2014年J1第9節 膻浜Fマリノス 0-1 FC東京(観戦17試合目)

GW狂気の4連戦の初戦は日産スタジアムでの鞠戦。去年の鞠戦は、アウェイの日産で打ち合いの末破れ、ホーム味スタでは実力差を見せつけられて完敗した。
だが、今年はちょっと違うだろう。チームは上り調子、そしてあちらはACLでお疲れ。
ちょっと期待しつつ、あだっちぃを横目でみながら(写真とるの忘れた)日産スタジアム到着。ひなたは汗ばむ陽気だが、日陰は肌寒い。



両チームのスタメンとオリジナルフォーメーションは以下のとおり。

河野がベンチからも外れた(ちょっとしたケガらしい)。スタメン発表でFW登録になっていたタマがトップ下に入るのかと思ったが、実際は左のインサイドハーフ。東が本職のトップ下に入った。鞠さんはいつものメンバーらしいです。


東京の守り方の基本形はこう。

基本は2トップでボランチへのパスコースを遮断し、相手の中盤をしっかり捕まえてボールの出しどころを消す。タマは俊サンをタイトにマーク、かなり行動の自由を奪うことに成功していた。タマ、成長したなあ。


実際はこんなかたちが多かった。

試合冒頭から、東京はマリノスのバックラインとボランチに激しいプレスを敢行、高い位置でボールを奪ってショートカウンターを繰り出した。
2トップだけで4バックにプレッシャーをかけるのは難しいので、東がサイドに流れてSBを見るような形になっていた(スカパー!の中継みると、「ヒガシ、サイド!」という声が聞こえる)。東京の前線がワイドに開いた3トップみたいに見えたのはこのせいです。
そのプレスの激しいこと、ボールがとれそうと見るや、タマが俊サンのマークを放り出して小林に詰め、高秀先生と米本もスライド&前に出てきてプレスに加わる場面も何度かあった。


あれ、これまでの、前半堅く来て後半に仕掛けてくるパターンとは違うぞ、と思ったが、どうやらミステルは先行逃げ切りのゲームプランだったらしい。
理由として考えられるのは、マリノスはゲーム序盤に失点する傾向があること。
ゼロックスACLも含めて、この試合の前までにマリノスは公式戦15試合を戦って18失点している。時間帯別失点は、以下の通り。

前半0ー15分:5点
前半16-30分:0点
前半31-45分:2点
前半AT:0点
後半0ー15分:2点
後半16-30分:5点
後半31-45分:3点
後半AT:1点

・・・・なんと立ち上がりの時間帯に5失点を喫している。ゲームの入り方に問題を抱えているのだろう。我らがミステルはここを狙ったのか。選手コメントを読むと、マリノスの選手たちも狙ってくると思っていたようだ。
ちなみに後半16-30分の間にも5点を奪われているのは、試合展開から考えるに先行されて攻めに出てカウンター喰らった、ってパターンだろうか。


ともあれ、このゲームプランは見事にはまり、早速4分、タマのボール奪取から東がクロス、これに平山が飛び込む場面があった。続く7分、千真がボランチからボールを奪い、平山のシュートの跳ね返りを東が押し込んで先制した。
12分にはタマの右足クロスに平山が合わせてネットを揺らすが(触ってない?)、これはオフサイド判定(水沼さんはマリノスラッキーだね、って言ってるw)。さらに17分にはタマがサイドをえぐってマイナスの折り返し、これにマークを振り切った千真が合わせるがシュートはバーの上、という決定機。
立ち上がりのショートカウンターのパターンだけでこれだけありますね、俊サン。それから、全部マリノスの右サイドからのチャンスで、右SBの小林、やっぱり疲れてるなあ、と感じた。
さすがに20分過ぎる頃にはマリノスも慣れてきたが、その後も東京は出足もよく球際も激しく、マイボールになれば後ろからも上がってきて人数のそろった速攻を繰り出し、いい感じで試合を進めた。


一方、マリノスの攻め方はこんな感じ。

このチームの攻め方の特徴は、サイドに人を集め、パス交換を繰り返してチャンスをうかがうこと。ペナルティエリアの角付近に起点を作ってのゴール攻略を狙っている。上の例では、サイドバックの下平が上がってきて藤本・学とトライアングルを作りパス交換、CB(吉本)を引っ張り出したところで裏に抜けてゴールライン際をえぐるか、あるいは手薄になったゴール前目がけてシンプルにクロスを上げてFWと逆サイドのウイングを飛び込ませる、ってパターンが多い。しかし、この試合では藤田がゴール前に孤立気味で、逆サイドのウイングが中に入ってくる動きや、ボランチの攻め上がりも乏しく、攻撃に厚みを持たせることができなかった。逆にそういうプレーをしたときはシュートに結びついていた。30分、俊サンが逆サイドまで来てクロスを入れた場面とか、中町がこぼれ球を拾ってミドルを狙ったシーンとかね。


HTにマリノスは2枚を交代。中町→伊藤翔、小林→奈良輪。フォーメーションはこう。

前線を2トップにしてきた。中盤は藤本と寛平のダブルボランチだろうか(間寛平さん来たんですかね?)。


東京は前半と同じやり方で守るのだが、4-3-3の構造上の問題、中盤がスライドした逆サイドのスペースを狙われる場面が出てきた。

51分、この試合最大のピンチ。サイドでボールを回されて、それに対応して中盤3枚がスライドしたときに俊サンにサイドチェンジを出された(濃紺点線がボールの動き)。がら空きのスペースでボールを受けた下平が狙い澄ましたクロス、これに伊藤翔と藤田の2枚が潰れ、ファーにこぼれたボールにフリーで俊サンが飛び込む!・・・キャー・・・フカした(ほっ)。俊サン、やっぱり調子悪いんだなあ、と思った。


この直後、52分から東京はシステムを4バックに変更した。高秀先生がマッシモに呼ばれた直後、指を4本にして指示ました。

マリノスの前線が2枚になったことで単純に攻撃の厚みが増したこと、一方で東京の運動量がさすがに落ちはじめ、スライドの動きが次第に間に合わなくなってきたと判断したのだろうか。
4-4-2にシステム変更後、東京は前に出なくなる。前半から飛ばしてきたことに加え、日中の暑さ(♪夏だ夏だとんがろう)、さらにこの後も連戦が続くことを考慮したのかもしれない。


さらに72分頃、東京はさらに5-3-2にシステム変更。

高秀先生がディフェンスラインの中央に落ちた。5バックにすることによってサイドの深い位置のスペースを消し、ディフェンスにとって対応の難しい、真横からのクロスを抑える。中盤はタマ・米・東の3枚でバイタルのスペースを消す。2トップは相手のボランチを抑える。
中盤が3枚なので相変わらず両サイド(黄色の丸)のスペースが空くが、森重・先生・吉本+権田がいるので前を向いて対応できるクロスはかまわない、こぼれ球も3ボランチと合わせれば対応できる、ということなのかな。
マッシモを見ていて面白いのは、「ここは押さえる」だけじゃなくて。「ここは捨てる」って判断が見て取れること。
とにかく、このシステム変更で試合は完全に膠着した。マリノスは単純なクロスを放り込み、跳ね返される場面を繰り返す。


マリノスは82分から栗原を前線に上げてパワープレーに出た。

こんな形。後ろは富沢がDFラインに入る形で4-3-3だろうか。ま、状況は変わらないんだけど。
後半シュートゼロの東京がマリノスの力攻めをしのぎきり、前節に続いてクリーンシートで勝利した。


いやー、こういう勝ち方も痛快ですねえ(ニヤニヤ)。
よく見るとマリノスに決定機を与えてるんだけど(俊サンのあれとか)、こっちも前半は何度か決定機を得てるし微妙な判定もあったんで、そのへんはお互いさまかと。
先行逃げ切りのゲームプランを見事に遂行、こういうこともできるんですねえ(ニヤニヤ)。
退屈な東京、いいじゃない。


一人心配なのは千真かな。前線からの守備というタスクは完遂したし、実際に得点のきっかけとなったボール奪取は千真だし、仕事をしたことは確か。でも、本人は納得してないだろうな。端から見てると、シュートのタイミング、一瞬の判断というところに迷いがあるように見える。開幕時の3トップとは違って、今は2トップ+トップ下だし、このほうが合うと思うんで、調子を取り戻して欲しいんだが。