2011年J2第27節 FC東京 6 - 1 京都(観戦38試合目)


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この試合の教訓。

クロスがないなら、シュートを打てばいいのよ!



というわけで、J2も残り15試合。多いんだか少ないんだが良くわからないが、勝負の秋です。


第27節は約1ヶ月ぶりの味スタ開催。最近、北の方ばっかり行ってたからねえ。


東京は、北斗が累積警告で今節出場停止。代わりは阿部巧・・・ではなく椋原。京都の10代3トップ対策で、守備力を買われての起用ということ。左足がアレなところは目をつぶるらしい。まあ、レギュラーの北斗だって左足はけっこうアレなので、ある意味、これまでの選手起用を踏襲した形。むしろ、守備の確実性という意味では椋原のほうが良いと思う。巧は・・・残念。彼の武器たる左足クロスは、ターゲットマンのいない状況で使い所を失っている。厳しい世界だね。


京都はユース上がり&在籍中の若手FWを積極的に起用し、最近調子を上げてきた。来年、さらにその先を見越した選手起用なのでしょう。フォーメーションは中盤ダイヤモンドの3-4-3。3バックのセンターには、ケガで出遅れていた秋本が定着。中盤の底は散らせるテクニシャンのチョンウヨン。3トップの左には中村太が先発。高校生の久保は夏休みの宿題が終わっていないのでベンチスタート(違)。


立ち上がりは京都が良かった。いまや、東京対策の定番となった、ボランチ&ディフェンスラインへの激しいプレスを敢行。もっとも、京都はブロック作って守るチームではないので(というか守れない)、高い位置でのボール奪取が生命線。もともと、こういうサッカーを指向してるんでしょう。この試合では、ボールホルダーへの寄せが早く、球際もアグレッシブ、つーかややラフで、東京は後方での繋ぎが思うように行かず、リズムを失う。前節・栃木戦で行ったように、最初の15分ぐらいは蹴ってプレスをいなそうとしていたが、ルーカスがキープできないため時間を稼げない。ルーカスは相手ディフェンスの真ん中でボールを受けようとする場面が多かったが、3バック横のスペースに流れてクサビを受けるとか、工夫が欲しかったところ。


京都は高い位置で奪って人数をかけた速攻を繰り出してくる。フォーメーションからして前の人数が多いし、ボランチやウィングだけでなく3バックのサイドDFもオーバーラップを掛けてくる(右DFの酒井がミドルを売ってくるし、先制点となった宮吉へのパスを出したのは左DFの森下)。切り替えの瞬間に数的不利を作られる場面が多く、ヒヤヒヤしっぱなし。そして、谷澤のボールロストからショートカウンター一撃で先制される。森重も今野も、あそこでボールを失うことを想定していないポジション取りで、かつ森下の早いグラウンダークロスが絶妙だった。


その後も京都のペース。あいかわらず高い位置でのプレスが効いていて、ときには思い切り局面に人数を掛けてきてボールを奪う。ただし、後ろのほうはけっこうスペースが空いていたので、京都の運動量が落ちてくれば反撃のチャンスが来ると思ってはいた。心配なのは、選手のメンタル。なんか、重しを背負っているような動きに見えた。そして、あいかわらず10番がパスミスを連発して、反撃の起点となりえない。流れを変えたのはベテラン。羽生が接触プレーで倒れ、しばらく時間を稼いで、気持ちを整える時間を作り出した。この後から、徐々に流れが変わったように見えました。


そして31分、田邊の右サイドのクロスに、ルーカスがDFにまとわりつかれながらも何とか足に当て、これが結果的にループシュートとなってポストをかすめてゴールイン。なんかインチキ臭い得点だが、これまではバーとかポストとかにだいぶ阻まれていたので、時々はこういうのもないとね。
これで、選手達の気持ちが楽になったと思います。


その直後、カウンターのチャンス。ボランチの位置まで下がって起点となるプレーを見せていた田邊からのスルーパスに椋原が飛び出し、中に入ってコースを作ってからファーサイドにミドルを突き刺した。右SB起用時はかなり積極的な攻め上がりをみせ、去年の天皇杯鹿島戦とか、今年の序盤戦でもFWみたいな攻め上がりを見せていたが、ここまでゴールという結果は出ていなかったのが、なんと左SB起用で決めてしまった。「高い位置では逆足のプレーヤーを起用せよ」という最近の流行を裏付けた結果となりました(え?)。


椋原は、このあともまるでウィングプレーヤーかと思うようなペナルティエリアへの侵入を数度にわたって見せ、かのアウグストを彷彿とさせるプレー振りで、徳永を完全にバランサーとしての役割に封じ込めた(違)。


京都は、同点にされた後、混乱してしまったように見えた。もともと、守備組織は全然整って無くて、試合を通じて攻めてナンボ、というサッカーをしてきた。そのおかげで、中盤から前の守備意識というのは向上していて、人数をかけて奪ってから人数をかけたコンビネーションで早めにフィニッシュに持って行く、という方向での意識付けは定着しつつあると思う。
ただし、これ、「ハエサッカー」のコンセプトだよね・・・・あれの弱点は、運動量が落ちて局面に人数を集中しきれなくなると、ポジショニングの歪みが顕在化し、守備が破綻する、というものだったが(というのが私の理解です)。


で、そのへんの対策が全然できていないのが今の京都。受けに回った場合、どういう守り方をするかが全く見えてこない。漫然と3-4-3のフォーメーションを保って、抜かれたらDFお願い、という感じなんだよね。もう水本もカクテヒもいないんだぞ・・・


こういうチーム相手にリードすると東京はめっぽう強い。後半はゴールショーで締めくくった。


今年の京都は、東京のトランキライザーみたいなもんだな・・・
同じコンセプトのチーム同士がぶつかると、現時点のチーム力の差がもろに出てしまう。


MVPはルーカスとか椋原とかなんだろうけど、私的には田邊。低い位置で繋ぎの起点となり、そこから前に出て行くスタイルがはまっていた。
もう一人は高橋。アンカーの位置で最終ラインのフォロー、前に出て行ってのインターセプト、ビルドアップにもしっかり絡み、申し分の無い出来。すっかり計算できる選手に成長した。


苦しい8月だったが、目下の懸案であるディフェンスラインへの鬼プレス対策として、①最初の15分ぐらいは蹴っていなす(ルーカスお願い)、②草民がボランチの位置に入って起点を増やす、③GKをパスワークに組み入れる(塩田だとちょっと怖いんだが)、という解を身につけつつあり、もう大崩れすることはないように思える。


決定力はなんつーか永遠の課題なのだが、一番正確にシュートを打てるのはルーカスなので、一瞬でいいからペナルティエリアで前向ける機会を上げられれば、と。そのためにはマークを剥がしてやらなきゃならないんで、羽生さんお願いします。


セザーも戻ってくるだろうし、あとは10番が目覚めてくれさえすれば盤石なんだが、これだけはどうにもならないかもね・・・大熊さん、もう草民はいいから梶山をいじりませんか?



だんだん日が短くなり、秋を感じる。



東京ゴール裏。久しぶりの味スタでテンションが高かった。



京都からお越しの皆様。




両チームのスターティングフォーメーション。



どたばたしたが、前半のうちに逆転できたのが大きかった。



後半開始早々、森重、ヘディングシュートの瞬間。ニアサイドに向かって敵味方の密集がドドドッと走っていって、それが過ぎ去ったあとに森重が一人たたずんでいた。ヤザーのコーナー、落ちる弾道だったような。



ルーカス直接FKの瞬間。きれいに決まったね。



5点とったところで撤収開始(最終の新幹線に間に合わん)。ゴール裏まで移動して最終盤を見てたら、サンキュー坂田ゴールが決まった。やったね。


来週は愛媛だ。まってろ、一平くん!