2011年J2第17節 FC東京 1 - 0 徳島ヴォルティス(観戦19試合目)


(高解像度イメージは、画像をクリックして"オリジナルサイズを表示"を選択)


J2第16節は徳島ヴォルティスとの対戦。おお、上位チーム様との試合じゃ。

天候は曇。湿度は高いが、気温は低めで風があるので、まあまあすごしやすい。


東京は4-2-3-1フォーメーションでスタート。権田がU22代表に招集されたため、塩田が開幕以来の先発。ベンチ入りGKは常澤。その他は前節と変わらず。


徳島は4-4-2。ケガから復帰した津田がスタメン。純マーカスが筋肉系トラブルのため、濱田が先発ボランチ。ベンチは、衛藤、徳重、杉本となにげに豪華である。


味スタのピッチはあいかわらずスリッピーで、この試合も足を滑らせる選手が続出(レフェリーまでこけてた)。水を撒いたせいもあるが、もともと下が柔らかいコンディションになっていたようである(スカパーの日々野さんピッチレポート)。


キックオフは午後18時。

前半20分すぎまで、圧倒的に東京ペース。セザー、羽生が左右に流れたり引いてきたりで、完全に0トップ仕様。繋ぎ倒すサッカーを実行し、ボールを保持し続ける。
マイボールの時の東京は、高橋がアンカー、サイドMFの一人(主に田邊)がボランチに下がる。SBはボランチより高いぐらいの位置取り。前はセザーがサイドに流れ、羽生がDFラインとの駆け引きを行い、谷澤が守備ブロックの間に潜り込み、彼らの間を梶山が遊動する。

徳島は、MF・DF2列のブロックをセットして守る。だが、待ち受け型プレッシングというよりリトリート型プレッシング・・・最初にセットする位置自体はそんなに低くないのだが、ボールへのアプローチが遅く、セザー、羽生、谷澤がMFとDFの間で受けてターンできる場面多し。また、FWが東京のボランチにプレッシャーをかけてこないため、梶山・高橋が落ち着いて繋げる。
かくして、徳島のブロックはじりじりと自陣に後退し、ボールポゼッションは圧倒的に東京優位。東京は大きなサイドチェンジをも駆使して徳島守備陣を揺さぶる。

徳島の攻撃は散発的。2トップによるカウンターを狙うが、今野・森重に阻まれる。

20分過ぎからは徳島がやや盛り返し、高い位置でボールにアタックをかけるようになってきた。セットプレーでの島田の左足は脅威。長い距離でも曲がり落ちるボールをピンポイントで蹴ることができる。東京陣内でパスを回す時間帯もあったが、東京の守備ブロックに入り込めない。

その後も、ポゼッションは東京優位で、東京はゆったりと繋ぎながらアタッキングサードに持ち込み、隙をうかがう。
このまま前半終了かと思われたロスタイム、梶山のパスから谷澤クロス→逆サイドでセザー折り返し→前進していた梶山が変態シュート、という形で先制できた。


後半は徳島がプレスを強めてきて、東京も徳対抗、中盤での奪い合いが続き、ガチャガチャした試合になる。

徳島は東京陣内でのボール奪取も多くなってくるが、ミスでフィニッシュに繋げられない場面多し。流れを変えようと遠目から狙ってくるが、塩田が危なげなく対応。
徳島のチャンスは、佐藤晃投入後、そのポストプレーから柿谷が狙った2本。柿谷はセンスの片鱗を見せたが、結果はだせなかった。

東京はカウンター、もしくは繋ぎから何度かチャンスを迎えたが、ものにできず。谷澤・・・。

というわけで、今週もウノセロだったのだった。



以下、試合を振り返って感想。


流れ的には、序盤、徳島のブロックがズルズル下がったせいで一方的にボールを支配。ボランチにプレッシャーがかからなかったので、梶山・高橋が伸び伸びとプレーできた。20分すぎには徳島の守備が修正されたが、その後も繋げる時間帯を作れたのは収穫。

あいかわず、アタッキングサードでノッキングする場面が目立つが、それでもシュートに持ち込めるパターンが多くなってきた。セザー、羽生がサイドに流れてできたスペースにボランチが上がってシュート、というパターンは確立(良い点その1)。

羽生とセザーがサイドに流れることによって、徳島のCBをフリーズさせていたように思う。中央へのカットインを警戒して、動けない。その前のスペースを使ってミドルを打てた。

また、ツーラインの守備ブロックの間に潜り込んで縦パスを受けターンするという場面が多くみられた。その後の展開に詰まり、ボールを戻すか個人技勝負になりがちであったが、セットした相手を攻略するための要素を身につけつつある(良い点その2)。

ボランチからのサイドチェンジも効果的だった(良い点その3)。

次のステップとして、繋ぎから裏取り、というパターンが欲しい。遅攻の場合、クロスからもしくはミドルシュートからフィニッシュ、というパターンばかりで裏取りは不発。パス出しのタイミングが遅れ、囲まれてパスコースが消される、という場面が多い。選手間の連携不足、判断の遅さなどが原因だろうが、パスを受けるときの体の向きもまだまだ。今は、パスを受けて、向き直って、コースを探す、という3ステップを踏む。これでは相手に寄せられる。適切な体の向きを確保することによって、"向き直り"もしくは"コースを探す"ことに要する時間を短縮したい(感覚的には、2ステップに近づけたい)。このへんは日々の練習あるのみか。


守備の改善点は、カウンター対処、サイドの守備、セカンドボールへの意識、の3点。

まず、相手のカウンター対処。ひとつには繋ぎの過程でボールを失ったとき、あくまで前で(即時に)奪い返すことを目指すのか、それともディレイをかけてブロックを整えるのか、という判断の問題がある。

32分、カウンターから橋内に右サイドを上がられアーリークロスを入れられた場面。前半のうちで最も危険な場面だった(ドゥグラスがQBKで事なきを得た)。このとき、ボールを奪われた直後の対応が遅れて、サイドに出されている。谷澤の寄せがアリバイ的だった。厳しくアプローチしていれば、少なくとも遅らせることができたケース(極端な話、ファウルでも良い)。さらに、後方の選手のポジショニングも悪かった。この場面で北斗はDFラインに残っていて、ミドルサードの左サイドに大きなスペースができていた。そこを使われた。北斗はボールを失った直後に前目に移動し、サイドにボールを出されても素早く対応できるようにすべきだった。中に3枚いたので、中央エリアのカバーリングを意識したのかも知れないが・・・。橋内がアーリークロスを選択されたため、結果的に北斗は遊兵化してしまった。

次にサイドの守備。数的同数ないし不利を作られてピンチになっていた。

83分、橋内のクロスから佐藤→津田→柿谷と繋がれて決定機になった場面が好例。クロスを打ち込まれた東京の右サイドでは4vs3の数的不利になっていた(徳永がタッチライン側で西嶋をウォッチ、佐藤に今野、津田に高橋、中に入ってきた柿谷がフリー)。佐藤の落としに対する高橋のアプローチが外されてシュートに持ち込まれた(裏に抜けた柿谷に対し森重がマークを捨てて対応したが、シュートを阻止できず)。誰でもよいが、前方の選手が戻って柿谷をマークすべきだった(あるいは梶山が対応可能な位置にスライドする)。

流動的なスタイルを採っているため、どうしてもサイドの人数が足りなくなってしまう場合がある。前で奪い返すことを徹底するほうが、ピンチの数が減らせるかな?

セカンドボールへの意識は高く持って欲しい。はね返し型のCBがいないため、どうしても1試合に何度かはいい落としをされてしまうので。とくにボランチの2人。

もっとも、2点目をとろうと重心が前にかかっていたのでピンチになったという側面はあると思う。早めに2点目がとれれば、陣形を整えてカウンター狙い、という手も使えた。後半は石川が使えるのだし。

あ、それから自陣でのパスミスは勘弁してくれ。特に徳永。大熊さんは「椋原カード」をちらつかせて脅迫すべき。ついでに、北斗にも「巧」カードを。



草民は球離れが悪く、不調。マークされて仕事できず。攻め上がる動きも少なかった。もっとも、草民にマークが集まったので、その分、梶山や高橋が仕事できた面あり。

サイドバック2人のパフォーマンスに不満。徳永は自陣での危ないパスミスあり(前半)。北斗も、前半は判断が悪かった。後半は積極的に攻め上がっていた。

梶山は普通。普通に変なことして、敵味方両方を欺き、ミスもあった。高橋との連係は良くなっていると思う。

谷澤はようやくなじんできたかな。羽生さんはいつものとおり、相手をかく乱。セザーは1アシストと仕事した。守備も貢献。塩田は安定、両CBは無双。

高橋はまだ危なっかしいが、試合ごとに進歩している。繋ぎは前節に比べ安定。攻撃参加も良い。課題はセカンドボールへの反応。高さが出せるので、中盤センター底の守りは堅くなった。もう徳永がボランチに戻ることはないだろう。


徳島はブロックを固めて、2トップによるカウンターを狙っていたようだが、その2トップが今野・森重にほぼ完敗(ドゥグラスのアレだけ)。
立ち上がり20分は引きすぎ。2ラインを保ってはいたが、奪うタイミングがはっきりせず、ずるずる下がる。また、FWが東京のボランチにプレッシャーをかけなかったのは致命的。

島田はセットプレーでは脅威だったが、流れの中では存在感がなかった。

柿谷は中へ入って、浮いたポジショニング。SB-CB-ボランチの間を浮遊していた。佐藤投入までは、いいボールを貰えなかったが、流れの中では一番怖い選手だった。だから、少なくとも柿谷については、サイドを使わなかったからダメ、というのは違うんじゃないかと。奴はセンターエリアで仕事をさせるべき選手。

後半、徳島はプレスを強めてきたが、例えボールを奪えても落ち着いたプレーができず、ミスでフィニッシュに繋げられなかった。それが彼らの敗因じゃないかと思う。


つまり、そういう質の選手が徳島には少なかったってこと。逆に言えば、東京の選手の質によって徳島のアタックが消されてしまった、とも言える。

だから、試合直後には圧勝という感想を抱いたんだろうな。録画を見直すといろいろ出てくるんだけどw。


以下、写真。


両チームともマスコットが狸なんだってさ! 遠路はるばるご苦労様!



ヴォルタ君には会えなかったが、巨大すだちに遭遇。



塩田のシャー。


以上。