2010年J2第21節 大分トリニータ 1 - 0 カターレ富山


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さて、試合だが、大分トリニータvsカターレ富山の対戦である。


去年はJ2降格と経営破綻のダブルパンチで暗黒の年を送った大分。
仕切り直しの今シーズン、開幕直後は好調だったが、その後は失速。最近12試合勝ち星がないらしい。もともと選手数が少ないところにもってきて、故障者が多いとか。


フォーメーションは4-4-2。
CBは菊池とユーティリティーの藤田、右SBには大宮から借りてきてコンバートした土岐田、左に内田。
ボランチは宮沢と井上。
攻撃的MFは右がユース上がりの東、左は一時えらく調子の良かったキムボギョン、FWは高松とチェジョンファン。
面子だけみると、J2ではそれなりの戦力を誇っているように見える。


富山も4-4-2。こちらは、相変わらずJFLからの持ち上がりメンバーが主体である。


大分は、前からプレスをかけてくるというふうではなかったが、守備から入って、パスを繋いでビルドアップしようとしていた。
しかし、繋ぎにミスが多く、富山のプレスに引っかかってショートカウンターを招く場面が目立った。
しかし、前線の高松にボールが収まるので(フィード源は宮沢と菊池)、押し上げて、東、キムボギョン、チェジョンファンあたりのコンビネーションで攻め込むことができた。


しかし、富山の守備が堅い。中盤でのプレスをかわされても、すばやく引いて守備ブロックを再構成し、なおかつゴール前では体を張る。


大分はディレイをかけられると手詰まり。けっして、前線の選手のコンビネーションがいいわけではない。
サイド攻撃、とくに左サイドからのアタックを試みるが、キムボギョンはスピードを生かした突破は迫力があるものの、玉離れが悪く、強引さが多い。左SBの内田が積極的にオーバーラップするが、クロスの精度が良くない。


前線でも、チェジョンファンの動きが良くない。足元で受けてから強引に仕掛けるだけ。


もっとも、富山もカウンターの機会こそあるものの、少人数のカウンターでは大分のディフェンスラインを突破できない。とくに菊池が、寄せの速さ、一対一の強さを発揮し、富山のカウンターを潰していた。


前半残り10分ぐらいになると、富山もある程度ボールを持てるようになり、全体を押し上げる。
FW木本が素早い動き出しで裏のスペースを突いてボールを引き出し、朝日もタイミングよく中へ入ってきて仕掛けに絡んできたが、黒部が押さえられたせいもあって決定機につなげられず。


試合は膠着したまま、前半終了。


後半、早々、富山にビッグチャンスが訪れた。
51分、左クロスに対し、ダイアゴナルの動きでマークを振り切った朝日がゴール前に飛び込むが、シュートは惜しくもクロスバーを叩いた。
これが試合を通じて富山最大のチャンスだった。


試合が動いたのは57分。左サイドをオーバーラップした内田のクロスを高松がヘッド、これがGKの手をはじいてゴールイン。
大分が先制した。


内田は前半から積極的にオーバーラップを仕掛けていたが、左足のコースを切られていいクロスを上げられなかった。しかし、この場面では切り替えしてDFの意表をつく右足クロス。これがドンぴしゃりだった。


富山は、ここまで良く守っていたが、一瞬の隙をつかれた格好。


リードされた富山は立て続けに交代選手を投入、反撃に出る。

一方、大分は守備から入ってカウンター狙い。東やキムボギョンが富山ゴールを脅かすが追加点は奪えず。


高松に代わって森島が入ると、高い位置でキープできなくなり守勢に回る。


富山はロングスローまで使って強引に攻める。
大分は、守備固めで入った刀根が負傷して、交代枠を使い切っていたため、ゲーム終盤は10人で戦わざるを得なかったが、菊池を中心に守りきった。


大分は勝つには勝ったが、内容が・・・
とにかく、攻撃陣のコンビネーションが悪い。とくに韓国人2人に強引なプレーが目立った。
チェジョンファンは足元で受けて強引に勝負するだけ。
キムボギョンの突破には迫力があるが、突破してからのアイデアが乏しい。ただサイドを走って、ゴールライン際で詰まって苦し紛れにクロス、という場面が多く、実にもったいない。


このあたり、監督がちゃんと指示してやる必要があると思うのだが、なにかしているようには見えなかった。ファンボ・・・


今オフで草刈場にされてもなお、大分は質の高い選手を保有している。J2で中の上ぐらいの力はあると思う。
菊池は強力なDFだし、ユース上がりの東は非常にポテンシャルを感じさせる選手。韓国人二人ももっとできるだろうし、なんといっても精神的支柱としての高松がいる。


昇格うんぬん以前に財政問題を解決せにゃならんという足かせがあるのだが、4ヶ月も勝ち星から遠ざかるようなチームとは思えない。ファンボ・・・


一方、富山は、よく守ってはいたが、攻撃は力不足。木本の裏への動き出しや、朝日のシャドーストライカーとしての動きは一見の価値があった。
しかし、黒部が不調。ボールが収まらず、前線の蓋にしかなってなかった。
富山は、新卒時にプロへ行けなかった選手でも、鍛えればここまでできるといういい見本だと思うのだが、これ以上上にいくためには、やはり個の力を持った選手が必要かと・・・そのための黒部だと思うのだが、衰えがつらいな。