎名が蹴るが、山梨DFがクリア。
61分、右サイドからのアーリークロスに野間が飛び出すがオフサイド
64分、オーバーラップした左SB中島がキープ、いったん後ろに戻して三田がクロスを入れる。ファーに飛び込んだ遠藤のヘディングシュートはゴール左にはずれた。


65分、山梨学院の反撃。伊東のクサビを鈴木が右へ叩き、平塚がフリーでクロスをあげるがどっかん。


だんだん中盤が空いてきて、カウンターを応酬しあう展開になってきた。


67分、青森山田は右サイドに流れた野間へボールを送る。野間が入れたクロスへ三田が反応、ゴール前へ飛び込む。山梨学院DFも対応してゴール前の混戦。三田がファウルを取られ、シュートを打てず。続く68分、柴崎のパスに中島が抜け出し、ゴールライン際までえぐって折り返し。しかし山梨DFがクリアし、カウンター。佐野がドリブルで持ち込んでゴール正面へカットイン、ダイアゴナルな動きで上がってきた碓井へヒールパス。碓井が左足を振り抜くが、GK櫛引政が素晴らしい反応でジャンプ、シュートを弾き出す。


69分、青森山田。柴崎が右サイドでボールを奪い、ゴール前へボールを送る。マークを振り切った成田が頭で合わせるが、ミートしそこねて弱いボールはGKが押さえる。
70分、山梨は鈴木のパスを受けた平塚がミドルを放つが、バーの上。
直後、山梨学院の選手交代。佐野に替えて本来のエース・加部未欄の投入である。
71分、前線でボールを受けた加部がファーストタッチで右へ展開、平塚のアーリークロスに合わせてゴール前へ飛び込むがわずかに届かず。


72分、青森山田は中島のミドルから左CKを得る。今度はゴールエリアに5人が入り、GKを取り囲む。その人口密集地帯へ柴崎がボールを送り込み、こぼれたボールを野間がターンして至近距離からシュート。しかしこれはGK松田ランが体でブロックした。
73分、青森山田は右MFを交代。遠藤→星。


74分、山梨学院にFKのチャンス。碓井のキックを加部がニアで反らし、伊東が詰めるがGKキャッチ。


76分、青森山田はゴール前に放り込む。両チームの選手がピンボールみたいにボールを弾き合い、いったん山梨がクリア。こぼれ球を拾った星が柴崎へパスを送るが、トラップミスでシュート打てず。


77分、山梨学院は左SB藤巻がタッチライン際で仕掛ける。ラインぎりぎりで上手く体を入れ替えてDFをかわし、クロス。ボールはDFの間隙を抜け、飛び込む鈴木に届くかに見えたが、きわどいところでGKが飛び出してクリア。


78分、青森山田はFW成田に替えて本来はDFの櫛引信を投入。最前線でのポスト役を担わせる。
79分、ロングボールのこぼれ球を中島が強引に打つが、バーの上。


ゲーム終盤もお互いに攻め合う。
81分、山梨学院。碓井のスルーパスに加部が抜け出し、サポートに来た平塚へ戻す。平塚が入れたクロスに動き直した加部が飛び込むが合わず。


82分、青森山田。左サイドからのクロスボールを野間が落とし、櫛引信が反転シュート。これがDFに当たってCKとなる。再びゴールエリアに人が密集するが、今度はシュートに持っていけない。


83分、山梨学院。左サイドから加部が持ち込み、伊東へパス。伊東が間髪入れずに裏へふわっとしたボールを送り、鈴木が抜け出してシュートを打つが、GKがなんとか押さえる。
さらに85分、碓井の大きなサイドチェンジから、鈴木がペナルティエリア右で一対一のシュートチャンス。しかしシュートはGKの正面を突く。


86分、青森山田。野間がクサビをヒールで流し、櫛引信が突進。これは山梨学院DFが必死のカバーリングでクリア。


89分、山梨学院は鈴木に代えて羽東を投入、前からボールを追わせる。
選手交代の直後、青森山田はゴール前への放り込みからシュートチャンス。しかし野間のオーバーヘッドは枠を捉えられない。


ここから4分間のロスタイムに突入。夕暮れが迫り、雲ごしに霞んでみえる薄日が差す中、最後の攻防である。


トータル90分、加部未欄がDF2人に付かれながらも、力任せにシュートまでもっていくがGKがキャッチ。


青森山田は長いボールを使うが、フィニッシュまで持っていけない。
トータル93分、中島が2度にわたって放り込むが、山梨DFがクリア。クリアボールを受けた山梨学院MF羽東が左サイドでゆったりとドリブルして時間を稼ぐ。


ここでタイムアップ。せめぎ合いを制した山梨学院が、初出場・初優勝を決めた。
山梨学院の選手達は、ホイッスルと同時にピッチに倒れこんだ。その上へ、ベンチから飛び出した選手達が次々と覆い被さっていった。


両チーム、がっぷり四つに組んだ好試合だったが、青森山田はその実力を発揮しきれなかったように思う。すでに書いたように、立ち上がり20分間における中盤のバランスの悪さが致命的だった。そのあとも、椎名・柴崎の調子は上がらないまま。準決勝(の前半)で見たようなあうんの呼吸は最後まで見ることができなかった。FW野間が前線で奮闘し、GK櫛引政が好セーブを連発したが、流れは変わらなかった。負傷を抱えてプレーした選手が4、5名いたそうで、ゲーム運びの面だけでなくコンディションも本調子ではなかったようだ。


山梨学院のほうは、全てが上手くいった感じ。まあ、勝ったからそう見えるんだろうけど。立ち上がりにプレスを効かせて主導権を奪いにいったのが効いた。サイド攻撃を武器の一つとするチームだけど、単純にクロスを放り込む場面は少ない。サイドに起点を作って、ニアゾーンを使ってフィニッシュに持って行こうという意図が感じられた。アタッカー陣は持ち前のスピードを発揮した。FW伊東はパスも出せれば自分で突破もできるいい選手。加部は、見せ場こそ少なかったが、あのサイズの物体が存在しているだけで相手DFはいやだろうし、そういう意味での仕事はこなしていた。守備面でいうと、GK松田は上背はないがいい選手だし、DF陣も最後まで集中力が切れなかった。ボランチ宮本は目立たないが効いていた。あとは、碓井。この試合は、碓井鉄平が椎名・柴崎に勝った試合だった。


山梨学院のスタメンのうち、碓井・平塚・関、交代で出てきた加部、ベンチに入ってた諸井はFC東京U-15むさしの出身。3年生の碓井・平塚・諸井は重松の同期。つまり、3年前の高円宮杯U-15決勝@国立で、G大阪の宇佐美にやられて泣いていた連中である。
当時のメモを見ると、碓井と平塚はスタメン(FC東京U-18組では重松・山口潤・年森・角田・梅内、2年生の廣木)で出ていたんだね。当時の観戦記(というかドタバタの顛末)はこちら。ピッチの中はスリリングなシーソーゲーム、スタンドもユースっ子の爆笑応援があったり、ヒトフリタンが乱入してきたりと、非常に印象深い試合だった。ユニバーで吉本たちが負けたあとの、やりきれない気分を振り払ってもらった、そんなゲームだった。俺の隣でサンタ帽(三宮で購入)を被って応援していたお兄さんは元気だろうか。


それから3年。
1年目、彼らは「あずさ」に乗って山梨へ行き、2年目、幾多の練習と試合を繰り返して成長し(想像)、3年目、再びここに戻ってきた。


戻ってきたっていえば、横森監督である。子どもの頃、韮崎の横森監督をテレビで見てました。一気におじいちゃんになって再登場して、なんか浦島太郎みたいだ(どっちが)。
黒田さんはまたもや悲願ならずだったが、まだ若いし、これからもチャンスはあるでしょう。


いずれにせよ、サッカーを続けていれば、見続けていれば、またどこかで会えるんだなあ、と実感できた試合だった。