2010年 プリンスリーグ関東 第8節 FC東京U-18 2 - 1 桐光学園高校


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※全て手元記録。

東京U-18の観戦はプリンスリーグ第4節以来。東京は、ここまで6勝1分で首位を走っている。
会場は東京ガス武蔵野苑多目的グラウンド。ようするに小平グランドです。実は、初めて来ました(汗)。花小金井駅で降りて、10分かけてバス停の隠し場所を探し出し、現地へ向かう。


小平に着いたとき、すでに東京側は人がいっぱいだったので、比較的空いていた桐光側に席をとった。


東京のフォーメーションは4-4-2。中盤から前の構成が前回見たときとは変わっていた。
この日の中盤は、ボランチに山口と橋本のコンビ、右に江口、左に武藤を配する布陣。前線は前岡がいないので(ケガ?)、佐々木をFWに上げ、秋岡と組ませた。秋岡がCFとして前線に張り、その周りを佐々木が広範に動き回るという役割分担。ただし、この二人は身長がそれぞれ173cm、171cmでターゲットマンとしては高さ不足。そこで、ゴールキックや自陣深くからのFKの時は、比較的高さがあって(177cm)競り合いに強い橋本が前線に上がってくるという変則的なやり方をしていた(苦肉の策かな?)。


桐光学園高は中盤フラットの4-4-2。ディフェンスが堅い。初見の選手ばかりなのでなんとも言えんが、ちびっ子テクニシャンのMF管能と、パワフルな左足キックを有するDF福森、ロングスローの使い手であるSB舘坂あたりが印象に残った。


東京はポスト役の前岡がいないせいなのか、なかなか前線にボールが収まらない。基本的に、サイドに展開してからボールを前に運ぶ形をとっていた。


しかし桐光学園の守りがいい。マークの掴みが早く、一対一で粘り強い。かつ、抜かれてもカバーリングが素早く、帰陣の意識も高いので、東京の選手が個人技を発揮しても、なかなか数的有利に結びつかなかった。DFラインは積極的にオフサイドトラップをかけるという感じではなかったが、コンパクトな陣形を保てるよう、常にラインの高さをコントロールしてたように思う。
あと、東京のサイド攻撃対策をしっかりやってきた感じで、とくに武藤は徹底的にマークされていた。アタッキングサードにはいると舘坂がほぼマンマークで付き、いい体勢でボールを受けさせない。加えて、武藤がボールを持つと主として高溝、管能の3人で素早く囲い込んで突破を許さず。前半の間、流れの中では武藤を押さえ込むことにほぼ成功していた。


それでも立ち上がりの時間帯、東京はボールを支配し桐光学園を押し込む。
6分、右CKをゲット。佐々木のキックをファーで受けた橋本がつなぎ、一人を経由して、中央で武藤が受ける。武藤は斜めに走り込む江口へふわりとしたパスを送る。江口がゴール前に抜け出すが、パスにはわずかに届かなかった。


ここからは、セカンドボール争いで徐々に桐光が優勢になり、流れを徐々に引き寄せ始める。出足が鋭く球際も厳しくくるので、本来キープ力のある東京の選手達もやや辟易しているように見えた。ボールを奪った勢いのまま手数をかけずに勝負にくるので、東京のDF陣はかなり手を焼いていた。


10分、桐光は中盤でFKゲット。ピッチ中央やや右、距離は35mぐらいかなあ。キッカーはDF福森。4枚の壁ごしに直接狙うが、強烈なボールはバーの上。続く12分、中盤のガチャガチャした当たり合いの中、ボールを拾ったFW菅原が管能とのワンツーでマークをはずし、思い切ったミドルシュートを放つが、これもバーを越える。
18分、桐光の右サイドからの仕掛けを東京・村松がファウルで止めてしまい(村松は警告)、FK献上。今度も距離は35mほど(かな?あんまり自信ない)。福森が放った強烈なライナーは枠を捉えていたが、GK三浦がパンチングでたたき出した。このスローインの流れからも桐光がシュートを撃っていくが、サイドネット。


この後は、東京がボールを回して好機をうかがい、桐光が集中した守備でそれをはね返す展開が続く。


24分、東京のチャンス。秋岡のポストプレーから廣木がペナルティエリアへカットイン、ちょっと外へ流れる動きでマークをはずした江口へパスを送る。江口はエリア右のやや角度のないところから強引にシュートを撃っていくが、桐光GK峰がニアを塞いでシュートブロック。リバウンドを拾ったのは東京。村松があげたクロスに橋本が飛び込むが合わせることができず、桐光DFがクリア。
28分、東京はペナルティエリア手前で武藤がキープ。例によって桐光守備陣にまとわりつかれながらも、ラインの裏へ柔らかなパスを送る。秋岡が鋭い動き出しで裏へ抜け、GKと一対一。しかしシュートはまたもGK峰に防がれる。
30分、三浦のゴールキックを競った橋本がファウルを受け、東京がFKゲット。江口のキックに武藤が飛び込むが桐光DFが先んじてクリア。
35分、自陣深くで得たFKをGK三浦が素早く蹴り、これに反応した佐々木が裏に抜けだしかけるが、福森が絶妙のカバーリングで阻止。


40分、桐光はFKのチャンス(位置は・・・18分のときよりは近いかな)。東京は壁4枚。桐光も4人を壁に入れておじゃま虫。福森のキックは強烈だったが壁直撃。
44分、桐光・舘坂のロングスローからゴール前の攻防でファウル。ペナルティエリアすぐ外で得たFKを再び福森が蹴るが、今度も壁に当たってしまう。


このあとは両チームともチャンスがなく、前半終了。


桐光学園にとってはしてやったりの前半ではなかっただろうか。流れの中でのチャンスこそ乏しかったが、中盤でのセカンドボール争いやゴール前での競り合いでは、むしろ東京より優位に立っているように見えたし、福森の強烈なFKは可能性を感じさせた。
守備は素晴らしい。ポジショニング、アタックのタイミングの良さと鋭さ、カバーリングの素早さ。そして最後に立ちはだかるGK峰。


きっと、1点を争う試合になるんだろうな、と思って後半を迎える。
後半は陽差しが強くなって気温が上昇。選手達にとっては、ちょっと体力的にきつかったかも。


後半開始直後、桐光はゴール前で強引なつっかけからシュートチャンス。ただし、混戦の中で味方に当たってしまったかな?


後半から10分間ぐらい、セカンドボール争いを制した桐光有利の時間帯。ゴール前の肉弾戦では、東京DF陣が明らかに押され気味。大きくクリアすることができず、セカンドボールを拾われて波状攻撃を受ける。タッチラインに逃れると待っているのはロングスロー(何となく駒大チックだ)。


スロワーは右SB舘坂。51分、ロングスローから競り合い。こぼれたボールをファー側にいたFW菅原が打とうとして足を上げたところで東京DFと交錯、ファウルをとられて警告。
52分、舘坂のロングスローのクリアを拾ってミドルシュートを狙うがバーの上。
さらに53分、桐光はセカンドボールを収めると前線に即フィード。これに反応したMF岩浪が抜け出してGKとの一対一からシュートを放っていくが、東京GK三浦が好セーブ。


55分、東京は橋本が中盤でキープしてファウルを誘う。約30mのFKを佐々木が蹴るが、ふかしてしまってチャンスをフイに。


61分、桐光のロングスロー。FW菅原が落としてMF管能がシュートするが枠をはずす。


60分過ぎには桐光のラッシュも一段落。桐光はそろそろ疲れが出てくる時間帯。前半のように武藤を2,3人で徹底マークする余裕が無くなってきたのか、比較的フリーでボールを持てる機会が出てきた。


62分、フリーで持った武藤が左サイドからドリブルでカットインし、一瞬ニアにコースが空いた瞬間にシュート。しかし、シュートは惜しくもポストわずかに左。
続く63分、佐々木のFKから中央でヘディングシュートを撃つが、枠を越える。


65分、桐光の選手交代。FWの一枚を佐野から坂本にスイッチした。


桐光は基本的に自陣に引いて守備ブロックを固めつつも、チャンスとあれば一気に全体を押し上げて勝負に出てくる。
69分、舘坂が右サイドでキープ、東京DFに寄せられるが一気に勝負にでるとこれが成功。ペナ右に切り込んで中央で構える菅原にパスを送る。東京の大ピンチだったが、菅原のシュートはGK三浦が好反応で弾き出した。


両チームベンチが次の交代選手を準備させた72分、桐光学園はFKをゴール前へ放り込む。東京DFがクリアするが、これを拾った交代出場の坂本がループ気味のミドルシュート。GK三浦がバックステップして手を伸ばすが届かず、シュートはネットを揺らして桐光学園が先制した。


直後、両チームは選手交代を行う。東京は2枚替えで江口→岩木、佐々木→岩田。桐光は管能→三荷。


このあと、基本的には守りを固めつつ、機会があれば一気に人数をかけて追加点を狙う桐光、ボールを回してサイドから切り崩しを図る東京、という展開が続く。


両チームは次々と交代選手を投入。
東京は75分に秋岡から斎藤涼。斎藤涼は攻撃的な左サイドで積極的にプレーしているように見えたが、わずか8分のプレーで83分に湯浅と交代。ケガでもしたのかな? この時間帯には、武藤がFWに上がってましたね。


桐光もフレッシュな選手を投入して全体の運動量を維持。


東京は「持たされている」時間帯が続く。桐光が守備ブロックをがっちり固めて隙を見せず、パスを出せないでいるとチェイシングをかけられてボールを下げざるを得なくなる、という場面が多くなる。


強引に攻めても桐光ディフェンスはほろこびを見せず、前線に持ち込んでもわずかな時間ボールをさらしたら桐光DFの素早いアタックにあって奪われる。もうダメかな、と思った86分、流れは一転した。
東京の右CK。湯浅のキックは桐光DFに弾き返されるが、廣木が拾って湯浅にパス、湯浅がファーサイドへクロスを入れる。これを収めたのは武藤(桐光DFが触ってこぼれたかもしれない。なにせ、ピッチの反対側なので)。ちょっと中へ突っ掛けてからの右足シュートが人垣を抜けてニアサイドをぶち抜き、東京が同点に追いついた。
このとき、GKの三浦まで飛び出していって祝福してましたね。


たたみ掛ける東京。DFにまとわりつかれながらも、懐の深いキープで中央を強引に突進する橋本にたまりかね、桐光DFがファウルを犯す。位置はゴール正面、20m強ぐらいかな。ずらりと並ぶ壁。キッカーは岩木。右足から放たれたボールが壁を越え、曲がり、ゴール左上の隅に吸い込まれた。この超美技で東京逆転。


直後、桐光は岩浪に代えて関島を投入し最後の反撃。
アディショナルタイムは3分。桐光がDF福森を上げてパワープレーに打ってでれば、東京も92分に廣木を下げて長身DFの永井を投入する執念を見せる。
桐光にロングスローの機会が2度(だったっけ?)あり、GK三浦が前に出るがさわれず、DFがゴールマウスの中でクリアするなんて危ない場面もあったが、最終盤を凌いだ東京が勝ちきり、全勝を守った。


敗れたりとは言え、この試合の桐光学園は素晴らしかった。特に、守備の手堅さ、粘り強さ、そして判断力がすごい。原則通りにポジショニングを崩さずに粘り強くやっていて、機会と見れば素早くアタックして奪う。前半、武藤を徹底マークしていたが、人数をかけて囲い込むときも全体のバランスが崩れない。サイドの起点を潰すべきとき、逆に真ん中を固めてシュートだけは打たせない体勢を取るとき、その切り替えの意識が徹底していた。
切り替えの意識といえば、勇気をもった攻守の切り替えも見せた。引いて守っているだけではなく、チャンスを見れば思い切ってラインを上げ、前に人数をかける。そして、セカンドボール奪取率を上げ、波状攻撃をかける。FWで誰か化ける人がいるともっと上にあがってくるんじゃなかろうか。


全体としては完全に桐光の思惑にはまったゲームだったのに、土壇場でそれをひっくり返した東京U-18は、ほんと、強いとしかいいようがない。
あの最後のグダグダの中で、一瞬めぐってきたチャンスを決めきる力。そして変わった流れを逃さず、逆転する力。ベタですが、勝利への執念ってのを感じました。
執念といえば倉又さんもすごい。結果的に采配がどんぴしゃりと当たってしまった格好で、この試合は倉又劇場と言ってもいいかもしれない。主審の判定に熱いツッコミをかまして観客の苦笑を誘う場面もあったし(ファウルの基準が良くわからない人だった)。


前岡がいないとグダグダになっちゃったり、DFラインがドタバタしちゃう場面があったり、まだまだチーム作りの途中だな、って気はするけど、今年も楽しみなチームができあがってきましたね。


次は5月30日、ベルデーが相手か。見にいきたいなー。見にいけるかなー(かなり疑問形)。