2014年J1第10節 FC東京 0-1 名古屋グランパス(観戦19試合目)

GW連戦2つめは、ホームでの名古屋グランパス戦。場所は国立。今の国立では最後の公式戦になる。上層こそ一部しか開放しなかったが、観客はかなり多い。たくさん入るとやはり通路の狭さを感じる。そして、背もたれもカップホルダーも無い座席、段差が一定ではない階段。たしかに、立て替え時かもね(ただしあのデザインは・・・)


スタメンとフォーメーションは以下。

東京のスタメンは前節と同じ。故障者続出で矢野がSBを務めるほど台所事情が苦しい名古屋だが、この試合から玉田と大武がスタメンに復帰してきた。システムは4-2-3-1に見えた。

東京はターンオーバーしてくるかと思ったが、よく考えるとそれができない状況にあった。第10節時点での東京の選手構成は以下。

梶山、マテウスの長期離脱者は置いておくとして、平岡が脚を痛め、石川が腰痛、アンカーができる野澤も鳥栖戦で膝を負傷。河野がどこかを痛めたらしく前節に引き続きベンチ入りせず。羽生さんも体調不良とかでベンチ外。
ということで、開幕時、頭数なら2セット編成できたはずの中盤が、いつの間にやらバックアップは幸野だけになってしまった。消耗の激しいインサイドハーフぐらいはフレッシュな選手を使いたかったんじゃないかと思うのだが。こっちも、台所事情は苦しい。


東京の守り方はいつもの通りだったが、案の定、立ち上がりから選手の動きが鈍い。インサイドハーフはもちろん、前の三人の動きにも鋭さがない。前節と比べると、寄せの早さ、球際の強さともに落ちていた。



この東京のコンディションの悪さに、名古屋の攻め方がはまった。
これまでの名古屋はケネディポストプレーを軸に攻撃を組み立てていたが、今年は変わった。今年の名古屋は、守備ブロックのMFとDFのラインの間のスペースを使って仕掛ける意図を強く出している。この試合でも、ボランチとDFの間に常に2,3人の選手がぶらぶらしていた。このスペースに縦パスを入れて起点をつくり、ワンタッチパスの交換で崩していく。どうやってMFとDFの間に縦パスを入れるかというと、基本的にはボランチを1枚攻め上がらせ、それに東京のMFを食いつかせて、その背後の空いたスペースを使っていた。

それが端的に表れているのが20分の場面。名古屋は左SBの本多をオーバーラップさせてサイドから仕掛けてくる。それに対応して東京の3ボランチがスライドする。サイドに追い込もうと、トップ下から東が降りてくる。
ここで名古屋は一端ボールを下げ、闘莉王経由で田口にボールが渡る。田口に対してタマが食いつくと、その背後が空く。その空いたスペースを使って枝村が縦パスを受ける。
この場面では、パスを出した田口がそのまま上がっていって枝村とのワンツーでバイタルに侵入、最終的には永井がミドルを狙っていく。
もう一つ、3ボランチを寄せておいて闘莉王のサイドチェンジで逆サイドのオープンスペースを使う、という手段も用いていた。

こういう攻撃を防ぐためには前の3人が闘莉王ボランチにプレッシャーをかける必要があるのだが、なにせ運動量が・・・・上の場面でも、闘莉王に対する平山のプレッシャーが遅れ、千真は攻め残ったまま。試合を通じてサイドチェンジを行う闘莉王にはプレッシャーがかかっていなかった。


で、この直後にもボランチのスライドの遅れを突かれてサイドから仕掛けられシュートを許す。結局、マッシモは23分過ぎに4-4-2に変えてしまった。

中2日、ターンオーバーなしのコンディションで3ボランチで守り切るのは無理と判断したのだろう。ま、4-4-2に変えてもけっこうやられていたのだが、東京も真ん中を締めて決定機を許さなかった。


それでも、前半はグダグダながら無失点でしのぐが、後半立ち上がり、コーナーキックから矢野貴章にヘディングを許し失点。ニアサイド、ストーンの位置にいたのは高秀先生だったが、後ろから勢いを付けて飛び込んできた矢野貴章にはさすがに勝てず。貴章は、十分な「運動エネルギー」を持った状態だと非常に怖い選手である。


失点の後、東京は5分ほどバタバタしたが、吉本の踏ん張りもあって立て直す。
千真のあれは・・・1点とれば変わると思うんだけど・・・・


マッシモの反撃の手段はシステム変更。57分頃に5-3-2にシステム変更。

実質は松田・太田の両WBが高い位置をとる3-4-3的な形でいたことが多かったように思う。突撃させると強い矢野貴章も、守備に回るとバタバタ。ああ、もうちょっとだったね。


この試合、負けはしたが、状況に応じたシステム変更が見ていて面白かった。守備面に着目したシステム変更はこれまでもやっていたが、攻撃的なシステム変更が見られて、それがある程度機能した、というところに、個人的には合点がいった次第。チームが、こういう「幅の広さ」を身につけつつあることは心強い。まだ、板に付いているとまでは言えないが。
一方、運動量低下による3ボランチの機能不全、という点は今後も大きな問題になる。4-4-2へのシステム変更はもちろん、中盤で使える選手の層を厚くしようとしている節もあり、マッシモはいろいろ手を打っているとは思う。


最後の国立という感傷はあまりなかった。ただ、新宿の高層ビル街が見られなくなるのは寂しいかな。